シナリオ詳細
潤朱のフリルドレスをまとって
オープニング
●真夏の結婚式に向けて
「困りましたわね、どうしましょうか」
ブライダルコーディネーターの伊織は顎に手を遣り考えていた。
今回、結婚式の手配を頼まれたのは良かったのだが、人手が不足していた。
「この時期は閑散期で人手が不足するのは滅多とないのですが、ここ数年の流行病の影響で」
つまりは流行病が落ち着いたことで、それを待っていたかのように挙式を行う夫婦が増えた。
その分、普段は待機しているはずの人員にも余裕がなくなってしまい、現在に至るというワケだ。
伊織は集められるだけの人員は確保した。が、それでもまだ余裕がないと考えていた。
「司会・介添人・料理人・給仕……とにかく不足している仕事はまだまだあるのです」
料理が出来れば、料理人を。
接客が出来るなら、給仕や介添人。
盛り上げることが得意なら、司会や余興を。
ぜひ、そのような方を募りたいのです。と伊織。
「今回はリゾート地のゲストハウスでの挙式。従業員には福利厚生として観光等を楽しめる日を保証いたします」
その代わり、しっかりと結婚式を成功に導いて頂きますが。と、伊織は強く言う。
「もちろんコーディネーターとして手助けもいたしますので、何卒」
伊織は深々と頭を下げた。
「なお、ご担当頂くお客様は潤朱のフリルドレスをお召しになることになっています」
潤朱(うるみしゅ)とは、黄みがかった赤色のことを指す。
イメージとしては、金魚を想像するとよいだろう。
一方、潤朱のフリルドレスをその花嫁は試着していた。
「この色、とてもグラデーションが綺麗だなって思って選んだの」
ちょうど真夏だから、ゲストにも涼やかな気分になってほしくて。
彼女は言って、幸せそうに笑った。
「一生の思い出になる結婚式にする。私たちにも、ゲストのみなさんにも」
彼女のその意思は固かった。
潤朱の花嫁のためにも、この結婚式を成功に導こう。
●一組の夫婦のために
アンナ=クリーヴランドは静かに彼女たちの意思を見つめていた。
「結婚は人生の大きな転機。誰もがその成功を願うもの」
アンナの元へやってきた特異運命座標《イレギュラーズ》を、彼女はじっと観察する。
「接客や料理はお得意かしら……?」
アンナはそのメンツに問う。
「今回は戦闘よりも接客や料理、もしくは特技が輝く任務。だけど、とても重要な任務」
なぜなら、一組の夫婦の思い出がかかっているから。とアンナは真剣に言う。
「ちなみに成功したら、リゾート地で遊ぶこともできる……」
海を眺めたり、ショッピングしたり、あとダイビングとかも。
「それを楽しみにして任務をこなすというのも、ひとつの方法」
仕事ばかりでは、息が詰まっちゃうから……たまには力を抜いて。
アンナはそう言って、イレギュラーズたちを見送った。
- 潤朱のフリルドレスをまとって完了
- 結婚式のお手伝い、お願いします
- NM名悠空(yuku)
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2023年08月23日 22時05分
- 参加人数4/6人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●潤朱の花嫁のために
一行は結婚式場に早めに到着し、伊織からレクチャーを受けた。
介添人・料理・接客・司会・余興──今回、うまく担当分けが出来そうだ。
「結婚式は基本人生に一度だからね。良い思い出になるよう全力でサポートしたい」
言って、介添人のレクチャーを受けた『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)。
彼女は非常に勉強熱心で、伊織からのレクチャーを受けるだけでなく【読書】や【資料検索】で結婚式や慣習についての作法を今も調べている。
「結婚式のお手伝い……みーおも頑張りますにゃ!」
続いてレクチャーを受けたのは『ひだまり猫』もこねこ みーお(p3p009481)。
みーおが受けたのは主に料理に関してだ。
元々パン作りが得意なみーおだが、なんと他の料理も作れるとか。
印象に残る料理にしたい、と現地の料理人やスタッフに聞き込み調査に向かうようだ。
「結婚式のお手伝いですね! 結婚なんて僕にはまだ遠いお話ですけれど、雰囲気を感じながら頑張ります!」
そう意気込んだのは『青薔薇救護隊』常田・円(p3p010798)。
彼の担当は接客全般。ゲストの案内やウェルカムドリンクの配膳などに従事することに。
「結婚式は一世一代のイベント。今年の春に愛しの人と結婚したから、よく分かる。更に後輩の円達が張り切ってんだ、おいらも全力でやんねーとな」
最後に『青薔薇救護隊』フーガ・リリオ(p3p010595)は司会と余興を担当する。
司会は会場全体を見通せる位置にいるということで、彼は他メンバーへ【心の声】や【統率】でサポートするということになった。
「ふぅ、みなさまへの担当振り分けとレクチャーは完了致しました」
伊織がそう言って、一行に頭を下げる。
「改めまして、この度はご助力頂き感謝申し上げます」
「今回はゲストハウスでの結婚式だよね?」
ヴェルーリアが訊ねると、伊織は「その通りです」と答える。
「最近ではこちらのやり方もメジャーになってきました。神様の前ではなく、お世話になっている人たちの前で互いの愛を誓い合う『人前式』と呼ばれるものでございます」
「お世話になっている人の前で愛を誓い合う、か……とてもいいな♪」
フーガは人前式のあり方に、嬉しそうに顔をほころばせた。。
「今回の花嫁もその方式を強く希望されまして。お世話になっている方々に、今までの感謝を述べ、これからの未来を祝福してほしい、と」
「ということは、ゲストにも印象が残るように工夫して正解ですにゃ」
みーおはうんうん、と満足げに頷く。
「結婚式は新郎新婦だけの式ではなく、ゲストも楽しんでこそですからね」
「お時間を作りますので、皆様も結婚式を見学なさってください」
「やった! 僕にはまだまだ遠いお話ですけれど……脳内シュミレーション(妄想)してみるのも面白いかも」
気になる人はいるので、と円は誰にも聞こえないようにつぶやく。
「よーっし! じゃあ、協力して結婚式を成功に導こう!」
フーガが言うと、皆は「おー!」と拳を上げた。
「生地をこねこねしてから一旦寝かせて、こっちの食材は丁寧に手早く切って、次はこちらの仕上げですにゃ!」
みーおは厨房で舞うよう料理を調えていた。
この動きには地元の料理人たちも感心し、興味の眼差しを向ける。
「こちらには特製ソースを添えて、にゃ!」
言いながら、さらさらと流れるように各料理が完成していく。
「はい! こちら、持って行きます!」
その料理たちを円が中心となって配膳していく。
「まぁ。この料理、とっても美味しそうね」
「ありがとうございます。こちらは、担当シェフのイチ押しでございます」
ゲストとの会話も難なくクリアし、ゲストが何か困っていないかまで細やかに観察していく。
「新郎新婦の入場まで、今しばらくお待ちください」
フーガはしっかりと司会をこなし、会場の奥まで内容が伝わるように気を配っている。
そして、こちらでも何かトラブルやアクシデントが起きていないかを確認する。
(今はまだ序盤だし……、大丈夫そうだな)
一方の会場外にいるヴェルーリアは、新郎新婦の見映えが少しでも良くなるように気を配っていた。
特に潤朱のフリルドレスは、今回の注目の的になること間違いなしなので、綺麗に見えるようにふんわりと。
(【オルド・クロニクル】を使って、半径50メートルの物は壊れないように……)
普段以上に細心の注意を払いつつ、新郎新婦の緊張をほぐすために【信仰蒐集】とギフト【ホープ】を使用。
「潤朱のフリルドレスが最高に似合ってる。本当に綺麗で美しい! きっと旦那さんやゲストの皆さんの目に一生残るよ!」
新郎新婦はヴェルーリアのその言葉に礼を述べる。
「不思議と自信と勇気が出てきたわ」
新婦も緊張がほぐれた様子で。
「それでは、新郎新婦の入場です!」
フーガの一言で、目前の大扉が開かれる。
潤朱のフリルドレスがゲスト全員の目を奪う。
多くの拍手の中で「綺麗」とつぶやく女性がちらほらと。
「潤朱のフリルドレスがとても美しく、輝いていますね」
フーガは上手く言葉を選んで、新婦のフリルドレスを褒める。
実際、ガラス張りのゲストハウスなので、陽光によってドレスも煌めいている。
新婦は皆の注目の的に上手くなっていた。
「コース料理は大変にゃのですけど、とてもいい経験になりますにゃ!」
みーおは引き続き、コース料理を作り続けている。そのため、休む暇がない。
「でもあとで、少しだけ配膳に回りますにゃ」
料理を作りつつ、料理長にそう宣言するみーお。
もちろん、ここまで何十人分も作り続けているのだ。
料理長は大きく首を縦に振った。
「こんなにお皿を乗せたことあったかな……? すごく忙しいね!」
円も配膳に集中してはいるものの、このゲストの人数はなかなかに多忙である。
「料理が落ち着きそうにゃので、みーおもお手伝いしますにゃ」
二足歩行で器用に立てるみーおは配膳もできる。
ただ体長的に足りない部分は、少しフォローが必要だが。
「ありがとう! とっても助かるよ!」
「力を合わせてこそのお仕事、ですにゃ」
今のところ、スムーズに配膳できている。
「お願いしますにゃ」
「はーい、っと」
みーおの届かない所も、円が上手くフォローができている。
こちらは何とか大丈夫そうだ。
一方のヴェルーリア。
こちらはこちらでべールや裾を、ちょうどいいタイミングで綺麗に直せている。
またプログラムを忘れてしまった新婦に耳打ちしてあげたりと、こちらもスムーズである。
歓談の時間。
この間に、フーガは【KURNUGIA-P508】で録画をしていった。
(夫婦や来客の幸せそうな光景を、何度でも見返せるようにしないとな)
邪魔にならない見事なカメラワークで録画をしていく。
そんな中で、束の間の休憩中のみーおがひょっこりと厨房入口から会場を見つめている。
「花嫁さん、綺麗ですにゃ。潤朱の、グラテーションが綺麗なフリルドレス……とても似合ってますにゃ。結婚式のお手伝いができて、みーおも嬉しいですにゃ。末永くお幸せに……ですにゃ」
お色直しもヴェルーリアのナイスアシストでほぼ時間通りに進み、
ついに結婚式もラストのプログラムとなった。
「サプライズといえば、サプライズになってしまうのだが」
フーガは【リリオ・イ・ロサ】の贈り物を新郎新婦に贈る。
とても綺麗……、と新婦はうっとりと見つめている。
「愛と幸せをお裾分けだよ」
「どうもありがとう」
新郎新婦は思わぬサプライズに感激してくれたようだ。
こうして、結婚式はたくさんの幸せたちに包まれて終わりを迎えた。
●ひと仕事終えたら、リゾート地!
「皆様、お疲れ様でした。どうぞプライベートなリゾート時間をお楽しみください」
伊織がそう言うと、一行は「やったー!」と大きく伸びをする。
「みーおはどこに行きたいんだ?」
まずはフーガがみーおに訊ねる。
「みーおはみんなと楽しみたいですにゃ。海をお散歩したり……あ、お土産も買いたいですにゃ!」
「円は?」
「僕も散策とかお買い物がいいですね、あの人に似合うアクセサリーとかあるかなぁ……」
「なぁ、円の気になる人っていったい誰なんだ?」
「そ、それは……今は内緒」
「じゃあ、今度じっくり教えてくれよな♪」
そんな会話もしつつ、フーガはヴェルーリアにも同じように訊ねる。
「ヴェルーリアは、どこか行きたいところはあるか?」
「私も海を散歩したりとか、お土産を買えたらなぁって思ってるよ!」
「そっか。じゃあ、とりあえず散歩と買い物だな。迷子になったり、海で怪我しないようにな」
フーガの言葉に皆頷きながら、楽しく海での散歩とショッピングが始まった。
「さて、結婚式も無事に終わって良かったな!」
「花嫁さんもみなさんも幸せそうで良かったですにゃ」
「そうだね、私も不安はあったけど、最後にお礼を言ってもらえて本当に良かった」
「僕も接客だけでしたけど、いろんな人とお話できて良かったよ!」
「俺も幸せをお裾分けできて、良かった。幸せを共有できるって嬉しいな」
海辺でシートを広げ、皆で横並びになってそんな風に語り合う。
沈みゆく夕陽が一行を染め、波は静かに寄せては返す。
そんな風景を眺めながら、一行はそれぞれの場所へ帰るのだった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
こんにちは、NMの悠空(yuku)です。
今回はブライダル(結婚式)のお手伝いをして頂きます。
真夏の結婚式はコーディネーターも手配がなかなか大変な様子。
ぜひ、みなさんで「潤朱の花嫁」のためによい思い出を作ってあげてください。
隅々まで楽しんで頂けると、嬉しいです。
●世界説明
リゾート地・よく晴れた爽やかな離島
ガラス張りのおしゃれなゲストハウス
●やるべき目標
結婚式を支える、ブライダルコーディネーターのお手伝い
●他にできること
介添人(花嫁のサポート)
料理人
給仕
司会
特別枠での余興
リゾート地でプライベートを過ごす
●味方
伊織(いおり)
ブライダルコーディネーター。
困ったときには手助けしてくれる。
●特殊ルール
今回は結婚式をうまく支えられたPC様に称号付与します。
今後の一部関連シナリオで活躍しやすくなります。
●サンプルプレイング
【その1】
結婚式を手伝うの?
じゃあ、ボクの力を使ってほしいな。
ボクは料理を運んだり、接客をするのが得意だよ。
他の世界でも給仕係をしていたんだ。
わぁ、花嫁さん綺麗だな。
将来、ボクもああいう人ができるのかな……?
仕事が終わったら、ダイビングに行きたいな。
たくさんの魚を見て、癒やされたいんだよね。
【その2】
結婚、それは大事な人生の転機。
その式の補助人となると、腕が鳴りますね。
こう見えて介添人は幾度か経験がございまして。
あら、花嫁様のドレスの裾が乱れていますわ。
あとはベールも綺麗に整えましょう。
このお仕事は大変さもありますが、近くで幸福を見られる特権があります。
プライベートでもこのリゾート地にいて、よろしいのですか?
では、友人のためにお土産でも選んでまいりましょうか。
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