PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ローレット・プロデュース・バー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●バー・エトワール
「サーカス騒ぎは随分民を不安にさせたわ。町の犯罪率も少しだけ上がってる」
 チョコレートの香りがする細長い煙草をくわえて、黒いまだら模様のコートを着た女が酒場のソファにせをもたれた。
 豊満な乳房を腕組みのように押し上げて、白い足を組み替える。
 彼女は有名な幻想南方貴族エトワール十二家門がひとつ通称『乳牛婦人』である。彼女がこの一帯を根城に経営している商業グループ百衣乳業のミルクやソフトクリームは子供から大人まで愛される一代商業ブランドだ。
 そんな彼女だからこそ、民の安心と安全に敏感であった。
 甘い煙を細く吐く乳牛婦人。
「治安の悪い町はソフトクリームが売れない。治安回復はアタシにとって急務なの。てことで、新しい酒場をチェーン展開することにしたわ」
 サッと現われた執事が取り出したパワポ画面には『衛兵×酒場=安全』とでかでかと書かれていた。
「『衛兵が働く酒場』。付近で問題が起きれば酒場の機能をとめて衛兵が出動する。助けを求める人はこの酒場に転がり込み、衛兵たちの守りを得られる。この酒場を中心に商店を展開していけば、安全な商店街のモデルとすることもできるって寸法よ。けれどそれだけじゃあ、あちこちを説得する材料として弱い――そこで」
 執事がパワポが面をサッと切り替える。
 そこには『あのローレットがプロデュース!』とでかでかと書かれている。
「この酒場第一号店を、ローレットのイレギュラーズにプロデュースしてもらうわ」

 今回無作為に選ばれた八人がプロデューサーとなり、この酒場を作っていく。
 決められるのは『ほぼ全て』と言っていいだろう。
 店の名前。装飾の雰囲気。外装や内装。制服。メニュー傾向。酒場を形成するほぼ全てが今回の話し合いによって決まっていくことになる。
 勿論作るのも働くのもプロの大工や店員たちであって、ローレットのプロデューサーではない。自分にできるかどうかはこの際関係ない。
「多少の無理は叶えてみせるわ。ぜひ、いい店にしてちょうだい」

GMコメント

【依頼概要】
 新たにチェーン展開する酒場のプロデュースを任されました。
 参加PC8人全員がプロデューサーとなるので、お互いの考えがバッティングしないように担当を分けたり予め傾向やアイデアを話し合っておくのがよいでしょう。特に名前の決定は話し合い必須となります。

【まずは名前を決めよう!】
 チェーン店ですので共通する名前が必要になります。
 皆さんで話し合ってよい名前をつけて、プレイングに書いてください。名前アイデアが複数に分かれた場合は抽選とします。いっそ八人全員でバッと提案して抽選に任せるのもアリかもしれません。

【プロデュースをしよう!】
 皆さんの仕事はプロデュースです。
 実際に働くのは酒場店員であり作るのは大工たちです。その他の調理、建設、経理、宣伝、その他諸々にプロが入って働きます。
 たまにプロデュースと聞くとついDIYしちゃう方がいらっしゃいますが、その道のプロの手伝いよりもプロデュース業のほうがはるかに重要かつ替えが効かないので、そちらに集中するようにしてください。

 仕事内容は主に『決めること』です。
 装飾の雰囲気。外装や内装。制服。メニュー傾向。サービスのしかたやキャンペーン。
 これらを全部一人で手がけようとすると絶対リソース(文字数)が足らないので、手分けしてそれぞれが工夫することを強くお勧めします。
 集まったメンバーの得意分野や好み、浮かんだアイデアの方向性などで担当を振り分けてみてください。

【一日だけ働いてみる?】
 普段はプロが入って働くのですが、折角プロデュースしたので一日くらい堪能してみるのもいいかもしれません。
 初日の業務には客として、もしくは店員としてこの店を訪れることができます。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ローレット・プロデュース・バー完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年10月26日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
十六女 綾女(p3p003203)
毎夜の蝶
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
フィル・D・オルティア(p3p006110)
近衛メイド
ムー・シュルフ(p3p006473)
味覚の探求者
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵

リプレイ

●新田Pのプレゼンタイム
「皆さん、まずはこちらをご覧ください」
 スクリーンに映し出されたパワポ的画像を、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)が赤外線ポインターで指し示した。

 『衛兵×酒場=安全』

「我々は百衣乳業会長、乳牛婦人の発案したテーマをもとに新しい形のバー・コンセプトをご提案いたします。今回分野ごとのプロデュースにあたったプロジェクトメンバーを紹介しましょう」
 照明が灯され、貴族用会議室(自宅の広間に当たる場所)に座るおのおのにスポットがあたった。
 広告宣伝担当、『ミスプラチナ』十六女 綾女(p3p003203)。
 制服デザイン、『月影の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)。
 インテリアデザイン、『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)。
 サービス指導、『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)。
 メニュー発案、『見習いパティシエ』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)。
 企画提案、『バーテンダー』ムー・シュルフ(p3p006473)。
 スタッフ訓練、『近衛メイド』フィル・D・オルティア(p3p006110)。
「以上に私を加えた八名となります。では順に説明していきましょう」

 第一に説明にあたったのは寛治である。
「コンセプトの具体化にむけて、我々は三つの軸を用意しました」
 パワポ資料がすすーっとアニメーションしていく。
「まずは――『頼もしさと気軽さ』。この二つを両立する内装および外装を整備します。加えて、制服もまた衛兵の制服を採用することで治安のシンボルとします。
 次に『24時間営業』……いわずもがな常時、特に夜間のトラブルに対応できる営業時間とします。また時間帯ごとに営業形態を最適化することでそれに対応していきます。
 第三に、『ノンターゲット戦略』。ターゲットを絞らず万人を対象とします。そのためにはリーズナブルかつ幅広いメニューと、百衣乳業の乳製品にフォーカスした差別化をはかることで対応できるでしょう」
 眼鏡を中指で押し、寛治は場の出資者たちの顔色を見た。
 この事業説明会はバーの出資者である周辺貴族たちのみならず、寛治が挨拶回りをして呼んだ第一号店周辺店舗の管理者たちも出席している。
 貴族中心で回る幻想国家の仕組み上、この場でバーの有用性を納得させられれば、事業は成功したも同然なのだ。
 重要なのは実作業ではない。説明に全てがかかっていると言っても、過言では無いのだ。

「さて……ボクが手がけたのは内装と外装だ。このイメージスケッチを見てほしい」
 シャルロッテが電動車椅子で皆の前に移動して、スクリーンに投影されたスケッチを指し示した。
「はじめに示したように『頼もしさと気軽さ』の両立をコンセプトとしたインテリアデザインだ。
 まず外での異変にすぐ気づけるよう大きな窓を設置して、逆に外から頼もしい場所であることを意識しやすく鎧などを展示する」
 正面ガラス張りの店舗構造は客の接近にいち早く気づくという利点があるが、野外でのトラブルに少しでも早く対応せねばならないこのバーのコンセプトにはぴったりとあうだろう。
 またこうしたオープンな構造は客が中に入りやすいという心理的効果も生み、そのうえで鎧などの美術的効果をもつ武装を展示しておくことで頼もしさを同時に持たせることもできるのだ。
「けれどここに展示されているのは実際に使用する装備じゃない。装備庫は別に用意されているんだ」
 断面と簡単なアニメーションによって、客室と装備庫の間にある棚が開展扉によって現われる仕組みが説明された。
「すぐに使う武器はこの扉裏面に。別の装備はその奥にあって、緊急性に応じてすぐに取り出すことができる。それになにより、おもしろいだろう?
 いざトラブルを解決しようとした時に、客たちに不安を与えるのではなく驚きや楽しさを与える効果が期待できるんだ」

「次に制服のデザインについて説明しますね」
 弥恵にバトンタッチした。弥恵はスクリーンに仮作成した制服を表示した。
 というか弥恵自身がその制服を着て全員の前に立っていた。
 なんで自分で着ちゃったんだろうと言う顔を一瞬したが、気を取り直して咳払い。
「重視したのは衛兵らしい見た目と、百乳牛乳の従業員であるという目印。それでいて威圧感を出さないまま、防犯効果のある服装とすることです」
 実際に着て見せた制服は確かに衛兵を思わせるカラーをしていたが、それでいて比較的軽装。ごつごつとした装甲がないぶん威圧感がなく、所々に暖色系やシックな小物を使うことで子供に対応しやすい見た目になっていた。
 逆に深夜帯の制服には子供向けの要素が減り、少しごつごつとした見た目が増える仕組みになっている。
 加えて調理スタッフ用には白いエプロンが採用された。広く採用されている魔術防具素材を用いたものだ。
 どの制服にも百衣乳業のロゴマークが小さく入っており、所属を示すため店のロゴマークもまた大きく入っていた。
「店内制服といっても非武装ではありません。これをご覧ください」
 弥恵が手を翳して見せたのは指輪と腕輪。そして髪飾りだった。
「常時装着する武装にはこうした形態に便利な形状のものを採用します。他にも伸縮警棒や折りたたみナイフなど携帯しやすく表に威圧感をだしづらいアイテムを採用します」

「次にサービスの概要を説明します。よしなに」
 しゃんなりと現われた蜻蛉が『なぜ24時間なのか』というスクリーン資料を指さして説明を始めた。
 夜間の犯罪発生率は高い。それゆえ衛兵の警備も夜の見回りが強化される傾向にある。
「常にお店が開いてることで、安心感を与える……と。
 そのためにも、お店は常に清潔に保つ必要があります。交代制で内外の清掃をし、笑顔や柔らかい物腰を徹底してもらいます」
 加えて、客の見送りや大きな荷物の預かりなどの要素を説明して、すぐに綾女へとバトンタッチした。
 説明会には出資者たちが多く出席しているが、そうでない『未来の出資者候補』も多く出席していた。
 綾女の集めたパトロンやそのツテをたどった貴族たちである。
 この第一号店舗に確かな将来性が見込めたなら、今のうちから出資に加わり自治領への導入を早める狙いがあるからだ。
 鉄帝が武力に優れた軍事国家であるように、幻想は政治力において鬼の住処。順番待ちの列が長くなってから並ぶような抜けた貴族はいないのだ。
「私たちは24時間営業をマストにしたけれど、ずっと同じ形式で回し続けるのは難しいわよね。だから、営業時間帯に応じた形態変化を採用することにしたわ」
 図解された時間の帯には、モーニング、ランチ、カフェ、ディナー、バー、物販という六つの営業形態がそれぞれ示された。
「まずモーニング。朝食向けのパンや牛乳といった限られたメニューを提供するわ。出勤前の短い時間に対応するためね。
 次にランチタイムは回転率を上げる必要があるから、定食を中心に。
 落ち着いたカフェタイムには喫茶メニューを展開するわ。
 ディナータイムにはレストランメニューに切り替えるけれど、あくまでファミリー向けよ。お子様向けのメニューも導入する予定。
 これが深夜帯になるとバーに変化してお酒類やおつまみを中心とした形態に変わる。
 日付を超えてからは客も極端に少なくなるから、厨房を締めて物販のみで対応することになるわ。けれど詰める衛兵スタッフの人数は逆に増えるから、衛兵たちの休憩所に近い雰囲気になるわね」
 次に綾女は近隣に配るチラシをスクリーンに映した。
「これから暫く街頭配布、新聞折り込み、パンフレットやポスターの設置で広告展開を行なう予定よ。店舗ではこのように……」
 夜間に高い柱の上で光る看板のスケッチを表示した。
「看板を高い位置に、そして夜間には点灯状態で表示するわ。安心感をもたせる意味と、存在感を示す意味でね」
 説明は流れるようにフィルへと渡った。
「次にスタッフに関してです。
 我々は初期メンバーの採用にあたって基準を設けました。
 男女比率は半々を基準として、時間帯ごとに交代します。
 飲食店スタッフとして消耗しきってはトラブルに対応できないので、人員は通常の飲食店の二倍近くになります。休憩中のスタッフを多くとることで、有事の出動を可能にするのです」
 店に出ているスタッフと休憩中スタッフのアイコンが同数ずつ表示され、悪人アイコンが近づいた時に休憩室から一斉にスタッフが飛び出すさまがアニメーションで示された。
 意味ある休憩スタッフ。これは警備員詰所と同様、効率的かつスタッフ側の作業能率もアップすることが見込まれるのだ。
「最初期の訓練には私が直接あたりました。衛兵であると同時に飲食店のスタッフですので、言葉遣いや立ち振る舞い、殺気のころしかたやその上での柔らかい対応方法をマニュアル化していきます」
 指導の様子が写真で示され、『マニュアル化』のスタンプがそれを覆った。
 接客ができる人間と戦闘ができる人間はそれぞれいるが、その両方ができる人間は多くない。(イレギュラーズには案外いる)
 そのひととりがフィルであり、彼女の特に優れた接客能力と家事能力、加えて衛兵としての戦闘センスをマニュアル化することで店の基本マニュアルに仕立てたのだ。

 続いて、スクリーンに『メニュー』と表示された。
「メニューについてはボクが説明するね!」
 ミルキィがスクリーンに次々と表示したのは仮に作成されたメニューの写真だった。
 アイスクリームやパフェ、ケーキといった乳製品を使ったものが多いが、その写真にはそれぞれ『百衣乳業』のブランドロゴマークが小さく表示されていた。
 百乳を使用していますというシグナルだ。
「どの時間にも、子供や女性がなじみやすいデザートメニューを用意するよ。
 これは『ノンターゲット戦略』にもつながるんだけど、全部の時間にどんな人でも入れるのが基本だよね。
 それだけじゃなくて、お店として続けていくためには『通って貰う』ことも重要だし、そうなることで治安が定期的に改善されるっていうイイコトもある。
 だから季節のメニューを展開することで飽きられない工夫をして、イベントも取り入れていきたいな。
 それに加えて百衣乳業の乳製品を使うことで幅も広く対応できるしブランドの宣伝にもなる。一石二鳥だよね」
「次はイベントのアイデアを説明しますメェ」
 ムーが五つのイベント企画について説明を始めた。
「まずは日曜のランチバイキングですメェ。
 時間を決めたオープンビュッフェ形式で人員コストを抑えて、定番の料理を出しますメェ。
 次に大食いチャレンジメニューですメェ。
 闘争心をかきたたせて購買欲をあおるのですメェ。
 制限時間内に食べられたら無料。食い荒らし対策として二回目からは有料となりますメェ。見た目にも楽しく他の客も喜びますメェ。
 そしてリピーターを目的とした『次から使えるクーポン』ですメェ。このお店は継続して通うことに意味がありますメェ。慌てた時に場所を身体で覚えているのがベストですメェ
 そういった意味では、店頭で殺陣を披露するイベントも効果的ですメェ。エンタメと、この店への信頼をアピールできますメェ。
 こうしたサービスはプレオープン時から行ないますメェ。これらに加えて、プレオープン時限定で半額キャンペーンを展開しますメェ。まずはこの第一店舗を印象づけるんですメェ」

 部屋中の照明がもどり、寛治が皆の前へと戻ってきた。
「以上が――全く新しい酒場『ムーンデイズライト』の説明となります」
 きわめてよくできた説明会の様子に、出資者貴族たちや後の出資を考えていた貴族たちも大きな拍手を送った。
 この事業に今から出資し自分の領内にも取り入れようと考える者。事業展開の様子を見てから後発でパクろうと考える者。貴族たちの考え方はさまざまだ。
 しかしその中で誰よりも、乳牛夫人こそが勝利の立場にあった。
 このアイデアが世に強く注目される形で発表され、そのうえ(本当はそこまで期待してなかったけど)偶然配置されたイレギュラーズが適材揃いでかなりマトモなお店ができあがりそうだという事実。
 この二つが揃った時点で乳牛夫人の功績は完璧なものとなり、仮に誰かがパクろうとも彼女の理念がそのまま波及するだけなので損は無い……という寸法だ。先にやったもん勝ちのアイデアなのである。
 こうして、はじめから順風満帆で発足したバー『ムーンデイズライト』の第一号店が、ついにオープンすることになった。

●オープン・ムーデイズライト!
 町中で聞こえる銃声に、歓声と笑い声が重なった。
 天にそびえる三日月マークの発光看板。
 そのしたで行なわれる殺陣披露会では、フィルが直々に制圧術を披露していた。
 彼女めがけて銃撃をしかける仮装犯罪者。
 フィルは清らかな白手袋をした右手をひらひらと交わすことで銃弾を指間にキャッチし、不思議な歩法で相手の眼前まで急速接近。
 まるでメイドが紅茶とクッキーを差し出すかのように自然に、かつ静かに相手の首筋に手刀をいれると、後ろ手に拘束して周囲の客に深く頭を下げた。
 ムーンデイズライトのスタッフに訓練し正式採用されるスマートな制圧術だ。
 その後ろ手は『スマートでない』状況に応じた重火器を装備したスタッフが並び、いつでもヤれるぞという姿勢をばっちりと見せつけている。
 企画を提案したムーも満足げにうんうんと頷いていた。
 広告宣伝を担当していた綾女と弥恵はその類い希なる魅力を前面に押し出し、制服姿でその日限りの接客をこなしていた。
 来店した男性たちが歓喜したことはしっかり書き加えておきたい。
 むろん喜んだのは女性や子供たちとて同じだ。
 ミルキィは客として来店し、自分のプロデュースしたデザート類を注文した。
 流石に貴族の経営する大手グループ企業と言うだけあって乳製品の品質はとてもよい。加えて安定もしているので毎日同じおいしさが期待できるだろう。
 車いすを移動させてやってきたシャルロッテが、店内の賑わった様子に小さく頷いている。
「見る限り改善点は思いつかないな。ここからは、プロの仕事になるだろうね」
 商業知識をもつシャルロッテの手から離れたここは、接客のプロや営業のプロ、インテリア、料理、食材選択、経理、その他もろもろのプロたちが乳牛夫人の貴族パワーによって動いてくれるはずだ。こういうときいきなりワッと人を動かせるところが貴族国家の強いところである。
 そんな中――。
「ちょっと、何やの無理やり何すんの? ここのお店、衛兵さんが働いてとって、あんたみたいな人お呼びやないんよ!」
「アァン!? いいじゃねぇかネエチャンちょっと付き合えよアァン!?」
 サングラスをかけた寛治が蜻蛉にからんでいた。
「おどれはワイのカキタレになるんじゃアァン!?」
 拳銃を取り出して威嚇する寛治(悪)。
 すると店員として活動していた弥恵が髪飾りの暗記を用いて寛治(悪)の手から銃を跳ね上げ、踊るように蹴りつけた。
 壁の一部が開店し武器ラックが出現。そこにかかったライフルを素早く装備し、綾女が銃口を向ける。
「アァン……」
 寛治(悪)が両手をあげて降参の姿勢をとった。
 蜻蛉が手を合わせてにっこり笑った。
「当店ではこのように悪人を制圧いたします。どうぞ、ご贔屓に」
 拍手喝采。
 ムーンデイズライトは、素晴らしい滑り出しを見せたのであった。

成否

成功

MVP

新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

状態異常

なし

あとがき

 これだからPBWはやめられねえぜと思う要素のひとつに『PLに侮れないマンパワーがある』というところがございます。
 潰れた商店街の復興とかもそうなんですが、PLの皆様はPCという異世界における実行力を手にしたことで割と世界を革命しかねない能力を発揮することがあります。
 今回なんてよい例で、これを……あの、なに、治安のよろしくない地方の政治家と大手警備会社と大手飲食店グループそれぞれに持って行くとなんか世の中を変えかねない企画書に変身しそうじゃありませんか。パワポ資料を読んでちょっと恐くすらなりました。

 えっとですね。
 それはそれとして、プレイングにパワポ資料もとい外部資料へのリンクを添付するのはこう、プレイングリソースを無限に増殖できることから本当は許可できないっていうか暗にルール違反ではあるんですけれど、その……その…………かっ、勘違いしないでよね! 今回だけトクベツなんだからね! 次回からぜーったい認めないんだから! もう二度としちゃだめなんだからね! で、でも……アリガト(赤面する美少女の顔でご想像ください)

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