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海洋豊穣合同祭事『夏中祭典』

海洋豊穣合同祭事『夏中祭典』

「なんだべあれ」
「あっれまぁ~~豪華な船だべ。おい見たべか?」
「ああ見ただ、見ただ。んだともあがんな船、七扇の殿上人様が乗ってる以外は見たことねぇべな~~」
 黄泉津の港に外洋の船来たる。
 それは――『絶望の青』に閉ざされていたこの国とって物珍しい光景と話の種になっていた。特に今回は、夏の祭事における話し合いで訪れた船団であり、規模にしてもその船の絢爛さにしても今までとは別格であった。

 海洋王国ネオ・フロンティア特使団。
 豊穣郷カムイグラ・七扇。

 それらの邂逅……特に国家同士の正式な対談として見れば恐らくこれが初対談。
 かような話が流れれば民も騒ぐものである。海洋王国の船が訪れた港は、物見の客で溢れており――
 そして今、ついに会談が始まろうとしていた。


 さまぁふぇすてぃばる。
 かの海洋王国ネオ・フロンティアでは毎年そのような祭事を行っているのだという。
 なるほど、カムイグラでも夏となれば祭りに勤しむものだが――
「合同祭事とは光栄の限り!
 兄上――いえ。天香家が当主、長胤もかような申し出には喜びましょう!」
「ふむ。受け入れて頂けますと、こちらとしても有難い限りです。それから、物資の搬入などでも話をさせて頂きたい所ですが」
 海洋王国から船に乗りやってきたのはファルケ・ファラン・ポルードイだ。
 ソルベより信を受けこのカムイグラの地までやってきたが――大号令の成果、黄泉津の大地。既に先住している民族はおろか確かな国家まであるとは……やはり実際見に来ても開拓の余地は無さそうだ。しかしだからと言ってそれで終わろうはずもない。国家があるというのなら貿易が、文化があるというなら交流が。
 やりようというのは幾らでもあるのだ。
 それにカムイグラは位置的に長大な航海を必要とし、現状海洋王国以外の国家が接触するのは難しい。と言う事は逆説的にカムイグラとの交友はほぼ海洋王国が独占できるという事で――上手く行けば、ラサと深緑の様な特殊にして密接たる関係を築けるやもしれない。
 その為の合同祭事提案でもある。
 サマーフェスティバルをカムイグラの地で開催し、交流の足掛かりを掴むのだ。
 幸いと言うべきか、応対しているカムイグラの側の天香・遮那――彼の反応は非常に良いものであった。彼はなんでも、多忙たる天香・長胤から命ぜられこの場に応対の代表として馳せ参じた次第だとか。
(聞いていた話だと、有力者たる天香家は外の面々を排除したい傾向があると耳に挟んでいましたが……)
 これも頂点に立つ『巫女姫』とやらの影響だろうか? その一声によって会談と祭事が決定したのだとか。
 そして嘘か真か……その人物は魔種であるという。
 そんな巫女姫が直接出てこなかったのは、ファルケにとっても無為な危険と対面する事なく会談を進められる故、安堵すべき事であったが――
「そうですね。色々とご支援も頂けるとは感謝申し上げます。ただその方面の話は……」
「――ええ。己の方で引き継ぎましょう」
 天香・遮那の隣にいる男。頭部より角を生やした――噂の鬼人種か。

「お初に。己は忌拿家・卑踏(いむなや・ひふみ)と申します。よろしくお願い申し上げる」

 雑面を顔に纏うその表情は読めぬが、何やら『違う』気がするのは気のせいだろうか。
 不浄――不逞――汚泥――あえて口には出さぬが、どこか『穢れて』いる様な。
 遮那も彼の事はよく知らぬ。ナナオウギのどこに所属しているのかさえ――ただ、今回の会談において兄上が補佐にと付けた人材であれば、優秀な人物なのであろう。その辺りをぬかる様な兄上ではない!
「祭事は18日より。場は主にこの『神ヵ浜』にて。
 外洋より至りても無論構いませぬが――港はこちらで指定した所のみにして頂きたく」
「ふむ。それは如何な理由であろうか、拝見した所この地の港は此処一つでは無きように伺えるが」
 卑踏の言に反応するは、アドラー・ディルク・アストラルノヴァ。
 海洋の軍部側の人間であり『いざ』と言う時の警戒としてもこの場に彼はいる。
 港の制限――それは実質、この国の扉をほんの少しだけしか開けぬと言っているのと同義で。
「失礼ながら、まだ友好条約の類を結んだ訳ではありません。
 合同の祭事を行う事には異論ありませぬが――ええと、その――」
「いえ、御懸念尤も。その辺り、踏み込んだ話は『後々』としましょう」
 遮那も言葉は濁したが、要は大々的に海洋王国に足を踏み込ませる程信用はしてないという事だ。
 あくまでも今回の出来事は、友好に繋がる為の第一歩。
 『その先』はこれからである故に。
 まぁファルケにとっても異存はない。仮に認められたとしても、国防の観点からも大々的に船団をカムイグラへ派遣するのは元より難しいのだ。船の出入り箇所が制限されても特に問題はないし――
「代わりに、と言う訳ではございませんが……物資や交易品の往来、交渉において『色』は付けさせて頂く次第。何卒ご容赦頂ければと存じます」
 そら来た。卑踏の方から他方面で譲歩を見なす言が。
 問題ない事を『仕方なし』という風に装って有利を引き出せばむしろ得だ。
 事を荒立てず、窓口を作れさえすれば今回は上々。それ以降は全てプラスであると考えれば。
「では我々にも異論はありません――カムイグラのお歴々、巫女姫様達にも何卒よろしくと」
「承りました、必ず伝えましょう。ええ、カムイグラの地は海洋王国を歓迎いたしますとも!」
 これで良しと、話を纏めていくのだ。
 遮那の軽快たる言の葉。それは事実であり、カムイグラは――ナナオウギの上層部は確かに海洋王国を歓迎していた。
 その頂点である『巫女姫』の思惑は、未だ知れぬが。
 夏の祭典は18日に行われる。
 ああ――実に楽しみな事である。


 ※カムイグラ:新種族『ゼノポルタ』が追加されました!
 ※カムイグラ:期間限定クエスト『神威神楽・妖討滅』が開始されています! 7/15終了予定です!
 ※カムイグラ:カムイグラで夏祭りが行われるようです!

 ※妖精郷:ストーリー関連クエスト『迷宮踏破ヘイムダル・リオン』が開始されています!

これまでのカムイグラ

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