（寝室の気配が落ち着いたのを感じ取り）

……寝たか。
しかし……。

（酔っているとはいえ、珍しい姿を見たものだと片付けながら思案する）

まぁ、そういう事もあるか……俺もとっとと寝るか。

（拭き掃除も終え、ソファーに座って刀を肩へ立て掛ける……明日は仕事がある、表側の役割とはいえ……手は抜かず、かといってやりすぎない様に加減をせねば）
（そう考えながら、目を閉じて眠りに落ちていった）

……おやすみっす。
(扉の向こう側に消えた幻介を見送り布団をかぶる)

間違いを、直さないと……さっきのはウルズじゃない…… (目を閉じて思考をぐるぐる巡らせる、目を閉じて……)

すぅ……

怒ってねえから、今日はもう寝ろ。

（ベッドに座らせ、寝具を肩に掛ける）

今日だけだからな……おやすみ、ウルズ。

（ぱたん、と扉を閉める）
（扉の向こうから、硝子が触れ合う音が僅かに洩れた後……やがて、静かになった）
（浪人も先程のソファーで寝たのだろう）

でも……
(ヨロヨロと連れて行かれる)

いい、触るな。

（手を振りほどき、逆に腕を掴む）

もう寝ろ、後はやっておく。

（引っ張って寝室に連れていく、ベッドの上の寝具は整えられていない）

……… (床に砕け散ったグラスを何を考えているのかわからない顔で見つめる)

掃除しないとっすねぇ……。

っ痛……！

（思わずグラスを手放してしまう）
（床に落ち、砕け散る）

……、……。

（腕を掴まれたまま、気まずい沈黙が流れる）

なんで取り上げるんすか。
(急に俊敏な動きで幻介のグラスを持つ腕を掴む、酔ってるからか無意識なのかその腕を掴む力は強い)

……ったく。

（もう酔ってやがんな、と溜め息）

もういい、今日は泊まっていけ。
もう呑むな、それくらいにしとけよ。

（グラスを取り上げ、デコピンをかます）

うーん……？　ぐらっつぇ……。
(とっとと呑んで帰れと言われたので幻介を真似てチビチビと飲み始める)

黙ってろ。

（布巾を当て、軽く包帯を巻く）
（化膿しなければ、すぐに治る筈だ）

おら、もういいぞ。
とっとと呑んで帰れ。

（グラスに目一杯注ぎ、チビチビと飲み始める）

くすぐったいっす。　
(天井を見上げながらグラスを手に取る)

ただのかすり傷っすよ、はやく飲みたいっす。

こ、コイツ……。

（相変わらず酒に弱いな、と思いながら）
（持ってきた布巾を首の傷に当てる……小さい傷だが、手当てはしておいた方がいいだろう）

えっへへ、ありがとうっす　
(二本目も貰って1秒後には蓋を開けて口を付ける)

アルコールがカラダに満ちる…… (幻介の部屋のど真ん中で大の字になる)

ぅわーい！　(受け取った缶ビールを躊躇いなく開けて幻介が帰ってくる前に全て吸い上げる)

お、久々に見たな……最近は麦酒ばかりだったから恋しかった所だ。

（備え付けの小型冷蔵庫を開け、缶ビールを一本取り）

ほらよ、礼だ。

（ぽん、と投げる）
（そのまま振り向きもせず、グラスを取りに行く）

あたしはお酒を一本持ってきたっす、これ先輩が好きなやつじゃないっすか？　(所謂日本酒に近い豊穣産の瓶を取り出す)

む……。

（見れば、僅かに斬っていたのか……首筋から赤い雫が垂れている）

チッ、仕方無ぇな……一杯だけだぞ。

（珠の肌に傷を付けて、少し後ろめたいのか……渋々ながらに付き合ってやる事にした）

で、酒は持ってきてんのか？

やだ。

さっき首に刃が当たった時にチクッとして痛かったから付き合って。

帰れ。

（呆れ顔をしながら玄関を指差す）

おしゃけのみたい。

……そうかよ。

（息を落ち着け、窓を閉めに立つ）
（寝汗が酷い、湯を浴びたいが……）

ウルズ、お前何か用かよ？

（ピシャ、と窓を閉めて問う……不法侵入に関しては、もう半ば諦めている）

言ってたっすかね？　言ってたかも。
(首筋に刃を突きつけられ、挙句突き飛ばされても一切態度を変えない)

それより先輩、窓開けっぱなしだったっすよ？

……、……は。

（ハッとして、ウルズを突き飛ばして荒く息を吐く）

……寝てる俺に近付くなっつっただろ。

（ぽたり、と汗を垂らして刃を納める……危なかった、あと一瞬気付くのが遅れたら首をはねていた……）

おはようっす、せーんぱい。　(動じずに幻介の目蓋についた汚れを拭き取る)

……！！

（そう囁き掛けてきた瞬間）
（カッ！と目を見開き、目にも止まらぬ速度で抜刀）
（襟元をひっ掴み、下手人の首筋に刃を突き付ける）

ははーん、なるほど
暖かな陽気にあてられて流石の先輩も昼寝してしまったといった様子っすね、それなら……。

先輩……幻介先輩……もう朝っすよ、起きなきゃチューしちゃうっすよ。
……せんぱい♡　(そう、囁きおはようボイスだ)

……、……。

（微動だにしない、起きているのか寝ているのか……俯いているせいで表情は窺えない）

あ、窓開いてる。
(無論今をきらめく乙女がそれを見逃すわけもなく)

よいしょっと。　(律儀に玄関のドアを開錠して入ってくる)

——ウル幻デート

二日目——

Zzz……

（希望ヶ浜……自室のソファーに座り、こっくりと船を漕いでいる浪人）
（肩に刀を立て掛け、完全に寝入っている……様に見える）

（尚、窓を開けっぱなしにしてある……暖かくなってきて、2階の部屋とはいえ不用心にも思えるが）

(そうしてどこからどう見ても恋人同士にしか見えない近さでいちゃつきながら居酒屋へ向かった、この後ベロベロに酔った)

……ふん。
まぁ、俺もつまらなくはなかった。
まぁまぁ楽しめたわ。

（憮然とした表情で、頬に付いた紅を親指で拭いながら歩く）

あ、その前に……。
デートに付き合ってくれてありがとうのご褒美っすっ
(ほっぺたにオレンジ色の口紅跡をつける)

うっす！

完全にアル中じゃねぇか……まぁ、いいけどよ。
じゃ、行くとすっか……腹も減ったし、ついでに夕飯も食ってくかね。

（おら、行くぞ！と並んで歩き出す）

そういえば今日はまだ飲んでなかったんすよ、ほら手が震え始めたっす……。

変わり身はやっ！！？

（脊髄反射のツッコミ）

呑みにいこう！

そういや、駅前にいい居酒屋を見つけたんだよなぁ……。

（何の気無しに呟く）

やだ、離したくないっす。

つーか、もう帰らねえ？
何か……違うだろ、これはよ？

（雰囲気もくそもない、これではいつもと何も変わらなかった）

あ、あののっぺりしたハイペリ顔……間違いねえ、アイツはペンギンなんかじゃ断じて無え……！
それよりももっとやべえ、神威とかそういう何かよく分からねえもんの片鱗を感じるぜ……！！

（謎の説明口調になる）

ち、ちがうっ……！？
こいつぁペンギンなんかじゃあないっす……あれは……

水　生　ト　リ　ヤ　デ　さ　ん　！　？

…………じゃあこっちっす！
水族館デートの定版といえばペンギンっす！
ほらあそこに可愛いペンギンが……あ？

……、……。

（周りをよく見回してみる……先の水槽以外は、何だかよく分からない生物ばかりだった）
（もしかして……いや、もしかしなくてもこれは）

……逢引場所の選択、失敗してねえか？

（腕を絡めている子犬に不躾な視線を送る）

あ、あたしに聞かれても……イレギュラーズ歴五ヶ月っすよ、あんなの知らないっす……。

ありゃあ……何だ？

（タコに見えなくもないが、ヒレがある……オマケに顔っぽい所はイソギンチャクの様になっている怪生物がそこにはいた）

いや、ありゃあ……何だ？？？

（大事な事なので二度言った）