PandoraPartyProject

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奇々怪々

奇々怪々

 竹林。自然生い茂るその地は、日が沈むに伴って紅き光景へと変じていた。
 見る者が見れば美しいとも感じるだろうが――その中では走る影が幾つも。
 その内の一つは妖怪。魔に属し人を害する存在。
 それを追う様に疾走する影は――

「陰」

 一声。掛けると同時に紡がれるは魔術――いやアレは陰陽の術か。
 突き走る一閃が妖を穿つ。紅きに染まる竹林に、まごう事無き鮮血が舞って。
 悲鳴。咆哮。さすれば逃げれぬと判断したか、妖は転じて追跡者へ牙を。
 激突し、しかしそれすら予測していたのか追跡側が優位だ。
 次々に紡がれる術が妖の足を止め、抵抗の手を封じ圧殺する。

 ……暫くもすればあっけなく片が付いた。それは追っていた者の技量もさることながら。

「導満殿――ご無事ですか――!!」
 彼が神使――つまり特異運命座標の一人である事も理由の一つか。
 男の名は藤原 導満(ふじわらのどうまん)。和の服に身を包む、とある世界より訪れた『旅人』の一人である。彼もかつては海向こうの混沌世界で気ままに旅をしていた者だが、ある時バグ召喚に巻き込まれカムイグラの地へ。
 しかしそれでも彼自体の気質は変わらず。
 相変わらず各地を転々とし、今もああ。とある村に世話になっていた身であった。
「おや。これはこれは……追ってきたのかい? 僕だけで良いと言ったのに」
「何を仰る。導満殿にはここ最近お世話になりっぱなしで……!」
 そして息を切らして彼の元へと訪れたのはその村の住民の一人だ。
 村は最近、増えつつある妖怪に困りつつあった。その最中に訪れた導満は気が向いたとばかりに用心棒の様な事を引き受け――今もこうして妖怪を一つ、打ち倒した所である。かつての世界でも陰陽師の様な事をやっていれば、かような荒事には慣れたモノであり。
「しかし本当に多いね。ここ数日で何度目だったか……五か、六は潰したか」
 妖怪は大挙して押し寄せてきている訳では無い。
 故に住民達の自衛でもまぁ、凌ぎきれるだろうが……それにしても回数が多いのは気にかかる。
「……なによりも。妖怪と言うには怪しいのが多い」
 討滅した妖怪を導満はまじまじと見据える。
 見れば犬、いや猪……だろうか? 肉は隆々とし、不気味な魍魎にも見える。
 だが何か違う気がする。元来から『こう』であったとは思えない姿なのだ。そう感じるのは只の勘でしかないが……導満はこれまで陰陽師として確かな経験を宿した人物。その彼が感じる『勘』というのは――
「はぁ。夏祭りももうすぐだっていうのに不吉な事で……ああでも導満殿。
 実は京の巫女姫様から『お守り』が届いたんですよ」
「――お守り?」
「ええなんでも夏祭りに向けて、守護の力を秘めてるとかで、ウチの村にも」
 その時。村人が見せたは一つの勾玉。
 高天京より配布されしお守りなのだとか――成程、見れば確かに何がしかの力を秘めている様で。
「……」
 しかし、どうにも嫌な予感がする。
「……これは大事に仕舞っておくべきだね。なるべく人の目に触れない所に」
「へ? あ、ああ。導満殿がそういうなら」
 もう一度、妖怪を見据える。
 身が変質している。これは恐らく元は只の犬か猪かであったのではないか?
 無害なる存在が異形へと至る。ああ、そういえば……
「かつて、まだ僕が向こう側に居た時、何かの文献で呼んだことがある気がする」
 正常なる者を悪意の塊へと変える魔物が存在すると。
 それはまるで悪性腫瘍の様に。伝播し、堕とす。動物を植物を生物を全て。
 あれは、ああそうだ――たしか。

「『大地の癌』」

 或いは『肉腫』――そう呼んで、いただろうか。


 ※カムイグラ:新種族『ゼノポルタ』が追加されました!
 ※カムイグラ:期間限定クエスト『神威神楽・妖討滅』が開始されています! 7/15終了予定です!
 ※カムイグラ:カムイグラで夏祭りが行われるようです!

 ※妖精郷:ストーリー関連クエスト『迷宮踏破ヘイムダル・リオン』が開始されています!

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