PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ホーンテッド・ダンジョン

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アウトサイド・リトリート
「う、うわあああ!!」
 数人の男たちが闇雲にダガーを振り回し、怪物と戦っている。年季の入ったエントランスは新鮮な血を吸い、かつての栄華を誇るように色を取り戻す。
「だからこんな気色悪い所を根城にするのは反対だったんだ!」
「金品が見つかるとか満更でもなかったくせに! 黙って戦え!!」
 盗賊のそれと思われる物騒な物言いは恐怖で声色が上擦っている。同業者や野生動物、下級モンスター程度ならば返り討ちにする自信と傲慢さが彼らにはあったが、館内に響く悲鳴は想定外の事実に晒されている証明であった。
「早く開けろ! てめぇが鍵かけてんじゃねえのか!!」
「外から掛けた鍵を中から外せねぇってのかよ! 開かねえんだよ!!」
 難を逃れたのは貧乏くじを引かされた門番、門番の真似事を強いられた男だった。やがて静かになった館内と、開いた扉を見て男は一目散にローレットへと逃げ込んだ。

●インサイド・ダークネス
「盗賊からの依頼よ。物騒ねぇ」
 カロン=エスキベル(p3p007972) は落ち着いた雰囲気で依頼内容を語り始めた。森の洋館で盗賊が正体不明の怪物に襲われ、依頼人を除いて全滅した事、依頼人はその日暮らしであるため多額の報酬を毟り取れない事、このままでは悪人のみならず一般人にも被害が及びかねない事を退屈そうに説明する。最後の一つは依頼人が付け加えたシナリオでしかないのだが、ローレットへ依頼してくる辺り、人間ギリギリの倫理観は盗賊にもあるようだ。仇討ちの線も睨んだが、青ざめて震えている男は今後見るであろう悪夢を断ち切る為の挙兵を願っているようにみえた。

「つまる所、ダンジョン攻略って事で日報に書くわよ。良いでしょ、そんな化け物が出る洋館なんてダンジョンと一緒よ。持ち主もわからないし、こんな事件が起きてからじゃ関係者なり子孫なりが出てくる事も絶望的ね」
 こうしてダンジョン攻略の依頼としてローレットは受理し、討伐チームが組まれたのである。他人事のように説明していたカロンの名前はもちろんメンバーリストに入っていない。
「わ、私は良いのよ! 汚くて古臭い建物なんて高貴な魔女には似つかわしくないし?」
 声が震えている。盗賊同士の縄張り争いで起きた流血沙汰だろうとたかを括っていた彼女だが、肉の化け物だの腐った匂いだの触手だのと、まざまざと語られる出来事に眉をひそめ、高慢ちきな余裕はいつの間にか消えていた。

「ま、まぁ報酬の方はこいつ以外からも頂ける事になってるから心配しないでね。元々あの建物に良い感情を持ってなかった人たちが持ち寄ってくれるみたいよ」

NMコメント

ねこくんです。6人シナリオになります。
精一杯書きますのでどうぞよろしくお願いします。

●状況説明
幻想郊外の洋館にたどり着いた所から始まります。
なんやかんやあって現実的な下準備をしました。
ロープやランプ等の一般的な道具はプレイングで所持しているモノとします。
なんやかんやあって下準備と移動で時間がかかり、おあつらえ向きに夜が迫っています。

●目標
【必須】洋館を探索し、脅威を排除する
【任意】洋館の今後についての提案

●敵
・肉豚
盗賊が襲われた時の情報をもとに付けた暫定的な名前です。
非常に獰猛で、一丸となって戦う必要がありそうです。
独特の腐臭、傷の再生、肥大、雑食、猛毒などの情報を得ています。
若干の呪術を持つようで、倒すまでは脱出不可能です。
扉が閉まる事は承知の上で館内に入って下さい。

・アンデッド、ゴースト類
ロケーションから予想される敵です。
肉豚の発見、討伐が大きなウェイトを占めていますが、それなりにアタリを付けて戦闘を想定しても良いかも知れません。


●サンプルプレイング
拙者、風斬り小次郎と申す者……
我が刀、濡れ女房は霊すらも斬り捨ててくれようぞ。
拙者は同行する仲間、ヂェイムズと共に便所を見て回る。決して恐怖からではない。
肉豚なる魔物を見つけた場合、笛にて皆に知らせ、剣魔双撃にて攻撃する。

幽霊屋敷で片付けるは職人への侮辱。
改装し、祓いを済ませた後に宿なき者へ門を開くが良い。

  • ホーンテッド・ダンジョン完了
  • 地獄の門は開かれた!脱出不可能の極限ホラー!役に立たねぇ救助ヘリ!(ヘリは混沌には無いんじゃないかなあ)
  • NM名ねこくん
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月11日 22時10分
  • 参加人数6/6人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)
葡萄の沼の探求者
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ
ナイアルカナン・V・チェシャール(p3p011026)
気紛れ変化の道化猫

リプレイ

●PM20:00
「入ったが最後、脅威を倒さないと出られない洋館…ホラーだね」
 『気紛れ変化の道化猫』ナイアルカナン・V・チェシャール(p3p011026)は涼しげな表情でそびえ立つ洋館を見上げる。仕事内容としてはモンスター討伐に属するのだが本依頼においては精神的な負担を考慮しているのか、心臓の強い面々が揃っていた。猫(ナイアル)はその典型的な適任者であり、『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)も動揺する事なく臨んでいた。
 「触れたら即終了じゃないだけマシか?」
 理不尽なゲームでも語るかのように冗談を飛ばすペッカートに対し、即終了という言わば悲劇的な結末を迎えた事があるかのような物言いに『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)は聞き耳を立てた。余裕が感じられる参加者の中では硬い表情が見られるが、憂いを帯びた表情は月の光によってハーモニアの美貌が引き立っている。

「怪物の肉……。うひひ♪ 愉しみだネェ♪」
 『惑わす怪猫』玄野 壱和(p3p010806)というと対面するであろう怪物に思いを馳せ、まるでレストランに入る前の子供のような笑顔を見せている。依頼人からの説明では本当に豚かはわからないと念を押されたにも関わらず、玄野は頭の中できれいにロースやバラ、モモと可食部を切り分けていた。気が合うかもしれない獣種も紛れ込んでいるが。
「くさいっ! キドーさん、本当にここ使うの?」
「誰がくさ……弊社のスタッフはイレギュラーズばっかじゃねェからさ、ホイホイ各地で支援を受けられる身でもねぇんだ。だからさ、幻想にも拠点が欲しいってワケよ。洋館がくせぇのは後々考えるにしてもな」
 『社長!』キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)はこの洋館に対しある程度の後処理を考えているようで、『無尽虎爪』ソア(p3p007025)の好奇心に猛攻を受け、自身が経営する会社について完結に説明を行ったつもりがかえってソアの興味を引いた。道中あれこれとプレゼンを行うはめになったが、社長という立場や成功を語る事は不思議と苦ではなかった。

●PM20:16
「わかっていなくてもあんまり入りたくないものだけど、ね」
 洋館の下見を終え、自然と各々が正門に集まりだした所でクアトロは扉に手をかけた。盗賊たちの罠というシナリオも頭に思い描いていたが、周囲の静寂は自分たちの他に人間が存在しない事を物語っている。火蓋を切るのは自分だろうと思っていたキドーや玄野にとってそれは意外な立候補だったが、特に何かを言うわけでもなく扉の先を見つめる事にした。
 ペッカートは黒猫を召喚し、臆する事なく偵察に走らせる。その時に初見殺しがどうとかモニターの恨みだとか、よくわからない言葉を呟いていたが、洋館の分析を行っているのだろうとソアはあまり深く考えない事にした。ふんふん、わかんない!

 ナイアルカナンは例の扉を本当に対策しようとは思っていない態度で開放し続けていた。手を離すと閉まる上に開かなくなる事は事前に情報を仕入れていたイレギュラーズたちには周知の事実であり、必要のない抵抗であったがナイアルカナンの抵抗は一種の様式美であると共に怪奇現象をからかうような挑発も含まれていた。
「すごいね、本当に扉が開かなくなるんだ」
 一応の確認をイレギュラーズにとった後、自ら扉を閉めて他人事のように猫(ナイアル)は呟いた。

●PM20:43
 玄野は腐臭を嗅ぎ分けている。ただでさえ陰気臭い場所であり、臭いと大不評の物件に対して正気じゃねえなとキドーは玄野を横目に見る。そんな事故物件をどうこうしようとする自身も奇妙な立場であるが、腐れ肉を喰らおうとする性別不明のガキのハングリーさに思う所があっても良いだろうとつまらない事をキドーは考えていた。
「これでも茶屋営んでんダ。臓物の溶け落ちる臭いなんて普段から嗅ぎ慣れてるっつーノ」
 後ろに立っているキドーを振り返る事もなく玄野は解答を出す。茶屋が示すものは言葉通りのではなく、明るい道に佇む事のない何かは明白であるが、イレギュラーズ一人ひとりの事情を知り尽くす事は不可能であるし、また、知ろうとも思わないが故にキドーは自身同様に身体が小さい化け物に対しつまらなそうに返答する。
「そうかい、芳しい香水が癖にならねぇようにな」

 効率的に探索を進めるイレギュラーズだが、理に適った行動は時として現場に気圧されやすい。それでも理を保ち続けれた事実はペッカートによる功績が大きい。
「こういうのは一人になった奴から変な影を見たり……俺たちはそれを探さなきゃいけねえが。ともかく雰囲気もなくバーンって出てくるのよ。俺がインターネッツでここみてぇな建物を探索していた時に雰囲気もなくジャンプスケアがよぉ」
 ソアにはインターネッツやジャンプスケアがわからぬ。しかしペッカートの恨み辛みがこもった洋館探索の鉄則を聞く限り、美味しい食べ物でない事は理解できた。響き的にはジャンプスケアという言葉がスパイシーで魅力的な料理のように感じた。
「ペッカートさん怖い? ボクが近くについておこうか?」
「言ってろ」
 一蹴したペッカートはぶらぶらと歩みを進める。きっと雰囲気が大事なのだろうとソアはそれを尊重した。

 程なくしてクアトロが隠し扉を見つける。これには一同にも多少の緊張が走ったが、書斎のような隠しスペースを作れるから作ったといった程度のつまらない空間だった。ナイアルカナンとキドーはこの洋館に関する手がかりでもないか一応は周囲に目を通したが、お誂え向きに残されているものなどはなかった。
「こういう所にブタちゃんの秘密や黒魔術の儀式跡とかが残されてると雰囲気も出るんでしょうけど」
 残っててたまるかとキドーは思ったが、事故物件たる根源を解明したい気持ちも確かにあった。
 途中でナイアルカナンが冗談のように逆さ五芒星を指で空に描き、鶏の死骸も必要だよねなど好き勝手にでっち上げようとしていた。あってたまるか。玄野は鶏肉でも良いなどまた違った話を展開していたが、ともあれここでの探索はあまり収穫がなかった。

●PM21:61
「カルシウム!」
ソアが叫んだ次の瞬間には厨房から骨の怪物、スケルトンが吹き飛んだ。緊張感のない面々からは現地に似合わぬ会話が飛び交い、今に至る。大本命以外は危惧すべき障害ではなく、情報を共有する事もなかった。骨が砕ける音とソアの愛嬌たっぷりの声が静かな洋館に響く。ソアを心配する気持ちは現地のイレギュラーズには微塵もなく、厨房で行われている惨劇は違った角度で恐ろしいものである。

「やぁ、そっちはどう?」
館の中を式神や使い魔が走り回り、ナイアルカナンもまた我が物顔で廊下を歩く。下級霊やソアに折檻されているスケルトンに興味がない玄野は不満を漏らした。屋敷の掃除やエクソシズムに来たのではなく、珍味のおあずけを受けているのだから苛立ちも強いだろう。キドーが近くにいない事を確認し、壁をそれなりの強さで蹴った。
「どうもこうもねえヨ。ほねっこと海藻みてぇな幽霊ばっかりダ」
 腹を立てている。これは触らぬ方がよさそうだとナイアルカナンは判断し、わざとらしく肩をすくめた。しかしながらロクな手がかりは見つかっておらず、俄然として扉は閉まっている。これだけの包囲網から逃れ続ける事は不可能であり時間の問題にも思われたが、時間を稼ぐ利すら不明瞭な事実にナイアルカナンも退屈さを感じていた。

 キドーはあれこれと今後の計画を立てており、探索に身が入っていなかったが障害に関しては短刀を振るい、淡々と処理していた。どうせ良いところで呼び出されて加勢する羽目になるのだろうと高を括っていた。一度エントランスに戻り景色でも堪能しようとした矢先にキドーは本命と遭遇する。
「あー……こういうパターン? 普通男女ペアが襲われるものなんじゃねえの?」
「だから襲われたのよ」
 派遣会社ルンペルシュティルツ幻想支部の発展に気を取られていたキドーはクアトロの声に飛び上がり悪態をつく。
「まっ! この……! くそ!?」
驚きからくるやり場のない怒りの矛先に迷うキドーをからかいながらクアトロはイレギュラーズへ合図を飛ばす。肩へ止まっていたナイアルカナンの使い魔である鳥に、主人のもとへ帰るよう優しく指で触り促した。

●PM666:99
「こいつはオレもちょっと遠慮するかもナ」
 打って変わって菜食主義者に転化したかのような玄野を揶揄するものはいない。大広間に集まったイレギュラーズが目にしていたものは確かに肉豚と思われる塊であったが、醜く膨れた身体には盗賊のものと思われる骨が突き出ており、消化不良を起こした胃袋が体内へ所構わず吐き戻したかのようなグロテスク、人類のパロディーがそこに存在した。
「そっち系よな。そういう話も嫌いじゃねえけどさ」
 ペッカートはモニターと呼ばれる謎の道具を壊された事への恨みを晴らすつもりであったが、周囲に伝わるかは特に気にもせず肉豚なる物への感想を呟いた。ソアですら言葉を選ぶ異様さが其処にはあった。
 
 肉豚は腹部に貼り付く盗賊の顔とは一回り大きさの違う、正しい位置に鎮座する奇形、赤ん坊の顔が特徴的であった。鼻と口が繋がった顔面からは荒い吐息が漏れ、幼い泣き声が不協和音となり濁音の混ざった豚のような鳴き声に変容する。
 こぼれ落ちる吐瀉物を必死にすすりつつ、敵意を向ける肉豚は生にしがみつこうとする赤子の成れの果てを見てナイアルカナンは無表情で得物の鎖を掴み、キドーに許可を求めるように目を合わせた。キドーは俺に聞くなと言わんばかりに視線を切り、事故物件の根源を取り除くため邪妖精をけしかけた。

 肉豚の悲鳴が館内に響き渡る。クアトロの毒の魔石が肉豚のこめかみに刺さり、噴出した得体の知れない体液が表面を焦がしている。それは非常にウェットな印象を受ける肉豚に対する答えの一つであった。噴出するのは身を焦がすヴェノムだけではなく、獲物を捕らえる為の触手も含まれていた。望まれない者が望んだ食事、それ或いは母親の愛を求めるような無数の手足はソアによって両断される。
「ごめんね! ボクも食べられる側はイヤだから!」
「そっち側が良いってヒトはいないんじゃないかなあ」
 ナイアルカナンは聖域を展開し、返り血で汚れた各々を浄化していく。ペッカートの操る呪いの糸によって肉豚の動きは制限され、深刻な傷は免れているが汚物を浴びて戦う事は気持ちの良いものではない。必要な猫の手がそこにはあった。猫の手が足りずとも玄野が追加の手となるのだ。完璧な布陣をして戦いはまさに赤子の手をひねる結果となっていた。

「俺たちが負けるとは万に一つも思わねぇが早く片付けちまおうぜ。染みとか付くとうちの社員も勘付きそうだしよ……勘付いても文句は言わせんが」
「完全な隠蔽は無理じゃねえノ?」
飛び散る肉塊を何気なく拾った玄野は味見するか迷ったが、返り血を舐めて悶絶しているソアを見て諦めたように放り投げた。壁に当たった肉塊は破裂音と共に親しみ難いアートを壁に描き、キドーは憤慨した。

「こんな気持ち悪い洋館は爆破した方が良い気もするが、好きにしな」
 糸による呪縛のダンスを情熱的な相手と続けていたペッカートはフィナーレだと言わんばかりに指から伸びる接続を切る。指の疲れも限界に来ていたのかもしれない。玄野に回復が必要か聞かれたが、自身でストレッチする程度に留めた。得体の知れない力は何も肉豚だけではなく、玄野の超常的な力も素直には受け入れ難かった。

 放っておけばソアかキドーが幕を下ろすと思われたが、その役目はナイアルカナンが果たした。慈悲の鎖が肉豚を絞め上げ、呆気なく命の灯を消した。終始感情の読めない猫であり、傍観者のような立場を醸していたナイアルカナンがここで動く事はキドーも考えていなかった。汚れ役が回ってくる予感が裏切られた、そんな気持ちを覚えた。

●AM2:31
「ここはもうダンジョンではなくなったよ。この先はどうなるんだろうね?」
「けっ、後片付けの方が面倒くせえんだよな」

 弔いの火が燃え上がる。クアトロは肉豚が灰になるまでそれをぼんやりと眺めていた。
 ここで何が起きたのか、真相はともあれ過去はこれにて葬られた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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