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シナリオ詳細

<グレート・カタストロフ>野生解放

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●崩壊の始まり
 それは何気ない日常の一コマ。コンバルク・コングがA級闘士として闘技場で戦うそのさなかに引き起こされた。
 突如として天空に、大地に、原因不明の次元崩壊ことバグホールが出現したのである。
 そして日常は引き裂かれ、終焉がやってくる。
「コレハ……」
 戦いの手を止め、空を見上げるコング。
 無数の流星が降り注ぐ、その様はまさに世紀末であった。

 曰く、気の長いご神託の無限にも思われたモラトリアムは終わりを告げた。
 世界各地で観測された次元崩壊、通称『バグホール』の出現は終末(Case-D)接近による破滅的な影響らしい。
 これはいわば魔種たちにとっての福音であり、世界にとっての破滅を意味する。
 触れれば消滅してしまうとすら言われ、除去する方法もわからない。
 これらが何かと言えば、世界の破滅を望むものたちの宣戦布告。
 かつては世界各国の担当冠位魔種たちが取り仕切りそれぞれの暗躍によって滅びのアークをかき集めていたが、それとは根本的に違う全世界規模の堂々たる破壊なのだ。
 そんなバグホールに合わせて世界中では様々な混乱と被害が観測されている。
 今回はそんな中のひとつ。鉄帝国で起きた混乱について語ろう。

●野生解放
「試合、デキナイ! ヤツラ、ユルサナイ! ホアアアアアア!!!!」
 ずどんずどんと大地を殴りつけて怒りを露わにするコンバルク・コング。
 殴りつけた地面に軽くクレーターが出来るほどに荒れており、場所が野外でなかったら今頃大変なことになっていただろう。
 それをマネージャーであるDDは必死になだめていた。
「気持ちは分かるが今キレたって仕方ねえぜ。それより空から降ってくる連中と南から攻め得てくる連中をどうにかしねえと」
「ウホウホウホホワァー!」
「ったく……旦那は試合が何より好きだからなあ。それを台無しにしたのは誰だ?」
「タオス! ツブス!」
「そうだ、その意気だ!」
 どうやらコングは怒りを敵へと向け始めたらしい。どうにかなったという顔でDDはこちらへと……集まったイレギュラーズたちへと振り返った。
「とにかく、今はこの町を守らねえといけねえ。イレギュラーズ、力を貸してくれねえか」
 コングたちは興業のために鉄帝南部の町アウストラへとやってきていたらしい。
 本来ならイレギュラーズを呼んでコングと戦わせることで興業としようと考えていたようだが、バグホールの出現と星界獣の襲来。更に『不毀の軍勢』までもが襲撃してくる始末。これでは試合所ではない。
「住民避難は完了してる。とっとと敵連中を片付けちまおうぜ!」

 町を襲撃しているのは幼体の星界獣たちと『不毀の軍勢』である。
 星界獣たちはとにかく蹴散らせばいいが『不毀の軍勢』はそうはいかない。
 強力な個体が何体も出現し、町の衛兵たちではとてもではないが太刀打ちできないという。
「特に強力なのはディベリオンズと名乗る集団だ。剣や弓、槍や斧を装備した強力な戦士たちで、衛兵たちではまるで太刀打ちできなかったらしい。
 だが……ここにはラド・バウA級闘士たちがいる。この町に喧嘩を売ったことを後悔させてやろうぜ」
「ウホウホウホウホホワアアアアアアアアア!」
 コンバルク・コングは鎧に拳でドラミングをすると、咆哮をあげて走り出した。
 解放された野生は、もう止まらない。

GMコメント

●シチュエーション
 アウストラの町を襲撃した星界獣と『不毀の軍勢』ディベリオンズを、コングと共に撃退しましょう。

●フィールド
 市街地。アウストラの町の広場が戦場になります。集まってくる星界獣を蹴散らしたあとは、颯爽と現れるディベリオンズに挑みましょう。

●星界獣×多数
 まずは町に次々と降り注いでは暴れ始めている星界獣たちを撃退しましょう。
 住民避難は済んでいるので、皆さんの所に星界獣が一斉に集まってくる状態になっています。
 1mはある巨大サソリを変形させたような見た目で、尾の針には毒があるようです。
 こいつらをボッコボコにして蹴散らしてしまいましょう。

●ディベリオンズ×数人
 この街を襲撃している『不毀の軍勢』です。
 『全剣王』と呼ばれる何者かに付き従っている、強力な人型の怪物たちの一部で、鉄帝南部にある全剣王の塔から出現したものと思われます。
 剣や弓、槍や斧などを装備しておりそれぞれがかなりの強さを持っているといわれています。

●コングコンビネーション
 コンバルク・コングに強さを認められたイレギュラーズであるあなたは、コングと共に強力なコンビ技を繰り出すことが可能です。
 あなたの考えた合体技を繰り出しディベリオンズをボコボコのボコにしてやりましょう。

●味方NPC
・コンバルク・コング
 圧倒的パワーとタフネスで相手を粉砕するゴリラ。
 強くて優しくてゴリラというイケメン三拍子のそろったファイター。
 細かいことを考えるのが苦手だがそれを補って余りあるパワーで全てを解決する。
 言わずとしれたラド・バウA級闘士。鉄帝のスターにしてバトルのひと。
 本来はバトルにしか興味のない男ですが、イレギュラーズに執心しているらしくいずれ自分を倒す存在として認知しています。
 今皆さんはこのコンバルク・コングと肩を並べて戦えるだけの戦士に成長している筈です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <グレート・カタストロフ>野生解放完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月17日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
夜式・十七号(p3p008363)
蒼き燕
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

サポートNPC一覧(1人)

コンバルグ・コング(p3n000122)
野生解放

リプレイ


「ウホウホウホウホホワアアアアアアアアア!」
 コンバルク・コングは鎧に拳でドラミングをすると、咆哮をあげて走り出した。
 それに続くように走り出す『愛娘』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)。
「おちつけ、コング。勢い余ってあの『穴』に落ちてしまったら、戻ってこれない、ぞ」
「ウホッホ!」
「そうだな。早々に叩き潰して、試合の続きをするとしよう、か」
 『祝福の風』ゼファー(p3p007625)はなんで通じてるんだろうという顔をしたが、すぐに走るコングたちに加わった。
「おっかないわねぇ。あそこまでブチ切れてるコングは初めて見たわよ
 まあ状況が状況だけに、其れが頼りになるんでしょうけれどね」
「確かに。試合を邪魔されたのがそれほど気に入らなかったんだろう」
 『蒼き燕』夜式・十七号(p3p008363)はふうと息をつきつつも町へと走って行く。
 そして『海燕』の鞘へと手をかけた。
「しかし毀れずの軍勢とは大きく出たものだな。いや、言ってる場合じゃないか。
 このままコングが暴れたら、いろいろと大変そうだ。手早く片付けよう。
 なにしろ私も少し、腹が立っているんだ!」

 現地へと猛烈に走る一団。
 『生命に焦がれて』ウォリア(p3p001789)はその中にあって、兜の下で熱く炎を燃え上がらせていた。
「世界の破滅が来ようと討ち払うのみ。此処にはオレがいる」
「ああ! 世界の終わりが何だって言うんだ! こちとらゼシュテル鉄帝国だよ! 全部ぶっ飛ばして元の世界に戻してやろう!」
 同じくらいに魂の炎を燃やす『黒撃』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)がぎゅっと拳を握って見せれば、『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)もまた己の拳を握ってみせる。
「奴らには自分たちが何をしてしまったのか、その身を持って知って貰うとしようか」
 同じく走りながらコンバットスーツを装着する『今を守って』ムサシ・セルブライト(p3p010126)。
「不毀の軍勢、ここにまで攻め込んできていたでありますか。見境のない……!
 だがここにはラドバウのA級闘士『野生開放』コンバルク・コングがいる。それに……」
 ザッとブレーキをかける。そこには大量の蠍型星界獣が待ち構えていた。
「同じA級闘士にして、宇宙保安官のムサシ・セルブライトがいる! 貴様らの好きにはさせんでありますっ!」
 ビームリボルバーライフルを構え、ムサシは星界獣たちに突きつけた。
 同じくらい、いやそれ以上の破壊力をもった拳を握って突きつける『竜拳』郷田 貴道(p3p000401)。
「オーケーオーケー、有象無象がそこら中に散らばってやがるな
 任せときな、どいつもこいつも蹴散らしてやるよ」
「ホワアアアア!」
 怒りにまかせて飛び込んでいくコングを見ながら、貴道はにやりと笑うのだった。


 突っ込んで殴り、掴んで振り回し、叩きつけて投げ飛ばす。
 コングの暴れっぷりは爽快だ。
「ウホ!」
 多脚をがしゃがしゃと動かして接近する星界獣の攻撃をものともせずに受け止めると、逆に相手の尾を掴んで振り回す。
 ドガシャアと音を立てて町の一角へと突っ込む星界獣。
 それを横目に、貴道はにやりと笑った。
「邪魔だ雑魚ども、数ばっかりで食いごたえがねえんだよ、テメェらは!」
 貴道の拳が星界獣の一体へと命中。螺旋状に相手をえぐり取ると、そのまま強烈な力の奔流が迸る。
 一直線上に走った力は星界獣たちを纏めて吹き飛ばし、酒場の扉を開き屋内へと転がり込ませる。
 最後尾の一体が素早く起き上がり体勢を立て直す――が、その動きは貴道にとって遅すぎる。ボクサーならではのステップで急速に距離を詰めた貴道の拳が星界獣の頭へと振り下ろされ、ばきゃんと頭を爆発四散させた。
「ふむ……」
 仲間のフォローは必要なさそうだと察したエクスマリアは、自分は自分の仕事をしようと振り返った。
 がしゃがしゃと耳障りな足音を立ててあつまってくる星界獣。
 路地を曲がり集合したその瞬間を狙い、エクスマリアは手袋をした手をかざした。
 途端、天空を割って鉄の塊がいくつも飛来。最後に巨大な鉄塊が降り注ぎ星界獣へと直撃した。
 ズンと響く衝撃が波紋のように広がり、周囲の星界獣を纏めて消し飛ばしていく。あまりにもあまりな衝撃は、星界獣の命を一撃で絶つものであった。
「そちらは任せた」
 エクスマリアの言葉を受けて、ウォリアが逆側の路地にた宇さがる。
 路地へと突進し、あえて攻撃を受け止めにかかるウォリア。
 四方八方から囲まれ尾の毒針を突き立てられたウォリアは、しかし弱った様子は一切見せていない。どころか、目の奥の炎を強く燃え上がらせていた。
「――一度目の喇叭は開戦の咆哮、二度目の喇叭は……お前達の死を告げる」
 発動、『黄昏…即チ闇ニ覆ワレシ破滅ノ刻』振り回された『-SIN-『火斬熔剣』』が星界獣たちを次々と粉砕していく。

 一方。イグナートは四方八方から放たれる蠍型星界獣の尾の攻撃を回避し続けていた。
 飛ぶように、あるいは舞うように鋭く回避するその動き。星界獣たちはそれを捕らえきることができない。
「そろそろかな」
 ニッと笑ったイグナートは大地めがけ己の拳を叩きつける。
 途端、激震。
 激しく突き立つ岩の槍が周囲の星界獣たちを次々に貫いていく。
 多少の反動はあったものの、イグナートの拳に一切のブレはない。
「うん。まるで人気商売でもやってる気分ね?
 お客さんが多すぎるのも考え物だわ!」
 少し離れた所ではゼファーが槍をぐるぐると振り回し、これまた四方八方から繰り出される尾の攻撃を撃ち弾いている。
 無論、攻撃を受けているばかりではない。
 ゼファーは舞うように放つ大薙ぎによって星界獣たちを一度振り払うと、強烈な蹴りと拳の乱打によって一匹一匹を叩き潰していく。
 自分を取り囲む最後の一匹の頭を踏み潰したところで、槍を振ってついた血を払う。
「息切れはしてないかしら?」
「ああ、大丈夫。このまま進もう!」

「空から来るぞ、気を付けろ! やれるなら落下中に落としてしまえ!」
「ウホッホ!」
 屋根から飛ぶコングのラリアットが星界獣を粉砕するのを見つつ、十七号は自らもまた空から次々と降ってくる星界獣へと挑みかかる。
「――ッ!」
 ずずんと音を立てて地面に着地した球体。それが展開し蠍型星界獣へと変わる。前方。そして、後方にもだ。
 挟撃された形となったが、十七号はだからといって慌てない。
 前後同時に突進し尾による攻撃を仕掛けてくる星界獣だが、十七号は跳躍によってそれを回避。建物の壁を蹴って三角跳びをすると、上下反転したまま相手の尾を二体同時に切り飛ばした。
「さすが、であります」
 屋根の上からその様子を見ていたムサシがビッと親指を立てれば、彼は中央広場に集まっていた星界獣たちを見下ろす。
 そして肩部装着型連装キャノン砲とビームリボルバーを連続発射。射出されたマイクロミサイルが美しい軌道を描いて広場へと着弾。爆発を引き起こす。
 爆発によっていくつもの星界獣が吹き飛ぶも、残った星界獣たちがムサシめがけて突進をしかけてくる。
 相手の大きさと足の強さを見るに、屋根の上にいようと決して安全ではないだろう。
 ならばとムサシは助走を付けて跳躍。
「ビッグバンブレイザー!」
 抜いたレーザーブレードに炎を纏わせ、大上段から斬り付ける。
 斬撃と同時に迸った炎が、突っ込んでくる星界獣たちを焼き尽くした。
「ならば、残るはこの路地だけか」
 ゆらりと路地に歩み入る昴。
 まるで散歩でもするかのような悠然とした足取りだが、その体幹に一切のブレはない。
 昴の様子に反応した星界獣たちが一斉に襲いかかるも、昴はそれをあえて真正面から受け止めた。
「多数いるようだが、どれだけ群れていようと関係ない」
 蠍の尾が胸元へと突き刺さり毒が流し込まれるが、そんな蠍の尾を掴み、『ハンズオブグローリー』で殴りつける。
 循環したオーラが自らの体内に流れ込んだ毒をすぐさま浄化した。
 続けて、相手を掴んだまま回転し周囲の星界獣をもろとも吹き飛ばしていく。
 破壊力に特化した昴の肉体は、それだけで星界獣たちを千切り、砕き、そして破壊していった。


「おっと、そこで止まってもらおうか」
 星界獣たちを倒し突き進んだ先、屋根の上に並んでいた数人の男たちの声に足を止めた。
 剣や弓、槍や斧などを装備した――『不毀の軍勢』である。
「俺たちはディベリオンズ。自己紹介はこれ以上必要かな?」
 そう言いながらぴょんと屋根から降りてくるディベリオンズの男たち。
 ゼファーは無言のまま一気に距離を詰めると、槍使いの間合いに入って相手の喉を狙い一突き――にしようとした瞬間紙一重にかわされる。足元を掬うように槍を放たれ、跳躍によってかわすゼファー。
「成程、あのでっかい玩具よりはやるみたいだわ。
 ま、だからって勝てないとは言いませんけど?」
 互いに間合いを開き、槍による激しいぶつかり合いが開始される。
「あのゼファーさんと互角……」
 ごくりとつばを飲み込むムサシ。ゼファーと言えばレベル100のイレギュラーズである。戦術バランスも高く個体戦闘能力はローレットでもかなり上に位置する人物だ。
 ならば油断はしない。
「――ブライト・スナイパー!」
 ゼファーの援護にと放ったムサシのレーザービーム。しかしそれを受けたのは斧使いであった。
 上等だ。一対一の勝負は望むところ。
 SCAS(Superior Combat Active System)を発動させて自らのスペックを大幅に向上させると、レーザー警棒を抜いて斬りかかった。
 バチンと相手の斧と警棒がぶつかり合って火花を散らす。
「あれは……蛇腹剣か? 異様なものを。蛇腹剣持ちは私が受け持とう」
 一方で十七号は蛇腹剣を武器にしたディベリオンズの戦士と向き合っていた。
 蛇腹に展開した剣がまるで生きた蛇の如く十七号を襲うが、それを剣で次々に払って間合いを計る。
「間合いがとりづらい。やはり異様な――」
 ピッと頬に傷が走る。それを受けて尚距離を詰めた十七号は刀で斬り付けるが、剣を巧みに操る相手によって刃が弾かれてしまった。
「そこだ」
 瞬間。昴の拳が蛇腹剣使いへと滑り込む。
 破壊力に特化した『バスタースマイトV』による一撃だ。
 が、昴の拳に残った手応えはまるで鋼を殴ったかのような硬質なもの。相手の顔面に直撃したはずなのにである。
「只者ではない、か」
 だが破壊するのみ。昴は連続のパンチを打ち込んで蛇腹剣使いを追い詰めにかかる。
「――」
 対する蛇腹剣使いはそんな昴の連撃を邪魔に思ったのか範囲攻撃を放って迎撃。防御に乏しい昴は大きく飛び退き、十七号の影へと隠れ防御する。
 その一方で、ウォリアもまたディベリオンズとぶつかり始めていた。
 剣使いのディベリオンズと激しいつばぜり合いを起こし、至近距離でにらみ合う。
 相手はギラギラとした笑みを浮かべ、ウォリアに挑発的に笑いかけてくる。
「いい鎧に、いい剣だ。壊すのが惜しいぜ」
「壊せるものか」
 一度飛びのきあい、再びのぶつかり合い。
 ウォリアの次の一撃は、しかし先ほどとは違う。
「此方の準備もちょうど整った……此処からはオレのターンだ」
 解放された力が剣に宿り、激しい連撃が相手を襲う。
 そのまた一方でエクスマリアが退治していたのは弓使いだ。
 一人づつ確実に仕留めたいところだが、そんな中でも弓使いの動きが非常に厄介なのである。集団戦の基本は火力の重ね合わせ。弓使いはそんな中において最も火力を重ねやすく、そして見極めが非常に上手い。
 エクスマリアはそんな弓使いを自由にさせないよう『冥王公演』を発動。
 相手を魅了すべく連発していく。それでも簡単にBSにかかってくれないのがディベリオンズというものらしい。
「厄介な相手だ、な」
 貴道はといえば、武器を持たぬディベリオンズと向き合って丁度殴り合いを始めている所だった。
 貴道のパンチが相手の顔面に伸び、相手はそれを細かいステップと首の動きで回避。カウンターのパンチを入れてくるが、貴道はそれを身体ごとそらし後方に避けるようにして受け流した。
「HAHAHA! ミーとここまで打ち合うとはな。『不毀の軍勢』、ナメてたわけじゃねえが、強敵だぜ」
「あんたも凄まじい強さだなあ。さっきの一発で死ぬかとおもったあ。だが、簡単には勝たせてやらないよ」
 互いの拳がまるで何十本にも増えたように高速で繰り出され、それぞれが空中で激突し合う。
 イグナートはそんな中で斧使いを狙って跳び蹴りを放った。
 流星の如く繰り出されたイグナートの蹴りを、斧使いはムサシの斬撃を受け流しつつも斧で防御。
 防御されたと分かった途端に相手を踏み台にして反転後退したイグナートは、今度は握り込んだ拳の連打を撃ち込んでいく。
 がいんがいんと斧にぶつかる拳の連打。
 が、そんな打ち合いもここで終わりだ。
「コング、一緒に行くよ!」
「ウホ!」
 更なる高速連打を放つイグナートと同時に、反対側からコングが高速連打を繰り出す。
「う、おおおおおお!?」
 斧使いは連打を受けきれず圧殺されていった。
「見たか! これぞ無影大猩猩拳・超爆破毀連弾!!!」
 最後は正面からの強烈な一撃を撃ち込むと、謎の大爆発を起こして斧使いは吹き飛んだのだった。
「今だコング! 来い!」
 続けて叫ぶ昴。
 戦いに加わろうとしていた短剣使いを素早く掴んで肩車状態にすると、コングがジャンピングラリアットを叩き込む。その勢いのままバックドロップ。
 その名も『ダブルインパクト』。
「ぐおお!?」
 衝撃に耐えきれず意識を失うディベリオンズの短剣使い。
「遠慮なく! 貴方の剛力、お借りします!」
 そこへムサシが駆け寄り、コングとアイコンタクト。一瞬ですべてを理解したコングはムサシを抱え全力で別のディベリオンズへと投擲した。
 自らに焔を纏い、反転。
 ミサイルのような跳び蹴りがディベリオンズを襲う。
「スペースキング……バーニングシュートォォォォッ!!!!!」
 直撃と同時に大爆発が起こり、スライディングをかけたムサシのコンバットスーツが爆炎に照らされた。
「コング! こちらへぶっ飛ばしてくれ!」
 かと思えばコングは十七号へ向けて蛇腹剣使いをぶん投げる。
「彼は拳、私は刀と氷。ならーー氷でこういう戦い方もできるというわけだ!」
 飛んできた相手を凍らせ、スパンと一刀両断する十七号。
 直後すぐにコングは槍使いを後方から殴りつけた。
「じゃ。ちょっと背中の上を失礼するわよ、旦那?」
「ウホ!」
 怯んだ槍使いめがけ、コングを足場にし跳躍したゼファーが高高度から槍の一撃を叩き込む。
 更に、ウォリアがコングとアイコンタクトで通じ合い、敵を天へと打ち上げた。
 剣使いが打ち上がったその直後、追い掛けるようにさらに空高く飛び上がったコングが地面にめり込ませるような勢いで空中から回転体当たりを仕掛ける。
「これぞ……ワイルドドラスティックインパクト!」
「アイゼンシュテルン――コングスペシャル」
 続けざまに魔法を唱えるエクスマリア。
 空から鉄塊の代わりに丸くなって回転するコングが飛来。弓使いへと直撃しなぞの大爆発を引き起こす。
「いい突進だ。あとで、バナナで乾杯でもしよう」
 最後は貴道だ。
「おい、コング! こっちに回せ、俺が決めてやるよ!」
 ディベリオンズを掴んだコングが相手を振り回してぶん投げ、その先にいた貴道が飛昇龍でカチ上げて吹き飛ばす。
 相手は回転しながら飛んで行き、そして動かなくなった。
「ウホ、ウホ、ウホアアアアアアア!」
 激しく勝利のドラミングを鳴らすコング。その音は、町へ鳴り響いた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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