PandoraPartyProject

シナリオ詳細

空飛ぶ焼き肉がたべたい(秘伝のタレを添えて)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●フライングなまにくが出たよ
「みんな、フライングなまにくが出たよ!」
 すごい当たり前の口調で、カルネ(p3n000010)はローレット酒場の扉をばーんと開いた。
 反応は半々。『なんだって!?』と『なんだって!?』である。
 ごめん違いわかんないよね詳しく説明するね。

 フライングなまにく。
 それは夏場の猛暑がひどくなってきて『あーもー逆に外でバーベキューとかしたくなるなー』って時期になると突如海辺に現れる混沌の生物である。
 ロースにカルビ、タンにホルモン。オーソドックスどころは大抵おさえた種類のなまにく(牛ベース)がそらをぶんわ~かぶんわ~か飛んでいるというその光景は、現地人にとっては夏の風物詩であり日常の一コマなのだ。
 なのであなたはフライングなまにくを知っていてもイイし、しらなくてもイイ。

 よっしゃそれなら生肉を狩って焼き肉パーティーとしゃれ込もうぜとバーベキューセットを担ぎ出したそこの君、ちょっとまってほしい。
 カルネは冷静そうに手を翳し、そして真剣な面持ちでこう続けた。
「そして――フライングなまにくイレイザーも現れたんだ」
 『なんだって!?』
 まって逃げないで。説明をさせて。

●生肉を奪いしもの
 場所は幻想王国南部海岸地区。フライングなまにくに沸く現地ではある問題が発生していた。
「ヒャッハー肉だー!」
「燃やせェー!」
 火炎放射器を手にフライングなまにくを追いかけ、その過剰なまでの火力によって肉を燃やす集団の発生である。
 彼らはフライングなまにくイレイザー。悲しく炭化したまなにくは地面に落ち、悲しみと共に踏みつけられる。
 全員綺麗に整ったモヒカンで統一さえたその男たちは炭化したなまにくを眺めゲラゲラと笑うのみ。
 嗚呼、この世の地獄よ。修羅の海よ。
「フライングなまにくイレイザーはこの季節から現れだした新興の暴力集団なんだ。
 町の人たちが楽しみにしていたフライングなまにく狩りを火炎放射器片手に妨害したあげく、肉を……炭に……」
 クッと唇をかむカルネ。もしあなたがフライングなまにくの風流に詳しいなら同じくらいクッてなっていたかもしれない。
「だからローレットに依頼が来たんだ。依頼内容はフライングなまにくイレイザー(長いので略してイレイザーでいいよ)の討伐。成功報酬のオマケとして、秘伝の焼き肉タレをつけてくれるそうだよ!」
 『なんだって!?』
 そうだね説明もしようね。ここ南部湾岸地区ではフライングなまにくにピッタリあった焼き肉用のタレが開発されグルメの間では非常に有名なのである。有名なわりに高価なので、高級食材としても有名だ。
 あなたがフライングなまにくをご存じならきっとごくりとつばを飲んだことだろう。
「さあ、行こう! フライングなまにくを食べ――じゃなかった、イレイザーを倒しに!」

GMコメント

※こちらはライトシナリオです。短いプレイングと選択肢のみで進むアドリブいっぱいのライトな冒険をお楽しみください。

●シチュエーション
 やきにくをたべよう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

●えねみーでーた
・フライングなまにくイレイザー
 最近現れだした反社会勢力。フライングなまにくを火炎放射器で炭にしてしまうという罪深きものども。ばんしにあたいするよね。
 全員がモヒカンで統一され火炎放射器で武装している。

 フライングなまにくが現れる海岸にて毎日決まった時間に表れ暴れているという。
 そのため会場(?)に人は寄りつかず彼らの好き放題にされているとか。
 彼らを倒したあとはなまにくを狩り焼き肉パーティーとしゃれ込もう。

●一口プレイング
 焼き肉パーティーに持ち込みたいものがあったら言ってね。ビールとか。

●カルネくん
 一緒に戦ってくれるカルネくんです。
 焼き肉は焼く係になりがちです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりませんし焼き肉は食えます。


フライングなまにくを知っている?
知ってる?

【1】知らない……
フライングなまにくってなに。なまにくが飛んでるの?なんで加工済みなの?という困惑が先に来ます。

【2】知ってる!
あなたはフライングなまにくを知っていますし、なんなら食べたこともあります。
もうそんな季節なんだねと会話に花がさくでしょう。


戦闘スタイル
フライングなまにくイレイザーたちをどのようにやっつけるかのスタイルです

【1】アタッカー
ばしばし攻撃しまくり痛めつけます。炭になったおにくの悲しみを知れ!

【2】ディフェンダー
相手の火炎放射器の攻撃をあえてうけて耐えて見せます。
何!?炭にならないだと!?

  • 空飛ぶ焼き肉がたべたい(秘伝のタレを添えて)完了
  • やきにくがたべたいよね
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別 通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月01日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談0日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
冬越 弾正(p3p007105)
終音
アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)
不死呪
メリッサ エンフィールド(p3p010291)
純真無垢
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者

サポートNPC一覧(1人)

カルネ(p3n000010)
自由な冒険

リプレイ

●やきにくがたべたいね
「あの伝説のフライングなまにくが……!」
 拳をぎゅっと握った『未来を背負う者』秦・鈴花(p3p010358)が、その拳をわなわなと振るわせた。
「伝説……?」
 小首をかしげる『不死呪』アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)。
 ご存じないのですかとばかりにサッと振り返る鈴花が、空飛ぶなまにくとその風習について事細かに説明してくれた。覇竜出身なのに詳しいねこの子。
 タイするアオゾラはなるほどーと頷く。
「まぁ混沌なら可笑しくないデスネ?」
「そもそも食べても大丈夫なんでしょうか、その肉」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)がうーんと考え込むそぶりをするが、毎年習慣的に皆食べてるなら今年に限ってダメって事は無いだろうと思い直した。
 その、一方で。
「ふらいんぐなまにくとは……!」
 自分のことでは!?
 と、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)と『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)がバッと身構えた。
 身構えてから、顔を見合わせる。
 なにかっつーと食い物にされがちな生き物、ノリア。
 食材適性をいち早く獲得したことでおなじみカイト。
 ふたつの空飛ぶ生肉が出会った瞬間であった。
 二人がファーッと謎の精神空間で互いを理解しあっているその間、『駈ける一歩』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)は同行していたカルネにグッとガッツポーズをしてみせた。
「本物のフライングなまにく見るのははじめてなんだケド、美味しそうだし元気がよくてカワイイね!」
「あ、わかるー。ちょっと可愛い気がしてくるよね」
 ねー、といって頭をかしげ合う二人。
「皆さん、お肉ばかりでは食事のバランスが偏りますよ。野菜を持参しましょう野菜を」
 『純真無垢』メリッサ エンフィールド(p3p010291)が野菜がごっそりはいったカゴを掲げてみせる。
 これだけ見てると知り合いのバーベキューパーティーに呼ばれてる人みたいだが、今からやるのはバーベキューパーティーじゃない。
 その証拠に見てくれこの『黒響族ヘッド』冬越 弾正(p3p007105)を。
「魚肉も食え魚肉も! ほら、俺の領地で生えたカジキマグロ持ってきたから!」
 ごめん例を間違えた。バーベキューパーティーにしか見えない。
「というか、旅人の世界ではなまにく飛んだりカジキ生えたりしないのか。不便だな……」
「逆に便利なのですか? それは?」
 瑠璃のさりげないツッコミに対応……使用としたところで、鈴花がわなわなさせていた拳を突き上げた。
「伝説のフライングなまにくになんてこと! そのフライングなまにくイレイザーとかいうモヒカンはぐーでいくわよ、ぐーで!」
「ぐー以外だったら何で行くつもりだったんです」
 メリッサが手をパーにしてぺちーんって叩くジェスチャーをしてみた。
「どのみち、肉を焼くのではなく燃やすなんて許せないデス。
 これはイレイザーに今まで炭にしてきたフライング生肉の様に燃やしてやるデス」
 ぐーより酷いことを言い出すアオゾラ。
 が、この世でひでーことをするとひでーめに合うのは混沌の常識。混沌あるあるである。
 弾正も『雉も鳴かずば打たれまい』的なことわざをぽつりと呟いて合掌した。
 だってわかるじゃん。このメンツが本気出して殴りかかったら火炎放射器装備しただけのモヒカンとか炭じゃん。
「俺を喰おうなんて100年早いわ!」
「このしっぽは、だれにも、たべさせませんの!」
 ほら見てよカイトなんか槍をシュッシュとシャドウしてるし、ノリアに至っては普段絶対やんないシャドウボクシングのポーズとってるもの。パンチとか出したことあるのかっていうほっそい腕で。
 瑠璃が『勝ちましたね』とか小さく呟くのも無理からぬことである。
「イレイザー全部ぶん殴って、なまにくは全部守るよ! 頑張ろうね、カルネくん!」
「うん、頑張ろうね!」
 リュカシスとカルネががしっと握手を交わし、ごつんと拳をぶつけ合う。
 フライングなまにくイレイザーへの粛正が、始まろうとしていた。

●フライングなまにくイレイザーというひどく限定的な存在
「ヒャッハー肉だー!」
「燃やせェー!」
 他に言語を習ってない人みたいな調子で同じ言葉を叫ぶモヒカンがいた。
 そんな非道な暴力に晒されるなまにく。
 火炎放射器のノズルが向き、炎が吐き出されたその瞬間――!
「やめろー! コレは俺の肉だ!」
 カイトがバッと高速で飛びつき、なまにくを抱きかかえた。
 炎に包まれるカイト。
「グワーーーーー!」
「ヒャッハーーー!」
「アーーーーーー!」
「ヒャッハーーー!」
「んーーーー?」
「ヒャハ……?」
「思ったより熱くないな」
 カイトはセイッとモヒカンの頭を三叉槍で刈り取った。どうやって刈り取ったのか? スローでもう一度見てみよう。
 ゆっくりと繰り出される槍。モヒカンの先端部に槍の先端が見事にぶつかり、その生え際をかすめるように見事な槍裁きで頭皮だけをなぞっていく。
「グワーーーーー!?」
 モヒカンを刈り取られたことでアイデンティティでも失ったのか、フライングなまにくイレイザーは血を吐いてぶっ倒れた。
「え、これで死ぬんですか? 殴られたり燃やされたりではなく?」
 瑠璃が戦闘準備万端といった様子でいたそばから血を吐いてぶっ倒れた元モヒカンを見下ろす。
「ヒャッハー……あやうく致命傷だったぜ」
 むくりと起き上がる元モヒカン。やっぱり死んではいなかったらしい。
 いなかったらしいが、遅いか早いかの問題な気もした。
「セレニティエンド」
「グワーーーーー!?」
 何も聞こえない。何も見えない。実に静かに敵の息の根を止めるでしょう。
 って書いてあるけど実にやかましくモヒカンは瑠璃のセレニティでエンドした。
 もっかい見る? スローで?
「見なくても、大丈夫ですの!」
 ノリアがヤル気をマックスにしてフライングなまにくイレイザーへと遅いかかる。
「ヒャッハー!」
「あーーーー!」
 炎に包まれるノリア。既視感。
 といっても火炎耐性をもってないわけでも熱に強いわけでもないノリア。普通に熱いし普通に痛い。
 とか思っていると、フライングなまにくイレイザーの服に突然炎が燃え移った。
「ヒャハ!?」
 そう、ノリアのバトルスタイルはHPにモノを言わせて棘棘するスタイル。燃やせば燃やすほど自らを燃やすことになるのだ。フライングなまにくイレイザーのHPなどノリアのなんかヤバイ物量のHPに比べれば燃えかすみたいなもんだ。ソッコーでモヒカンに火がついて慌てふためくことになる。
「ヒャ、ヒャハー!?」
 慌ててバケツに頭を突っ込んで鎮火する元モヒカン。現頭頂部オンリーのアフロ。
 弾正はそんなアフロの前にスッと立つと、どこからともなくマイクを取り出した。
「それでは聞いて下さい。『今朝マグロが生えていた』featuring弾正」

 なんだ夢かと ひとりごつ
 渇いたシーツに 濡れた汗
 ルージュの香りは ないけれど
 マグロのくさみは 生えている
 窓をあけて 庭をのぞめば
 マグロ畑

「「グワーーーーーー!?」」
 何人ものフライングなまにくイレイザーが血を吐いてぶっ倒れた。
 ねえ、今のがH・ブランディッシュの使用シーンだって言ったら信じる? 裁判で証言してくれる?
 弾正は『続きまして』とか言いながら次の曲に行こうとしている。
 阻止しようと火炎放射器に手を駆けるフライングなまにくイレイザーに――。
「グーぱんち!」
 鈴花のグーが炸裂した。
 よっしゃスローでもっかい見よ!
 火炎放射器に手をかけたフライングなまにくイレイザーは両目をカッ開き大口もあけモヒカンをキラリと光らせていたがその右頬に鈴花の拳がメリッ。
 左右非対称に歪んだモヒカンとそのフェイスは振り抜く鈴花のパンチによってまず吹き飛び、隣のモヒカンにぶつかって二人もろともぶっ倒れた。
「テメェなにしやがる! 殴ったな! 親にも殴られたことないのに!」
「そんな温かい家庭に育って何故モヒカンに!?」
 あと今この瞬間が、今回のバトル中一番マトモに暴力を振るったシーンであったし、モヒカンがまともな日本語(?)を喋ったシーンであった。
「俺は……俺たちはただ……ただ……」
 火炎放射器を握り、決然と立ち上がるフライングなまにくイレイザー。
 その決意に満ちた面立ちに、鈴花は一瞬だけ気圧される。
 まさか、なまにくを燃やすというその行為に深い意図が!?
「生肉燃やして炭にするのスゴイ楽しいなって思っただけなグワーーーー!?」
「グー!」
 もっかい頬にグーが入った。

 そろそろまともな戦闘シーンを挟まないとこれが戦闘するシナリオだって信じてもらえない。
 たのむぞ! メリッサ!
「なんですか!?」
 虚空に向かって振り返るメリッサ! 刻み続けるタマネギとピーマン!
 それはあとにして!
「わかりました!」
 包丁を握ったままギラッと振り返るメリッサ。
 突然だけど恐怖の現実度って言葉知ってる? 銃社会の国だと銃をチラ見せしただけで相手は恐れるしそれがモデルガンでも同じなんだけど、銃が普及してない国でそれやっても「オモチャ?映画の撮影?」とかいって写メり始めるんですね。そのかわりそいつが取り出したのが出刃包丁だともうパニックですよ。
 人間っていうのは実際に怪我するかそれを目撃してるものにたいして恐怖するのであります。
 なんでこんな説明をしたか?
 包丁もって振り返るメリッサが怖いからだよ。
「ヒャハ!?」
 また日本語を忘れたフライングなまにくイレイザーが身構える。
 が、射程は火炎放射器のほうが上! メリッサが突っ込んでくる前にトリガーをひけばこちらの勝ちだ。そう確信したフライングなまにくイレイザーに――。
「包丁びーむ!」
「包丁びーむ!?」
 メリッサが包丁からヴェノムジュエルを発射した。ビームでもなかった。
「タマネギを絞った汁を直接目に注がれる気分はどうですか!」
「目がー!」
 ヴェノムジュエルでもなかったかもしれない。
 すごい関係ないけど、タマネギ切ってると涙が出るのは硫化アリルっていう成分が含まれてるからなんだね。これは熱によって散ったりするから、軽くレンチンしたりすると泣かずに済んだりするよ。
「本当に関係ない話はしないでください!」
 目が!
 とか言っているとアオゾラがライターとサラダ油を手にゆらーりとモヒカンに近づいてきていた。
「生肉の様に燃やしてやるデス」
 いや確かにそうは言ったけど。
「ファイヤー!」
「グワー!?」
 油を注いだモヒカンに火を付けるアオゾラ。
 良い子は絶対にマネしちゃダメだぞ。
「自慢のモヒカンを燃やすなんて、なんて非道な奴だ!」
「おにくを炭にしてる人に言われたくないデス!」
 シャーッと威嚇するかのようにライターを構えるアオゾラ。
 ちなみになんだけど。
 アオゾラの主武器は剣と籠手。それも呪剣・穿爪っていう魔物の爪から作られたらしい細剣と珊瑚を削り出して作られたっていう籠手ね。これがサラダ油とライターに変わっただけでいきなり恐怖の対象みたいになるの、それこそ恐怖の現実度を感じますね。
「カルネくん! これで最後だよ!」
 とかいいながら、リュカシスがフライングなまにくイレイザーにマウントとったまま顔面をぼっこぼこに殴っていた。
「りゅ、リュカシス……」
 今までで一番まともに暴力だった。あとリュカシスはキレると笑顔でマウントボコをする子なので本当に怒らせたら駄目な子だった。
「も、もう大丈夫だから。その人のびてるし」
「そう?」
 ボコるのをやめて立ち上がるリュカシス。
 回りを見回してみても、フライングなまにくイレイザーたちは皆モヒカン狩られたり燃やされたり殴られたりで全滅している……のがおわかりいただけるだろうか?
 端的にいって惨劇だね。
「「お、おぼえていやがれ!」」
 フライングなまにくイレイザーたちは全員一斉に立ち上がってそう叫ぶと、火炎放射器を丁寧に畳んで安全装置をかけ燃料タンクを外して暴発を防ぐ処理をするとすたこらさっさと逃げていったのであった。
 めでたしめでたし。

●肉!
「って、まだ終わってないわよ!」
 肉よ! と鈴花は鉄の串をシュッシュと振り回した。
 それによって刺された牛のブロック肉は、予め用意させていただきましたこちらのバーベキューセットの上に置いていただいてですね、そう、そのまましばらーくまっていただきますと……。
「じゅ、じゅわあ……」
 表面から順に焼けていくビーフの香り。鈴花はじゅるりとやると、丁寧に串をひっくりかえす。
「野菜も! 野菜もですからね!」
 さっきまで刻んでたタマネギスライスを網の上に載せていくメリッサ。
 トングで丁寧に野菜を並べていくさまはまさにバーベキュー奉行。
 その横では弾正がカジキマグロを包丁で捌いていた。
「この骨の間にある肉が貴重で美味い」
 とかいいながら畑で取れた新鮮なカジキマグロ(嘘じゃないよ)を披露しつつ、赤身肉をバーベキューの網へと乗せるのであった。
「肉、野菜、魚、肉、野菜、魚……」
 これ幸いと全部戴くアオゾラ。
「あ、肉はカルビがいいです」
「はいどうぞ」
 アオゾラがいうと、カルネがトングでお皿にカルビ肉の焼けたやつをとってくれた。
「ふふ、一緒に食べるといっそうおいしいね」
 にっこりと笑うカルネに、アオゾラがこくこくと頷く。
「カルネくんのお肉はボクが焼いてあげるね! 任せて、役の上手だから!」
 リュカシスがいそいそとロース肉を網の上へと並べていく。
 ほらやけたよと一枚お皿にのっけてあげると、カルネはそれをそっと口に運んだ。
「あは。焼いて貰ったお肉って……なんだか特別な味がする」
 皆がわいわいとやっているなかで、黙々と焼き肉を堪能する瑠璃。
「シンプルな塩レモンも嫌いじゃないですが、焼肉屋さんの味噌ダレも専門家が研鑽を重ねた品として一目置きたい所」
 タレをつけて一口食べるとその味わいは……。

「ふう……一時は、どうなることかと、思いましたの」
 ノリアがほっと胸をなで下ろす。ちゃんと説明していなかったが、どうやらノリアはフライングなまにくを自分のことだと勘違いしていたらしい。じゃあフライングなまにくイレイザーとか普通に脅威じゃんってことで、あんなにシュッシュしていたのである。
 しかし終わってみればモヒカンもただのモヒカン。ふと振り返ると……。
「ハッ」
 木陰に隠れて捕まえた肉をがつがつ食べていたカイトと目が合った。
「…………」
 キリッとしたカイトの顔に、猛禽類の誇りがあった。
 たとえるなら、丁寧に焼いてる肉を「これ私が育ててるから」といって牽制する人のようなその視線に、ノリアはこくりとだけ頷いて見せる。
 そう。人は捕食者にも、非捕食者にもなりえるのである。……こう言っておけば真面目な雰囲気になる気がした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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