＜英雄譚の始まり＞勇者進水ＧＣ：未知なる天地

オープニング

●グッドクルーザー、プーレルジールに立つ
「ここが、プーレルジール……」
　秘宝種の秘密が眠るとも言われる魔法使いたちの世界、プーレルジール。
　グッドクルーザーはゆっくりと、草原に歩みを進めるのであった。

　彼の名はグッドクルーザー。
　海洋に存在した古代遺跡から目覚め、魔を払うという記憶（使命）のみを持ったレガシー・ゼロだ。
　その境遇はどこかゼロ・クールたちにも通じ、グッドクルーザーは彼らを他人のようには思えなかったらしい。
「希望の戦士イレギュラーズ――当機は彼らと共にこの世界を見つめ、そして知りたいと考えています。もしかしたらそれが、我々の出生に関わる秘密に繋がっているのかもしれないのですから」

●ターニターヴェとヒェルノ
　これはある魔法使いターニターヴェからの依頼である。
　湾岸地区に現れた終焉獣クロンボルグを倒してほしいというものだ。
「クロンボルグは、鎧に身を包んだ巨大なゴーレムのような姿をした終焉獣だ」
　案内人であるゼロ・クールのヒェルノはそのように説明を始めた。
　どうやらヒェルノは絵を描くことに優れているらしく、鉛筆一本で正確なスケッチを描いてみせる。
　鎧は古びた鉄と岩石で構成されているらしく、傷跡や亀裂がその表面に広がっているように見える。しかし鎧の間からは鬱蒼とした闇が漏れ出し、その奥からは紫色の光が見えていた。
「強力そうな終焉獣ですね……これが複数体いるのですか？」
「その通り」
　ヒェルノは頷き、スケッチを続ける。
「クロンボルグは岩や土、闇のエネルギーを操る能力を持っているらしい。
　地面を揺るがし、岩石をミサイルのように飛ばし、闇のエネルギーを光線として放つ」
　ほら、とスケッチしてみせたのは岩のミサイルを激しく発射し町を破壊するクロンボルグの姿である。
「いけません！　すぐに向かわなくては！」
　がたりと立ち上がるグッドクルーザー。ヒェルノは落ち着くように手を翳すと、彼に座るようジェスチャーした。
「あくまで人の住んでいる場所に出現した場合さ。まだそこまで達してない。今のうちに向かえば、人里に被害が出る前に叩くことが出来る筈だよ」
「なるほど、それならば……」
　そう言いながら、グッドクルーザーは自らの胸に手を当てた。
　そしてあなたに顔を向ける。
「境界世界に入ってしまったからでしょうか、紋章が反応しません。おそらくこの世界では『希望合体』は使えないでしょう。
　ですが、この世界になぜ終焉獣が跋扈しているのかも気になります」
　行きましょう。と、グッドクルーザーはあなたに向けて手を差し伸べた。
「いずれにせよ、人々に危険が迫っているなら助けなくては。
　例え未知の世界と未知の敵であっても立ち向かう。それが――勇気と正義なのですから！」

●終焉獣クロンボルグ
「撃て撃て！　居住区には近づけるな！」
　ライフルを構えた兵士や杖を掲げた魔法使いたちが一斉攻撃をしかける。
　対象はクロンボルグだ。
　集中砲火を浴びたクロンボルグは大きくよろめくが、まるで目のようにギュオンと光らせた頭部の紫光が兵士たちを見やる。
　鎧の胸部が僅かに開き、そこから闇の光線が発射される。光線は右から左になぎ払うように放射され、兵士たちが吹き飛んだ。
　更には鎧の形部分が解放され、岩で出来た魔導ミサイルが次々に発射。闇のエネルギーを内包したそれは着弾と同時に次々に爆発する。
　味方の損耗が激しいとみるや、兵士の一人が馬に飛び乗った。
「まずいな……撤退だ！　撤退！」
　戦力をとにかく立て直さなくては。そう表情に焦りを浮かべながら、兵士は叫ぶ。
　対して。
　逃げていく兵士たちを見つめながら、クロンボルグはしかし追撃をしなかった。
　まるで何かを待っているかのように、じっと立ったまま頭部の紫の光を瞬かせるのであった。

参加者 : 8 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（8人）

サポートNPC一覧（1人）

リプレイ

●勇気と正義
「よ、船長！」
　『風読禽』カイト・シャルラハ（p3p000684）がグッドクルーザーの背をぽんと叩くと、彼は嬉しそうに振り返った。
「希望の戦士カイト！　お久しぶりです。今は船は持ってこられませんでしたが……」
「それでも船長は船長だぜ。なあ？」
　問いかけるようにカイトが振り返ると、『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト（p3p010126）がドンと自らの胸を叩いて見せた。
「グッドクルーザー！　貴方のような勇者とまた共に戦えること、光栄であります！」
「当機こそ、光栄です希望の戦士ムサシ」
「人々の危機には例え未知の世界と未知の敵であっても立ち向かう。その通り。自分たちがやってきたこと、それをやるのみ、であります！」
　ムサシの差し出した手を、グッドクルーザーはぎゅっと握って握手を交わした。
　その様子を眺めていた大和型戦艦 二番艦 武蔵（p3p010829）が、腕組みをして頷いた。
「助けを求める声あらば応えんとする、その意気や良し！！
　共闘するのは初めてかもしれんが、気が合いそうだ！」
「ええ、それに……他人とは思えませんしね」
　『無限ライダー2号』鵜来巣 冥夜（p3p008218）も横に並び、眼鏡をくいっとなおした。
「鵜来巣家も、魔を祓う事い平和を成す事を使命として与えられた秘宝種ですから」
　そう言って歩み寄ると、ムサシとグッドクルーザーの握手に更に手を重ね強く頷いて見せる。
「共に正義の為に戦いましょう！」

「おお、随分熱くなってるじゃねえか。気に入った。俺もいっちょ熱くなってみるか」
　『最強のダチ』ヤツェク・ブルーフラワー（p3p009093）はギターでどこか冒険の旅立ちを思わせる音楽を奏でると、フッと不敵に笑った。
　『咎人狩り』ラムダ・アイリス（p3p008609）がグッドクルーザーへ歩み寄る。
「呼び方はどっちがいい？　グッド？　クル？」
「どちらなりと、希望の戦士アイリス」
「ならグッドかな。それじゃあ征こうか君が言う勇気と正義をこの世界に魅せる為に」
　それまで腕組みをして立っていた『修羅の如く』三鬼 昴（p3p010722）がのっそりと動き出し、グッドクルーザーの前に立ち握手を求める。
「グッドクルーザー。私も共に戦おう」
　交わされる握手。そんな中で、『ナチュラルボーン食いしん坊！』ニャンタル・ポルタ（p3p010190）はむむむと何か考え事をしているようだった。
（しかし例のクロンボルグとやら。何故助けを求めに走った兵士の命は奪わなかったのか……。
　我等を誘き出す為の罠なら何とも豪胆な！　余程力に自信があると見える）
　両手に剣を抜き、その刀身に刻まれた『うちゅうやばい』『うちゅうすごい』の文字がギラリと光る。
「其の鼻、へし折ってくれる！！！！　クロンボルグよ！」

●クロンボルグ
　兵たちと入れ替わるように戦場へと赴くと、そこには数機のクロンボルグが立ち並んでいた。
　まるで敵を待ち構えるかのようなその姿勢に、移動のためにドレイクチャリオッツを操縦していた昴はその手綱を強く握りしめた。
「何人かは飛び降りろ。このまま突っ込む」
「良い度胸だ。付き合うぜ」
　それに応じたのはヤツェクだ。ギターで奏でる音楽を勇壮なものへと変えると、治癒の力を強化し始める。
「ならば砲手は必要となろう。戦艦武蔵、参る！！」
　ドレイクチャリオッツの名の通り戦車と化したそれは、クロンボルグの放つ岩石のミサイルの雨の中を駆け抜けた。
　昴は幾度もの直撃を受けるも、そのダメージをヤツェクが直接的に回復していく。ゴリ押しもゴリ押しの戦術だが、しかし――。
「熱い！」
　武蔵は幌を飛ばした馬車の上から『九四式四六糎三連装砲改』を構える。妖精たちが弾込めを終え準備完了のサインを出したのを確認すると、武蔵は吠えるように叫んだ。
「敵の密集陣形に纏めて叩き込め、撃ェ！」
　ドドドッと砲身が火を噴きクロンボルグへと叩き込まれる。
　それ以上の集中攻撃を受けるわけにはいかないとばかりに、クロンボルグたちはバッと散開を始めた。
「チャンスだ！　一部の連中は俺が引きつける！　そこに紛れ込んで敵の範囲攻撃を封じるんだ！」
　カイトは翼に赤い残光を纏わせながらクロンボルグたちの間を駆け抜けると、大空へと飛び上がる。高高度ペナルティがかかっているにも関わらず、クロンボルグの放つ何本もの闇の光線を華麗に回避していくカイト。
　大空に光の線がいくつもの描かれては、カイトがその中を踊るという光景はいっそ芸術的ですらあった。
「船長！　この間に連中へミサイルを叩き込め！」
「了解！　グッドランチャー、セット！」
　背中にマウントしていたミサイルポットを肩に担ぐようにセットすると、全弾を撃ち尽くしてからパージ。
　全てのミサイルがクロンボルグたちの中へ飛び込み爆発を広げるその直後、アイリスが黒い閃光となって走った。
　可変式魔導装甲「応龍」の装備によって低空飛行状態となったアイリスは、自らをアローヘッドと化して突進。
「――対群精神感応攻撃術式「死月」」
　別名、マインドジャック・デッドリームーン。斬撃は広範囲へと広がり、一部のクロンボルグはミサイルを内側で爆発させよろめいた。
　それらの間カイトがどうしていたかといえば、『全部自分だけ避けていた』のである。なかなかできないタイプの『俺ごと撃て』作戦である。
　次々と倒れるクロンボルグたち、アイリスが振り返ると、こちらは任せろとばかりに冥夜が走り出していた。
　彼は既に無限ライダー二号のバトルスーツを着用し、ヘルメットのアイシールドごしに目をキラリと光らせる。
「ムサシ様、ここは合体技と行きましょう！」
「なるほど……いいでしょう！」
　フォーミュラｰアーマーを召喚し、装着するムサシ。目をギラリと光らせた彼はディフェンダー・ファンネルッの飛行にあわせて跳躍。脚部に集まったファンネルビットが豪速の力をもつその一方で、冥夜もスマートホン型呪術発動アプリを起動。脚部に呪力の全てを集中させ、翼を羽ばたかせるが如く加速した。眩い光が放たれ、クロンボルグは思わず目の光を明滅させた。
「「破ッ」」
　それぞれの電子音が響く中、二人のキックがクロンボルグを貫き崩壊、爆発させる。
　スライディングの姿勢で着地し、爆発の後光を浴びながら見栄を切る二人。
「ぬう！　あの技！　再び出す時か！」
　ニャンタルはカッと振り向いて剣を構えた。
「罪もなき人々の命を弄ぶとは……お天道様が許してもヒーローとなったこの我が許さんぞ！！」
　交差させた二つの剣を光が走り、『うちゅう』の文字が交差する。
「必殺――！」
　光を放ちながら突っ切るニャンタル。ミサイルの爆発が幾度も起きるが知ったことではないというふうに駆け抜けた彼女の剣は、ついにクロンボルグを切り裂いて走り抜けた。
　見栄を切った彼女の後ろで爆発を起こすクロンボルグ。
　それが、最後のクロンボルグであった。

●古代遺跡ともうひとつの勇者伝説
「おお、やったなお前ら！」
　そう言って走ってくるのはヒェルノ。今回の案内人でもあるゼロ・クールだ。
　見れば、クロンボルグの残骸があちこちに転がっている。
　だが、クロンボルグたちの中にあった闇のようなものだけがどこにもない。
「む、これは……！」
　残骸を調べていた冥夜が声をあげる。ムサシとアイリスが駆け寄ると、冥夜はクロンボルグの残骸の一部を引っ張り上げてからその内側に入ってたコアのようなものを指し示す。
「見てください。これはゴーレムの特徴です」
　不格好な人形にも見えるコア。それは確かにゴーレムモンスターに見られる特徴の一つだ。
　もしやとムサシが振りかえる。
「ヒェルノさん、このあたりにゴーレムが出没するという話は？」
「いや、聞いたことは……まてよ、もしかして……」
　何か考えこむヒェルノ。アイリスが歩み寄り、呟いた。
「近くに古代遺跡が存在していた。違うか」
「！？」
　ハッとしてムサシたち振り返り、答えを求めるようにヒェルノを見る。
　ヒェルノは重々しく頷いた。
「ああ、確かに……この場所には古代遺跡がある。けれど長い間封印されていて誰も入れなかったんだ。内部への調査も空振りに終わってる。空っぽの遺跡だと思っていたんだが……」

　混沌世界には、アイオンほどではないが『勇者』と呼ばれる存在の伝説がある。
　それが、幻想王国南西部に位置する古代遺跡に眠る勇者の伝説である。
　それは人工の勇者であり、一度は魔に敗北した勇者たちの伝説。
　名を、『勇者進水グッドクルーザー』。
　かれは古代遺跡より目覚め、一切の記憶を持たぬまま戦いに赴いた。
「なあ、もしかしたら……それと同じような遺跡がこっちにもあるんじゃないのか？」
　ヤツェクのそんな言葉に、カイトがもしやと呟く。
「確かにここは混沌のIFだ。似たような建造物がある可能性だってある。まだ確認できてないが、アーカーシュやそれに類するものだってあるかもしれないしな」
「ヒェルノ。その古代遺跡ってやつの場所へ案内してくれないか」
　ヤツェクが言うと、ヒェルノは深く頷いて歩き出した。

　ごつごつとした岩場の続くその先に、遺跡はあった。
　いや、あったと表現してよいのだろうか。
「マジかよ、ガワが全て吹き飛んでいやがる。中身が向きだしだ」
　ヒェルノがそう述べる通りに、岩場は向きだし。壁のようなものがあった痕跡こそあるが、まるで内側から爆発でもしたかのように壁も天井も無くなっている。
「これは、一体……」
　昴が怪訝そうにしていると、武蔵がハッと顔を上げる。
「この遺跡、何かが動いている……！」
「何かだと？　一体――」
「皆の者、警戒じゃ！　適性反応！」
　ニャンタルが強く叫ぶと同時に、遺跡の中心に存在していた棺のような物体がガコンと音を立てて開いた。
　中から吹き上がる煙。
　人影のようなものが立ち上がり……それを、皆がぎょっとして見つめる。
「あれは……」
　誰が最初にそう口にしただろう。
　もしかしたら、本人だったのかもしれない。
「闇色の、グッドクルーザー……！？」
　目をギラリと光らせた闇色のグッドクルーザー、ダーククルーザーとでも呼ぶべき存在は棺から跳躍すると、纏っていた闇を解放した。
「くるぞ！　構えるのじゃ！」
　ニャンタルが叫ぶ。全員が、鋭く構えた。

●ダーククルーザー
　肩にセットした二本のビームランチャーから闇色のビームが発射される。
　それをうけ、グッドクルーザーは咄嗟に防御姿勢をとった。
「いけません！　直接受けては――」
「ディフェンダー・ファンネル！」
　飛び込み呪力結界を展開する冥夜。ファンネルビットを翼のように展開して自らを守る盾とするムサシ。
　が、そんな三人を貫くように闇色のビームは強引に彼らを吹き飛ばしてしまった。
「ぐあっ――！？」
「船長！」
　カイトが叫ぶと、飛行しダーククルーザーへと攻撃をしかける。
　纏う闇が彼の発射する紅蓮のオーラを弾き続け、ならばと繰り出す三叉槍をダーククルーザーはがしりと掴んだ。
　直後。同じく飛行したアイリスが急降下突撃を敢行。剣による斬撃を会わせたそれは、ダーククルーザーを無理矢理地上へとたたき落とした。
「三人とも、無事か」
　ヤツェクが治癒の音楽を奏でることでムサシたちは立ち上がる。ムサシはブレイ・ブレイザーを、冥夜は呪力を固めた剣をそれぞれ構えた。
「どんな敵かはわからんが、攻撃してくる以上放置はできん。やるぞ」
　昴がオオオと肉体をみなぎらせ、ダーククルーザーへと突進。
　撃ち込んでくる無数のビームをヤツェクの回復でギリギリ耐え凌ぐと、強烈なパンチを叩き込んだ。
　それだけではない。ムサシと冥夜の斬撃もである。
「これで終わりです！」
「ああ！」
「うむ！」
　対抗してビームランチャーを担いだグッドクルーザー。
　同じく大砲を敵に向ける武蔵。
　交差した剣を天高く振り上げるニャンタル。
　ニャンタルの交差した『うちゅうくろす』の斬撃がダーククルーザーを貫き、更に武蔵の砲撃が次々に着弾、爆発。更にグッドクルーザーのビームが直撃し、激しい爆発を起こした。

●勇者のいない世界
　倒したダーククルーザーの残骸へと歩み寄る。ニャンタルは完全に相手が沈黙したことを確認すると、ほっと息をついた。
「ふう……突然現れた時にはどうなるかと思ったが……力を合わせてなんとか勝てたか」
　胸をなで下ろすニャンタルの一方で、武蔵が興味深げにダーククルーザーの残骸を見下ろす。
　思い切り破壊してしまったためにボディパーツもバラバラだが、顔の形や各所の造形がグッドクルーザーにそっくりなのだ。
「これは……この世界におけるグッドクルーザー、ということなのだろうか」
「わかりません。しかし……何者かに作られたものだというのは、確かでしょう」
「何か知らないか、ヒェルノ」
　武蔵が振り返ると、ヒェルノは困った様子で頭をかいている。
「すまねえな、俺のメモリーにはこんな情報はなかったんだ。ここに古代遺跡があるってことだけは知ってたんだが、それ以上は記録されてねえみたいだ。創造主のターニターヴェなら何か知ってるかもしれないが……あの人は人にものを教えるのを滅茶苦茶に嫌がるからなあ」
「ふむ……」
　昴が腕を組み、わからんでもないという顔をする。
　世の中には『尋ねると教えてくれる人』とそうでない人がいる。理由は様々だが、知識の拡散を危険視したり、相手を信用しきっていなかったりするパターンが殆どだろう。
「なんとか聞き出せたりはせんかのう」
　ニャンタルが問いかけると、ヒェルノは首を横に振る。
「やめたほうがいいと思うぜ。あの人は尋ねられるとかえって口を閉ざしちまうタイプだ。教えてもいいと思えるくらいの信用を得るしか方法はねえだろうな」

　一方。グッドクルーザーたちは先ほどダーククルーザーが飛び出してきた棺のような者を調べていた。
「なんだこりゃあ。おれの知識でもサッパリだ」
　ヤツェクがお手上げだというふうに首を振る。
「こいつが謎の古代遺跡だってことと、この棺についてる紋章――」
　棺の蓋に刻まれた紋章は、グッドクルーザーの胸にある紋章と同じだった。
「これが類似してる。つまりは関係してるってことだけは確かだ。それ以上のことはわからねえ」
　ムサシとカイトが顔を見合わせる。
「もしかしたら……混沌の島にあったっていう古代遺跡。それと同じものがこの世界にもあったってことなんじゃないか？」
「古代遺跡、ですって？」
　グッドクルーザーの冒険の記録を辿ると行き着くのがその古代遺跡だ。名をなんといったか……。
「そもそも、船長が希望合体できるのは個人の力ってわけじゃない。勇気や正義の心に古代の遺物が反応しておこる奇跡みたいなもんさ」
「確かに、ギフトやスキルとは決定的に違うものであります。けど、それと古代遺跡と何が……ハッ」
　ムサシが感づいた内容に、どうやら冥夜とアイリスが気付いたようだった。
「古代遺跡の力で合体ができていたなら、この世界でも……？」
「ありえない話ではない、か。しかしここまで遺跡が破壊されてしまったんじゃあね」
　けれど、収穫はあった。アイリスたちは頷き合い、今回のことを記録しアトリエへと帰還するのであった。

成否

成功

ＭＶＰ

状態異常

なし

あとがき

　――mission complete