PandoraPartyProject
夏祭りボイスリプレイⅠ
「はっはー!待ちに待った海水浴っす!
やっぱこういう暑い時期だからこそ、楽しむって事は大事っすからね!
ダイビングも良いっすけど、ジェットスキーも楽しそうっすねー!
そんじゃ今日はめいいっぱい楽しむっすよー!」
今日は待ちに待ったサマーフェスティバル! シレンツィオリゾートではイレギュラーズたちにコンテュール家のプライベートビーチが開放され、リサ・ディーラング(p3p008016)は早速海へと走り出した。
今年は新しく勝ったスポーティーな水着の初お披露目でもある。解放されたビーチ。解放された自分。広がる無限のアクティビティにテンションが爆発しそうだ。
爆発しそうと言えば、こちらのワモン・C・デルモンテ (p3p007195)もである。
「夏だ! 海だ! アザラシだ!
貸し切りビーチでアザラシと一緒に泳ごうイベント開催中だぜ!
泳ぐぜー!ガンガン泳ぐぜー! ひゃっはー!」
ぴょいーんとジャンプすると、リサと「「合体!」」とか言いながら小脇に抱えられた状態で海へとばしゃばしゃ入っていく。
一方。ベイク・ド・クロワッサン (p3p008685)が水らしきものををしたたらせながら前髪を爽やかにファサァってさせる動作をした。前髪ないけど。
「どうしたんだい?
あぁ、私がなんでずぶ濡れなのか気になるのかな?
これはね…ミルクだよ。ちゃんと卵と砂糖も入ってる。
なんでかって?
勿論……フレンチトーストになる為だよ。
さぁ、お嬢さん。食パンを、お食べ」
そんな様子を影から見つめる謎のパンファン。
「はぁ……今日も素敵なアタシのイケパン王子さま♡
いつになったらアタシだけの王子様になってくれるの?
可愛い本物のラスクの髪飾りとかつけたり、
小麦粉でデコったワンピとか着てベイク様の女アピしてるのになぁ……。
今日も誰かの口に食パンを……いつもみてるんだからね? 」
おかしな人達もいるが、ビーチはすっかりバカンスモードだ。
水鉄砲をしゃきーんと構え、片眉を上げて見せるジルーシャ・グレイ (p3p002246)。
対するラグナル・アイデ (p3n000212)もまた、水鉄砲をシュッと構えてみせた。
「青い空、白い雲。絶好の海日和ね!
というわけで――勝負しましょ、ラグナル♪
偶には思いっ切り羽を伸ばしたってバチは当たらないでしょ?」
「ヒュー! 空がまぶしいなぁ、ジル!
申し込まれた勝負は受けるのがノルダイン戦士の流儀ってな……。
かかってこいよ」
「フフ、そう来なくっちゃ。
ただ戦うだけっていうのもつまらないし……そうね、負けた方は、勝った方の好きなものを奢る。どう?」
挑発的に言いながら三番街の方角を見つめるジルーシャ。ここシレンツィオリゾートには桁違いに高級なレストランがいくつもある。
「へぇー? 俺の好きなモノ奢ってくれるって?」
一方でラグナルは二番街のほうへと目をやった。量が多くて安くてウマイ。そんな店があちこちにあるのが二番街だ。いずれにせよ、互いの財布に打撃を与えることは間違いない。
「ふふーん、アタシに勝てるかしら?
言っておくけど、手加減はナシよ。
この華麗な水鉄砲さばきを見せてあげるわ!」
と、思いきや。ラグナルがいきなりしょぼんとした。心なしか顔も細長くなったように見える。
「いやいや、冗談だよ。狼がいない俺なんて……。どうせ……」
「もう、戦士の流儀はどこ行っちゃったのよ。
大丈夫よ、負けても残念賞でちゃんとご馳走してあげ――」
「なーんてな!?」
慰めようと手を翳したジルーシャ。その隙にキラリと目を光らせたラグナルはジルーシャの顔に水鉄砲をおみまいした。
「隙あり! ははーー!」
「――げほっげほっ……ちょっとー! 今のはずるいでしょー!?」
そして始まる水鉄砲バトル。
そんなビーチに、ブラッド・バートレット (p3p008661)とサンティール・リアン (p3p000050)が到着した所だった。
「ブラッド、おまたせ!
ねね、どうどう?かわいいでしょ!」
「水着ですか? はい、とてもよくお似合いで…」
「ふふ〜ん! でしょでしょ! はやく行こ」
可憐な水着姿でくるんと回ってみせるサンティール。彼女が走り出そうとした所で、ブラッドは自分の羽織っていたパーカーをサッとかぶせサンティールを包み込んでしまった。なんならフードで頭まで。
「って、なんでよ!!」
「いえ、すみません、その…肌が見えすぎているのでは?」
「水着ってそういうものでしょ! わーん! ばかー!!」
「えっ…?」
はずして! とばかりに両手でぽかぽかするサンティールに、ブラッドは困ったように唸った。
「かわいいって言って欲しかったの! もー!!」
「失礼しました、はい、可愛いと思いますよ」
とはいえここはブラッド。照れもせずにそう言い切ると、サンティールは機嫌を直した様子で胸を張った。
「ん! ならいいです! ……せめて前あけちゃだめ?」
「前をですか?」
「せっかく頑張って選んだんだもん、ちゃんとみて欲しいよ」
「ですがお腹が冷えたり怪我をしてしまうのでは……う〜ん……」
目を瞑ってうなり始めるブラッド。
その顔を覗き込んで一緒にうーんと唸ってみるサンティール。
暫くしてから、ブラッドはぱちりと目を開いた。
「前、だけなら……サンティールの楽しみを無碍にもできませんからね」
「んふふ。よし、あそぼ!」
にっこり笑うサンティール。二人は海へと歩いて行った。
グリーフ・ロス (p3p008615)はぼうっと海を眺めていた。
大きな帽子を日よけにして、水着姿で遊ぶ人々と海をすかすように見る。
一緒にきていたイレギュラーズに、グリーフはなんとはなしに話しかけた。
「眩しい。
深緑の木漏れ日とは違いますね。
日焼け、ですか?
あぁ、ご心配なく。アルビノに見えても、私のは、創造物ですから。
そうですね。
どこか、寂しさもありますが。
本当のアルビノでは。ニアには、こうやって日の光を浴びて海にくることも叶いませんでしたから。
今ここでこうしていることが、私が私でいる証、なのかもしれません。
さ、皆さんはどうぞ木陰やテントで涼んで下さい。
私はもう少し、このまま」
頷き、自分達も遊びに参加し始めるイレギュラーズたち。
その様子を見つめ、グリーフは小さく呟いた。
「気持ちいい、のかな」
「んー、ふふふ。やっぱり、泳ぐのっていいなぁ。
冷たい水の中に沈んで、空を見上げるとね。世界がキラキラして見えるの。
昼の時は太陽の光が、夜の時は街の明かりがきれいでね。
君も……見てみる?」
新しくおろした水着を太陽にさらし、シグルーン・ジネヴィラ・エランティア (p3p000945)はそんなふうに言って微笑んだ。
「すごいですね……」
佐倉・望乃 (p3p010720)は初めて見る海に目をきらきらとさせていた。
ドラゴニアにとって、というと流石に主語が大きいが、彼女がこれまで召喚されるまえの暮らしには一切なかった世界だ。
「海…これが、海……! わぁ、本当に、しょっぱい。
ジリジリと照り付ける陽射し、寄せては返す波の音、素敵な水着、海の家の甘くて冷たいふわふわの食べ物。
ずっと憧れていた夏の世界を、今日はいっぱい楽しみますよ」
これから始まるバカンスを思い描き、できることを片っ端から楽しんでやろうと……望乃は決めた。