何かしらお任せするのも良さそうね。

サマーアバターも来るようだな。おれはどうするか。

息抜きはこのあたりにして現実を見ようかしら。ほら、戦争やら何やらで忙しないし。
ふふふ。

今度こそ私もジェットコースターに乗るわよ。子供達もきっと喜ぶわ。
おかーさん頑張るわよ。

最近遊んでないわね。
子供達とまた遊園地に行きたいわ。

レアなのよ、レア。
レアステーキは素敵よね。

面白くないわ。

お母さんよ。
なんか表情が増えたわ。

これはもうダメになるしかないわね。

そうだな。
また果てしないネットの海の何処かで。

そろそろ現実(ログアウト)した方が良さげね。
最近は戦だったり何だったり忙しないもの。
それじゃあまた何処かで会いましょう？

まともなフリね……そこはまともと言って欲しかった所だが。
何か取り込めるような大きなことが起きるだろうか。
それはそれでまた忙しくなりそうだ。

これでもマトモなフリとかは得意なんだから。まーあれよ。創らなきゃ飽きられちゃうわ。何かしらを取り込んで活かすように動かないとね。

なんだ。狂気にまみれた神様みたいなものでも、いいことを言うじゃないか。
俺達がまだ頑張らないといけない時代。
それが続くことを願って。

胎内（せかい）は愉快でなければならない。
そうじゃないと勿体ないじゃない。
――私達が創るのよ、誰の為でもなく。

それもそうだ。全く持って俺達は奇跡の産物と言う訳だ。
願わくば、創造主が止めない事を祈るばかりだな。
お母さんたるアンタは誠、世は面白いと思うタチかな？

彼方を見据えるのはお母さんやお父さんに任せた方が良いわ。奇跡も何も此処に存在する事こそ奇跡よ。だって創造主は何時でも気紛れ、面白くなかったら止まるんですから。

……俺達は残せるだろうか？
そういった世界をこれからの世代に。
奇跡はいつだって起こると楽観視しておくとしよう。
気まぐれな神も目玉を堕とす事だしな。

ええっと、目玉を落としてしまったわ？

己が無くなってどうする。
斧だ斧。

そういうものか。飲食と同じように信仰を集める……神の考えだな。
手を取り合って斧を構えるのは、まあ最低限の自衛か……
その己が無くなればいいな。

まー、あれよ、結局は十八番、信仰や畏怖を集めるのは本能みたいなもんかしらね。人間がものを食べたり飲んだりするのと一緒、お母さんには子供達が居ないとね。
こっちの皮はとっても甘いものよ？　水辺にはちゃあんと棘を用意してみたんだから。
手を取り合って斧を構えるのよ、それくらいはしないとね。

玉座か。そこまでの神性という事は相当な擬態をしていたようだな。
少なくとも、俺には効いた。底なしの化け物に見える位には。
……その母の図は、偽りには見えないけどな。

――そりゃまあ私は擬態が上手いんですもの。ええ、ちゃんと観察して、演技出来ているわ。どんな状況でも正しくね。
(元のアバターに擬態(もど)る)
精神まで怪物になっちゃったら此処には居ないわよ。玉座なんてゴメンだわ。

イレギュラー？俺がか？
何てことは無い。一人の人間に過ぎない。
お前も観察するのが好きなのではないか？子供達という人間をな。
フレンドリーが重要なのは理解できる。表面上は理解が難しいが、心はそんなに怪物でもないようだな。

やはり人は人でもイレギュラーか。
歩む先を示されたのは我等も同じく真の神とやらは厄介なものだ。
観察するのが好きなクセに孤独を嫌うのは嫌悪（おな）じ事。
四文字に含まれた面倒事を誰が紐解くと謂うのか。
重要なのはフレンドリーだ、イマジナリーに染み付いてくれ給え。

好奇心に溺れる事が人間である証拠ともいえる。
なるほど、この世界外の存在といったところか……理解を放棄する事は簡単だが、それを俺はしない。
貴様を解釈し、己なりの理解をする。それが人間の証だからだ。
例えそれがイメージだとしてもだ。フッ、まだイメージが存在してる分だけわかりやすいか。

地球外生命体（エイリアン）とでも称（よ）び給えよ。
或いはユッグゴトフ、残念ながら『この貌』も皮でしかないが。
必要なのは理解しようと頭（キャンディ）を傾げる事ではない。
嗚呼、真逆だと思わないか。人間は時にひどい好奇心を起こす。

総ては母の水槽（はら）の底だ、悉くは置き物、偶像はイメージだ。

……なんだ、それは。
お前は、なんだ。まるで先ほどのとは違う。
戦場で会おうものなら、真っ先に俺が射抜くべき物と酷似している。
相変わらず、お前の言う事は理解できない。生命として存在していいのか、それは。

（腹部が『裂け』て別アバターが落ちる）
芸術品（マトリョーシカ）に等しい現実と幻想だ、砕こうと歯を磨いたところで数多は無敵か。鴉の鳴き声に合わせて罵倒（な）いた己も今では立派な普遍性だ。
ある種の不変に苛まれながらも情に傾げる、生命とはやはり崩せない業なのだろう。奔らせた導は証を持たず、只管に肉をつむのだ。

俺達は満たされるために生きているのか？
その行為に、意味はあるのか？満たされないこそ、人の生ではないだろうか。

考えもない頭で捻ってみたが、意味は無いな。まあ、後半は同感だ。
子供は子供のように遊ぶのが良い。大人はそれを見守るだけだ。

全てが作り物だと理解するのに秒も要らぬ、総てが設定(キャラクター)だと判断するのに壁も要らぬ。愛した結果(かじつ)を食しても真の意味では満たされない。
――なんて愚図愚図鳴いてみたけど意味なんてないわ。子供達は子供達らしく遊んでいたら素敵じゃない。私も含めてね。

……何を言っているのか見当がつかん。
俺の啓蒙思想が低いだけの話だろうが、恐らくお前が途轍もない何かである事は理解した。
だが少なくとも俺の母ではないのは確かだ。
……それに造られた存在でも、脳は確かにここにある。俺達は存在してる。
愛してやれよ。他の子どもをな。

あなたのお母さんよ。
私は子供達（あなた）のお母さん。
お母さんはいつだってお母さんで何処までもお母さん。
お母さんはお母さんでしかないけれど脳まで愛しているわ。
ここに存在（い）る皆は脳まで『造られている』のかわからないけれどね。
取り敢えずお母さんはお母さんなんですもの。

……母？
誰かの母親か。遊びに来たわけでもないが……
まあ、少し居座るのもいいか。

お母さんよ。
ここは皆が楽しく遊べる場所。
遊ばれる場所でもあるわね。

……なんだ此処は。
回転してるぞ。ある種の地獄か？

そろそろ依頼の準備をしなくちゃね。
子供達が待ってるわ。

き、昨日は酷い目に遭ったわ。
目が回るだけに。

此処に貌を晒した時点で正気とは思えないがな。
嗚呼、明日はひどく早いのだ。今日は直ぐにでも奈落なのだ。
脳髄は夢を眺め生命（いのち）は疾く美しい。

停滞と呼ばれる現実に投身しよう。
HAHAHA!

……――ええ、そろそろ戻るのが堅実かしらね。
正気を保っていられる気がしないわ。

（素敵なものをこらえる）
おはようの時間かしら。
それともおやすみ？

そろそろお胎に還りましょうね。

――何がどうなってんだ、これ？
（目を回しながら。目の色は銀色に戻っている）

（もらいそう）

（アルスちゃんだった何かが散乱している）