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シナリオ詳細

<クロトの災禍>闇来る恐怖の餓

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<クロトの災禍>闇来る恐怖の餓
「明日、世界が滅亡しますです。
 あ、嘘です。明日じゃないかも知れませんが、近い将来、世界は滅亡するでごぜーます」

 イレギュラーズ達が皆、聞き及んだ言葉。
 「世界が滅亡する」……その神託の言葉が、現実に起こる事だなんてにわかには信じがたい所ではある。
 しかしながら、そんな神託の言葉を聞いた驚きに勝るとも劣らぬ事件が、混沌の各地に巻き起こっていて。
『……ウウウ……』
 苦悶なのか、それとも唸り声なのか……そんな声が、ラサの南部砂漠地帯『南部砂漠コンシレラ』に夜な夜な響きわたる。
 ただ、まだそんな話も囁かれ始めたばかり。
 このコンシレラ地域は覇竜領域との交流の要である交易路の関所等があり、昼夜問わずに人々の往来が少なからずはある状態。
 ……そんな商団の一つが、深夜の刻に通りがかった時にも又。
『……ウゥ……』
 地の底から響きわたるかのような……低い唸り声。
『ん……何だ?』
 その声に気付いた男が立ち止まり、薄暗闇の中に目を凝らすと……人型の『何か』。
 だが、その大きさは一回りほど大きくて、巨躯の男……と言われればそう信じてしまうのも無理は無い。
 だがそんな巨躯の男は一人、二人……多数群れて、呻き声、唸り声を上げたまま……砂地を歩き回る。
 そして、その呻き声を聞いた商団の男達。
『……え? あ……う……』
 理由は分からない……でも、本能的に『危険』を感じた様で、その声が遠くに消え失せるまで、ずっと足はガタガタと震え、動けない。
 そんな彼らの元へ躙り寄る足音。
 段々と近づき……そして。
『……う、うわぁああ……!!』
 大きな絶叫が一瞬響きわたった後に……再びその場所は静寂に包まれるのであった。



「そうですか……深緑だけでなく、ラサにまで……そんな事件が発生しているのですね……」
 顔を強ばらせる、『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 先日の深緑の事件を聞き、嫌な気配を感じた彼女は、深緑の隣に位置するラサを訪れていた。
 そして彼女の元に届いたのは、ラサ南部、覇竜領域との結節点である『コンシレラ』地域で、足を竦ませる呻き声が響きわたり、それを示すがの如く……不穏な影が観測されたというものである。
 勿論不穏な影……正体不明なその影が何なのかは分からない。
 ただ、人々の足を竦ませるような、人の本能に『危機感』を覚えさせるような、そんな驚異であるのは先ず間違い無いだろう。
「……皆さん、今回の事件……果たしてどういう者が裏に潜んでいるのかは分かりません。でも……この噂話が出始てきたと同時期に、行方知れずになってしまった方々も増えてしまっている、とのことです」
「危険な事態が差し迫っているのは、間違い無いでしょう……ですが……この事態を放置すれば、覇竜領域にも影響が出る可能性すらあります……どうか、皆様のお力を貸して下さい……宜しくお願い致します……」
 と、ルリアは皆に向けて深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 ラサの地に突如現れし、足を竦ませるような呻き声を上げる『何か』。
 彼らがこのままのさばってしまえば、交易の鍵となる場所が危険領域になってしまいます。

 ●成功条件
  ラサの地の南部砂漠『コンシレラ』に夜な夜な現れる咆哮を上げし者『不毀の軍勢』を掃討することです。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   不毀の軍勢らが現れるのは、深夜の刻の様です。
   当然街灯などもないので、周囲は真っ暗……月明かりでぼんやりと周りが見える位です。
   彼らは相手の『強い』『弱い』を本能的に察知する様で、イレギュラーズの皆様がいたとしても、周りに極普通の人々がいれば、そちらの方に優先的に向かって行って仕舞います。
   幸い覇竜領域等に向かう商団等の数はそこまで多く無いので、商団に同行すれば自ずと敵も誘い出される事でしょう。
   ただ咆哮を上げた彼らの声を聞くと、一般人達は足が竦んで動けなくなってしまうので、その辺りの対処も必要となります。

 ●討伐目標
 ・闇の中に蠢く『不毀の軍勢』達
   人型を取っては居ますが、怪物の集団です。
   攻撃力は並ではありますが、『バッドステータスが効かない』『防技が高い』の二種類の特徴を持った者達がそれぞれ数体ずつのグループで存在しています。
   そんな特徴を除けば、皆様一人で一体を相手に出来る位の力しか無い様です。
   又、一般人の足を竦ませる唸り声はイレギュラーズの皆様には効果はありません。
   ただこの声を通じて相互に鼓舞する効果を持っている様なので、地味にその唸り声で相手が強化されてしまう……ということがある様です。
   これは重ね掛けが出来るようなので、幾重にも重なると、痛い一撃が不意に決まり、重傷等を負う可能性も充分にあり得るのでご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <クロトの災禍>闇来る恐怖の餓完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月11日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
ロレイン(p3p006293)
冬越 弾正(p3p007105)
終音
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)
葡萄の沼の探求者

リプレイ

●砂に埋もれて
 疑い、信じ聞いていた世界滅亡の報せ。
 それを具現化するかの如く、南部砂漠地帯に渡る【コンシレラ】地域に夜な夜な響きわたる唸り声。
 ……その唸り声の噂話を聞いたイレギュラーズ。
「ちっ……なんと恐ろしい声の波だ」
 唇を噛みしめるのは、『黒響族ヘッド』冬越 弾正(p3p007105)。
 今迄に彼が聞いた様々な唸り声の中でも、聞いた話からすればかなり上位に位置する程の呻き声だろう。
 それに『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)と『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)の二人も。
「そうだね。それに一つだけでなく、複数の唸り声が重なっている様だ。まるで犠牲者を増やそうと企む謎の怪物か……」
「もしくは、縄張りを主張している……訳ではないな。これは狩る側から狩られる側へ向けた嘲笑か?」
 思慮するカインに対し、不敵な笑みを浮かべるセレマ。
 最近になり、多数この事件が報告されているのは事実。
「……つまりこっちを舐めている、という訳だろう。不愉快だ。こっちを舐めきっている内に死んで貰おうか」
 と、怜悧な言葉を紡ぐセレマ。
 ただ、その背後で糸を引く者達の影は明らかではなく、未だに調査中の段階。
「つい先日は深緑でのお仕事でしたが……今度はラサ、しかも覇竜との結節点、と……」
 『夜を裂く星』橋場・ステラ(p3p008617)が空を見上げると、その視線の先に映るのは覇竜領域の存在する山脈地帯。
「全くよ。商人ギルド・サヨナキドリの一員として、これは放っておく事の出来ない事態よね。せっかく交易路が開いたのに、その流通を途切れさせる訳には行かないのよ」
「ええ……何であれ障害は排除するのみですとも!」
 少し強い口調で『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)が息を吐くと、ステラも頷く。
 とは言え覇竜領域でも、同じように世界滅亡を具現化する様な騒ぎが起きているとの話。
 深緑、ラサ、そして覇竜領域で頻発する事件に何が起きているのか、と言う考えも当然乍ら思う事だろう。
 そして、そんな仲間達の言葉を聞いた『天翔の鉱龍神』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)は。
「まぁ……足を竦ませるような呻き声を上げる何か……か。行方不明者は恐らくソレに襲われたのだろうけど……噂が流れているのは生存者がいたからか? 敵が意図的して噂を流している訳じゃない、よね?」
 と首を傾げる。
 敵からこの情報を流したとすれば、かなりの策士が糸を引いて居る事になる。
 情報を制しているとなると……いつの間にか術中に、なんて事も有りうる。
「とは言え商人のツテで聞く限り、明らかにこの地域では、ここしばらくの間、あちらこちらで襲撃の報ばかりだ。このままでは、南部の物流がズタズタになりそうだからな、勘弁して欲しい所だぜ」
 と肩を竦める『灼けつく太陽』ラダ・ジグリ(p3p000271)に、ェクセレリァスが。
「ま……何が相手でも、やることは変わらないし、罠があろうと撃ち破るけどね」
 と言うと、カインも。
「そうだね。人里離れた様な場所なら兎も角、往来激しい交易路に出たというのは、無視できる話じゃない。早急に解決しないとね! 他の話を総合すれば、不毀の軍勢とかいう奴等にほほぼ間違い無いだろうしな」
 頷くカインに、ロレイン(p3p006293)が。
「そうですね。不毀の軍勢……新しい災禍が混沌に現れたのね……滅びは、本当にアークの影響だけなのかしら……?」
 そして弾正も。
「そうだな……人々の悲鳴と不毀の軍勢の唸り声が重なり、まともに聞き続けていたら気が狂いそうだ。だが、俺は音の精霊種。絶望の声に負けるのはプライドが許さない。今こそ希望の歌声を戦場に響かせる時だ!!」
 並々ならぬ気合いを込めて叫ぶ弾正と、呼応するラダ……それを静かに見つめるロレイン。
「……流石はラサ。人は逞しく、商人は腕っ節と知力でのし上がるのね。こんな得体の知れない連中相手に取り乱さないなんて……ね」
 ラサに生きる、ラサを取り巻く人達の力強さを目の当たりにして……その強さに強く感心するのであった。

●宵闇を劈くは
「さて……と。取り合えずこの辺りの様だな」
 そしてイレギュラーズ達は、噂の出処である地に到達する。
 本当に、ここでそんな事件が起きているのか……と言えるほどに、ごくありふれた交易路の一街道。
『……さて、兄貴達よぉ……本当にここでそんな事件が起きてるってんですかい?』
 と言葉を零すのは、丁度交易にここを通りがかった商団の男。
 それにラダは、彼の目を確りと見つめて。
「ああ。貴殿達も商人というのならば、不毀の軍勢の者達が出るとは聞いているだろう? 私達はその脅威を止める為に来たんだ。ただ、奴等もそう簡単には現れない様で、貴殿らに力を貸して欲しい、という訳だ」
『そういう事ですかい……まぁ、確かにこんなバケモンが出てるとなっちゃあ、商売しようにもあがったりだしなぁ、力を貸してくれるってんなら、こっちも出来る限りはするがねぇ……何をすればいいんですかい?』
「そうだな……私達は護衛の任を果たすが、より被害を減らすためにも、人が休む馬車や品を乗せた馬車は絞り、夜間移動の際は一箇所に集めて欲しい。勿論各自の仕事があるのは重々承知だ。出来る範囲で構わない」
「そうだな。特に件の界物が現れるのは深夜の刻に集中しているとの話だ。時間は惜しいかもしれんが、夜は停泊して欲しい。一群だけでなく、幾つも居る可能性がある故に、同時に多発してしまっては中々手も回らないしな」
 カインの言葉にははっ、と軽く笑い。
『まぁ、宜しく頼むぜ、兄貴達。んじゃあ、取りあえずうちらは馬車を走らせるから、周りを頼むぜ』
 サムズアップする商人達……そしてその商隊列を囲む様にして、イレギュラーズ達は覇竜領域に向けた交易路を進んで行く。
 昼のうちは陽射しも照り、晴天で気分も上々。
 空高くから鳥の鳴き声も聞こえる日常風景。
 ……しかし日が落ち夜ともなれば、商隊の影は皆無になり、不気味な静けさが辺りを包む。
『……良し。それじゃ今日はこの辺りで止めるとしよう……んじゃ、宜しく頼むぜ、兄貴達!』
 肩を叩きながら、物資を出来る限り少ない馬車に詰め込み、そして……商人達も、馬車の中にて眠りに付く。
 ……そして静寂を聞きながら、全方位に向けてイレギュラーズ達は警戒のアンテナを張り巡らせる。
 夜空に浮かぶ星空が、視界一面に拡がる深夜……それを見上げながらロレインは。
「それにしても、不毀の軍勢、ね……もしかして人の形をした鋼の蝗(いなご)の群れ、だったりしないかしら?」
 と軽く笑う。
 それにセレマが。
「確かに人々を見境なく喰らい尽くす所は、蝗の様でもあるな。だがどちらもボクに取っては変わらない……後かともなく消滅させる必要が有る。美しくないモノだからな」
 と言うと、ステラも。
「そうですね! 取りあえず見敵必殺! とは言え姿を表さない限り、こちらも取りうる手は限られている訳ですが……声、聞こえてきませんかね?」
 眼を閉じ、耳を澄ますステラ。
 そして、暫し気配を探り続け……小一時間程が経過した頃。
『……グゥゥゥ……』
 遥か遠くから、うっすらと聞こえ始める唸り声。
 哀しげで、心が締め付けられるようで……。
「……この声、か」
 目を開き、周りを見渡す弾正。
 ……静かにしていると、また次なる声が聞こえてきて……その声の咆哮は、同じ方向で。
「そうか……声は同じ方向からしているという事は、取りあえずはひとまとまりで居る様だな」
「その様だな。ちょっと声の具合を確認しよう」
 ェクセレリァスに弾正は眼を再び閉じて、その声の持つエネルギーの数、大きさ、方向……を感じ取る様にする。
 ……その間にも、段々と近づきつつある声、そして……次第にその声に、軽く足が竦みかける。
「中々恐ろしい声……破滅への呼び声と言っても良さそうね。まぁ滅びの話にはつきものだもの。まぁ、古くさい滅びだし……不毀の象徴たる鋼も、今のイレギュラーズなら多分斬れる。問題は数と、知能ね……」
「そうね……そろそろ来るでしょうし、音の精霊よ。あいつらの怖い声、遮断出来るかしら?」
 ロレインの言葉に頷きながらクアトロは、音の精霊を通じて呼びかける。
 だが、音の精霊からの答えはない。
「音の精霊達も……怖がっているのかしら? となると……それだけ力が強い、という事の様ね」
 そうクアトロが言った瞬間。
『……ウグウウウウウ……!!』
 今迄よりハッキリと、大きな呻き声が戦場に響きわたる。
 普通の人であれば足が竦むであろう……その隙を突くかの如く、イレギュラーズ達を取り囲むように怪物達が飛びかかる。
 ……だが、イレギュラーズ達は冷静に。
「神よ、我が手に百難悪鬼を討つ力を……顕現!」
 とロレインが手を掲げると共に、その手から迸る殲滅の光が周囲にばら撒かれる。
 突然の光の奔流に、思わず足を止める不毀の軍勢……そして光の収束と共に、イレギュラーズ達の前に彼らの『ボロボロ』の姿が並ぶ。
「さて……誘き出された認識もなく現れたな。早速だが……逃がしはしない」
 流し目で怜悧に刻むセレマの言葉。
 その言葉に、本来であれば怒り……を覚えるのが常ではあるが、目の前の集団はウウウ、と呻き声を上げて、彼に集中する事も無い。
 ……そんな敵の行動に対し、更にカインが。
「感情すらも無いのか? ……ならば、これでどうだ」
 とカインはランタンを放り投げて敵の足元に光を照らす。
 視界を確保したところで、先んじて一発目、ステラが雷鳴の一閃を打ちて、敵を纏めて感電させる。
 だが……やはり感電しようとも、敵の動きは止まる事は無い……ただ、苦しんでいる様子は伺える。
「ダメージは通って居る様だが、その類いの悪影響は全部無視出来る……って訳の様だね。これまた厄介な力を持つようだが……ならば、それを上回る力で叩き伏せるしかないね」
「ああ……取りあえずお前達を馬車には近づかせたりはしないぜ!」
 ェクセレリァスに弾正は頷くと共に、空高く飛翔。
 高高度からワームホールを形成すると共に貫く一閃を穿つと、それに合わせる様に怒号の喝を叩き込む。
 更にラダが砂嵐を模した制圧力の射撃掃射で敵陣を纏めて攻撃し、喰らいし彼らが蹲っている所に。
「よし、チャンスだ! 思いっきりやってくれ!!」
 と、声高らかに宣言し、仲間達の攻撃を誘導。
「分かったわ。取りあえず怒りもあんまり効いていない様だし、ならば力技で制するしかないわね」
 とクァトロも切り刻む糸の乱舞で、敵を纏めて縛り上げる。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃に、不毀の軍勢達はかなり傷付けられるが……傷付けられれば傷付けられる程に、苦悶の呻き声を上げる事で、イレギュラーズでない人々の恐怖を誘いだそうと行動。
「それで人々を誘えるとでも思って居るのでしょうか? 無駄ですよ。この先には行かせないよ。私が死守するからね」
 と立ち塞がるェクセレリァス。
 実際の所、馬車の中に居る者達は、イレギュラーズ達が護ってくれるという話もあるからこそ決して馬車の外に出てくる事は無い。
 更にはその呻き声を掻き消すようにラダと弾正が。
「砂漠の夜は静かに、月と星空を楽しむべきだ」
「そうだ。たとえこの声が枯れようと、魂の限り歌い続けよう」
 と宣告しながらも銃を打ち、声を奏で、銃声を掻き消していく。
 そして唸り声を、あえての音で打ち消す事で彼らの一番の特殊能力を封じ込めると共に……確実に見敵必殺を進めていくのであった。

●約束の声
 そして……一先ず鳴り響いた呻き声の不毀の軍勢を制圧したイレギュラーズ達。
「……フゥ。取りあえず第一陣は討伐完了か?」
 と息を吐くセレマに皆頷くと共に、馬車の状況を確認。
 イレギュラーズ達が守る為に全力を尽くしたとは言え、流石に無傷で……という訳には行かない。
 遠距離攻撃により幌が破けてしまったり……鏃がギリギリを掠めていたり、と。
「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」
 とクアトロが声を掛けると、こく、こく、と頷く商人達。
 その鏃にかすり傷を負った人々を、聖域の力によって傷を癒す一方で、弾正、ステラ、ラダの三人は手分けして幌などの壊れた部品を修理。
 全てを一通り修繕完了する頃には、空が軽く明るくなり初めて来て……夜の間に漂っていた『不安』や『焦燥感』は段々と薄れ行く。
「取りあえずもうちょっと日が昇ったら、先へ進むとしましょうか」
「そうだな。覇竜との結節点までは連れていかないと不安だからな」
 クァトロに頷くステラ……そしてイレギュラーズ達は、隊商と共に、更に先へと向かう。
 二夜、三夜……と数日の夜を越す中で、第二陣、第三陣……と不毀の軍勢を相手にする事になるが、用心を重ねたイレギュラーズ達の作戦により、大きな爪痕を遺すことも出来ずに返り討ちに。
 ……そして、彼ら商団を覇竜領域の結節点に到達すると。
『ヘヘヘ……本当、護ってくれてサンキュや、兄さん達。もうここいらで多分大丈夫や』
『でも本当に……あんな奴等が現れ始めてるんだな。出来る限り夜は安全な所に避難するように、これからは考えて行く必要がありそうだな……』
 ニヤリと笑みを浮かべるのと、冷静に状況を判断する商人。
 そんな彼らにクアトロはくすっ、と笑いながら。
「ふふ……いえいえ。取りあえずご協力ありがとう、皆さん。貴方達の交易が成功に終わることを祈ってるわね」
『ああ、任せとけぇ! イレギュラーズの皆さんに護られてきたんだ。こりゃぁ俺達にも加護が付いてるって思わねぇとなぁ!! んじゃ、そっちも注意してくれよ!! じゃあな!!』
 手をぶんぶんと振り、覇竜領域の厳しい山道を進み始める商隊。
 それを見送り、その影が見えなくなった所で……セレマは。
「……ふぅ……取りあえずは一件落着、といった所か?」
「ええ、その様ですね……まぁ、私達が取りこぼした不毀の軍勢はまだまだ要るかも知れませんが……」
「そうか……確かにな」
 ロレインに頷くと共に、セレマは。
「しかし……世界が滅びると言われたが、少なくともそれは今日ではない。こんなもので滅びるわけでもないわけだ。これはいい報せか?」
 斜に構えるセレマにェクセレリァスと弾正が。
「そうだね。いい報せでもあり、悪い報せ……かもしれない。この様な未知の脅威が次々と現れている状況なのは間違い無いからね」
「ああ……あいつらのむかう覇竜領域でも事件が起きていると聞くしな。少なくとも、もう暫くの間は息つく暇もなさそうだぜ」
 それにカインが。
「ああ……そうだな。取りあえず今回の件を報告した上で、次にどういう手を取るか考えるとしようか」
 と言い、皆を促し足早にその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

ロレイン(p3p006293)

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きまして、ありがとうございました!
足元を竦ませる恐怖を呼び起こす声……という事でしたが、商人の方達の事前準備の結果、苦戦させるような事にはならなかった様ですね……。

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