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シナリオ詳細

<悠久残夢>「おしまい」は芸術的に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ドンッ、と爆発音が鳴り響く。同時に抉れる大地と、壊れた何かが飛ぶ。
「やっぱ、終わりはド派手にいきたいよナァ!」
 キシシシ、と笑う声。そんな笑い声を発する彼の足元に散らばるのは、魔術師たちが破棄したはずのドールの成り損ないだったものだ。
 戦闘をすることもなく、知識があるわけでもなく、ただ魔法によって動作するだけの失敗作。それが動きもしなくなると、そっと墓場に破棄される。
「いやー、爽快爽快! 壊して良いものがネ、ここまであるなら、遠慮なくやっちゃっても良いと思うんだよネ」
 ぐねぐねと、スライムのような終焉獣が身体を求めて破棄されたドールたちに寄生する。寄生されたそれらは、おぼつかない足取りで男の前に並んだ。
「はーい、配給はじめまース! これは超火力のヤーツ! これは投げるヤーツ! これは……ンン?」
 男の視界にチラッと何か動くものが映る。それと一瞬、目が合った気がした。
「えー、何々アレ。……あ、もしかして、もう城の方に向かわれてる感ジ? はぇ~、それは困るナァ……」
 すると、一体の寄生されたドールが手投げ爆弾を投げた。それは綺麗な弧を描き、先ほど動いていた何かが隠れていた破棄されたドールの山を吹っ飛ばした。しかし、逃げ足が早かったのか、隠れるのが上手かったのか、動いていた何かは見当たらなかった。
「残念……まぁ、他に来た奴らを向かい討てばいッカ! このオレ、バルディエ! 芸術的に終わらせてやるもんネ!」
 人型の男――の、姿を模った終焉獣・バルディエは、墓場の中心で楽し気に笑っていた。


「た、助けてくださーい! です!」
 サハイェル城へと向かおうとゼロ・グレイグヤードを通り抜けるイレギュラーズたちの元に、少年特有の高い声が耳に届いた。声の方へと振り返れば、彼らの元に『蒼の記録装置』サフィロス・クレイン(p3n000278)が姿を現した。
 イレギュラーズと行動しているとはいえ、彼は一般人だ。何故、こんなところにいるのだろう。そんな疑問を口に出す前に、サフィロスは答えを出した。
「あの、えっと……博士とはぐれた先で迷子になりました、です」
 そうだったのか。とはいえ、今は彼を混沌世界に帰す時間はない。その旨を掻い摘んで説明すれば、「そちらは後回しで大丈夫、です」と冷静に返されてしまった。
「だとしたら、何を助けて欲しいの?」
「あの、ですね。迷子になって、うろうろしていたら、僕に似ている? けれど、もう動かないお人形さんたちが沢山いて……それをスライムのような何かが寄生ていました、です。それで、その寄生されたお人形さんたちを従えている男の人がいた、です!」
「似ている、って」
 サフィロスの緩んだ右目の包帯から、ちらりと宝石の煌めきが見える。彼は秘宝種なのだろう。ということは、彼に似ている人形というのはゼロ・クールのことだ。このゼロ・グレイグヤードという場所からして、破棄されて動かなくなったドールたちに寄生している終焉獣がいるのだろう。しかし、それらを従えている人がいるとは……そういえば、終焉獣の中にも指揮官級の個体がいるらしい。それなのかもしれない。
「男の人の名前はバルディエ、です。どこからか爆弾を取り出して、寄生されたお人形さんに渡して爆発させてました、です。……多分、お人形さんはもう死んでいるとは思う、です。でもでも、あんな風に爆発させてばらばらにされるのは……嫌、です。お人形さんも、ゆっくり眠れないと思う、です。だから、その……急ぎでなければ、助けて欲しい、です!」
 確かに胸糞悪い話だ。それに、ここはサハイェル城へ向かう道中でもある。他のイレギュラーズたちに、余計な消耗をさせたくはない。そもそも、終焉獣をこのまま放置しておけば、何をしでかすか分からない。ここでさっさと片づければ、城の攻略も間に合うだろう。
 イレギュラーズたちは「分かった」とサフィロスに答えると、彼はぱぁっと目を輝かせて言った。
「バルディエと寄生されたお人形さんたちはあっち、です! 案内したら、僕はすぐに逃げます、です。あとは、お願いします、です!」

GMコメント

●目的
『寄生終焉獣』の撃破
『クルエラ(指揮官級終焉獣)・バルディエ』の撃破or撤退

●地形
 ところどころ、魔法使いから破棄されたドールの山が無造作に置いてあります。
 人一人分くらいの身を隠すことができますが、ドールが積まれているだけなので耐久性といったものはないでしょう。
 所々爆発で地面が抉れていますが、身を隠せるほどのものではありません。

●敵など
『寄生終焉獣』×?
 単体ではスライムのような姿をしています。戦闘開始時点では、既に破棄されたドールに寄生しています。
 破棄されたドール単体は戦闘能力がありません。各自爆弾を持っており、手榴弾のように投げてくる個体、地雷のようにこっそり仕掛ける個体、高い火力の爆弾を持って自爆特攻する個体など様々です。
 爆発を受けると、「火炎」「乱れ」「足止」のいずれかが付与される可能性があります。

『クルエラ(指揮官級終焉獣)・バルディエ』
 人間の男性を模った終焉獣です。爆弾魔。
 どこからともなく爆弾を取り出しています。魔法的なもので作り出しているようです。
 積極的には近づいて来ません。近づかれて攻撃される場合は、その辺の破棄されたドールを操り盾にすることがあります。
 爆発を受けると、「火炎」「乱れ」「足止」のいずれかが付与される可能性があります。

『破棄されたドール』
 魔法使いたちが作ったドールの失敗作。
 しばらくは動いていた形跡がありますが、今はもう動きません。いわゆる死んだ状態です。
 安らかに眠らせてあげてください。

『『蒼の記録装置』サフィロス・クレイン』
 迷子の一般人。
 イレギュラーズを現場まで案内した後は、こっそり戦闘離脱しますのでお気になさらず。

●サハイェル城攻略度
 フィールドが『サハイェル城』のシナリオにおいては城内の攻略度が全体成功度に寄与します。
 シナリオが『成功』時にこの攻略度が上昇し、全体勝利となり、プーレルジールにおける『滅びのアーク』が減少します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 以上です。どうぞ宜しくお願いします!

  • <悠久残夢>「おしまい」は芸術的に完了
  • GM名萩野千鳥
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年12月04日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ


 積みあがった破棄ドールに隠れながら、『蒼の記録装置』サフィロス・クレイン(p3n000278)の後を追うイレギュラーズたち。「あそこ、です!」とサフィロスが指さした先に、何かを持っている破棄されたドールたちがぎこちなく動いている。その奥にいるのは、一人の男――バルディエだ。
「うーン? なんか気配がするナー?」
 まだこちらの位置はバレてはいないようだが、ゼロ・グレイグヤードに足を踏み入れたのは気づいているようだ。バルディエはきょろきょろと周りを見回している。彼に気づかれる前に、サフィロスがこっそりとゼロ・グレイグヤードから離れるのを見届けると、苦々しい表情を浮かべながら『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)呟いた。
「あいつが例の爆弾やろうか。はっ、趣味の悪いこって」
「本当に。芸術は派手に爆発だ、ってか? 確かにそれも一つの解だが、今回は違うな」
 同じく『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)も小声で話す。「全くだな」と、二人の言葉に同意するように頷くのは、『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)だ。
「そもそも、他人の作品であるゼロ・クールでやるとか……はっ! ちゃんちゃらおかしいな! 所詮は終焉獣、感性も終わってるぜ。職人としてあいつを花火にしてやらないとな」
「同感だね。あの子たちも、役目を終えて眠っていたところを起こされて爆破されるなんて……一刻も早く、またゆっくり休めるようにしてあげなくちゃ」
「まぁ、どのみち僕らの前に立ちはだかる敵だと言うのは変わらないし――恨むなら己の運の悪さと浅慮さにして貰いたいね!」
 そう言うと、『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)と『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)は相手の位置や動向を確認する。その間に、錬は翼の生えた式神を作り出し、上空へと放った。しかし、流石のバルディエも式神には気づいたらしい。
「おっトォ? 邪魔者の登場カ~? 空、飛んでても無駄だヨ!」
 バルディエは手をかざすと、彼の周りにいたドールの一部が手に持っていた手投げ爆弾を式神に向けて投げる。錬の式神は、緩やかな弧を描いて投げられた一つ目の爆弾をひらりとかわす。しかし、全てを避けられたわけではない。二つ目、三つ目と投げられる爆弾を避けきれずに爆風に巻き込まれる。とはいえ、錬の式神もただやられるだけではない。ぎりぎりのところで錬に地雷が埋められている場所を伝えたのだ。
「っ、すまないな。けど、おおよその場所は分かった」
「私たちの方の情報と合わせれば、ほぼ確実だろうね」
「上空からなら地雷は問題ないのです。けれど、助かります……!」
「ああ、巻き込まなくて済むからな」
 錬とオニキス、カインの三人が地雷が埋まっているであろう場所を共有する。その情報を聞いた『volley』Lily Aileen Lane(p3p002187)と『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)が上空を飛ぶ。同じく牡丹が片翼で不規則にふらふらと飛びあがる。
「まずはオレがまとめて吹っ飛ばしてやるよ!」
「ハッ! ふらふらしてるの、まずはお前からダ!」
 不規則な飛行が、バルディエには不安定なように見えたのだろう。手投げ用の爆弾を作り出し、ドールにほいほい、と投げるように渡す。バルディエはそのまま後ろに下がって行く。
「バルディエは後ろに下がったか……だが、まずは爆弾を持ったドールや地雷をなんとかしないとな」
「ああ、サポート頼む!」
 『狂言回し』回言 世界(p3p007315)は、仲間たちの情報と自身で得た情報を精査した上でドールたちが容赦なく投げてくる爆弾の軌道を読み、地雷や爆発に巻き込まれないような位置を知らせる。それを元に、牡丹が誘導するようにふらふらと飛ぶ。
「ほらほら、こっちだ!」
 牡丹が変則的な動きと、炎の幻惑で不意を突きながらちょっかいをかけるように攻撃する。その行動が、ドールたちの視線を集めた。
「爆発で心も身体も震わせて有終の美を飾る……なんて場所じゃないんでね」
 牡丹が視線を集めている隙に、カインがドールたちの足元を狙いつつ、激しく瞬く神聖な光で地雷を爆破処理していく。同時に、飛んでくる爆弾は錬が陰陽鏡を使い一つずつ確実に狙い処理、オニキスが迫撃砲から攪乱弾を撃ち近づくドールたちを吹き飛ばす。オニキスの放った弾丸のうち、いくつかは爆弾に当たったのかドールを爆破していく。
「流石に数が多いな」
「けれど、そろそろLilyの準備が整うはず……」
 ちらり、と背後にいるLilyの姿を確認すれば、彼女は小さくうなづいた。どうやら、準備完了したらしい。牡丹とカイン、オニキスは一旦横に逸れる。
「一気に片づけるのです……!」
 棺型の弾薬コンテナボックス。それにガトリング砲やミサイルランチャーを備えたそれで、弾丸の雨をドールたちにお見舞いする。避ける隙もない。仲間たちは既に退いていたおかげで、ほぼ被弾していない。
 圧倒的な火力に、ドールたちは一体、二体、とその場に崩れ落ちるように動かなくなる。流石に、不利になったと分かったのだろう。スライム状の寄生終焉獣が続々とドールから離れていくが、逃げ場がない弾丸の嵐の中、そのままデロン、と動かなくなる。なんとか、命辛々逃げ出そうとした個体もいたが、それらは一体ずつ丁寧に処理されていく。
 そんな銃撃が続いている中、カイトの目の端にこそこそと動くドールの姿が映りこんだ。Lilyたちの攻撃の範囲外にいたそれらのドールは、手に持った特殊な形をした爆弾――地雷を、こっそりと地面に埋めようとしているようだ。
「それはさせねぇぜ」
 カイトがそう言うと炎と羽根が舞い、竜巻のようになってドールたちを巻き込んでいく。そのまま逃げ道を塞がれたドールたちは、カイトへと地雷を持ったまま突撃しようとするが、低空飛行しているカイトはそれをひらりとかわす。だが、彼を狙っているのは地雷を埋めようとしていたドールだけではない。カイトの背後にいつの間にか回っていたドールが、大きな爆弾を抱えて突撃しようとしていた。
「見逃すつもりはありませんよ」
 イズマがドールとカイトの間に立つ。同時に、ドールが持っていた爆発するがイズマが間に立っていたおかげで、カイトにはほぼ被害はなかった。
「イズマ! 大丈夫か?」
「っ、どうにか、ね。耐えきれたから問題ないよ」
 とはいえ、流石にボロボロのイズマ。そこへ即座に駆け付けた世界が、イズマを治療する。
「全く、無茶をするんじゃない」
「手間をかけさせた……とはいえ、これで粗方、寄生されたドールたちは動かなくなったんじゃないのか?」
 時折、もぞもぞと寄生終焉獣が積みあがっているドールの方へと移動しようとしていたが、カイトはしっかりとトドメを刺す。
 流石に寄生終焉獣がいなくなったのを察知したのか、どこからともなくバルディエがひょっこりと顔を出した。
「ちょっと、ちょっトォ! オレの芸術的終焉を邪魔しないで欲しいんだケド~」
「はっ、爆弾生成の腕は良いが、他人の作品に敬意を持てないに芸術を語る資格はないな!」
「うっさイ! どうせ、失敗してここに放置したやつばっかりなんだかラ、好きに使わせてもらってるだけだってノ!」
「ここにいる子たちは、安らかに眠っているだけなのです……放置ではないのです!」
 錬の言葉を跳ねのけるように言い放った言葉は、Lilyの胸をぎゅっと締め付けるのには十分だった。Lilyは銃口をバルディエに向ける。しかし、動じた様子もなく、バルディエはまだ側に控えていたドールたちに爆弾を抱えさせて、皆の元へと差し向けた。
「そっちが他人の物を利用するってんなら、オレもあんたの爆弾を逆に利用してやるよ」
「ハァ? 一体何を言ッテ――、ッ!?」
 ドンッ、と皆の元へと差し向けたドールたちが、イレギュラーズの元へと辿り着く前に爆破された。驚くバルディエに対し、ニィッと笑みを浮かべたのは牡丹だった。――彼女はバルディエの目を盗んでまだ発動していない地雷を解除すると、それをこっそり改造していたのだ。その改造された爆弾をドールたちに向けて投げ、爆破したのだった。
「さぁ、次はあんたの番だよ」
「ふざけるなヨ! 勝手にオレの爆弾を改造して利用しやがッテ!」
「それはこの子たちを作った魔法使いたちも、そう思っているだろうさ」
 錬は術式を展開すると、五行の力を顕現させて様々な災厄を引き起こす。それらのせいで、身動きが取れずにいたバルディエは舌打ちをすると、爆弾を生成し、投げる。
「爆弾はもう見飽きたよ」
 特大の魔砲が、投げられた爆弾と共にバルディエを貫く。しかし、カインの魔砲でも、そう簡単にはやられない。それどころか、近くにあったドールをぎこちなく操り、一斉に爆弾を投げる。同時に投げられた爆弾を一つずつ空中で爆破させて処理しようとしたが、直撃はしないものの爆風による熱を受ける。
「流石、司令官級の終焉獣だね。一発じゃ仕留めきれない」
「ド派手にいきたいとか抜かしてるみたいだからな。ここはお望み通りにしてやろうじゃないか」
 即座に皆を回復した世界が、バルディエをにらみつける。「そうだな」と頷く面々。
「とはいえ、ほいほい爆弾を投げられたりなんたりされるのは、面倒だな」
「それなら……私が牽制しよう。その間に近づけるかい?」
「ああ、それなら俺に任せて」
 オニキスの提案にイズマが名乗りを上げ、早速行動に移す。オニキスは迫撃砲から重力弾を放ち、錬の災厄に加えて、更にバルディエが逃げないようにその場に留める。
「っ、動けなくたって、どうにかなるシ!」
 バルディエはさらに爆弾を投げる。しかし、バルディエが移動できない間にカイトと錬、世界は飛んでくる爆弾を処理していく。オニキスやLilyも動けない彼に弾幕を張る。
「さぁ、これで終わらせるよ!」
 弾幕を張られている間、爆弾生成もままならず何もできないバルディエ。その隙にイズマが一気に距離を詰める。攻撃されると察したのだろう。バルディエは近くにいたドールを、盾代わりに自分とイズマの間に滑り込ませる。
「その子は傷つけたくないんでね」
 イズマが盾にされたドールを咄嗟に吹き飛ばす。
「しまッ……!」
「自分が気持ち良いだけの手段を、芸術的と言って正当化するなよ」
 イズマの一撃が、バルディエに致命傷を与える。防ぐ余裕がなかった彼は、そのままその身に受けた。
「その最後、鮮やかに見送ってやるよ」
「そうだね。……そんなに花火が好きなら、自分自身でなってみるといいよ」
 世界は精霊爆弾をバルディエにこっそりセットすると、オニキスが超高圧縮魔力を充填し、バルディエに向けて発射する。
「たーまやー! ってな!」
「クソ、クソクソッ! こんな爆発オチは望んでなかったってノ!!」
 ある程度の高さまで打ち上げられると、カイトの羽根と炎がバルディエを包む。その炎が世界の仕掛けた精霊爆弾着火すると、空で大きく爆発したのだった。


 畳みかけるように攻撃したからか、バルディエの姿はゼロ・グレイグヤードから姿を消した。放置されて使われなかった爆弾は、いつの間にか消えていたので、彼自身、流石にあの爆発には耐えきれなかったのだろう。
「これでようやく静かになったな」
「本当に。今度こそ安眠できると良いのですが……」
「だな。……とはいえ、流石に穴掘って埋める時間はなさそうだな」
「破片とかがあったら片付けようとは思っていたけれど、すっかり消えちゃったみたいだね。……うるさくしてごめんね。おやすみ」
 積み上げられたドールたちだけではなく、戦闘の結果ばらばらになってしまったドール、土で更に汚れてしまったドール。イズマの奏でる音に耳を傾け、各々祈りを捧げる。
 もしも時間に余裕があったならば、きちんと埋葬までしたかった。それは、この場にいた皆の総意と言っても過言ではないだろう。
 そんな中、戦闘が終わったのを察したのか、ここまで案内してくれたサフィロスがひょっこりと顔を出した。
「皆さんお疲れ様、です。無事……ですけど、大変だったみたい、です?」
「そうだな。だけど、このまま立ち止まるわけにも行かない」
「牡丹さんの言う通り、です」
「本当はちゃんと埋めてあげたいのです……」
「きっと、このお人形さんたちは怒らない、ですよ。むしろ、利用されていたのを助けてもらって、感謝している、です」
「そうだと良いんだけどね」
 Lilyと錬は苦々しく笑う。
「……さぁ、行こうぜ」
 正直、後ろ髪が引かれる思いではある。しかし、この先にある魔王城――サハイェル城へと向かわなくてはならない。このまま感傷に浸っていても、物事が解決するわけではない。
「世界が滅ぼされちまったら、こいつらもゆっくり眠ることも出来なくなっちまうし、コイツラがいたことすら無くなっちまうからな」
 それだけは避けなければならない。カイトの呼びかけに、皆は重々しい何かを抱えながらもゼロ・グレイグヤードを後にしたのだった。

成否

成功

MVP

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

状態異常

カイト・シャルラハ(p3p000684)[重傷]
風読禽
イズマ・トーティス(p3p009471)[重傷]
青き鋼の音色

あとがき

お疲れ様でした。
バルディエは無事花火として爆散しました。たまや~!
ご参加頂き、ありがとうございました!

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