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シナリオ詳細

<グレート・カタストロフ>シレンツィオ・クライシス

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 モラトリアムは終わったのだ。
 世界の空は、大地は、バグホールだらけとなり世界は例外なく混乱のさなかに放り込まれる。
 それは海洋王国常夏のリゾート地、シレンツィオ・リゾートとて例外ではない。

「大変なのだ! 世界の終わりなのだ! どうしたらいいのだ!?」
 シレンツィオの代表、キャピテーヌ・P・ピラータは頭を抱えて会議室のテーブルに突っ伏していた。
 さもあらん。世界中のセレブが集まるというこのリゾート地もまた、バグホールの被害を受け混乱し、更には敵の侵攻まで起こっているというのだから。
「このバグホールは終末(Case-D)接近による破滅的な影響によって発生している模様です」
 眼鏡をかけた秘書らしき男がそう告げると、一通り混乱し終わったらしいキャピテーヌがむくりと頭をあげる。
「本格的に週末が近づいているということなのだな……」
「ええ、おそらくは。今までは各地で冠位魔種が縦割り構造的に滅びのアークを集めて回っていたのですが、今回は全世界同時に全勢力を投入するという大規模かつ無軌道な宣戦布告をしてきたようです。
 人類と『滅びを齎すもの』との全面的な対決といった所ですかね……」
 ハアとため息をつく秘書。一方で、キャピテーヌの表情は既に覚悟の決まったものになっていた。
「だったら、私達は自分達の土地を守るだけなのだ。バグホール周辺は立ち入り禁止。敵の侵攻は兵たちによって足止めさせるのだ。特に強力な敵は?」
「ビーチから上がってきている星界獣ですね」
 星界獣。もともとは覇竜領域の奥地でしか発生していなかった獣たちの総称だ。
 エネルギーを喰らい変化するその性質は多様であり、現在海から上がってきている星界獣も半魚人型や飛行鮫型など海の魔物の力を喰らったものであると予想できるらしい。
「なら、ローレットに依頼するのだ! 今すぐに!」


「よく来てくれたのだ、ローレットの皆!」
 キャピテーヌは会議室に集まったローレット・イレギュラーズたちに対して小さく頭を下げた。
「今シレンツィオ・リゾートは未曾有の脅威にさらされているのだ。バグホールの発生と星界獣たちの侵攻。これを島中の兵力と無番街の戦力でなんとか牽制している状態なのだ。
 けれど強力な個体が町に侵入してしまっているのだ。皆にはこの連中の撃退をお願いしたいのだ!」
 星界獣は大きく分けて二種類。
 まずは半魚人型の星界獣。とくに数が多く、手にした銛のような武器で攻撃してくるとのこと。個体ごとの戦闘力はさほど高くないものの数が多いため押さえつけるのに人手が必要になっている模様だ。
 もうひとつは飛行鮫型星界獣。こちらは滅茶苦茶な戦闘力を誇っており、目からビームを撃つわ牙で人を食いちぎろうとするわでかなりの負傷者が出てしまっている状態らしい。
「鮫だからって何してもいいと思ったら大間違いなのだ! この島を攻めたことを後悔させてやるのだ!」
 キャピテーヌは星界獣たちに一通りキレたあと、ローレット・イレギュラーズたちに向けて改めて頭をさげた。
「この島には沢山の人達が暮らしていて、沢山の喜びに溢れているのだ。そんな場所を、私は守りたいのだ。皆、どうか力を貸してほしいのだ!」

GMコメント

●シチュエーション
 シレンツィオ・リゾートへと襲撃をしかけた星界獣を撃退しましょう!

●フィールド
 リゾート地の海岸付近。街中。
 住民や観光客の避難は済んでいるので、思う存分戦えます。

●エネミー
・半魚人型星界獣×多数
 首から下は人型、首から上は魚型といういびつな格好をした星界獣です。
 おそらく海の魔物のエネルギーを喰らって変異したのでしょう。
 銛のような武器を主に用いて戦闘を行います。

・飛行鮫型星界獣×少数
 空飛ぶ鮫の姿をした星界獣です。
 体表は堅い鱗に覆われ、鋭い牙を持っています。
 目から光線を発射する能力も兼ね備えており、主な攻撃方法はコレになるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <グレート・カタストロフ>シレンツィオ・クライシス完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月15日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊

リプレイ


 シレンツィオ・リゾートのビーチは半魚人と鮫で一杯になっていた。
 そんな光景を見れば、誰だって唖然とするだろうが……。
「格好いい名前しておいて頭練達か? 終わってから実は映画の撮影でしたってオチとかないか?」
 『航空指揮』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)のそんな反応は無理からぬことだろう。
「ありませんよ」
 『アンロジカル・ソウル』ボディ・ダクレ(p3p008384)が肩をすくめてそう返す。
「そう……じゃあさっさと片付けちまおうぜ」
「そうですね。ビーチに怪物なんて映画では定番ですが、いざ現実にされると面白くはありませんしね。
 楽しい場が消えるのは忍びないので、いざ殲滅です」
 そういって駆け出していく二人。その後を追って、『記憶に刻め』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)が『化神機星』なる扇を握って走り出す。
「一応名誉のために言っておくが、練達にも『まとも』な生態系としては存在しないからな、こんな奴ら」
 とはいいつつ、そんな鮫もいそうなのが練達だよなとマニエラは考える。
(だからと言ってこんな奴らが出てきたら大抵練達のせいにされるだろう? それは許せないんだわ)
「速戦即決。悉く鏖殺させてもらおう」
 というわけで、意見は最終的に一致するわけである。

「練達のB級動画みたいな光景を目の当たりにするとは流石に思わなかったな……と、それはさておいて」
 『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が振り返るとあたりはがらんとしていた。
 本来なら人で賑わっている筈のビーチも、今では半魚人と鮫だけだ。
「島の人たちが無事避難できてるのは僥倖だね、ここを治めるキャピテーヌさんの手腕の高さと島への愛情が伺えるよ。
 それに応える為にも、受けた依頼はきっちり果たさないとね」
 封血の古書を抱え、ピッと指に傷を走らせ血を流す雲雀。その血を呪力媒体としていくつもの呪術を無詠唱化させていく。
「混沌世界のどこもかしこも終焉獣がわんさか湧いている。確かにこの状況では世界の終わりを連想しても致し方ないだろうな。
 だが忘れないでくれよ。そういう状況を片っ端からひっくり返すために俺達がいるんだ」
 『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)が刀に手をかえてそう言い切った。
 そして、半魚人たちに向けて殺気をぶつける。
「シレンツィオと竜宮には顔なじみも多い。民の命も生活も、両方壊させはせんぞ」
 そう、シレンツィオ・リゾートは人々の繋がりと思い出の場所だ。
「シレンツィオの海は、愛しの妻と友人達の思い出の一つだ。
 輝く海と砂浜、港。物珍しく、食べ物もスッゲエ美味しくて、見ていて楽しい街の光景。
それらを獣共に壊されることは許さねえ」
 そう宣言したのは『世界で一番幸せな旦那さん』フーガ・リリオ(p3p010595)だった。
 戦闘用トランペット『日向の百合』を手に走り出す。
「シレンツィオに再び落ち着いた日常に戻れるように、護っていくぞ」
 一方で、『竜拳』郷田 貴道(p3p000401)はぎゅっと握り拳を作って半魚人たちを見やる。
「なるほどな、こいつらが星界獣か。
 まあ、世界の終わりにはリゾートだろうが温泉地だろうが関係ねえよな。
 前哨戦にもならないが、景気付けに蹴散らしてやるよ。
 これから、腐るほど相手にする連中だからな」
 そして同じく走り出した。
 それに続くように、『綺羅星の守護者』綾辻・愛奈(p3p010320)も銃のセーフティを外して走り出す。
「バグホール……まるでこの世界が破綻していると言うかのようですね。
 ですがね、仮に壊れていたとしても。
 この世界に救われた人間だって、ここに居るのですよ。
 ――諦めてなるもんですか」


 誰よりも早く動き出したのは呪術を無詠唱化させた雲雀だった。
「さあ、いくよ皆!」
 血のついた人差し指で空中に印を描くと、『やわらかい思い出』を発動。肉体をブーストさせる。
 ビーチからあがって島内を目指そうと動き出した半魚人型星界獣たちめがけて『アンジュ・デシュ』の呪術を発動させた。
 突如としてズンと激しい重圧がかかり、半魚人たちの動きが目に見えて鈍り始める。
 それを確認したところで『流星流転』天墜災厄を連続発動。
 発動した呪術によって何体かの半魚人がぐしゃりと潰れる。序盤から凄まじい威力だ。
 そんな雲雀に引っ張られる形でエーレンと愛奈が素早く空へと飛び上がり、飛行鮫型星界獣へと襲いかかっていく。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。お前たちのようなトンチキな鮫は映画の中だけにしてもらうぞ!」
 飛んできた白きワイバーン『風花』へと飛び乗り、刀を抜くエーレン。
 飛行鮫に早速強烈な一撃を入れると、ターンして更なる攻撃を仕掛けにかかる。
 ただ飛行鮫とて斬られるためだけに空に上がってきたわけではない。その洞のような目でギラリとエーレンをにらみ付けると、そこから光線を発射した。
「くっ!」
 風花の羽ばたきによってギリギリ回避するエーレン。
 そんなエーレンと入れ替わるように空を駆ける愛奈。
 拳銃の乱射によって飛行鮫を牽制すると『やわらかい思い出』を発動させ、肉体を高速化させる。
 急速に周囲の世界がスローになっていく中で、愛奈は飛行鮫めがけ片手槍を突き立てた。
 更に拳銃を押し当て、零距離で打ちまくる。
 特殊な弾頭が飛行鮫の内側で爆発し、オーラの棘が暴れ回った。
 それも一度や二度ではない。とんでもない数の爆発が飛行鮫の体内で起こり、飛行鮫は血を吐いて墜落。ビーチの砂浜を滑って止まった。
「お見事」
「いえ、それほどでも」
 そんな会話を交わしていると、新たな飛行鮫が目から光線を放ってくる。
「させるか!」
 それを阻んだのはアルヴァだった。
 『G-ドライブ』こと小型ホバーボードで華麗に空を走ると、それが空中であることを忘れさせるかのようななめらかさでボードを反転。ビームを蹴り飛ばす勢いで弾いてみせる。
「チィ……俺が飛んでる間は、誰にも被弾させやしねえ!」
 ここからは己の独壇場だとばかりに『名乗り口上』を発動。飛行鮫を引きつけると空で急速なターンをかける。
 それまでアルヴァがいた空を鮫の光線が抜けていき、食らいつく鮫の牙が空振りする。

「あちらは任せておいて大丈夫そうですね」
 とぽつりと呟くボディ。
 ボディはそっと指輪を撫でると自らの周囲に二重の結界を発動させた。
 続けて『AGⅡ』――アルマ・ガルバニズムⅡを発動。
 島内部を目指して侵攻しようとしていた半魚人たちをひきつけにかかった。
 誘導は完璧に成功したらしく、半魚人たちは手にした銛を構えてボディへと一斉に突っ込んでくる。
 それらが結界で弾かれると知るや、今だ正気の半魚人が特殊な攻撃を放ってきた。それでも結界は破れない。今のところ実力差が出ているようだ。
「今のうちに」
「ああ」
 低く唸るように呟く貴道。
「テメェらは小物も小物だが……仕事は仕事だからな。
 好き嫌いはしねえさ、残らず食い散らかしてやるから安心しな。
 誰も仲間外れにはしねえよ、みんな残らず塵に還してやる」
 彼が放ったのは『大蛇槍』。強烈なパンチであり、そして嵐だ。直撃を受けた半魚人の頭が吹き飛び、その後ろにいた半魚人が吹き飛び、その更に後ろにいた半魚人までも纏めて吹き飛んでいく。
「木っ端どもがウジャウジャと、群れに群れてやがるじゃねえか!
 質より量ってツラしてやがるが、限度ってもんが有るだろうがよぉ!
 役不足だぜ魚類ども、あの世から出直してきな!」
 未だ正気の半魚人がボディへの攻撃を諦めて貴道たちへと殺到。
 銛の攻撃を素早いステップでさばいていく貴道だが、その身体に何発かの銛が突き刺さる。
 チッと舌打ちするが、心配まではしていない。
 なぜならフーガのトランペット演奏が始まったからだ。
 演奏によって魔術が発動し、傷が塞がっていく。
(この思い出の島に、血を流させたりしない……!)
 フーガの中で蘇るのは妻との思い出。ビーチや豪華客船、竜宮城といった楽しい日々。
 それがバグホールと星界獣たちによって壊されることなど、許せるはずもないのだ。
 そんな想いが情熱的な演奏となって、仲間の傷を癒やしていく力となる。
「いい調子だ。半魚人はここで蹴散らすことにしようか」
 マニエラがそう呟きつつ『やわらかい思い出』を発動。周囲の世界をスローに変えると、扇をバッを開いて術を発動させた。
 『オーラクラッシュ・オーバーレイ』、『メイデンハート』、『デスティーノ・コイントス』をそれぞれ発動させ急激に自らを強化すると、『戦舞・神域法廷』を発動。
 雷雲が生み出されたかと思うと、咄嗟に離れたボディと貴道のいた場所に強烈な雷撃を次々と落とした。
 それは勿論半魚人たちに命中し、彼らを丸焦げにしていくのだった。


 半魚人たちを片付けた貴道は、向けられる殺気に気付いて振り返る。
 そして、素早くその場から飛び退いた。
 今までいた地面を光線による熱が走り、砂地を焼いていく。
 飛行鮫はそのまま低空飛行になって島内部を目指し飛び始める……が、貴道がそれを許すはずがない。
「待ちやがれ!」
 ボクサーとしての強烈な機動力をもって飛行鮫に追いつくと、自らの拳を振りかぶる。
 振り切れないと察した飛行鮫が振り返り牙を剥くが、その鼻先に貴道の拳が思い切りめり込んだ。
 鮫の感覚器官は鼻先に集中しておりそこを殴られると弱いという話はあるが、星界獣とて同じだったのだろうか。ギャッという声をあげて飛行鮫がのけぞる。
「チャンス、ですね」
 一気に距離を詰めるボディ。
 そして拳を握り込んで飛行鮫の顔面へとめり込ませる。
 至近距離で飛行鮫がビームを放ってくるが、それをボディは腕を交差させることで防御。予め張っていた結界が飛行鮫の光線を遮って拡散させる。
「無駄です」
 ここで一手使い切ってしまったのが飛行鮫にとっての運の尽きである。
 ボディと貴道。二人のパンチラッシュが飛行鮫をボコボコに殴りつけ、地面に沈めたのだった。
「……しかし何故鮫が飛んでるのでしょう」
「さあな。海だけじゃ飽き足らなかったんだろう」

「練達を蔑める、それ即ち私には許されない邪悪であると心得よ」
 一方でマニエラは別の飛行鮫と戦っていた。
 扇を畳み『獄門・禍凶爪』を次々と撃ちだして飛行鮫を射撃。
 攻撃を避けようと空を飛ぶ飛行鮫だがマニエラの必中攻撃から逃れることができない。
 ならばとマニエラに光線を放ってくるのだが、マニエラはそれを扇を広げただけで防御した。
 というより、広げたことによって展開した魔術障壁が光線を屈折させたのである。
「いくら星界獣だとしても、存在が許されないということだ。
 そんな胡乱な存在はフィクション内で終わってくれたまえ」
 距離をとろうとする飛行鮫に『パラダイスロスト』を発動。激しいBSに晒された飛行鮫は思わず墜落し、砂地をすべる。
 そこへ追撃をかけたのはエーレンだった。
 風花からあえて飛び降りたエーレンは刀を飛行鮫へと突き立ててその鱗を貫く。
 暴れた飛行鮫は地面を這うように進むと、エーレンめがけ光線を放ってくる。
 それに対してエーレンは刀を振り抜くことで、光線を切り裂いてみせた。
 そこでエーレンは『光芒パルティーレ』を発動。
「――鳴神抜刀流・太刀之事始『一閃』」
 光線を切裂きながら突進するエーレン。
 その刀はついに飛行鮫へと届き、その顔面を切り裂いて尾びれまでを割いていく。
 上下真っ二つにされた飛行鮫はそのまま地面にくずれ、動かなくなったのだった。

 雲雀は空を見上げ、アルヴァの引きつけている飛行鮫に注目した。
「こんなに空を悠々と飛ぶんだもの、地上にいる奴には目もくれないだろう。
 それを思う存分利用してあげようじゃないか。魚を捌く時は腹に切り込みを入れるしね?」
 ビッと空中に血で印を描くと新たな呪術を発動。
 『恒常性グランギニョル』が飛行鮫へと飛んで行き、直撃をうけた飛行鮫は光線を放つ能力を喪失した。というより、エネルギー切れを起こしたという方が正解だろう。
 仕方なしにアルヴァへと噛みつこうとした飛行鮫だが、アルヴァの華麗なターンによってまたも空振り。
 雲雀はそんな飛行鮫の腹に連発して呪術を叩き込んでいく。
「そろそろトドメといくか」
 アルヴァはギュンとボードでスピンをかけると飛行鮫の側面へと回り込み、ライフルを直接押し当てた。
 零距離から放つ銃撃が飛行鮫の堅い鱗を破壊し穿つ。
 それを何発も、何発も、飛行鮫が飛行能力を失って尚打ち続けた。
 どざりと砂浜に頭から墜落する飛行鮫。
 それを見下ろし、アルヴァはふうとため息をつくのだった。

 一方で、自由になった飛行鮫が町へと侵攻。そのビームをショッピングモールの建物めがけて放とう――とし、間に愛奈が割り込んだ。
「ここは……シレンツィオは、私にとって大切な場所なんです。
 今を生きるヒト。過去の祈り。竜宮とダガヌチの巫女――。
 私は巫女に「大丈夫だ」と誓ったのです。
 世界の終わりがなんですか。星界獣がなんですか。滅びのアークがなんだって言うのですか――!」
 光線が身体を焼くが、知ったことではない。愛奈は痛みを振り切って、叫んだ。
「私はこの世界に生きる、この世界の住人です。諦めてたまるか。
 絶対に、この街を、守ってみせる――!」
 飛行鮫へと突っ込む愛奈。それを保護するようにフーガもまた演奏に力を込めた。
 愛奈の傷が塞がっていき、愛奈の槍が飛行鮫へと突き刺さる。
 フーガの演奏は情熱を増し、治癒力を高めていく。
 愛奈の銃は飛行鮫の顔面へと押し当てられ、連続でトリガーがひかれた。
 強烈な時間が過ぎ去り、そして……地面に落ちたのは飛行鮫の方だった。
 はあはあと肩で息をする愛奈。そんな彼女の勝利を祝福するかのように、フーガの演奏はフィニッシュを迎える。


「皆! 無事なのだ!?」
 自動車がとまり、後部座席からキャピテーヌが飛び出してくる。
 そしてビーチ一杯に広がった半魚人と飛行鮫の死体にぎょっとした顔を見せる。
「こ、これを全部やったのだ……? さすがなのだ」
「まあな。ウジャウジャと五月蝿かったぜ」
 と、前髪をあげながらこたえる貴道。
「あんな鮫にいつまでも飛んでいられては迷惑だからな」
 などと答えるのはマニエラだ。
 微妙に論点が違う気がするとアルヴァは思ったが、あえて突っ込みは入れなかった。
 ボディが改めて海岸を振り返り、そして町に被害がないことに安堵する。
「よかった。他の所も大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫なのだ。兵士や無番街のボディガードたちがしっかり仕事をしてくれたのだ」
 キャピテーヌの言葉に、愛奈とフーガが顔を見合わせる。ほっとした様子が、互いの表情からうかがえた。
「しかし、こういう被害がこれからも続くのか……」
 エーレンが呟けば、雲雀が『かもね』と相づちをうつ。
「けど、そのたびに戦うだけ。そうだよね」
 雲雀の言葉に、誰もが頷いた。
 そう、戦うだけだ。この世の終わりが迫ろうとも。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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