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シナリオ詳細

<泡渦カタラータ>骸骨たちの幽霊船

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 幻想楽団『シルク・ド・マントゥール』の大討伐を行い、中心人物の討伐を果したギルド・ローレット。
 しかし、その討伐を逃げ延びた魔種が拠点を海洋に移し首都リッツパーク近海に大渦を発生させているという事が判明していた。
 これまで、調査・対応依頼を行ってきたイレギュラーズの成果により練達の研究者『佐伯・操』に渦への調査データと渦へ乗り込むための装置の使用許可を得ることができた。
 放置していれば、渦周辺に見られる魔種の動きが活発化していく。
 ローレットとも懇意にしている海洋の女王イザベラと貴族代表のソルベ・ジェラート・コンテュール卿は大渦への対処を直々に依頼してきた。
 このまま放置して居れば『原罪の呼び声』の影響を受け海洋自身が脅かされる。
 渦の中は未だ謎が多い。しかし、この儘、海上へと姿を現す魔種の討伐を行っているだけではラチが開かない。
 練達特製装置を使用して、大渦の中へと乗り込み、渦を発生させてる原因と内部の調査を行ってきて欲しい!


 ――オオ、オオゥ。
 その骸骨は、歓喜に打ち震えていた。
 もはや明確な意識も思考もなく、ただ一つだけ汚れきった魂の奥底に残っていたモノ。何もかも亡くした中で生前から唯一残った、今の彼を彼たらしめるモノ。
 ――オオ、オオゥ。
 欲望の赴くままに奪い、襲い、蹂躙し、殺し、そして……。
 死してなお、その悦楽に耽る機会を得た喜びは、仮に彼が喋れたとしても、言葉にはとても表せなかっただろう。
 ――オオ、オオオオン。
 彼は逝く。獲物を求めて。
 彼等は逝く。彼等のその、たった一つの行動原理の為に。


「アンノウン! 前方に不明船!」
 海洋の沖合、船上にて大渦周辺の警戒任務にあたっていたイレギュラーズの一人――周囲を監視していた船員が警告の声を発した。
 確かに小さな船影がボヤけて見える。
「味方の船じゃ、なさそうだな」
 今現在、海獣が暴れまわり魔種までもが確認される危険極まりないこの海域において活動する船など、それだけでどうにもキナ臭い。船上のイレギュラーズたちに警戒の色が浮かぶ。
 すぐに小さな船影が、近づくにつれその全容を現した。
 襤褸布が申し訳程度に引っかかった折れかけたマスト、損傷激しく荒れるにまかせたままの船殻。そして、船影を中心に周囲を取り囲むように立ち込める霧。
「ゆ、幽霊船だー!」
 船首を此方に定めた甲板の上に立つ骸骨を目にしたイレギュラーズが叫ぶ。
「こっちに向かってくるぞ」
「ちょ! か、舵が言うことを!」
「おい、海面から手が」
 無数の手が、船の行く手を遮るようにおぞましく蠢いている。おそらく海中でも船底に纏わりつき、航行を妨害しているのだろう。
 慌ただしく飛び交う怒号の中、外見からは想像できない速度で迫りくる幽霊船。
「ぶつかるぞー!!!」


「海洋の近海に謎の大渦が発生したのを知ってるか? 自然由来ではなく何者かが発生させてるんらしいんだがな」
 珍しく真面目な顔でローレットの情報員『酔っ払い』ジュリエット・ノックス(p3n000036)は一旦言葉を区切ると、苦々しい顔を見せる。
「調査の結果、どうやらサーカスより逃げ延びた『チェネレントラ』と死体漁りを行っている『ヴィマル』っていう魔種が中心になっているらしい」
 魔種だって? その名を聞くと数ヶ月前、幻想を中心に巻き起こった『幻想蜂起』を思い起こす者も多いだろう。イレギュラーズ達に緊張が走る。
「ああ、そんなに身構えなくてもいい。この依頼は魔種と直接対峙するわけじゃない。大渦周辺に出没が予想される死骸の掃除だ」
 大渦付近では複数の魔種に加え魔物も多数確認されており、イレギュラーズにもある程度の規模での動員がかかっている。魔種を追うチーム、海中あるいは海上で戦うチームと多岐に渡った依頼が出ているのだ。
「そして、船上で海上の安全を確保するってのがこの依頼ってわけだ。とはいえやはり周辺に魔種が見受けられるエリアだ、油断は禁物だぜ。魔種そのものと出くわさなくても魔種の影響を受けたのか、魔物が凶悪化しているっていう情報もあるくらいだ。ザコだと思って舐めてかかると足元すくわれちまうかもな」

GMコメント

 こんにちは。茜空秋人です。
 以下、シナリオ補足情報です。ご活用ください。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●依頼成功条件
 幽霊船の撃破(骸骨船長と骸骨船員の殲滅)。

●ロケーション
 幽霊船がイレギュラーズ達の乗る船に衝突する直前から始まります。
 専門の船長ならびに船員が居るので、操船等は気にする必要ありません。そもそも操船不能です。また、衝突後も暫くは沈むことなく戦えるとします。
 攻撃レンジは最大でもR3。また、発生した霧により距離が離れるほど命中回避にマイナス補正がかかる場合があります。
 同一船上だと最大でもR2での戦闘になります。
 イレギュラーズには、練達から調達した水中でも自由に息をする事が出来る装置『海中戦闘用スーツ・ナウス』があらかじめ貸与されていましたが、海中に入ると無数の腕に引き摺り込まれて酷いことになると思います。深淵とかに引き込まれたら、重症どころではありません!
 くれぐれも落水にはご注意を。

●幽霊船
・骸骨船長
 かって海洋を荒らしまわった悪名高い海賊船の船長。サーベルを用いた一撃に優れ、高いEXFをもちます。
 知能と云えるものはほぼ残っていませんが、生前から身にしみついた動きのままに骸骨船員に指示を出し、また常に複数の骸骨船員に身を守らせています。

 薙ぎ払い(物至列)【出血】
 鋭い突き(物至単)大ダメージ【出血】
 海賊の呪い(特レ)10T毎に発動。自身を中心にR2範囲で【不運】【呪縛】

・骸骨船員(サーベル)×15
 全員がサーベルを装備。3体前後の連携を組んで襲ってきます。
 女性に目がないようで、優先して女性を襲ってくる傾向があるようです。
 近接担当。

・骸骨船員(マスケット銃)×5
 マスケット銃とサーベルを装備。
 主に中遠距離担当。

・死者たちの手
 海賊に殺された無数の怨念。隙あらば生者を引き摺りこもうと海面で手ぐすねひいて待っています。
 メタ情報ですが、幽霊船の撃破に成功すると霧消します。

●その他
 総じて連携に長けた集団です。
 迎え撃つか乗り込むか。海面――海からの手にもゆめゆめ気を付けてくださいませ。

●アドリブ
 アドリブ描写が用いられる場合があります。
 プレイングやステータスシートにアドリブ度合、『アドリブNG』等記入くだされば対応いたします。

  • <泡渦カタラータ>骸骨たちの幽霊船完了
  • GM名茜空秋人
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

鳶島 津々流(p3p000141)
かそけき花霞
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
不破・ふわり(p3p002664)
揺籃の雛
河上・サフィニア(p3p006171)

リプレイ

●ぶつかるぞー!!!
 今まさに、海洋近海にて前方から迫りくる幽霊船に襲撃を受けんとするイレギュラーズ。海面より出ずる悍ましくも蠢く無数の手により此船は操舵不能。しかしこのまま衝突は避けられないと、事態を察したイレギュラーズの動きは訓練されたかの如く素早かった。
「……まさか幽霊船と遭遇するなんて。みんな、気をつけて。船に自分を固定するんだ!」
 『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)が声をあげながら、予め所持していたロープを船柱に括り付け海から落ちることない距離を保ちつつ、自身の身体と繋ぐ。
「船のふちには、なるべく近づかないように注意なのです」
 『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)もロープを結わえながら冷静沈着に注意を促す。
「……戦闘の邪魔にならない、かつそれなりに移動できるくらいに括る、かな」
 普段は右腕が動かない『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)が、器用に左腕だけでロープを船に括り付ける。
 序盤でポジション取りに失敗すると、これから迎えるであろう戦闘において後手を踏むことになる。それを踏まえた二人の命綱は船先端から20m程の位置に繋げられ、移動の限られた船上において中衛ポジションを確保してあった。
「ディープシーにドロップアウトはデンジャー! ライフラインは動きを妨げぬよう余裕を持ちつつもセイフティーマージンを取れる長さだ! これをこちらのシップの安定した柱にでもセットしよう!」
「魔種が近くに現れただけで、亡霊――幽霊船なんて……改めてその影響の大きさを認識しちゃいますね」
 前衛の『不知火』御堂・D・豪斗(p3p001181)と『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)の二人は、船首付近に命綱を固定する。
「気休めですが……」
「ユー、それはとてもグッドだ! 安定して奴らを迎え撃てるのであるぞ」
 利香が保護結界を展開し、不慮の事故によるロープ切断に保険をかける。ゴッドに褒められる実は悪魔なんて珍しい一幕が見られた。
「ぶつかるぞー!!!」
 襤褸々々な外観と裏腹に、ありえぬ速度で船首に迫りくる幽霊船。衝撃が船体を襲う直前に、船員の一人が叫ぶ。
「いやあ、魔種だか何だか知らないけど強い存在が居たら幽霊船まで出てくるなんてこの世界はやっぱり驚きに満ちてるね! ……っと、危ない危ない」
「きゃっ!?」
 大陸衣装の武道家、河上・サフィニア(p3p006171)が『揺籃の雛』不破・ふわり(p3p002664)を抱え上げ、足の裏に気を用いると足場を作成し階段理論で中空を駆けあがる。脳筋の彼女ならでわの飛行術だ。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして、だよ!」
 襤褸々々な幽霊船が何故壊れないのか、不思議なほど勢いのついた衝突。見た目愛くるしい童女のふわりは抱きかかえても非常に軽く、二人は難なくその衝撃を飛行で避けた。

●骸骨を迎え撃て!
 衝突した幽霊船から発生する霧が周辺に薄らとかかり、先程までとはうってかわって視界は悪くなっていた。とはいえ、幽霊船の骸骨が全く見えないと言うわけでもない。
「肉崩れ落ち屍になってまで成仏できずに人を襲うとか……未練がましいわ。ま、そんなのだから死んでも海賊を止めれないのでしょうけれども、だらしないわね」
 まずは『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)の権能――天鍵:緋璃宝劔天。ゴスロリ風軍服に身を包んだレジーナの周囲に可愛らしい容姿に似合わぬ無数の大剣が召喚されるや、幽霊船にたむろする骸骨の一角に集中して襲い掛かる。トレーディングカードゲームの萌えが具現化したかに見えるレジーナだが、その実戦神の片鱗が眼帯と捩れた角に表れていた。
「汚い悪い海だな。もっと青々として陽で輝く海を見たいぞ。それはともあれ楽しく殺ろう」
 いつもにこにこ穏やかな笑みを忘れないランドウェラが、味方の位置、骸骨たちの配置を正しく脳に刻みこむ。勿論、後の攻撃に活かされたのは言うまでもない。
(ちゃんと群れているなんて面白いからな、記憶しないわけにはいかない)
 微々たるものだが……多分役に立つと、仲間全員が届く範囲内にいるのを確認したランドウェラが赤の熱狂を使い混戦に備える。
(私の役割は敵の誘導。狭い戦場を逆手に取り、攻撃を自分へ引き付けることですわ)
 衝角で繋がった船首と船首。群れをなし、此船に乗り込まんとしている骸骨たちの前に利香が立ち塞がる。
 裏を返せば、入口は船首だけということだ。ここで骸骨たちを抑え込めれば、後衛の負担は一気に減る。
「皆さんをお助けします! 背水の陣って奴ですよ!」
 勇ましい言葉と真逆に、金色の瞳――魔眼で可愛らしいウィンク。サキュバスの十八番だ。利香の魅力に参ったのかそれとも怒りなのかは判らぬが、ナニかを持て余したように滾った5体の骸骨が利香に殺到する。特に骸骨船長とか滅茶苦茶やたらと滾りまくっており、船長の護衛役の3体の骸骨がさらに追従し、都合8体の骸骨を釣ることに成功した利香。……釣りすぎじゃね?
 が、華奢な身体に似合わない持ち前のタフさで飄々と耐えきっている。
(あの骸骨さんたちからは良くないモノを感じるのです。
 それが何なのかは分からないのですけど、あのままにはしておけないのです……)
 呪いと因縁のあるふわり。呪いと魔種の違いはあれど、なにか共通した歪さ――感じるモノがあったのだろう。
「利香さん、助太刀します!」
 まずは数を減らすのですと、ふわりは利香の周りに群れなす骸骨たちのなかに躊躇なく飛び込んだ。
「欲望に囚われた不浄な魂、きれいきれいにしてあの世へ送ってあげるのです」
 幼いながらも命に関して非常にドライな感覚をもつふわり。彼女の持つ魔道書――『ノーワイズ・ノーライフ』が神性を帯び、居並ぶ骸骨船員たちを次々に薙ぎ払う。
(幽霊船に乗る骸骨たち、ですか。肉を失って、骸だけで動く者たち。その心は今どこにあるのでしょうね)
「聖職者として、貴方たちを空に還すお手伝いをいたしましょう」
 威力を高めたクラリーチェのヴェノムクラウドが、後方から骸骨の群れ目がけて悪意ある(聖なる?)猛毒で包み込む。数体の骸骨が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちた。
「貴方の魂の道行きが、良きものでありますように」
 猛毒で斃れた魂の行き先なんて、きっと地獄な気もするけど、そこは誰もつっこまない。
 聖遺物を備えた聖職者、彼女は骸骨にとっての天敵であった。
「ユー、なかなかやるな! ゴッドも負けてはおられん!
 ゴーストシップ! ライフのサークルから外れし者達をヘヴンに正すもゴッドのワーキン! 終わりを迎えしライフのソウルはアラタナルライフへと向かうが善い!
 恐れるな、ゴッドはユー達と共に在る!」
 聖職者に続けとばかりに、立川とかに住んでそうなゴッドであるところの豪斗もまた骸骨たちの前にて立ち塞がる。
「ゴッドのゴッドなるオーラはアンデッドにはクリティカル! 溶けないゴーストなどおらぬ!」
 自信満々に言い切った豪斗のゴッドによるゴッドを巡るゴッドシンパシー(以下略)な一撃が大きく決まり、骸骨船員を塵に還す。
「ゴッドを称えよ!」
 戦闘中にも関わらず、たまにウザく感じても決して文句を言ってはいけません。何故ならいちばんえらいのです。ゴッドだから!
(まるで生あるものを欲しがるように海原に群がる死者の手。骸骨の船員、そして船長……どうやら彼らを倒さないことには、道は見えてこないみたいだねえ。
 魔種の影響がここまでとは……)
 幽霊船が発する霧の中。後衛にとって決して良いとはいえない視界の中だが、津々流は少しも慌てることなく、
(僕は後ろの方から遠距離攻撃と回復を飛ばす役さ。前に出て戦ってくれる仲間の為にも、後ろから頑張って援護しなくちゃ。
 まずは同じく中遠距離の、マスケット兵をどうにかしようかね)
 骸骨兵の立てる音――どんな僅かな物音も漏らすまいと耳をそばだてる。
 標的の足音、マスケット銃の一連の動作音、そして何より大きな発射音を正確に聴きとると発射元を特定し、迷いなく繰り出した反撃が狙い違うことなく骸骨兵を吹き飛ばす。
「霧で視界が悪いなら、視覚以外も頼ればいい事だよねえ」
 津々流は事もなげにそう嘯く。結局マスケット兵は、津々流がほぼ一人で屠ったことになるのだった。
「いやあ、魔種だか何だか知らないけど強い存在が居たら幽霊船まで出てくるなんてこの世界はやっぱり驚きに満ちてるね! ともあれ、僕も強い奴との戦闘は望む所だよ!」
 いざとなれば飛行できる! とばかりに、サフィニアは海面への落下――無数の手を気にすることなく狭い甲板上を縦横無尽に駆け抜け、遊撃役をこなす。
 元来がバーサーカー気質の荒くれ者。ここぞとばかりに近くの敵を殴りつけ、ヒットアンドウェイな戦法で骸骨たちの連携をかき乱す。
「アハハ! 同じ海賊として引導を渡してあげるよ、名も知らない幽霊船の諸君!」
 笑いながら、後ろから奇襲――骸骨の背中目がけて飛び蹴りを喰らわせた。

●夢魔戦士リカちゃん
「落水注意!」
 ランドウェラの放った青い衝撃派に骸骨船員が吹き飛ばされ、船首に飛沫をあげて海に落ちた。
「ほらね、注意って言っただろう? ……なんだ、死者の手は骸骨は引き込まないのか……期待外れだな」
 それでも復帰までに多少の時間は稼げただろう。
(あー、やだやだ。ほんとに落ちたくないな。もっと声を出して注意していこう)
 無数の手招きするソレを改めて目にし、ランドウェラは気を引き締めなおした。

 甲板上の骸骨が減るにつれ、レジーナは違和感を感じていた。
 利香もふわりもサフィニアも骸骨たちの数に任せた猛攻を受けている。事実、レジーナは先程から前衛の治療にかかりきりだ――豪斗を除いて。豪斗は前衛の中でほぼ無傷、攻撃の的になってないといってよかった。レジーナが後方からの回復役だったからこそ、気が付けたことだ。
 ――もしかしたら。
「骸骨たちは、豪斗を攻撃していない! 女性だけを狙っているのかもしれないわ!」
「ゴッドのソウルの前に、アンデッドはアンタッチャブルでノーフューチャーといったところか!」
 違う。
「つまり死してなお、女性に飢えているのですか――じゃあ、満たしてあげるわよ?」
 正解に気付いた利香の左足首の霊石が怪しく光り、変身シーン特有のエフェクトに包まれる(ように見えた)。謎のリボンが出現し、着ている服が解け再構築される(気がした)。
 ――夢魔の記憶・メークアップ♪(変なナレーションが流れた気がする)
「さあ、私と遊びましょう?」
 いひひ♪ と妖艶な嗤い声とともに出現した利香の出で立ちは華奢な身体の微塵の欠片も残っておらず、けしからんまでに豊満で、露出度の高さをアピールする衣装はサキュバスのそれだった。
「私を倒せたら好きにしていいのよ? ……できるものならね♪」
 甘い色香と性的魅力、誘惑と手管を駆使してからかう利香に、骸骨たちの意識がさらに集まる。快楽をふりまく悪魔の本領発揮だ。
「大歓迎ですわ。わたし、魔物の魂が大好物なのですよ♪」

「もはや、言葉を交わすことも難しいでしょうか? ……貴方達の人としての生はもう終わっているのです。安らかに、眠ってください」
 また一体の骸骨兵士が、クラリーチェの魔力放出で斃れる。
「人は死ねば骸となり、骨はいつか灰となる。神は天にいまし、すべて世は事もなしなのです」
「ゴッドなら此方に在るぞ!」
『――――!』
 その時、骸骨船長の声なき叫びが、空気を震わせた。
「こ、これは……」
 いち早く、ふわりが咆哮『海賊の呪い』に反応する。
「呪いなんかには……もう二度と負けないのです!」
 心を震わせ、強い意志で抗う。
「案ずるな、ゴッドはユー達と共に在る! ユー達を癒し、立ち向かうソウルを震わせよう!
 このゴッドウィズユーの言葉が届くエリアを意識してバトルしてくれたまえ!」
 強いキュアを持つ豪斗の背景に神々しい光をが放たれ、ゴッドの存在感が味方に対して否応なくアピールされる。
「「ありがたい!」」
 何人かイレギュラーズの感謝の声が聞こえた。

●くたばれ、幽霊船長
 一体、そしてまた一体と骸骨船員が動かぬただの骨となり崩れおち――。
「これで、お終いかな」
 ――儚いね。津々流のもつ宝珠から明鏡止水あるいは行雲流水の心境で淡々と放たれた衝撃波が、最後の骸骨船員を闇に還す。
 己を庇う手下を失い丸裸同然となった骸骨船長を前に、ここが佳境と残る気力を振り絞り猛攻をかけるイレギュラーズ。
「ハァァァァッ!」
 サフィニアが緊褌一番、骸骨船長に鋭く踏み込み肉薄戦を展開する。薙ぎ払いに耐え、溢れる出血を気にすることなく、ただただ手甲を叩き込む。狙うは一つ、船長の構えを、防御を崩すこと。
「ここが我の見せ場ですわね」
 レジーナ自身の姿を模し黒装束を纏った使い魔が召喚される。レジーナの力が込められた使い魔の大剣が大きく振り下ろされ、骨を砕く。
 ――――。
 ――。

「――!」
 ランドウェラの魔力放出が、豪斗の光が、利香の滅衝波が、ふわりの聖光が決まるたび、骸骨船長は音に聴こえぬ断末魔の悲鳴をあげ膝をつくがそのたびに持ち直し、決め手に後一手届かない。じりじりとした攻防が続く中、
「宿っていた魂はあるべき場所還るべきなのです。迷っているなら、今こそ私が導き手となりましょう」
 それを打ち破ったのはクラリーチェ―ー迷える魂を救う聖職者の信仰に裏打ちされた一撃だった。

「骸骨船長と船員たちの魂に、安らぎがありますように……」
 戦い終わり、クラリーチェが黙祷を捧げる。
「船に居ない人いないよね? 大丈夫?」
 ランドウェラが仲間の安否を確認する。
 いつの間にか霧は晴れ、幽霊船も海面の手も夢幻だったかの如く跡形もなく消えていた。世はすべてこともなし。
「ユー達オールメンバーと帰還でき、ゴッドもベリー満足であるぞ!」
 ゴッド節は止まらない。
「リカちゃんはちょっと不満足かな」
 人間体に戻った利香だが、魂をゲットできずに少々欲求不満気味。昂りが未だ静まっていない。
「呪い……嫌なのです……」
 ふわりの言葉が童女とは思えないほど、重く響く。
「アハハ、終わりよければ全てよしだよ!」
 サフィニアの言が正鵠を得ている。いつだって、依頼達成がイレギュラーズの本分なのだから。

 Congratulations!
 イレギュラーズの活躍により依頼は達成された!

成否

成功

MVP

リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王

状態異常

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)[重傷]
レジーナ・カームバンクル
リカ・サキュバス(p3p001254)[重傷]
瘴気の王
不破・ふわり(p3p002664)[重傷]
揺籃の雛
河上・サフィニア(p3p006171)[重傷]

あとがき

 お疲れ様でした。
 前衛後衛のバランスが依頼攻略に非常にマッチしていました。
 特に今回の依頼との相性が良く、最後までタンクをこなした貴方にMVPを。

 それでは、またご縁がありますように。

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