シナリオ詳細
シャイニングマスカットを求めて
オープニング
●そのブドウ、凄い光る
シャイニングマスカット、というものを知っているだろうか?
エメラルドのような緑色の大きな粒。輝けるその美しさは、宝石の如く。
種類としてはブドウの仲間なのだがその大粒の中に種は無く、非常に食べやすい。
しかし、種もなくどうやって増えているのか?
その理由は簡単で、シャイニングマスカットはいわゆる魔法植物のようなものであり、時期になると光の球を放ち風に乗って流されていくが……それが種であるらしい。
なんとも不思議な植物だ。そしてさらに面白いのは、このシャイニングマスカットが覇竜産の植物であり果物であるということだ。
普通一般的に知られているブドウの木と違い、シャイニングマスカットはとても立派な太い木だ。
育てば見上げるような大木に育つというが……丁度この時期、シャイニングマスカットは一番おいしくなるという。
そして同時に、その一番おいしくなる時期にシャイニングマスカットの放つ光の球は最大量になるともいう。
それはなんとも幻想的な光景だろうが……手に入れるにはちょっとばかり大変であるとも、いうのだ。
●シャイニングマスカットを求めて
「シャイニングマスカットが丁度時期でのう」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は、集まった面々にそう切り出した。
シャイニングマスカット。覇竜に存在するブドウの中でも最高級品に位置するブドウだ。
その実の美しさは勿論、美味しさも最上級。
ラサに何度か流れたことがあるが、誰もが信じられないほどの高値で買おうと争ったという。
しかしながらこのシャイニングマスカット。そう簡単に手に入るものではないのだ。
「実はな、このシャイニングマスカット……光るんじゃよ」
そう、光るのだ。
この一番シャイニングマスカットが美味しくなるこの時期、夏の太陽の力を存分に蓄えたシャイニングマスカットは収穫の瞬間に凄い光るのだ。
マスカットスパークと呼ばれるこの輝きは、蓄えた力を放出するかのようにとんでもない光量の輝きを放つ。
そしてそれは、小規模の爆発を起こすのだ。
採取した生物を真っ黒けにしてしまうほどの爆発でありながらもシャイニングマスカットには傷1つ無い。
そんな不思議なシャイニングマスカットだが、採取時に自分を採取する生き物に余剰エネルギーを流し込むことで適切な美味しさを得ているのだという説もある。
「つまり……美味しいシャイニングマスカットを得ようと望むのなら、この爆発を避けてはならんということじゃな」
なんとも恐ろしい事実だろう。
おいしいシャイニングマスカットを得るため、自分の身を犠牲にしなければならないのだ。
しかしそれで世界最高峰の果物を得られるのなら、問題はない……のだろうか?
「シャイニングマスカットの木は此処から少し離れた丘の上にあるでのう。好きなだけ取ってくるといいんじゃないかの」
そう、今年の夏の味覚シャイニングマスカット。
それを美味しく食べられるかは、その手にかかっているのだ……!
- シャイニングマスカットを求めて完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年09月02日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●シャイニングマスカット(前編)
見上げるような木にシャイニングマスカットがたくさん生っている。
そのエメラルドのような輝きは美しく……誰もがそれに見惚れてしまいそうだ。
「シャイニングマスカット……なるほど、これは言うならば『果実の宝石』ですね」
『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)もシャイニングマスカットを見上げそう呟く。
「そう、その見た目も、味も。そして、値段も。これは、金の匂いがしますね」
おっと、金の力に染まっていた。さておいて。
「故郷の世界にいた幼い頃、御館様への贈り物を分けて頂いたこともありました。ですので、味や形状は知っているつもりでしたが……産地や収穫方法などは調べたことがありませんでしたね。こんな収穫方法ではさすがにないでしょうが……。何にしても久しぶりに食べられるのは嬉しいですね。たくさん採って食べたいものです」
『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)がそう言えば寛治は「お、ではお先にどうぞ」と一歩引く。紳士的だ……いや、先に生贄を捧げたのかもしれない。だが一番手はいいものだ。
「ということで、木に登って収穫していきます。農家の皆様も派手に光っておられるようですが、そんなに痛くないのでしょうか」
瑠璃がちょきんんと切ると同時に輝き起こる爆発音。真っ黒になった瑠璃がケホッと黒い息を吐く。
「……いや結構痛いのですけれど!? もとより黒装束ですので黒化は目立ちませんけれども、衝撃で身を取り落としてしまっては元も子もありません。籠をあらかじめ真下に用するとかの工夫をしたほうが良いでしょう。採取時の爆発は回避する方法が難しく、HPで何とか耐えるくらいしかできませんがっ」
瑠璃の鼻をマスカットクワガタがカプッと挟む。
「やっぱり痛いのですけれど!? ……顔目掛けて飛んでくるクワガタはかなり恐怖を感じますね。いっそ収穫するように見せかけて寄ってきたところを捕獲し、練達あたりに売りに行ってもいいかしら。場合によってはカブトムシより高値が付くこともありますが、こちらではどうでしょ……え、あれ。外れないんですが!?」
貴様の鼻を離すもんかとギリギリ挟むマスカットクワガタが何処かに飛んでいってホッとしている瑠璃を余所に、寛治は農家のような心持ちだった。
「一般に農作業というのは、自然との戦いであり対話だ。果物の収穫時期は、農家の方々が日々の生育状況を見守り、食べ頃を見極め、一番美味しい時期を逃さずに収穫される。そう、例えばゴリョウさんがそうやって冬に蜜柑を収穫しているように。しかし、このシャイニングマスカットは、マスカットスパークという発光と爆発で、自ら食べ頃になるという性質がある」
それは1つの真実を指し示している。寛治はそう思うのだ。
「そう、つまり我々のような素人でも、最高のタイミングで収穫する事ができる果物なのです」
まさにその通りだ。一番難しい部分をシャイニングマスカット自身が示してくれるというのだ。こんな素晴らしいことはない。
「そうと分かれば徹底的に収穫していきましょうか」
見た感じ食べられそうな実があれば、木を揺らす、実に触れるなど様々な刺激を与えて積極的に爆発させていくのもありだろう。
なお、木を揺らしたことで瑠璃が巻き込まれて爆発している。降りてきて寛治の眼鏡が割れた。悪は滅びた。あと寛治の鼻をマスカットクワガタが挟んだ。
「黒焦げ? アフロ? 上等です。最高の収穫のためには必要な犠牲でしょう。マスカットクワガタ? 上等です。抵抗は甘んじて受け入れましょう。耳でも鼻でも、好きな所に噛みつけばいい。痛いけど。あと眼鏡はちょっとやめてほしい。やめ……振りじゃないんですよ!」
何故かすでに眼鏡は挟まれている。あと耳も挟んで豪奢なピアスのようにもなっている。何故かは分からない。
「多少は未熟な実でも、爆発によって完熟して食べ頃になるかもしれなませんね。実験を。あとは枝を折って持ち帰れば、食べる直前に爆発させる事も可能かもしれません。爆発物の輸送並みに最新の注意を払って持ち運びましょう」
かなり本格的だが……それも寛治にとっては当然だ。
「もぎたてを食べる。持ち帰って売りさばく。私は欲張りですから、両取りでいきますよ」
そんな寛治だが、相賀やフリアノンの里と交渉して、シャイニングマスカットを持ち出し外部販売する許可を得ていた。
「この里の作物の素晴らしさを伝えれば、交易の促進、ひいては里の利益につながる事は間違いありません」
そう言いくるめ、利益の一部をマージンとしてバックする条件も提示し説得する手腕は見事なものだった。
そしてすでにドレイク・チャリオッツにシャイニングマスカットを積んでラサや幻想の街角で産地直送の移動販売を開催する手筈は出来ている……なんだろう、微妙にやり口に胡散臭さが残る。何故なのか。『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)は考えても仕方がないのでコャーと鳴いた。
「本日はお日柄もよく、絶好のシャイニング日和なの」
美味しいマスカットがあると聞いた我々が覇竜の秘境へ向かうと、そこには! のノリできた胡桃ではあったが、すでに爆発が凄いし眼鏡は飛んだり挟まれたりしている。
「どうやら完璧で究極なマスカットがシャイニングでスパークする上に、でたなマスカットクワガタってなるらしいので、気を引き締めて行くのよ」
視線の先では瑠璃が鼻を挟まれ感じがクワガタまみれになっている。何故なのか。
「うぉっまぶしっって感じになるならば、サングラスとか用意しておくといいのではないかと思うのだけれども、どうなのかしら」
視線を向けた先の寛治は寛治なのか怪人クワガタまみれなのか分からない。
「もちろん、爆発のダメージは防げぬのだけれども、でぃーるうぃずいっと、って感じなの」
しかしこのマスカットクワガタ、胡桃としては疑問点がないでもない。
「マスカットクワガタなのだけれども、マスカットはいっぱいあるので、仲良く分け合ったりはできぬのかしら~? わたしの場合耳とか目立つのに、なにゆえに鼻を? という感じなのだけれども、あっちでは全身クワガタまみれ……コャ~~~~~~~~~~~」
胡桃も鼻を挟まれた。一部の例外を除けば鼻を挟まれてしまうようだ。
「うーん、この痛み、マスカットクワガタにマスカットスパークを受けてもらった後にシャイニングマスカットを横からかっさらうというプランBは無理そうなの」
そこで最大の問題となるのは、いかにして耐えるかということだが……胡桃の選択は「気合」であった。
「一応今回は宇宙猫シフトで幻想纏いを使えばEXF100で生還はできるの」
炎たるわたしとしてはやはりこの程度の熱量は耐えきらねば、と思う胡桃は、まさに勇壮な猫だ。狐だけれども。
「ようし、今回も機動力を活かして逃げ……られないんだよなぁ、今回は」
『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)は阿鼻叫喚の現場を見ながらそう呟く。
「……ま、覚悟を決めるしかないか。輝く果汁が食の果てを照らし、奇跡のようなおいしさを呼ぶのだ。……え、シャイニング違い?」
練達でロボットアニメを見たらしいエーレンがそんなことを言っているが、此処はネオ覇竜ではない。何かを察した寛治が眼鏡を光らせ胡桃がコャーと鳴いている。
「深呼吸からの……南無三!」
シャイニングマスカットを一思いに収穫したエーレンだが、当然のように爆発する。
「……けほっ」
一際黒く……練達のギャグアニメめいた黒いシルエットに丸い目だけが瞬きしている絵面のエーレンがそこにはいた。
一際黒いが、その手にはしっかりとシャイニングマスカットがある。
「だが真っ黒になる覚悟さえ決めればこの程度あ痛ーッ!? こいつかマスカットクワガタか! なんでピンポイントに鼻狙ってくるんだこいつは痛い痛い痛い! こ、こいつ! まさか水の一滴が見えて……!?」
なんとか背中側を摘まんで引き剥がしたエーレンだが、凄い個体にあたってしまったものだ。
「……アルフィオーネが言ってたこいつでカット&キャッチを試してみるか。まずさっき収穫したシャイニングマスカットをこいつに一粒食わせて……ほーらクワガタ、一番乗りだぞー。――そしてこいつを装備したままシャイニングマスカットのツルを目がけて一閃!」
クワガタに逃げられるか自分だけ爆発するか意外と成功するのか、結果やいかに。答えは後編で!
●シャイニングマスカット(前編)
真っ黒になったエーレンがマスカットクワガタに鼻を挟まれている。何やら「ぐわー、明鏡止水!」と言っているが楽しそうなので放置である。
シャイニングマスカットの収穫はこんなにも難事ではあるが、『ライブキッチン』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)が諦める理由にはならない。何しろ寛治の話にアルフィオーネも1枚嚙んでいる。何やら許可をもぎとっていたので、乗らない理由がない。
「う~ん。悩むわね……すっごく美味しいらしいから、食べてみたいけど、すっごく高値で売れるらしいから、少しでも多く売りたくもある……う~ん……はっ! 大量に取って、半分食べて、半分売ればいいんじゃない? 名案だわ」
飛行で、なるたけ高い位置に生るマスカットを、収穫する。その方が太陽の光をより多く浴びており、美味であるのではないか?と、考えたためである。
決まったらしい。なお、アルフィオーネはマスカットクワガタを捕獲し、道具として使うつもりだった。マスカットクワガタは爆発の影響を受けないと聞き及び、何らかしらの耐性があるのだろう。と、踏んだためである。つまり、マスカットクワガタで、枝から切り落とし、マスカットクワガタで受け取る。”直接”触れなければ、爆発して、まっくろくろすけにならずに済むのではないのでは?と 予測したのである。
結果として、エーレン同様にアルフィオーネは真っ黒になってクワガタに鼻を挟まれている。痛い。
なんかやけくそになり始めたアルフィオーネを横目に、『死神の足音』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)はククク……と笑う。
「ククク……シャイニングマスカットだ。まずシャイニングマスカットとか聞いたことないしシャイニングマスカットが何なのか全く知らないしなんならマスカット自体あんまり好きじゃないんだけどシャイニングマスカットを狩りつくしてやる……」
おっと、まあそういうこともある。さておこう。
「まずはモード・スレイプニルで自身に機動力と運搬性能を追加する。これにより更に一人で多くのシャイニングマスカットを手に入れることができる」
確かに重要だ。それが出来るなら効率が凄くよくなるからだ。
(そして俺はギャグキャラ強化と邪気眼強化と第四の壁持ちだ。つまり与太に対してあまりにも強い。戦闘も強い。こないだバランス型のイレギュラーズが1ターンで沈んだ。怖い。でも次はもっとイカれた技を出してくれるはずだ)
どうだろうか。与太に強いということは酷い目にあっても大丈夫だねと第四の壁の向こうにアピールしていないだろうか?
「という事でシャイニングマスカットを手に入れるぞ。いざ……! アッ想像以上の光が。だが黒焦げになる対策はすでにされている。何故なら俺はすでに肌色が真っ黒になっているからだ。黒に焦げ目を足したところで更に黒にはならない! ちょっとなんかヴェザリングが入った感じなる! 逆にこの方がかっこよくないか」
カラーの黒をぶっかけた状態をカッコいい、黒に染まったと言い張れるならそうかもしれない。
「クワガタが鼻や耳に挟んできても構いはしない。超越個体の効果が逆に働いてめちゃくちゃ痛いが」
生命維持に食事や睡眠が不要だが、更に五感が常人に比べて発達しているのが仇になっている。
「これホントにダメージない? 精神的なダメージ沢山あるんじゃない? デジタルタトゥー的な」
あるかもしれない。今後何やっても「でもアイツあの日、クワガタに鼻挟まれてたんだよな……」ってなるし。
「全てを収穫し終えた時、そこには多数のシャイニングマスカットを抱えた俺が存在する事だろう。クワガタも多数いるはずだ」
そんなに挟まれるつもりなのだろうか、大変そうだ。ちなみに夏休みの自由研究としてマスカットクワガタの飼育をしてみるつもりだった。
さて、何やら大変なことになっているが『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も負けてはいない。
「覇竜の食べ物といえば爆発したり襲ってきたり美味しいものは簡単には手に入らないんです。シャイニングマスカット、頑張って収穫しますよ……!」
なんとも「分かっている」発言だ。流石のユーフォニーである。
「おいしいシャイニングマスカット、楽しみ……! 爆発する分、おいしくなる……つまり爆発は必須事項、なんだね。しゃおみーも頑張って収穫するよ!」
『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)もユーフォニーの言葉に納得している。
「問題はマスカットクワガタ……だって痛いの嫌ですもん」
流石のユーフォニーであってもやっぱり嫌なようだ……まあ、当然だ。
「ということで、最終兵器昆虫ゼリーと樹液! クワガタたちを匂いで引き付けたら、マスカットの木から離れるように木と反対の方向へゼリーや樹液を思いっきり投げます! えーいっ! ……ヘスペリデスでも似たようなことしましたね…あの時は確かあのままクワガタに囲まれて…って、きゃあああぁぁぁ!?」
「まってクワガタさんが飛んでくる、にゃーーーーーー!!」
なんと樹液などに惹かれてマスカットクワガタたちが3匹同時にユーフォニーの鼻を挟んだのである!
そして銘恵も鼻を挟まれた……!
「うう、クワガタに負けてる場合じゃないんです……! 全身真っ黒はいいんです。それ程度にためらう気持ちはかなり前にどこか行きました」
「本当ですか?」
「新田さんは何やったらそうなるんです……?」
クワガタまみれになっている寛治を見ながら、ユーフォニーは気を取り直す。
「真正面から受けましょう! 私たちが黒に染まれば染まるほど、シャイニングマスカットは美味しく輝くんですから! うおお……!」
ユーフォニーの勇気がたくさんのシャイニングマスカットを得ると信じて……!
「さて、爆発させ尽くしたら収穫です。飛行して高いところの収穫もお任せあれです。実を傷つけないように取り扱いは優しく丁寧に。後学のために、黒焦げが時間経過を待たずに対処できるかも試してみませんと……これまでの経験からは対処できない気がしてます」
「……うう、ひどい目にあった……けど頑張る……!」
銘恵もそう呟くが、爆発することでシャイニングマスカットは美味しくなる。
だからこそ安全な所に持って行って何度でもマスカットを収穫していくのだ。
他の皆が収穫してる所とは少し離れた所で収穫して、爆発に巻き込まないようにする気遣いまで完璧だ。
「痛いしぷすぷすするけど頑張る! なんとか耐えるよ……!」
そんな銘恵の頑張りもあって無事にシャイニングマスカットを回収し終われば、お楽しみのときである。
「うん、やはり期待通りの味ですね。これならば人気商品になるでしょう」
寛治も頷いているが、本当に上質なマスカットだ。
「そのまま皮ごと一粒口に入れて、食べてみても美味しいしジュースとかにしてみても良いかも。生クリームやパンも使って、シャイニングマスカットのフルーツサンドも作ってみるね。皆はどんな食べ方するのかな、楽しみ……!」
銘恵はパンや生クリーム等を保冷可能なバッグに入れて持参してきていたが、種のないシャイニングマスカットはそのままでも物凄く美味しい。食感もこれまた素晴らしいのが食欲をそそる。
「ドラネコ達もマスカット食べる?」
銘恵がドラネコにあげている近くでは、アルフィオーネがマスカットパイを作っている。
「パイ型の上にパイ生地を敷き、バターを塗る。その上にシャイニングマスカットを敷き詰める。端をパイ生地で固め、生地に卵黄を塗る。オーブンでこんがり焼き色がつくまで焼いて……はい、完成よ」
そしてユーフォニーも一粒食べながら、調理の手を進めている。
「洗ってそのまま食べるも良し、スイーツにするのも……♪ マスカットタルトとか見た目も綺麗で大好きです。せっかくなので料理してみましょうか。ラサに流れたことも……ふむ。交易の発展にもなりそうですね……!」
「そうだな」
そんなユーフォニーの言葉にはエーレンも頷く。実際、そうなっていくだろう。だが、それはさておいて料理の時間だ。
「まずは覇竜の上質な砂糖をそのまま煮溶かして作ったべっこう飴を薄くコーティングしたブドウ飴。パリパリとした歯触りと溢れる果汁がベストマッチだな」
お祭りでも人気の品だが、こうして新鮮な果物で作れば美味しさも倍増だ。
「次は豊穣から持ち込んだ白玉粉に水と砂糖を加えて練った上で蒸し上げ、もっちりとした求肥を作る。こいつで泡立てた生クリームと特に大粒のシャイニングマスカットを包めばシャイニングマスカット大福の完成だ。素材を活かすべく今回はシンプルめに攻めてみた」
新鮮な素材であればそれを活かす食べ方は美味しい。それを胡桃も理解していた。
「やはりそのまま食べるのが美味しそうなの。ジュースにしてもいいのかしら。ここまで来た甲斐があったの……後で凍らせたりしてシャーベットにするのもいいかしら」
なるほど、シャーベットも美味しいだろう。
「では出揃ったところでビターな高級チョコと一緒に食べたりお茶と一緒に頂いたりするとしましょうか。ケーキの素材にしてもいいのですが、今はこの味を楽しみたいですね」
そう瑠璃が言えば、ブランシュがスッと進み出る。
「そういえば爆発するときに余剰エネルギーが俺の中に流れ込んでいるんだった。何処かで爆発させておかないと。つまり今。俺が爆発オチだ!」
空へと飛んだブランシュが爆発して、なんかこう花火的なものになる。シャイニングマスカットと、爆発オチ。
そんな感じの、騒々しい一日は過ぎていくのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
天野はブドウ全般が大好きです
GMコメント
フリアノンから少し離れた丘に行き、シャイニングマスカットを収穫しましょう。
シャイニングマスカットの木は見上げるような大きさですが、そこにたくさんシャイニングマスカットが生っています。
ただし、収穫のときに木に住んでいるマスカットクワガタが鼻を挟みにくる可能性もあるので気を付けましょう。
はい、与太ですね。
●シャイニングマスカット(果物)
収穫時に光を放ち爆発を起こす「マスカットスパーク」を使います。爆発に巻き込まれた人はギャグマンガみたいに全身真っ黒になります。
この状態は時間経過で元に戻ります。
●マスカットクワガタ×たくさん
シャイニングマスカットの木と共生関係にあるクワガタモンスター。
シャイニングマスカットを収穫しようとする者の鼻を挟みに来ます。
ダメージはありませんが、すんごい痛いです。
なお、シャイニングマスカットの爆発による影響を受けません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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