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シナリオ詳細

セイリンカイロンと異空の裂け目

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●白髭の魔道士
 ギイ、と酒場の扉が開かれる。鉄帝国にありがちな二重の扉の外は膝まで積もった白い雪だ。
 その中を歩いてきたのだろう。膝までを覆ったブーツをはいた老人が、酒場の中を見回した。
「ここはローレット・イレギュラーズが通う酒場と聞いておる。イレギュラーズはこの中にいるかな?」
 見回した老人はあなたに目をとめ、そしてちょいちょいと手招きをした。
「少し時間はあるか。お主に依頼したいことがあるんじゃ」

 そうして集められた数人が、酒場の個室へと入っていく。
 老人は『好きなものを注文しなさい』と言うと、代金をもつといわんばかりに財布をどんとテーブルに置いて見せた。
「わしはエドリック・サンス。しがない老いぼれじゃよ」
 エドリックと名乗った老人は白い髭に魔法使いめいた帽子。マジックアイテムとおぼしきアクセサリーをいくつもつけたローブ姿の男性だ。
 もしあなたが魔術界隈について詳しければ、あるいは鉄帝に埋没するという無数の古代兵器について詳しければ彼の名を知っているかもしれない。
 『セイリンカイロンのエドリック』。
 その通り名は彼の持つ杖と、その効果に由来している。
 セイリンカイロンという杖は鉄帝で発掘された古代兵器の一つで、厳密には『鍵』であるとされている。
 つまりは扉が存在し、それを閉じる役割を持っているということだ。
 それがどんな扉なのかと言えば、『セイリンカイロンの裂け目』と言われる異空間へのゲートであった。
 そこまでの内容を、はこばれてきた料理や酒をつまむイレギュラーズたちに説明しきったところで、エドリックは本題に入ったのだった。
「『セイリンカイロンの裂け目』が暴走を始めておる。異空間からモンスターがあふれ出ている状態じゃ。近隣の住民は既に避難を終えておるが、このまま放置すればより強大なモンスターの跋扈を許しかねん。
 お主等の力を借りて、『セイリンカイロンの裂け目』を閉じようと考えておる。つまりお主等に依頼するのは、わしの護衛じゃな」
 白い髭をなでながら、エドリックはそう述べた。

●セイリンカイロンの裂け目
 ここで肝心となるのは『セイリンカイロンの裂け目』から漏れ出てくると言うモンスターだ。
「裂け目から現れるモンスターは主に『アビスライズ』と呼ばれておる」
 もしモンスター知識に詳しければ知っているだろう。
 アビスライズは異空間から現れる邪悪なる魔法生物の一種であり、人間に対して非常に敵対的だ。
 姿は闇色の渦巻きめいた形で現れ、渦巻きは漆黒の魔術体に包まれている。漆黒の球は翼を林、それによって空を飛ぶことを可能としている。
 この漆黒の球には紫色の目がついており、冷徹な眼差しは魔術の光線や刃を放つと言われている。
 そこまでの説明を終えると、エドリックは作戦について説明した。
「わしは裂け目に向けて閉門の魔術を行使する。その間、わしを攻撃するであろうアビスライズたちを撃退してほしいんじゃ。わし自身をまもる役目も必要じゃな。
 わしは魔術には心得があるゆえ、多少は頑丈なつもりじゃが、お主等ほどではない。お主等を頼りにさせて貰うことにしよう」
 そこまで説明したエドリックは微笑みを浮かべ、杖に手をかける。
「飯を食い終えたら出発じゃ。お主等の武勇伝は聞いておるからな。期待させて貰うぞ」

GMコメント

●シチュエーション
 暴走した『セイリンカイロンの裂け目』を閉じるべく、魔術師エドリックを守り続けよう!

●フィールド
 雪深い村とそこから少し離れた遺跡になります。
 雪が深いため、脚をとられそうになることもあるでしょう。
 強引にざっくざっく進んじゃうのもありですし、いっそ飛行してしまうのもありです。

●シナリオ前半
 裂け目へ到達するためにはエドリックを守りつつ、『アビスライズ』たちの跋扈する村を抜けなければなりません。
 ここではアビスライズの集団との戦闘が頻発するでしょう。範囲攻撃の準備があると便利です。
 また、アビスライズは飛行するためこちらも飛行手段を持っていたりするとちょっと便利です。

●シナリオ後半
 『セイリンカイロンの裂け目』の遺跡へ到達したら早速閉門するための魔術をエドリックに行使してもらいます。
 魔術は完全にエドリック任せになる上、エドリックはその間無防備になります。
 アビスライズの集中攻撃を受けないように彼を守ってください。
 また、裂け目周辺にはより強力な『アビスヴォイド』と呼ばれる魔法生命体が出現するとみられています。
 これはアビスライズの強化版で、丁度アビスライズを巨大化させ目を沢山増やしたような見た目をしています。
 空間を歪ませる魔術や膨大なエネルギーによる闇色の光線などを放つことができ、その威力は抜群です。エドリックがこれに倒されないようにするのが重要となるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●余談
 ちなみに相談中の飲食はエドリックの奢りとなっております。
 好きなメニューを注文してパクパクしてください。

  • セイリンカイロンと異空の裂け目完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月15日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

赤坂 忍(p3p002493)
女子力の高い勇者
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ


「たくさんたくさん食べて、いっぱいいっぱいがんばるのですよ!」
 ナイフとフォークを手に、ぺろりと己の唇を舐める『おいしいを一緒に』ニル(p3p009185)。
 ニルの隣には大量の皿が積み重なり、無残にもそのすべては空っぽだ。更に言うなら、両隣にそんな皿タワーがいくつもそびえ立っている。
「う〜む♪ 大人数での飯は最高に上手いのう!」
 同じくお箸を手に語る『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)。彼女の両脇にもどんぶりのタワーがいくつも建設され、その様子は異様の一言である。
 実際、それを目の当たりにしている依頼人のエドリックも口を半開きにしていた。
 この料理の支払いを彼が約束してしまったのだから、こんなリアクションをとるのも当然だろう。
「これが最後の食事にならんよう! きっちりお主の事は守らせて貰うな!」
「縁起でも無いことを言うでない!」
 懐に手を当て持ち金の心配をし始めたエドリックが慌てて叫ぶと、『まあまあ』と『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)が笑った。
 こちらは落ち着いたもので、苺パフェの入っていたらしいグラスが一つ空になっておいてあるだけだ。
「実際、守ることに関しては信用してもらって構わないぜ。誰一人欠けることなく、な」
 ローレット・イレギュラーズたちは忘れがちだが、普段の冒険にだって本来ならば死はつきものなのだ。命を賭けて冒険をすることになるのだから、エドリックもまたこうして財布への大打撃を受け入れているのである。
 『血風旋華』ラムダ・アイリス(p3p008609)がフッとシニカルに笑う。
「何、財布に大打撃を与えただろうし……食費分ぐらいはサービスでボクも気を利かせて働いて見せるさ」
「依頼料も払うから、其方の分も頼むぞ?」
「分かってる」
 そしてこちらも地味に忘れがちなことだが、ローレット・イレギュラーズは依頼を受ける度に結構な額の依頼料を貰っている。それは年々高額化していき、最近ではなかなかの額に達しているという。
 エドリックも(ここまで食べるとは想像していなかったようだが)飯代を奢る程度誤差の範囲と見たのだろう。
 一方『女子力の高い勇者』赤坂 忍(p3p002493)は烏龍茶とカツ丼を注文し、ついでに運ばれてきた何倍ものカツ丼をニャンタルの方へとパスする。
「さっき僕が頼んだのは一杯だけだぞ。
 さっきあそこの少女が頼んでいたのを僕が喰うと勘違いしたのか?
 確かに僕は170cmくらいあるがそんなに喰わないぞ」
 あと折角だしとサンドイッチをテイクアウトに注文する。
 エドリックが『まだ食べるのか』とニャンタルの方を見ていた。

 といった様子を、じっと黙って見つめていた『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)。
 その隣で、『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)はエドリックへと紅茶片手に問いかけていた。
「興味深い現象ですね。アビスライズと言いましたか……」
「う、うむ。異空間に繋がっているゲートじゃよ。珍しいかね?」
「異空間自体はそれほどですが……最近は異世界や仮想世界に行くこともありますので」
 紅茶を一口。そして、カップを置いて話しを続ける。
「報酬のついでに、開閉の魔術とやらをご教授頂いても?」
「かまわんよ。といっても、開閉の魔術はただの暗号のようなもの。『セイリンカイロンの裂け目』を開閉することにしか使えん魔法じゃ。応用が利くとはちとおもえんのう」
「応用っていうと……」
 『昴星』アルム・カンフローレル(p3p007874)が小さく手を上げる。
「いま世界中で開いてるっていうバグホールとかには使えないってことかな」
「残念ながらお手上げじゃ。わしもどうにかできるなら今すぐにでもしたいところなんじゃがな」
「そっか。それならしかたないね……あ、このお酒美味しいねえ。エドリックさんもほら、少しくらいは飲んだほうが体も温まるよ!」
 すぐに話題を転換してお酒を勧めるアルム。エドリックは快くそれを受け取って一杯だけ飲むと、ニャンタルの『ごちそうさま』を聞いて素早く立ち上がった。
「では、早速行くとしようか」
 これ以上注文されてはたまらないという顔を察して、アルムや仲間たちも苦笑しつつ席を立つのだった。


 アビスライズたちの跋扈する村へと向かうニャンタルたち。
 各々が飛行の魔法や道具、あるいはスノーモービルを有しているために雪道で苦労することはないようだ。
 ニャンタルはエドリックを抱えて村の端までやってきていた。
「運賃は飴ちゃん5個でいいぞ♪ ムフフ」
「案外安いのう。とはいえここからは危険地帯じゃ。儂を放してよいぞ」
「移動は大丈夫かのう?」
「飛行の魔法程度ならば心得ておる。護衛を頼んでおきながら文字通りの足手まといにはならんから、安心してよいぞ」
 白い髭をなでながらそう言うエドリック。ならばとパッと手を離すと、エドリックは有言実行して飛行の魔法を唱えた。
「では、まずは私が先行しましょう」
 避難の済んだ村は雪に埋もれており、そこをオリーブは『ヴァイスヴォルフ』で駆け抜ける。
 巧みにスノーモービルを操縦しつつ『鋼覇の構え』をとると掃射撃。つまりはクロスボウによる射撃を開始した。
 建物の影から次々と潜んでいたアビスライズたちが姿を見せ始めたのである。
 道の真ん中へ堂々と飛び出すアビスライズにクロスボウを撃ち込むオリーブ。
 反撃に撃ち込まれた魔術の光を回避し、ハンドルを切る。
 外した魔術弾が雪にぶつかり激しく雪を散らした。
「それじゃあ派手に征くとしようか……お仕事の時間だ」
 そこを、可変式魔導装甲『黄龍』を装着した状態で巡航形態へ変形させたアイリスが低空飛行を開始。魔導機刀『八葉蓮華』に手をかける。
 距離をあけて攻撃の準備にかかるアビスライズたち――に、剣禅一如「千紫万紅」。遠距離に向けた『斬撃』を放ちうっかり密集してしまっていたアビスライズたちをジグザグに切り裂くアイリス。
 そこから急加速をかけ突っ込むと、連続斬撃によってアビスライズたちを次々に切り裂いていった。
「おーう……聞いてはいたけどだいぶ溢れ出てるじゃないの此れ。さっさと抜けて裂け目を閉じないとジリ貧?」
「おそらくはな! なので、ここはさっさと抜けてしまうほうがいいじゃろう!」
 同じく低空飛行をしながら声をかけてくるエドリック。
 それを守るようにアルム、ニャンタルたちが密集していき、そこに忍も加わった。
 『スイッチマニューバ』を発動させると、剣を手に敵陣へと突っ込む忍。
「こういう場合は範囲攻撃が必要、だな」
 魔法による飛行をかけながら回転斬りを繰り出す忍。
 アビスライズが反撃にと魔力の刃を作り出して斬り付けてくるので、忍は手甲でその攻撃をガードした。
 ぎゃりぎゃりという鋼を削る音。凌ぎきれないダメージが忍に集中する……が、それを屋根の上から治癒の魔法を唱えたアルムが回復した。
「よいしょ、っと!」
 ぴょんぴょんと屋根から屋根へ飛び移るように移動するアルム。どうやら所持している飛行石をつかって大ジャンプをかけているらしい。
(敵はまだエドリックさんを狙ってきてはいないみたい。ここはニャンタル君や牡丹君たちを優先して回復していくべきかな)
 そんな風に考えつつ、大きくジャンプするアルム。
「牡丹君、運搬をお願いできるかな!」
「おう、任せとけ!」
 がしりとアルムをキャッチする牡丹。すると遠距離から攻撃を集中させようとしていたアビスライズめがけて突進。『あまたの星、宝冠のごとく』をぶつけて怒りを付与すると、魔法の刃を作り出して突っ込んでくるアビスライズたちを右へ左へと飛行し回避し続けた。
「うわ! 思ったより動きが激しい!」
「わりーな、そこは我慢してくれ!」
 アビスライズの魔力弾による集中砲火。
 それをジグザグの飛行で回避すると、雪道が激しく爆ぜる。
 機動力にものをいわせ急上昇をかけてやれば、アビスライズたちもそれを追って刃で斬りかかってくる。
 纏った炎と片翼を翻し刃の攻撃を弾くと、何発か刺さった攻撃に顔をしかめた。
「牡丹の回避能力でも避けきれないんだ……相手もすごいね」
「ペナルティをさっ引いてもかなり避けられるつもりなんだがな。仕方ねえ、ちっと本気だしていくぜ」
 『アブソリュート・ワン』を発動。アビスライズたちを更に引き離して飛ぶ牡丹。
「ふむふむ。ならば少し受け持つか。数が多すぎるからのう」
 エドリックを守って戦っていたニャンタルが『名乗り口上』を発動させた。
 クロスさせた両手の剣『うちゅうやばい』&『うちゅうすごい』をぎゃりっと鳴らすと謎の爆発が起き、アビスライズたちは思わずニャンタルに注目してしまう。
 その恐ろしい一つ目がぎょろりとニャンタルを睨むと、魔法の刃を作って次々にニャンタルへと斬りかかった。
 それをがしがしと剣で受け止め――。
「ええいまどろっこしい!」
 コマのように回転すると竜巻を起こしてアビスライズたちを巻き込んで吹き飛ばしてしまう。
 そこへ、マリエッタが狙いを付けた。
 『第七の叡智』を発動させて魔力を高めると、作り出した血の刃を大量に増幅。
「そこです」
 集まっていたアビスライズめがけて大量の血のナイフを上空より発射した。
 雨のように降り注ぐナイフに切り裂かれるアビスライズたち。
 一部のアビスライズが正気に戻ってマリエッタに狙いを付けるが、その時には既に次の攻撃が始まっていた。
 回収した血を大鎌の形に変え、飛びかかるアビスライズをスパンと一刀両断してしまったのだ。
「ほうほう。これは心強い。……っと、そろそろゲートのある場所につくぞ」
「見えてるのですよ! 任せてください」
 ニルは予め飛ばしていたファミリアーで『セイリンカイロンの裂け目』を発見しているらしく、エドリックに声をかけてきた。
 一気に蹴散らすからさがっているようにというジェスチャーをしたあと、ニルは『ミラベル・ワンド』に力を込めた。
 コアとワンドがカッと強い魔力の光をもち、放たれた魔法が黒い球系のフィールドを形成する。
 行く手を塞いでいたアビスライズたちがフィールドに吸い込まれ動きを鈍らせたその瞬間をねらって、ニルは思い切り距離を詰めていく。
 放たれる『界呪・四象』。アビスライズが直撃をうけてはじけ飛び、更に距離を詰めたニルがワンドで殴りつけると、込められた魔力が爆発した。
 当然アビスライズはしめやかに爆発四散。
 ついに『セイリンカイロンの裂け目』が見えてきたのだった。


 『セイリンカイロンの裂け目』はその口を開き、中から今もアビスライズやアビスヴォイドを吐き出し続けている。
「閉門の魔術を始める。頼むぞ!」
 ザンッと着地したエドリックが鍵となるセイリンカイロンの杖を掲げ魔法詠唱を開始した。
 それは呪文というよりまさに暗号。覚えるのが恐ろしく難しい、一見ランダムにも思える言葉の羅列だ。
 が、エドリックはそれをよどみなく詠唱し続けている。
 それを察知したのだろう。周囲のアビスライズやアビスヴォイドたちがエドリックめがけ集中砲火をしかけた。
「危ない!」
 そこに割り込んだのはアルムだった。
 魔術弾の集中砲火を浴びたアルムは一瞬にしてボロボロになったが、すぐに自らに治癒の魔法をかけて回復。
 更なる連打を仕掛けてくるアビスライズたちに対抗してこちらも高威力の治癒魔法を連射する。
「アビスヴォイドよ、お主の相手は我じゃ!」
 エドリックからもらった飴ちゃんをガリッと囓るとニャンタルはアビスヴォイドとその周辺に散ったアビスライズたちに戦いを挑んだ。
 それに応じて魔法の刃を展開するアビスヴォイド。
 無数の刃が一度に展開され、それがニャンタルの身体を切り裂いて行く。
 が、それでもニャンタルは止まらずアビスヴォイドを切り裂いて通り過ぎた。
 背後で起こる謎の大爆発。
 そこへ忍が飛び込み、手にした剣で思い切り斬りかかった。
 押し込まれるように地上へと落ちてくるアビスヴォイド。
「来ましたね。味方の尽力があって生まれた好機です。出し惜しみはしません」
 それまでクロスボウで射撃支援を行っていたオリーブは落ちてきたアビスヴォイドめがけて突進。強烈な斬撃を繰り出し、アビスヴォイドを真っ二つに切り裂いてしまった。
 『コードレッド・オーバーゾーン』。消費の激しい技だが、オリーブの出せる大際火力である。
 そんな折、裂け目からあらたなアビスヴォイドが出現。
「こっちは任せて貰おうかな」
 アイリスがこきりと首をならすと、刀に手を駆けて突っ込んだ。
 ――剣禅一如『落椿』。
 無念無想、無我の境地に至りし刃より繰り出される極技が一つ。
 ぎらりと殺意を向けてきたアビスヴォイドよりも早く繰り出された剣はその目を切裂き魔力を噴出させる。血のように噴出する魔力がそれぞれ刃となってアイリスを襲うが、アイリスはそれをギリギリのところで回避した。
 が、最後の一撃を剣で受け止める。
 次の一撃。つまりはニルに隙を作るためである。
「えい!」
 はるか上空から急降下突撃を仕掛けたニル。その手にしたワンドには爆発的な魔力が宿り、叩きつけたアビスヴォイドのボディが魔力爆発によってえぐられる。
 ならばとアビスヴォイドはぎょろぎょろと周りを観察し、セイリンカイロンの杖を掲げたエドリックに注目した。
「まずいです。離れてください!」
 攻撃を予感したニルが叫ぶが、エドリックは離れない。それこそが自らの役目と信じているように。……同時に、自らを守る役目の牡丹たちを信じてくれたから。
 アビスヴォイドから極太の魔力光線が発射される。
 牡丹はそれを見越していたかのようにエドリックとの間に豪速で割り込むと、片翼と炎を限界まで燃え上がらせてビームを身体で受け止めた。
「お……らぁ!」
 そして、天空にむけて弾き飛ばす。
 牡丹の体力はそれによってかなり削られたが、流石と言うべきか倒れてはいない。
「トドメは任せた」
「ええ……」
 任されましたとばかりに血の翼を広げて飛び出すマリエッタ。
 形成した血の大鎌を振りかざせば、アビスヴォイドも対抗して魔力の刃を作り出す。
 斬撃は、同時。そして交差する。
 回転しながらアビスヴォイドの横を通り過ぎたマリエッタが血の大鎌をただの血へと戻すと、後ろでアビスヴォイドが振り返り……そして、ずるりとそのボディが斜めにズレた。地面に墜落したアビスヴォイドは真っ二つに切り裂かれていたいたのだった。
「よくやった。これで終了じゃ!」
 エドリックが叫ぶと同時、『セイリンカイロンの裂け目』はバクンとその口を閉じた。
 アビスライズたちももう、ここから漏れ出てくることはないだろう。
 ふうと息をついたエドリックはその場に杖をつき、背を丸めるのだった。

「これで、暫くの間は安心じゃ。しかしなぜセイリンカイロンの裂け目が開いたのかは分からぬ。異空間へと入り込んで大元を断てれば良いのじゃが……わしもそこまで危険を冒させようとは思っておらぬ。もしそれでも興味があったら声をかけてくれ」
 裂け目を閉じたエドリックは最後にそう言い残すと、残党狩りを始めるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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