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シナリオ詳細

<ラケシスの紡ぎ糸>コングと暴力が全てを解決するダンジョン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ベルなんとかさんの悲劇
「ホアアアアアアッ!」
「我こそは全剣王が配下不死鳥のベルもるすぁ!?」
 何か強そうなひとが名乗りを上げようとしたその瞬間、コンバルク・コングの拳が相手を吹っ飛ばした。
 バキャーンという音をたてて何か高そうな椅子がぶっ壊れ、ついでに高そうな彫像がぶっ倒れる。
「ああああああ! 苦労して集めたインテリア雑貨が!」
 不死鳥のベルなんとかさんが悲鳴をあげるも、コングは聞いちゃあいない。なぜならここは『コロッセウム=ドムス・アウレア』。
 その、暴力が全てを解決する階層なのだから。

 ラド・バウA級闘士、コンバルク・コング。
 鎧を着たゴリラ。
 暴力の化身。
 野生の闘士。
 鉄帝でも大人気の彼が今、鉄帝南部に現れたという全剣王の塔へと挑もうとしている。
 というのも……。
「プロモーションさプロモーション。A級闘士といやあ鉄帝のスターだからな。コングが動けばファンも大喜びってわけさ」
 DDと名乗るコングのマネージャーは赤い帽子を被り直すと、すぐそばでハンバーガーを秒間1個ずつ食べるコングを小突いた。
「『コロッセウム=ドムス・アウレア』は今や注目の的だからな。相乗効果でウハウハってわけさ。けどなあ……」
「闘技場以外、興味、ナイ!」
 食べる手を一度だけ止め、コングは断然と言い張った。
 この最強ゴリラ。強さを追い求めはするがそれは闘技場の中だけのこと。それ以外のことに対してまるで興味がないのだ。
「けど例外がある。イレギュラーズ、あんたさ!」
 ぱちんとDDは手を叩いてみせた。
 だろうとばかりに小突いてみせると、コングはまた食べる手を止めた。
「イレギュラーズ。オ前、面白イ……一緒ニナラ、行ッテモイイ」
「と、いうわけさ。頼むぜイレギュラーズ。こいつは依頼だ。コングと一緒に例の塔の攻略に挑んでくれよ」

●暴力が全てを解決する階層
 全剣王が配下、『不毀の軍勢』がひとり、ベルムテキデ・スゴイデスの特徴は無敵であることだ。
 階層内に張り巡らされた結界の効果によってベルムテキデへ行われる全ての攻撃が無効化されてしまう。
 が、それは階層内に張り巡らされた結界があればこその話。
「こいつは極秘情報なんだが、階層内をメッチャクチャにぶっ壊せば奴の無敵状態も解けるって寸法なのさ」
 そう、その階層は豪華絢爛な美術品が並び、さながら小さな美術館のごとき様相をしているが、その全てが結界の維持に使われているのだという。
「『ぶっ壊す』ことにかけてコングはうってつけの人材だと思わないか? そんなコングと一緒に金持ち風情の階層をぶち壊しまくってやれ。
 当然ベルムテキデも止めにかかるだろうが、そこはA級闘士にまで上り詰めるイレギュラーズと現A級のコングがぶん回せば解決するだろう?」
「オレ、コワス! スベテ、コワス!」
 テンションが上がってきたのだろう。コングは両手をグーにしてドラミングを始めると、胸の鎧をがいんがいんと打ち鳴らした。
 そして、ふと賢者めいた表情を作るとイレギュラーズへと向き直った。
「今や、お前たちはオレと肩を並べて戦える闘士の資質をもっている。その力、見せて貰うぞ」

GMコメント

●シチュエーション
 金持ち風情のおうちをぶっ壊しまくろう! コングと一緒にね!

●フィールド
 ベルムテキデ・スゴイデスの守る階層には豪華なおうちが建っています。
 おうちの中で待ち構えているのは全剣王が配下ベルムテキデ・スゴイデス。
 このおうち全体が巨大な結界となっており、彼への攻撃はすべて無効化されてしまいます。
 なので全部ぶっ壊しておうちを瓦礫に変えてやりましょう。

●エネミー
・ベルムテキデ・スゴイデス
 不死鳥のベルムテキデ・スゴイデスさんは不死鳥というだけあって無敵ですが、結界が剥がれると防御の堅いタンク型の戦士になります。
 しかも配下を呼び寄せて自分を守らせるという徹底ぶり。
 コングと共にボッコボコにしてやりましょう。

●味方NPC
・コンバルク・コング
 言わずとしれた鉄帝ラド・バウA級闘士。
 めきめきランクを上げて今や肩を並べて戦うことができるようになったイレギュラーズを心底から好んでいます。
 戦闘方法は近接暴力一択。『ボッ』でおなじみのパンチやローリングアタックなどどの技もド派手です。そして建造物を次々ぶっ壊してくれます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ラケシスの紡ぎ糸>コングと暴力が全てを解決するダンジョン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年11月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
一条 夢心地(p3p008344)
殿
観音打 至東(p3p008495)
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
人間賛歌
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

サポートNPC一覧(1人)

コンバルグ・コング(p3n000122)
野生解放

リプレイ

●破壊の衝動
 『竜拳』郷田 貴道(p3p000401)はキレていた。
「馬鹿が、無敵なんざ何が楽しいってんだ。
 反撃できないヤツを一方的に殴ったって大して良い気分にはなれねえよ。
 対等の立場で完膚なきまでにぶち破ってやるのが楽しいんじゃねえか。
 かーなり人生損してるぜ、お前?」
「な、なんだと!?」
 ベルムテキデ・スゴイデスはびしりと指を突きつける貴道に対して腰を浮かせた。
「第一、実力以外の何処かに頼りを置こうなんて根性はどうなんだ
 戦士……なんだろ、恥ずかしくないかい?
 戦場に出てくんなよ、オフラインのゲームでもやってる方がお似合いだぜ?
 練達に行け練達に、そんで一生アパートにでも引きこもってろ」
 『生きて出られたらな』と拳を固める貴道。
「フ、フン。言っているがいい。この無敵のベルムテキデを打ち倒すことなどできまい」
「圧倒的な暴力の前には中途ハンパな術の守りなんてものは役に立たないって教えてやろうね!」
 大見得を切ったはずなのに、それを思い切りスルーして『黒撃』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)もまた拳を固める。
 『殿』一条 夢心地(p3p008344)がしゃきーんと謎のポーズをとりはじめた。
「そなたたちは居城を焼き討ちされたことはあるかの?
 麿は……ある!それも一度や二度ではない。
 つまりは、この一条夢心地こそが、おうち破壊されスペシャリスト、ということじゃ。
 破壊される側の気持ちが分かるからこそ、より完璧なおうち破壊ができるというものよ。
 うむ、うむ。すべて任せるが良いぞ。なーーーっはっはっは!」
「な、き、貴様等……この家を破壊するつもりか! 卑怯な、家具や美術品に罪はないのだぞ!」
「久々に……というか初めてではないでしょうか。
 知的生命体以外をメインターゲットに据えた暴力活動依頼って。
 ふゝ、この観音打の血がやけにざわめきます!」
 テンションがあがりまくった『悪縁斬り』観音打 至東(p3p008495)はホラ貝を吹き始め、ぶおおーぶおおーと部屋の中に厳めしい音が鳴り響く。
「芸術品を壊すのは忍びないが、結界のためだけに使われる宝物なんて悲しいもんだ。
そもそも破壊なくして創造なし。人は心の中に破壊衝動を持っている。
 デパートのガラス食器売り場で両手を広げて走り回りたい……めっちゃガシャーンしたい。そんな幼心、あるだろう。
 夜バット持って校舎のガラスぶち壊す反逆のメロディーが世界を切り開き変革を起こしてきた……。
 だから何も恥じることはない。胸を張って反逆するっきゃない」
 行くぜ、と『最強のダチ』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)がダイナマイトをどこからともなく取り出した。
「お、おい貴様。それをここで爆発させるつもりじゃあないだろうな!」
「まあいい! 多少もったいないが悪趣味な家具が多い事じゃし解体作業も得意じゃ!
 それにあのコンバルク殿と仕事もあって断然気合が入るワイッ!
 本来のワシは脳筋戦士じゃしのう!」
 話を聞かずに斧をぶんぶんと振る『黒鉄守護』オウェード=ランドマスター(p3p009184)。
 その横でコンバルク・コングがホアアアと叫んだ。
「この家、コワス! この家具、コワス!」
「要するに味方以外は全てぶっ飛ばせ……という事なのだろう?
 分かりやすくて実にいい」
 『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)がビッと親指を立てたなら、『生命に焦がれて』ウォリア(p3p001789)がゆっくりと鎧でドラミングをし始めた。
(この混沌に墜ち…どれ程その名に、その威容に憬れ、少年のように心が震えたか
 そして――今、「憬れ」はこの戦場にいる。
 届くだろうか、己のドラミングは――己もまた、かつて「護理羅」となり……今一度、ゴリラとなる。
 全ては自分の力を出し切り、彼…コングに行動で「見せる」のみだ)
 鎧を叩くドラミングの音が重なる。ウォリアとコングの二つの音だ。
 なんでここだけエモーショナルな演出なんだろうと思いつつ。イグナートは早速近くの壺を握力でバキッと割った。
「ああああああああああああああああ!」
 無敵の筈のベルムテキデが絶叫をあげた。


「こちとら戮神、破壊と暴力はお手の物。元より力押しはオレも得意とする土俵だ」
 ウォリアは両腕をクロスさせタックルの姿勢をとると、デカい彫像に向かって思い切り体当たりをぶちかました。
 ボガッという音をたてて崩壊する彫像。悲鳴をあげるベルムテキデ。
「殴り、蹴り、体当たり、踏み潰し、燃やし尽くす――これこそが蹂躙、原始的な暴力の真髄だ!
 コングをも超える破壊王にオレはなる!
 ――邪魔立てするとあらば貴様も叩き潰す…頂きへの糧となるがいい、不死鳥よ!」
「上等だ貴様言ったなコノヤロ――へぶし!?!」
 掴みかかろうとしたベルムテキデに、ピンボールのごとく跳ね返ってきたウォリアのタックルが炸裂。後方にあった綺麗な壺を粉砕しながら一緒に転がっていく。
「ええい、であえであえ! 侵入者だ。奴らを追い払うのだ!」
 配下を呼び寄せるベルムテキデ……だが、キレた貴道の前では意味を成さない。
「邪魔しても良いが、蹴散らすぜ?
 風穴なんてチャチなことは言わねえ
 道を譲りな、合い挽きミンチども」
 これからなるであろう物体の名で呼ぶ貴道。湧き上がるオーラに配下たちはたじろぎ、その間にも貴道はその強烈なパンチによって並ぶ彫像を片っ端からボコボコと粉砕していった。
「ウォォォオオ! 全部壊す! 全部壊す! 全部壊す!」
 見ると、イグナートがなんか金色の棒状のものを握力でべきぃってへし折っていた。
「あああやめろ! それは我が秘宝――」
「壊す!」
 もう一本べきぃってするイグナート。
 そうこうしていると、コングが自らの身体を丸くしてローリングタックルをぶちかました。
 ベルムテキデを轢いていくのは勿論のこと、部屋の中をピンボールのようにどかんどかんと跳ね回る姿はさながら室内ゴルフ(限定解除版)。
 その後ろをついていく夢心地は、ヒビのはいった壺をそっと持ち上げてから、頭上高くに掲げた。
「災害に遭ったとしても、ひとつふたつみっつよっつは被害を受けぬ品というものは出る。
 また多少のヒビや欠け、損傷であれば修復可能な美術品というものは少なくない。
 麿もお気にの茶器が見事に修繕された時は、泣いて喜んだものじゃ」
 せぇい! と地面に叩きつける。砕ける壺。叫ぶベルムテキデ。
「そうした偶然、万に一つの幸運を許さぬのが、人の手によるおうち破壊の醍醐味になる。
 ちょっと気晴らしにバットで校舎の窓ガラスを割りました、的なぬるい覚悟で臨むことは許されぬ」
 夢心地はこれまでのしょっぱい経験や悔しい思い出を蘇らせ、残った美術品を丁寧にバキボキにしていくのだった。

「オラァ!」
 ヤツェクはダイナマイトを放り投げ、部屋の中で炸裂させた。
「爆発の中にだって美はある! おれ達が取り戻した鉄帝の平和をブチこわすつもりなら――オラァ!」
 もう一発とばかりに放り投げるダイナマイト。
「何ならコングのファンにも魅せてやろう。ラジオを通じてこの情景を熱いBGM付きで実況だ。
 地元のダチコーのラジオ局のお偉いさん。頼んだ。寒くなってきた冬に火薬タルをぶち込むようなファイト、響かせるぞ!」
「いいぜ!」
 どこから入ってきたのかしらないおじさんがアンテナを立てると、ヤツェクは熱い演奏と共に罠用のロープを足で引っ張る。すると駆けつけてきた配下たちが一斉に罠にかかって転倒した。
「事故対策に念には念を…と言った所じゃな。ここから壊せば問題は無い…まあ全部壊すつもりじゃが」
 オウェードがその上を駆け抜けるようにして斧を振り回した。おうちの中で斧なんか振り回したらどうなるか、みんな知ってるよね。
「ガハハ! 久々に脳筋らしくやると快感じゃなッ! 最近は脳筋らしくない事が多かったしのう」
「うおおやめろー!」
 ベルムテキデが掴みかかろうとするが、オウェードは大ぶりの攻撃でもってベルムテキデもろとも吹き飛ばす。
「防御が堅いのはベルムテキデ殿だけじゃないワイ!
 防御は最大の攻撃と言う、だからと言って守るだけじゃ戦いに勝てぬッ!」
 その一方で、昴がスッと拳を振り上げ、ダブルラリアットの姿勢をとった。
「き、貴様まさか」
「粉砕する」
 ブオオンという風の音がする勢いでダブルラリアットを繰り出しながらお部屋の中を暴れ回る昴。
 配下が止めようと掴みかかるも、その配下事吹き飛ばす始末である。
 棚の上に綺麗に並んだガラス製の美術品の群れが、ラリアットによってガーッてカタされていく様など痛快そのものであった。
「私の通った跡には絨毯の切れ端すら残しませんよオラッ。
 彫刻見事な衣紋掛けも! 玉石たっぷり柱時計もだ!」
 至東もテンションが上がっちゃったらしく、刀でばっさばっさと切り裂いていく。
 そんな中で見つけたのが……甲冑。そう甲冑である。
「ば、ばかやめろ! それは我が大切な甲冑で思いでも深く」
「せえい」
 空中兜割がスカーンと決まった。
「ああああああああああ!」
「防具系の内装には目がないものでつい」

●反撃の狼煙だ!
「貴様等よくも……ゆるさん、ゆるさんぞ!」
 ベルムテキデが吠えると同時に、その配下たちが一斉に飛びかかった。
 これまでの破壊行為など見なかったとばかりに真面目な戦闘モードになった彼ら――の顔面を、貴道のパンチがボッと吹き飛ばした。
「邪魔だぜ」
 そこから始まる貴道のラッシュ。
 相手の顔面に、腹に、肩に、胸に、次々と打ち込まれるパンチはその一発ずつが必殺の一撃。配下の兵士は抵抗も出来ずにボッコボコにされたのだった。
「まだだ…まだ足りない!オレにはまだ、野性が足りないッッ!
 今はまだ技を一つ真似るだけで手一杯、更なる真髄、結実に至るにはまだ未熟……!」
 吠えるように兜の下の炎を燃え上がらせるウォリア。彼は闘士を焔のごとく纏い、配下の兵士を思いきりぶん殴った。
「イイ、一撃だ」
 スッと親指を立てるコング。その表情にはどこか賢者の面影があった。
「いずれ、俺を超えるだろう」
「――!?」
「さあ配下のミンナ、こっちだよ!」
 イグナートがパッションも豊かにベルムテキデの配下たちを引き寄せる。
 タックルをかましてきた配下を横っ飛びに交わし、もう一度タックルをと構えたところで壁にかけられた絵画をかたーい縁ごと叩きつける。
「ぐおお!?」
 身体の痛み以上に感じる心の痛み。イグナートは続けとばかりに跳び蹴りを繰り出し配下を蹴飛ばした。
「さあ、どんどんやっちゃっていいよ!」
「サンキュー」
 ヤツェクは再び罠を発動。どういう理屈でいつ仕込んだのかもわからない網の罠が発動し、配下の一人を吊り上げる。
 そこへ繰り出されるのはヤツェクのレーザーカタナ居合い斬り。斬撃が飛び、配下を網ごと切り裂いてそのまま壁の掛け軸へと飛んで行く。
 そこへ襲いかかるのはオウェードである。
 斧をもってぐるぐると回転するかのごとく斬りかかる様は恐怖の一言。
 兵士たちはオウェードの斧の餌食となり、次々に粉砕されていくのだった。その辺の家具と一緒に。
「壁も、柱もだ」
 昴の拳が白くぶっとい柱にドスドスと打ち付けられる。
 それはいいなとばかりに、美術品をひとつひとつ刀でぱっきんぱっきん破壊していた夢心地も柱への攻撃を開始した。
「どれ、一緒にやらんか」
「おやよろしいので?」
 至東も甲冑破壊を切り上げて柱の破壊を開始。
 三人がかりでどかどかと撃ち込む攻撃はついに破壊をボッキリとへし折り、ベルムテキデさんのお家をがらがらと崩壊させ始めた。
「ウ、ウワー!? 家がー!?」
「崩壊するぞー!」
 配下たちが逃げだし、勿論至東たちも逃げ出していく。
 晴れ渡るおひさまのした、豪華だったおうちはぺしゃんこに破壊されたのだった。階層内におひさまや空があること自体は気にしてはいけない。
「き、貴様等……!」
 ベルムテキデが屋根を放り投げ、立ち上がる。
 無敵というだけあって家屋の崩落に巻き込まれても全然平気らしい。
「無敵の力がなくとも、貴様等など物の数ではないわ! かかってくるがいい!」

●ベルムテキデは無敵でした(過去形)
「これがオレのワイルドキングストリームだ!! ウオオオォォーッ!!」
 憧れから繰り出されるウォリアの燃えさかる炎の剣。
 ベルムテキデがそれを受けようとして思い切り吹き飛ばされた。
「な、なんだこの力は! イレギュラーズがここまで強い……!? 聞いていないぞ!」
「忘れたか。イレギュラーズの戦闘力は今やA級レベル。コングと同格の位置にまで上り詰めているのだ」
 ウオオ! と咆哮のごとく叫び更なる斬撃を叩き込むウォリア。
 そこへ追撃を仕掛けるのは斧を持ったオウェードだった。
「破壊力ならワシらが上じゃな! 不死鳥じゃなくて大壁じゃのう」
 無敵の能力を失ったベルムテキデに斧を叩きつけ、派手になぎ払うオウェード。サムズアップするコング。
「良いスイングだ」
「コンバルグ殿も流石じゃ。あとでサインをくれ。メロンと交換しよう」
 追撃は止まらない。ヤツェクは刀を抜いてベルムテキデへと急接近。同じく剣を抜いたベルムテキデと激しい剣のぶつかり合いを幾度も重ね、つばぜり合いへと持ち込む。
「人生最後を最高のショー見ながら迎えられるんだ。最高だろ?」
「何が最高なものか! 我が家が木っ端みじんだぞ!」
「最高だろうが!」
 派手にベルムテキデを蹴り飛ばすヤツェク。
 転がったベルムテキデが起き上がらんとした所へ、夢心地の剣が繰り出された。
「ぬおおお!?」
 シン・東村山の横一文字斬りをギリギリブリッジ姿勢で回避するベルムテキデ。が、次に繰り出された長介の大上段からの一撃がベルムテキデの腹に直撃する。
「おん!?」
 地面にそのまま叩きつけられるベルムテキデ。これで真っ二つにならないあたり不死鳥の名は伊達では無いらしい。
「ほほう、頑丈じゃのう」
「であれば今様の観音打流フルコース! 体験できる機会と人生はそうそうありませんよー♪」
 そこへ襲いかかったのは
 至東の識術【獅子吼内観】。そして樒六本花! 偽・三劫剣! 蹈落紅!
 どれもイマドキ最先端のモテカワ観音打流である。そして最後に放つのは観音打三劫流新理『人為三劫剣』。抜刀の『枯れ芙蓉』、走刀の『桜筏』、納刀の『落ち椿』、これらの三位一体から成る斬撃確定術。
 派手に切り裂かれたベルムテキデは腹を押さえぐぬうと呻いた。
「おのれ、無敵の結界さえあれば貴様らなど――」
「よう、不死鳥?
 不死鳥なのにくたばるってのは、どんな気分なんだい?
 気になるじゃねえか、なかなか興味がそそられるぜ
 あとで感想文くれよ、原稿用紙で3枚分な?
 地獄からの直送便で頼むぜ」
 そこへ容赦なく襲いかかる貴道の激しい拳、ガンマナイフクロス。
 浸透する無数の打撃がベルムテキデの体内でクロスし衝撃が炸裂する。
「もうそろそろトドメだよ!」
 イグナートの突進からの強烈なパンチが、ベルムテキデの顔面に直撃。
 ぐおおといいながら吹き飛んだベルムテキデがなんとか転がって起き上がろうとしたところへ、昴とコングが突っ込んでいった。
「な、なに!?」
「ウホアアアア!!」
 コングの繰り出す強烈なパンチ。そして反対側から繰り出す昴の強烈なパンチ。その二つがベルムテキデをサンドし、逃げ場をなくした衝撃が炸裂する。
「お、おのれ……イレギュラーズ!」
 最後にはベルムテキデは爆発四散し、跡形も残らず消えたのだった。

 塵と灰と瓦礫の山。
 それを見つめながら、コンバルク・コングは足っている。
 その表情はゴリラながら、英智を称えた賢者の如く澄んでいる。
「イレギュラーズ……お前たちは、ラド・バウでも最下級の闘士だった。だがその頃から、世界を救う力を持っていた。今では、A級に届く者も珍しくない。お前たちは、面白い」
 そしてギラリと、瞳を輝かせた。
「いずれ、ラド・バウで戦うことがあるだろう。その時まで……楽しみにしているぞ」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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