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シナリオ詳細

<ラケシスの紡ぎ糸>空舞う咆哮

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<クロトの災禍>空舞う咆哮
「明日、世界が滅亡しますです。
 あ、嘘です。明日じゃないかも知れませんが、近い将来、世界は滅亡するでごぜーます」

 混沌世界に生きるイレギュラーズ達、その皆が耳にした言葉。
 一時からすればそんな事なんて……と笑い飛ばした事だろう。
 でも、しかし……深緑、ラサ、そして覇竜に立て続けに発生している事件は、正しく終焉の時が近づいて来ているような、そんな気さえする。
 故にいつ、どこで、どんな事件が起きるかも油断ならぬ状況へと変化しつつある混沌世界。
「……おや?」
 過日の事件を警戒し、覇竜の地を巡回していた『未来を託す』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)が目を細め見上げた空。
 覇竜領域独特の、険しい山脈地帯の風景にギャゥウウウと咆哮を上げて行き交うのは、『星界獣』と呼ばれし獰猛な獣達。
 それだけならば、まぁ……舞えと同じか、位の今年か思わなかった事だろう。
 だが、そんな星界獣の群れの中には、獣の姿とは違う……何かが居た。
「……そうですか。どうやら『進化』を彼らはしたのでしょうかねぇ……? いや、こうしてはいられませんね」
 ヴィルメイズはそう小さく言葉を零すと直ぐに、フリアノンに向けて急ぐのであった。


「という訳です。いやぁ……正しく世紀末の様相を呈している様ですねぇ……」
 そしてフリアノンにて、イレギュラーズの仲間達と合流したヴィルメイズは肩を竦める。
 何処か他人事のような雰囲気を醸し出しているけれども……続いてヴィルメイズは。
「先日の星界獣に似た姿の輩に加えて、どうも……人と獣が合体したような姿をしている者がおりましてねぇ……? これはこれは一大事かと思い、こうして皆さんへの助力を願いに舞い戻ってきた、という訳であります。正体不明な敵という事で、色々と解らない所もいっぱいではありますが、ここは一つ力を貸して貰えませんかねぇ……?」
 小さく笑みを浮かべるヴィルメイズ。
 先日の戦いも、当然のことながらかなり激しい戦いであったのはまず間違い無い。
 それに加えて、新たなる脅威の影が出て来たとなれば、彼らはこの覇竜の地を蹂躙しようとしているのは先ず間違い無いことであろう。
 そして……そんなヴィルメイズの言葉に手を貸そう、との言葉に。
「ええ、ええ……ありがとうございます。それでは、急ぎましょう……無用な被害が出る前にケリを付けねば鳴りませんからねぇ」
 と頷き、皆を先導するのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 覇竜領域に現れた、今迄にない獣の影……不穏ですね。

 ●成功条件
  覇竜領域を飛び回る『星界竜』の群れを迎撃することです。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  場所はラサ北部、ヘスペリデス近郊にある『デポトワール渓谷』の辺りになります。
  モンスターの死骸が転がっている、死屍累々とした地であり、その死骸をエサにしようと星界竜ではないモンスター達が集結している様な状況です。
  幸いモンスター達はそこまで強敵という訳でもないのですが……でもモンスターと星界竜、更には『人型』の星界獣が三者三様の思惑の元集結し戦闘をする具合となります。
  モンスターが星界獣らに攻撃する事も有れば、星界獣らがモンスターに攻撃する事もあるでしょう。
  ですが、本能的に自分達の妨害をしようとする者を優先的に攻撃してくるのは間違いありません。
  下手に隙を取られない様、ご注意下さい。

 ●討伐目標
 ・餓えた『星界獣』の群れ
   ワイバーンの姿、つまり小柄ではありますが、完全に竜型の獣達です。
   彼らは常に空を鳶、空から具合を伺い攻撃して回る……という形になります。
   また、悲しげな鳴き声は常に響きわたっており、それはバッドステータス的な能力ではないものの、皆様の心境に少なからず影響を与えることでしょう。
   数は多く体力は少し多めです……ただ、それ以上に次の『人型星界獣』の方が協力です。

 ・知能を持ちし『人型星界獣』
   人型ですが翼を持った星界獣です。
   彼らは星界獣とは違い知能を持ち、敵対する相手をしっかりと見定めて攻撃してきます。
   また、バッドステータスの一部を無効化する能力を持っている様です。
   数は数体ですが、意外なる強敵になる様な者達ですので注意が必要でしょう。

 ・飢えたモンスターの群れ
   狼、熊のなりそこないの様な、身体が一部腐り堕ちているモンスター達です。
   完全に知能は無く、戦場に転がるモンスターの死骸を喰らう為だけに行動します。
   勿論それを邪魔しようとしてくる者は『敵』と認識し、攻撃為てくる様です。
   体力は少し少なめですが、モンスターを喰らえば大幅に回復する様です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <ラケシスの紡ぎ糸>空舞う咆哮完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年11月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
狙われた想い
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス

リプレイ

●宙呼ぶ声
 世界滅亡の言霊拡がる混沌世界。
 その言葉を具現化するが如く、各国で度々発生する終焉獣や、星界獣に連なる事件。
「フン……そこら中にモンスターだらけか……まるでハロウィンだな……」
 斜に構えた『人型星界獣?』佐藤・非正規雇用(p3p009377)が腕組みをしながら空を見上げると……空をバサバサと飛び交う星界獣の群れが見て取れる。
 そんな非正規雇用……いや、佐藤に、ニコニコとどこか楽しそうに『狙われた想い』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)が。
「ハロウィン……? ああ、あれっておばけが地中からいっぱい復活してくるイベントだっけ? 確かにモンスターの死骸を啄んでそこから現れてきたら、まさしくハロウィンだね!」
 と、うんうんと頷く。
 だが、そんな星界獣達を倒すのに加えて、モンスター達の死骸が散らばる地は、星界獣だけでなく、それを啄む輩達を呼び寄せる呼び水にもなっている様で……。
「そうですね……大量のモンスターの死骸も転がっていて、匂いが凄いです……長居はしたくありませんが、やらない事には彼らを更に呼び寄せてしまう結果にもなりかねませんしね……」
「そうですねぇ……いやはや、皆様手伝っていただき、本当に感謝感謝でございますよ。母上様も来て頂けるなどとは思っても降りませんでしたしねぇ、ええ」
 ゆらりと頭を下げる『未来を託す』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)に、母たる余裕で微笑む『心よ、友に届いているか』水天宮 妙見子(p3p010644)。
「いえいえ。ヴィルメイズ様が頑張っていらっしゃるのは、母としても嬉しい事です。えぇ……」
 母たる故に、息子の成長に心底から嬉しいのだろう。
 とは言えども……今回の敵はモンスターを啄むものだけには収まらない。
 モンスターを啄む飢えたモンスターに加えて……人型かつ翼を持つ【人型星界獣】たる類いも、その戦場で確認されている訳で。
「あっちこっち、終焉獣だ星界獣だの討伐依頼を受けているが、それぞれが好き勝手に進化しているようだな。まだ半人レベルの様だからいいものの、このまま進化して人への進化だけは辞めといてほしいもんだ。紛れ込まれちゃ先手を打ちづらくなるしな」
 肩を竦める『灼けつく太陽』ラダ・ジグリ(p3p000271)に、『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)は。
「ええ……恐らく生き残っているのは、過酷な生存競争を勝つ為に進化した個体なのでしょう。人と獣が合体したような星界獣……はっ、まさか!?」
 考えた後、はっとした様に視線を佐藤に向けるトール。
「……俺は人型星界獣じゃないぞ!」
 と、慌てて首を振るのだが、それに妙見子も。
「確かに、今回話に聞く星界獣……どこかで見たような……まさか……一応、確認致しますね?」
 と言いながら、佐藤の顔、耳、頭を無遠慮にペタペタと触る。
「妙見子さん、そんなペタペタ触られたら……あっあっ……」
 明らかに戸惑いと、別の感覚を覚え始める佐藤。
 そしてメリーノと、『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)が。
「何だか嬉しそうだねぇ……まんざらでもなさそうだし」
「ええ。今日は賑やかな依頼になりそうですね♪」
 くすくすと笑い合う二人に対し、佐藤はちょっと、やめてといいながらも、強く言い返せない状態で完全に手玉に取られている。
 ……ともあれ。
「イチャイチャはさておき、と……人型星界獣、知性もありそうなのが本当に厄介。他の星界獣もモンスターも、しっかり蹴散らしていかないとね」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)の言葉にうんっ、と頷きながらメリーノが。
「そうだね。敵がいっぱいいるし、みんなオネンネしてもらわなきゃ、ね! うん、がんばろー!
 と握った拳を振り上げ皆を鼓舞し、イレギュラーズ達は星界獣の飛び回る、荒廃した地へと急ぐのであった。

●雷鳴
 そして……。
『ウウォォオオオオーーーーン……』
 空高く響きわたる、獰猛な獣の咆哮。
 その咆哮に怯えるような仕草を見せる小動物も居れば……そんなのに構って居られるか、とばかりに荒廃した地を駆け回り、誰かによって殺された死骸を貪り喰らうハイエナのような者達も居る。
 ……だが、そんなハイエナの如きモンスター達すらも、空を翔るワイバーンの星界獣達がそれを喰らい、骨を砕く。
 正しくその光景は、弱肉強食を如実石目しているかの様な……そんな光景で。
「いやいや……これはこれは、酷い光景でありますねぇ……」
 目の前に拡がるその光景に、息を吐くヴィルメイズ、そして。
「うん。そうだねぇ……それにさぁ、あの星界獣は空を飛び回ってて、啄むときしか降りて来ないみたいだねぇ」
「そうか……フン、空は自分のテリトリー、とでも考えて居るのか? 馬鹿らしい」
 肩を竦め、吐き捨てる佐藤……とは言え高い空を飛ぶ敵となると、遠距離攻撃ですら狙う事が出来ない。
 ……だから。
「それじゃあヴィルメイズちゃん、佐藤ちゃん。飛ぶよぉ!!」
 メリーノは華奢な身体とは裏腹に、佐藤の首元を掴むと共に、オオコウモリの翼を大きくバサリ、とはためかせる。
 ヴィルメイズはタイニーワイバーンで、その高度に合わせるように上空へ。
 地面の砂がぶわぁっ、と舞い上がり……ふわりと三人の身体は宙へ浮かぶ。
「いやいや、これはこれは……素晴らしい光景ですねぇ」
 ニコリと笑みを浮かべるヴィルメイズ、それに手を振りながら妙見子が。
「それじゃぁ、メリーノ様、空の上の方は宜しく頼むわね?」
 と言うと。
「はーい! さー二人共、これから楽しいもぐらタタキだよぉ! 多くを叩き落とした方が勝ちだからねぇ! ビリは打ち上げ代全部持ちだから! よーい、スタート!!」
「はっ……オゴリ?」
「そうですねぇ、ビリは打ち上げ代全部持ちですか~。色男、金と力は無かりけりと言いますので……美しさ以外の競い合いは得意ではございませんが、まぁ、私の分は佐藤様が奢ってくれるので大丈夫ですね。佐藤様はお優しい方ですのでね。私のサイフには、3Gしかありませんし?」
「いや、奢るなんて一言も言ってないぞっ!!」
 やんのやんの、星界獣の高度まで上昇しながら言い合う三人……それにくすりとユーフォニーは笑って。
「競争も始まって……ふふ、三人とも頑張って貰いたい所ですね。さぁ、こちらも……油断せずに行きましょうか!」
「そうだな……取りあえず植えたモンスター達はそこまで構わなくてもいいだろう。それよりも……あいつだ。人型をした、人型星界獣……か」
 ラダが指指した先には、翼を生やしたワイバーンとは明らかに違う、人型の『星界獣』。
『……ウウウ』
 ただ人型ではあるが、会話しようとする意思は強くは無い様で……イレギュラーズ達を睨み付けながら間合いを取って警戒。
「先ずは、僕が先に立ちます……皆さんも、ついてきてください……!」
 とトールが地上の仲間達の先陣を切り、荒廃した地を駆ける。
 当然ながらモンスター達がそれに気付き、邪魔するなと言わんばかりに攻撃を始めるのだが……トールは敢えて自分に怒りの矛先を向けて攻撃を一身に背負いつつ、周りの敵を惹きつける。
 それに易々と引っかかるのは飢えたモンスター達……逆に、空の上の星界獣達は、まだ距離があり上手く挑発が聞いていない様である。
「まだちょっと遠い、のかな?」
「その様ですね。となると……」
 ヨゾラの言葉に妙見子は頷き、そして……彼女もトールと同様前線に針路を取る。
 そして。
「さぁ、始めますよ!」
 と、九尾の呪術を発動させ、地上から届く範囲の星界獣を捉える。
 雁字搦めにされる星界獣……だが、人の姿をした星界獣は、それに引き付けられるような仕草を見せず、冷静かつ確実にイレギュラーズ達を狙い、空から攻撃する。
 ただし本気の攻撃ではなく、先ずはイレギュラーズ達の実力を測ろうとするかの様な、敬遠の攻撃で、当たったとしてもそこまでのダメージには至らない。
「知力を持つ……というのは本当のようですね。ならば……」
 とユーフォニーは妙見子に。
「すいません……一寸だけ、この場を任せても宜しいでしょうか?」
「ん。ええ、どうぞどうぞ」
 ニコリと笑みを浮かべ送り出す妙見子、そして彼女の行動を察知したのか、ラダとトールも。
「……取りあえず、其の知能を測ってみる、ということか……面白い。宜しく頼む」
「ええ。ここはお任せ下さい!」
 二人送りだし、そしてユーフォニーは少し高度を上げて、人型星界獣に接近。
『……』
 僅かに不快な表情を浮かべる人型星界獣に、ユーフォニーは。
「……この前もそうでしたよね。星界獣から読み取れた、悲しい感情と、真っ暗闇の……何が、そんなに悲しいんですか? 誰かが、何かが、みなさんを悲しませたんでしょうか? それとも……誰かの悲しみを映しているんですか……? 私達に求めることはありますか? みなさんのこと、知りたいのです」
 真摯に語りかけるユーフォニー。
 だが、人型星界獣はというと……睨み据えて、詰められた間合いを維持するように高度を上げる。
 ……だが、そんな人型星界獣の背後に回り込んでいたのは、メリーノ。
「いっくよー、えーい!」
 不意を突く形で、背後から渾身の一撃を叩きつけ、人型星界獣は、そのまま地上に叩きつけられる。
 ……勿論それで死ぬ程柔ではなく、土煙の中に立ち上がる彼……そこに一気に距離を詰めるヨゾラ。
「君達……自分自身の名前や目的ってあるの」
 と問い掛けるが、相手はすぐさま翼を翻し、間合いを取り直しつつ、雷鳴のような物をその手から放ち、迎撃。
 喰らい身が痺れるも、その一撃だけでは、そこまでのダメージにはならない。
 ともあれど……どうやら人型星界獣達は、言葉は解するも話す事は無く、イレギュラーズ達を殺す……という意思は明らかで。
「交渉する考えはない、ということか……」
「うん。その様だね……ならば仕方ないよね」
 ラダとヨゾラが短く会話し、そして妙見子とトールのタンク役二人が、暴れる飢えたモンスター達を制す。
 そして空の上では、翼とリトルワイバーンを活用して、空中戦を繰り広げるメリーノ、ヴィルメイズ、佐藤。
 彼らの狙いは、地上で闘う仲間達の為に、空舞う星界獣達を地上へ叩き落とすこと。
 さほど知能を持たない、飢えたワイバーンの星界獣はそこまで苦無く地上へと叩き落とし、地上の仲間達が再び空へと舞い戻ろうとする隙に集中攻撃する事により、空の利を充分に活かせない様にする。
 当然、途中に邪魔してくる飢えたモンスターも、的確にダメージを積み上げていくことで……一匹ずつ、確実に仕留めて行く。
 ……その成果もあり、十数分の後にはワイバーンの星界獣はほぼ潰え、残るは1、2体の人型星界獣のみに減少。
『……』
 明らかに、怒りの形相で睨み据える人型星界獣。
 ……そんな彼らに向けて、ラダは。
「取りあえずお前達は、俺達の行動を見て、色々と学習している様だな? ……だが、それならこっちにも考えがある」
 と一言告げると共に、砂嵐の如く、圧倒する制圧力の連射を放つ。
 その身を蜂の巣にされて、幾つもの風穴が開き……その飛行の軌道が僅かながらにバラつき、体制を崩しはじめる。
 ……そんな彼らに、更にユーフォニーが。
「私……終焉に行きたいんです。滅びがやってくるのなら、その前にこちらから向かいたい。それに、恐らくそこに……力になりたい人がいるから。だから……!」
 真っ直ぐ、見透かすかのような視線。
 ……彼らの心に、何かの変容があったのかは解らないが……彼らの行動に、僅かながら戸惑いの綻びが見え始める。
 でも、すぐに攻撃の溜めに飛び上がり、5m程の高度からの雷鳴で反撃。
「仕方ないな……ともかくお前等に学習結果を持ち帰らせる気はない。依頼にはないが、全員……ここで死んで貰おう」
 と、ラダの穿つ邪道の殺人剣は、その間合いを昇り竜の様に駆け上がり……人型星界獣の身を、一思いに打ち砕くのであった。

●劈く声は
 そして……。
「……ふぅ。どうやら終わったようだな……」
 息を吐き、周りを見渡す佐藤。
 取りあえず、これ以上の敵影は確認出来ない。
 それを確認した上で、佐藤は。
「……う、うう……俺はもうダメだ。内蔵をやられたみたいだ……助けてくれ……膝枕を……」
 と、突然お腹を押さえて苦しみ悶え始め……そそっ、と妙見子の方に近づいていく。
 だが妙見子は、ふふっ、と笑みを浮かべながら。
「そうですか。なら……トール様、ほら、癒しを求めているようですので、宜しく頼むわね!」
「……えっ!?」
 ひらりと躱して、隣に偶然に居たトールと居場所を置き換わる。
 トールは完全に無防備に入れ替わり……佐藤と衝突し……押し倒されるようになってしまう。
 そしてトールの太ももに頭を乗せて。
「ああ……やわらかい……って、あれっ!? 妙見子さん!?」
「ふふ。よかったですね! 女の子の膝枕ですよ! ね? トール様!!」
「……」
 顔を赤くして、力無く首を振るトール。
 ……そんな佐藤と妙見子、トールのやりとりを横目にヴィルメイズは。
「いやはや……まぁ、仲良くするのはいいですが、目に余ることをする様ならば、私も黙ってはいませんよ?」
 と、優しい口調ながらも、触れてはいけなさそうな……そんな口調には、はは……と乾いた笑い。
 ……ともあれ。
「まぁ、余り巫山戯てると、どっかから刺されかねないからほどほどにな? ともあれ傷がある様なら、僕が回復してあげるよ」
 と、有無を言わさず佐藤をそそくさと治療。
 一通り皆の治療を終えたところで。
「それじゃみんな、もう大丈夫だよね? 後、倒した奴等の調査を進めるとしようか。もしかしたら、何かが解るかもしれないしね」
 とヨゾラの提案にラダやユーフォニーが頷き、倒した星界獣らの残した痕に触れて、彼らの残した切っ掛けなどが無いかを調べ始める。
 ……勿論この場所に居続ければ、更なる敵が現れる可能性は充分にある訳で、そこまで時間的余裕がある、という訳でもない。
 急ぎ、解る部分を調査し、記録に残していく……そして、一先ず倒した敵の調査を一通り終えた所で、次なる敵が現れる前に早急にその場を退避。
 街まで戻り、一息ついたところで。
「取りあえずこの情報を元に、次の一手をどうするか……だな」
「そうだね。星界獣に、腐ったモンスターとか……厄介な事にならないといいんだけど……ね」
「ええ……大好きなここが、彼らによって破壊されるのは、黙って見て居られません。絶対に……この場を護らないと……その為にも、頑張らないと、ですね」
 ラダ、ヨゾラの言葉に、空を見上げながら呟くユーフォニー。
 様々な者達が現れ、世界滅亡を企てて居る現況。
 ……それを止める為にも、イレギュラーズ達は世界滅亡を防ぐ為に奔走するのであった。

成否

成功

MVP

ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘

状態異常

なし

あとがき

依頼にご参加頂きまして、ありがとうございました。
人型を取り、段々と成長している敵。
正しく、終焉が近づいているかの様な……そんな気がしてなりませんね。

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