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シナリオ詳細

<英雄譚の始まり>廃じるは時の虚ろ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<英雄譚の始まり>廃じるは時の虚ろ
 果ての迷宮の先にありし、美しいプリエの回廊(ギャルリ・ド・プリエ)。
 どこか儀式的なその光景の中には、人の見た目と変わらぬ『ゼロ・クール』と名付けられた機械人形達が並び、まるで人の個性の如く姿形も様々。
 その光景に驚く暇も無く……君達の目の前にすっ、と姿を表し、深く頭を下げるのは、赤い髪の少女。
『ようこそ、ギャルリ・ド・プリエへ。来訪者の皆様を、お待ちしておりました」
 深々と頭を下げる彼女……その仕草は、高貴な立場に居る者ではないか、と思えてしまう。
 しかし、そんな彼女の口から紡がれるのは。
「この世界は、滅びに面しています。異世界からの来訪者の世界よりも、ずっと、もっと早く……ですが、この世界でも生きている者が居ります。廃棄された世界であれど、私達は存在しております--どうか、お助けください、来訪者様」
 淡々と語る彼女。
 その表情や言葉には感情の『色』というものは感じられない……彼女も又、この回廊に並ぶ『ゼロ・クール』と似たような存在。
 それを見たイレギュラーズ達がふと思い出すのは、境界図書館館長である『クレカ』の言葉。
「ちょっとした好奇心でもいいい。世界を救う手伝いをしたっていい。それから、私の故郷を見に行ったって良い」
 彼女の言葉に従い、この世界を救う事……それがひいては、彼女を救う事にもなり得るのだろう。


「今回はちょっと恥ずかしい話なのではあるが……古代遺跡に不法投棄されてしまった『ゼロ・クール』達を破壊してきて欲しいのだ」
 『ギーコ』と呼ばれた彼女に連れられたイレギュラーズ達の前には、どこか研究者のような服装の男。
 マッドサイエンティスト、と言う言葉が見事に似合うような彼は、君達にそんな依頼を頼む。
 突然『ゼロ・クール』を破壊して欲しいと言われても、何でだと言うのも仕方ないだろう。
 だが彼は、イレギュラーズ達に向けて。
「私達だって、万能ではない……時には失敗する。そんな失敗作のゼロ・クール達は、本来は魔法を解いておく事が必要なのだが……それをしない輩達もいてね。ただ人目には付かないよう、人里離れた『遺跡』へ行く様プログラミングし、後は放置という訳さ」
「プログラミングの目的を果たした彼らはその後の命令を与えられずに、何をして良いのか分からなくなる……そのまま時間が経過する事で、プログラミングが勝手に暴走し、己の目的を見出す事も出来ずに勝手な活動を始めるといった訳さ」
「彼らの主人である『魔法使い』を探せば、再度プログラミングをする事も可能ではあるだろうが、不法投棄するような者達が名乗り出る訳も無いだろう……そこで皆には、この暴走している『ゼロ・クール』達を破壊してきて欲しい、という訳になる」
「俺達の尻拭いをさせている様でもう訳無いのだが;……彼らが増え続けてしまえば、人のいる所まで出て来てしまい破壊行動を起こすとも限らないからな……すまないが、宜しく頼む」
 と、彼は感情と共に、頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 新たな『境界』世界に法があるかは分かりませんが、掟破りをする者は依然としている様ですね。

 ●成功条件
  『プーレルジール』から少し離れた所にある、洞窟をくりぬいたかの様な『古代遺跡』に放置された、暴走『ゼロ・クール』達を討伐する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   古代遺跡は洞窟をくりぬいたかのような形をしており、そんなに大きくはありません。
   勿論そのような場所を訪れるような人は殆ど居ないので、他者避けをする必要はありません。
   とは言え視界もそんなに開けていない洞窟遺跡の中で、何処に廃棄された『ゼロ・クール』達がいるかも分かりません。
   不意打ちには注意するようにしてください。

 ●討伐目標
 ・廃棄された『ゼロ・クール』達
   戦闘型、暗殺型の『ゼロ・クール』達の様です。
   此処に来る様命令を受けては居ますが、それ以上の命令を受けて居らず、命令を貰えずに半ば暴走状態へと陥っています。
   命令は当然ながら彼らを作った『魔法使い』の者達のしか受け付けられませんので、彼らに暴走を辞めるように言っても聞き届けては貰えません。
   その手にはドリルや刀など、武器が据え付けられており、それを上手く活用して攻撃をします。
   又、暗い場所でも視界には全く問題の無い暗視を持っており、光があるとそれを避ける様に接近して攻撃するという習性を持って居るようですので、不意を討たれないように良く注意するようにしてください。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <英雄譚の始まり>廃じるは時の虚ろ完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月06日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
レイン・レイン(p3p010586)
玉響
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

リプレイ

●言葉無きもの
 果ての迷宮の先、美しきプリエの回廊(ギャルリ・ド・プリエ)に辿り着いたイレギュラーズ達。
 『ギーコ』と呼ばれし『ゼロ・クール』の少女と共に現れたのは、『魔法使い』と呼ばれし研究者然とした服に身を包んだ男。
 そんな彼の口から紡がれたのは……使い道を失いて、古代遺跡に不法投棄された『ゼロ・クール』達を倒してきて欲しい……という物で。
「分かった。今回の仕事は、遺跡に捨てられた、暴走するゼロ・クール達を倒すこと、か」
 『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)の言葉に、静かに頷く『魔法使い』。
『ああ……勿論身勝手な頼みであるのは百も承知だ。だが、暴走状態にあるゼロ・クールが纏まって居るとなると、流石に此方にも手が負えなくてね……こうして頼んでいる、という訳さ』
 飄々とした雰囲気の彼からは、どうも罪悪感やら申し訳なさを感じ取る事は出来ない。
 まぁ、それもそうであろう……古代遺跡に行くよう命令したのは彼ではなく、彼も手を焼いているような状況なのだろう。
(「……不法投棄、か……作る輩達からすれば、『所詮は人形』なんて俺みたいな考えの奴が多くて、こういう事をしたんだろうな……」)
 心の中で思う『狂言回し』回言 世界(p3p007315)。
 『魔法使い』の言う『不法投棄』という行動に、色んな思いが去就、そして。
「廃棄、か……」
「そうだな。いくら失敗作とは言え、ゼロ・クールに適当な命令を与えて放置するだなんて許せないぜ。捨てた奴等には、人の心ってモノが無いのかねぇ?」
「全くだ。この子たちは不当な魔法使いたちによる犠牲者と言っても、決して過言じゃないだろうさ」
「ああ。奴等が暴走してるのは、創った人間が放置したからだろうしな」
「全く……作るだけ作って、上手く行かなかったら不法投棄だなんて……自分のやった事に責任を持てないのなら、最初から作るなって話だ。せめて良い来世に恵まれる事を祈るよ」
「そうだな……制作者を自分から捨てた元生物兵器としては、俺も色々と思う所がある……だが、躊躇わず、楽にしてやらないとな」
「ああ。悪いとは思うが、このままだと被害が出ないとも限らねぇ。ならば、力を尽くすとしよう」
 『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)、世界、『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)と、義弘の四人の会話。
 仔細違いはあれども、思いは同じ。
 作るだけ作って、必要無ければ捨てるという彼らの行動は、当然非難されるべき事。
 それを自分達の手で破壊しなければならない苦悩は、根深く皆の心を蝕む。
「本当……廃棄とかなんかもやもやするよな。倒したくないけど……依頼やし……止めて上げたいし……」
 『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)が、己が手をぎゅっと握りしめると、それに『玉響』レイン・レイン(p3p010586)は。
「……僕等が使う神秘の力は……ずっと使うと付かれちゃうけど……魔法は違うんだね……? 作り直す事も……作った人しか……出来ないんだ……パーツを持ってきても……駄目なんだね……?」
 と『魔法使い』に問い掛けると、魔法使いは。
『ああ。まぁ不法投棄されている彼らがダレのモノかも分からないしな。下手にパーツを組み合わせたとしても自分の体のと全く違うモノとなれば同じく暴走の一因になる。そうなれば、更なる暴走行為を引き起こす可能性すらある。自分のモノじゃないのが自分の体についてたら、嫌だろう?』
「そうなんだ……」
 顔を伏すレインに、『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)は。
「……ン。主ト肩ヲ並ベタ科学者 Dr.フィジック曰く。『我々に残された最後の役目は創造主として『責任』を取る事である』ト。今回ノ件ノ『魔法使い』ハ ソノ責任ヲ放棄シタ。フィジックナラ 凄ク怒ル。フィックモ怒ッテル」
 カタコト口調のフリックだが、いつもの温和な話し方とは違っている。
 それを聞き流しながら、『惑わす怪猫』玄野 壱和(p3p010806)は『魔法使い』へ。
「ンー。まぁ怒るのは当然だァ。ま、ガワをどれだけ似せたところで結局はただの人形カ。命令が無ければ動けねェ。オレの知り合いにも暗殺型の秘宝種がいるけども、アイツの方が悩む分人間味があらァな。ソースコードを書いた魔法使いとやらがバカならどっかで命令系統が破綻してバグるってもんダ。てか、別件で純粋に疑問なんだが、刀ならまだしも暗殺にドリルって居るカ??」
 疑問を呈するが、対しての魔法使いは。
『まぁ……ロマンとか思ったんじゃないか? 俺も判らん。『魔法使い』の中には、そういうセンスが人と全く違って理解出来ないような奴も多くいるからな』
 肩を竦める彼に髪を掻きむしりながら。
「ああ、ダメダ……こいつも『ロマン』かヨ。そういう奴等が目的度外視で趣味に走るタイプだワ。経験からして廃棄されたのもロクな奴らじゃネェだろうし、さっさとスクラップにしてやるか」
 と言う壱和に、彩陽も。
「そうやね……取りあえず、倒すより止めてあげたいな。うん、頑張ろ。気合い入れよ」
 完全に気持ちの整理はまだ出来ては居ないけれども……やるべき事は揺るがない。
 そして。
「そうだな……彼らも被害者であるのは変わりないが、倒さない事には救う事も出来ない。躊躇するだけでは、事態は進展しないからな……覚悟を決めて行くとしよう」
「ン……フリック、ワカッタ」
「良し。とは言えこの地はまだまだ未探索領域が多いからな、道中も油断せずに行くとしよう」
 ウェール、フリークライ、雲雀が相互に頷き合い、そしてイレギュラーズ達はプリエの回廊を発つのであった。

●心くべて
 そしてイレギュラーズ達は、人里離れた古代遺跡へと向かう。
 その道中……新種の動植物を発見したり、獰猛な獣に襲われたりする事はあるが……一匹、二匹程度で危機に陥ることも無く森へと侵入。
 薄暗く、深い森の中を歩いて行くと……ぼんやりと灯した灯りに浮かび上がる古代遺跡。
「……ここの様だナ」
 入口を構成している、積み上げられた石はかなり古いもので、下手に触るとポロポロと岩片が散らばるほど。
 かなり古いのは間違い無いし、更に入口から中を覗いてみれば……全く光が届かない闇が拡がる。
「これは……取りあえず光が仕掛けられているという事は無さそうか」
「ああ……ま、聞いてたとおりだ。取りあえず暗闇の視界を確保しない事には、か」
 義弘にウェールは頷く。
 そして暗闇でも視界を少しでも確保した上で、イレギュラーズ達は義弘、ウェールを先頭に、後方にフリークライの隊列で洞窟の中へ潜入。
 最後尾ではレインが己を発光させ、更に世界も光の精霊を数体召喚し、淡い光を灯しながら道を進む。
 そんな仲間達の光と暗視の組み合わせで、イレギュラーズ達は漆黒の古代遺跡の中を進んで行く。
 聞こえるのは、イレギュラーズ達が歩を進める音と……何処かで水滴が、ぽたり、ぽたりと落ちる音。
「……静かなモンだナ」
 壱和がぽつりと言葉を零すと、その言葉すら壁にぶつかり、木霊して聞こえる。
 ……でも、それ以外に聞こえるのは静寂のみで……本当にこの中に、廃棄された『ゼロ・クール』達がいるのか、ちょっと疑問に思えてしまう程。
「そういえば……ゼロ・クールは……なんで光を避けるんだろう……ね……? もしかして……光は……外にあるから……命令違反……って思っちゃうのかな……?」
 とレインが首を傾げると、それに彩陽と雲雀が。
「……暗視の能力が皆備わっていると言うし、その能力を遺憾なく発揮出来るように……とか?」
「あながち間違いでも無さそうだね。確か廃棄された『ゼロ・クール』達は、普通に戦うのではなく、暗殺型やら戦闘型が多いって話だ。自分の一番利になる環境に身を置く様にプログラムされた結果なのかもしれないね」
 確かに雲雀の言う理論に誤りは無いだろう。
 それにレインは、哀しげに。
「……でも……ゼロ・クールは……人からの命令は……欲しい……でも……暴走してるから……攻撃しちゃう……そんなの……」
 と呟いた、その瞬間。
 ……イレギュラーズ達の隙を突く形で……闇の中から『何か』が姿を表す。
 暗視の中、ぼんやり映る姿は……まるで子供のような『人型』。
 静寂をカタカタと音を鳴らしながらやってきた彼らは……その手の刀とドリルを一直線に突進して来る。
「来たカ」
 と壱和は言うと共に、即時仲間を強化する為の舞で鼓舞。
 それによりひらりとゼロ・クールの攻撃を回避したものの、ゼロ・クールはそのまま特攻を続け、再び闇の中に隠れてしまう。
「ヒットアンドアウェイ……という訳か。流石隠密型だな」
「そうやな。次は狙う……!」
 世界の言葉に頷くと共に、彩陽は狙いを付ける戦術を展開し、暗闇の中で立ち止まり敵の出方をうかがう。
 ……程なく、次なる第二陣のゼロ・クール達がイレギュラーズ達へ突撃。
 感情無く、ただ殺意は高く……プログラミングされた行動を、ただただ忠実に実行し続ける彼らを見ていると、言いようのない感情が沸き起こる。
 だが……それにフリックが。
「戦闘型 暗殺型。キット ミンナ 襲ッテクルノハ暴走シツツモ使命 果タソウトシテイルカラ。ナラバ 来イ。君達 今 存在意義 果タシテル。何モデキズ摩耗シ壊レルデナク 使命ノ中 果テル。キット 君達 望ンダ 死」
 と言うと共に、後衛に並ぶ仲間達の盾となると、それに合わせる様にしてレインも。
「……僕の声は……きっと届かない……けど……『動くな……』」
 と、敢えて命令を下す。
 勿論、レインの言葉は届かず、フリックに攻撃を集中する事も無く……ただただ突撃し、プログラミングに乗っ取り攻撃するがのみ。
「やはり、プログラムを上書きする事は出来ないってことか」
「ああ……ならば、やはり壊す他に無さそうだ……行くぞ」
 義弘とウェールは声を掛け合い、突進してくる敵陣を真っ正面から迎撃。
 相手側はそれに怯む事は無く、そのままぶつかり合う。
 ドリルが回転数を上げ、刀が躊躇する事無く身を裂こうと振り落とされる。
 容赦の無い攻撃で大きなダメージを叩き上げるが、それに更に追撃する事は無い様で……再びヒットアンドアウェイで闇の中に紛れる。
 イレギュラーな処理には対応出来ず、ただただ命令に従い動く彼ら彼女らを見ていると……何処か虚しさを感じ得ない。
 ……でも。
「……フリック。皆、守ル」
 仲間達を守る、そんな強い感情と共に、フリークライは後方に居る仲間達を守るべく、その巨躯でカバー。
「フリック、ありがとう……それじゃ俺達もしっかりとしないとね」
 そう雲雀は言うと共に敵が現れたタイミングに狙い澄ませて、極寒の冷気を周囲に展開。
 凍えそうな氷結に包まれ、動きが大幅に鈍った彼ら。
 ただ彼らとしては、全身し、相対した相手と戦う……というプログラミングの実行には変わらない様で、淡い灯の中にはっきりとその姿を表す。
 更にレインが。
「……ここに来る命令を聞いてくれて……ありがと……そのプログラムを変えるから……一度壊す……待ってて……」
 と、そこに更に傀儡の糸を巻き付けて更にその動きを鈍らせていく。
 そして、動きが鈍った彼らに義弘、ウェール、壱和の三人が高攻撃力の一閃を叩きつける。
 流石にそんな大ダメージを位、無事な儘で居られる訳もなく……一匹、二匹、と破壊され、動きを止める。
『……』
 だが、仲間の破壊に慈悲を向ける事も無く、廃棄されし『ゼロ・クール』達は各々の攻撃を継続。
 更に動きが鈍った者達の後方から、次なる陣容として動き始めるゼロ・クール。
「完全に暴走しているから、他との連携も出来てない、という訳の様だな」
「その様やな……本当、こんなになるまで放置させられて……すまん。だが、もうこれ以上苦しむ事も無いやろ。ここで、全て行動停止にしてやるわ」
 世界に頷きながら、彩陽は後方からの支援射撃。
 一方世界は、立ち塞がりしウェールを軸に回復を飛ばす事で、戦列を維持。
 ゼロ・クールのプログラムされた一辺倒の行動に対し、イレギュラーズ達は相互声を掛け合いながら、適材適所の行動を。
 当然動きが鈍れば、無防備な状況に晒されるわけで……そこを叩く事で、彼らの反撃を喰らう事無く、確実に一体ずつを沈める事に繋がる訳で。
「後もう少しだな。んじゃ、後は容赦無く行くとするかァ」
 壱和の言葉に皆も勢いを上げて……闇の中より次々と現れしゼロ・クール達を、イレギュラーズ達は全て打ち砕いていくのであった。

●飽くなき時は
「……フゥ。終わった終わった。こいつら『暗殺型』としては申し分ねェ性能してたな。コイツらを作った奴って、何を目指してたんだろうなァ? どういった理由で失敗作と定義したのかは気になるガ……」
 肩を竦める壱和、それに義弘と雲雀が。
「理由は分からん。だが、少なくとも人間の都合でここに集められた放置された存在だ。それに関しては本当に気の毒には、と思うが、それはそれ、だ」
「そうだね……流石戦闘型として作られただけはある。命令が無くて暴走して居る状態とは言え、こちらに対して攻撃する時の動きに無駄がなかった。ちゃんと命令を与えてあげれば、心強い仲間にも出来ただろうに……」
「ああ、だが一度請け負った仕事、だからこそ詰めはしっかりしねぇとよ」
「そうだねェ。ま、ぶっ壊した今となっては、単なる人の形をしたガラクタダ。作った奴が悪意を持ってばら撒いているとかじゃなければ、この一件で終わりだと思いたいもんだねェ」
 首を傾げる壱和に雲雀は。
「うん。考えれば考える程、不法投棄した魔法使い達に腹が発ってくるね……どうにかして探し出して、とっちめれないかな?」
「確かにナ。取りあえず……一回調べて見るか」
 世界が言いつつ、壊れたゼロ・クールを抱え、他の仲間達と横並びにするよう並べる。
 倒したゼロ・クールは、十数体。
 何となくではあるが、個々の個体は相互に似ているようにも見えるが……断言する事は出来ない位。
 ただ動かぬ破壊された個体となった彼らにレインは。
「命令じゃない『一つ』になれているのは……なんで駄目なんだろう……人はいいけど……ゼロ・クールだから……なのかな……? でも……彼らには……命令が必要で……それは一つじゃダメで……次、が……必要で……人と似てるのに……似てるから……変な気持ちになるのかな……?」
「……かもしれないな」
 レインの言葉に、ゼロ・クールの共通点を世界がメモを残す。
 そして、レイン、彩陽、不利-位は……壊れたゼロ・クール達に手を合わせ、弔う。
「……意味あんのかァ?」
 と壱和が言うと彩陽が。
「これが合ってるのかは分からん。でも、おくってやらな、さ。生まれた意味も無いのって……哀しいやん。せやから……次があるなら幸せに、って思ってまうんよ」
 と言うと、それにフリークライとレインが。
「ン。コノ世界ノ方法デ ゼロ・クール 弔ウ」
「そうだね……僕等が行ったこと……少しは……この子たちの『気持ち』に応えられてたなら……いいんだけど……パーツも……他に役立つといいんだけど……エゴ……だけど……」
 先の『魔法使い』の言う事には、可能性はゼロではないけど……かなり難しいのは間違い無い。
 でも……倒れた『ゼロ・クール』達の『何か』を残したい……そんなレインの希望。
「それじゃ、一つずつ、持ち帰るのもいいだろうさ……作った『誰か』を探す切っ掛けになるかもしれないしな」
「ン……ワカッタ」
 ウェールとフリークライが頷くと共に……遺片を手にし、痕を弔うイレギュラーズ達なのであった。

成否

成功

MVP

レイン・レイン(p3p010586)
玉響

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きありがとうございました。
廃棄と言う名の下に放置された彼らは、恐らく幸せでしょう。
境界の広い世界……恐らく、人知れず活動を停止してしまったのもいるでしょうから……。

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