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深き帳の狭間にて
深き帳の狭間にて
神威神楽――高天京――その深奥。
この地を統べし『帝』が座す一室。そこに深く、深く淀む様に眠るは一人の男。
彼こそが『霞帝』
かつて此岸ノ辺へとバグ召喚され、神使として至って来た『旅人』である――が。今は一筋の動きも見えぬ。傍目にはまるで死者の様にも映り……しかしその心の臓は確かに脈動していた。
――すまぬな。セイメイよ――
同時。心中にて想うは、自らが最も信を置きし鬼人種の青年。
若く、聡明にして、自らを兄の如く父の如く慕ってくれた者よ……
今は彼と言葉を交わす事すら許されぬ。瞼を開かせる事はおろか指一つ動かせぬのだ。無意識という概念に満たされる海の中で、『意思』と呼べるかも怪しい残滓が――時折浮上するに過ぎない。
あぁ全く不覚であったと思うしかない。まさかあのような魔種が現れるとは……
あの少女は只の魔種ではない。あの狂気は、想像を絶している。
何か『弄られて』いるのやもしれぬ。我が身が旅人であったのが幸いと言うべきか――呼び声に。邪悪なりし狂気の渦に落とされるのは避けられた。が、代わりにあの様な怪しげなモノで眠らされ封じられてしまうとは。
辛うじて高天京へ、悶える程の眠気に抗い……総力を用いて展開した守護結界もいつまで維持出来るか。
結界が保つ限り狂気の伝播は各段に勢いを落とそう。黒き熱を蔓延はさせぬ。
妖怪共の出現も――『肉腫』共の出現も――都では極力に防いでみせる。
だが、だが。所詮は時間稼ぎにしかならぬ。この身潰えるまでの一時の泡沫。
……奴らの狙いは分からぬ。
分からぬが、この国を、この地の総てを悪意に落とす心算をしているに違いはあるまい。汚濁と瘴気に染まった神威神楽を踏みつけ、怨嗟響くその上で胡坐をかき――奴らは笑わんとしているのだ。
天香は利用されている。
巫女姫は危険だ、必ず打ち倒せ。
カラカサは決して信じるな。
――セイメイよ。希望を持つ者らを待て、必ず来る――
星を視た。
眠りに付かされる前、吉兆を告げる星の輝きを確かに視たのだ。
西より至る者らがいると確信していた。龍神を超え、このカムイグラに至る者達が必ず来ると。
それはきっと自らの同類。空中神殿のあの少女の神託を受けた特異運命座標達。
この国に清爽なる息吹をもたらす眩しき光――あぁ。
――不甲斐なき、この身に代わって、どうか――
どうか、この国に希望を。
清き光で……照らしてほしい。
※カムイグラ:新種族『ゼノポルタ』が追加されました!
※カムイグラ:期間限定クエスト『神威神楽・妖討滅』が開始されています! 7/15終了予定です!
※カムイグラ:カムイグラで夏祭りが行われるようです!
※妖精郷:ストーリー関連クエスト『迷宮踏破ヘイムダル・リオン』が開始されています!