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神ヶ浜の夏祭り

神ヶ浜の夏祭り

 海洋王国より『夏祭り(サマーフェスティバル)』の合同開催の提案がカムイグラへと届いた際に、建葉・晴明は無茶であろうと呟いた。特異運命座標の事を龍神を害する者と呼んでいた天香・長胤がそう易々と彼らの提案を受け入れるとは思えなかったからである。
 だが――その予想に反して返されたのは了承の意であった。

 高天京、宮中にて――

「夏祭り、なんて素敵なお誘いではないの。天香。
 カムイグラだって厄除けと鎮魂の為に祭りは行っているでしょう? あちらが誘ってくれるのであれば丁度良いではないの」
 微笑んだ巫女姫の言葉に天香は彼女が言うならば、と了承する。どうやら、巫女姫は海洋王国の提案に乗り気のようだ。
 彼女や天香からすれば『絶望の青』を踏破してきた海洋王国は侵略者である。だからこそ、天香はそれを危惧し、特異運命座標を拒んだ。自身らが築き上げた国を乗っ取られる可能性は常に彼の頭の片隅にあったのだろう。
 海洋王国からすれば国家の総力を挙げた大号令の直後である。侵略戦争に勝てる勝てないの問題ではなく、今は国内の安定と早くの戦力の復帰が必要不可欠だ。鉄帝国はじめとする『大陸側』にも敵国と見なす存在は多いのだから。
 ならば、此度は『ただの祭り』だ。海洋王国からすれば友好のための一歩――それはカムイグラからしても同じだ。現に提案に来た晴明は「是非に」と進言していたではないか――なのだ。夏祭りを成功する事が叶えば、今後の貿易や交易の足掛かりにもなる。特異運命座標を始めとした鬼人種達とてそのような祭りになれば浮かれ遊ぶはずだ。
「ふふ、夏祭りをしましょうね。天香。とっても楽しくなるはずよ。
 それから……ねえ、唐笠は来ているのでしょう? 私、もう今から準備をしなくてはならないの」
「――お呼びでしょうか巫女姫殿?」
 と、その時。巫女姫の言に伴って姿を見せたのは一人の――男――?
 その姿は異質であった。服装こそ人のモノであるが、頭には所謂『唐笠帽子』の様なモノを被っており、その体の節々からは人のモノとは思えぬ気配がしている。
 いや、人の姿をしていないというだけならばまぁ珍しい事ではない。神使……特異運命座標、特に異世界より訪れる旅人の者達の姿など千差万別である。実際、唐笠と名乗る奴めも『そう』であるのだとか?

(しかし――なんとも――)

 それでも天香は感じるのだ、『異質』だと。
 具体的に『何が』という訳では無い。ほぼ只の直感でしかないが……
「『以前話していた素敵なお守り』の準備は良いかしら?
 折角だもの、海向こうの方たちにこの地を諦めてもらう為。
 それから『彼女』を手に入れる為の練習に使ってみましょう?」
「えぇ、えぇ。無論、そうお望みであるのならば……それに民も喜びましょうぞ――巫女姫殿から御寵愛を下賜されるとなれば」
 巫女姫の瞳に美しい火が灯る。情愛に濡れた彼女の瞳は遠い夢を求める様にうっとりと細められた。
 その様子を唐笠と呼ばれた者は見つめる。その素顔を笠で隠した彼は静かな声音で了承した旨を伝えるのみだ。
 天香は、やはりこの男の得体が知れない。巫女姫の纏う空気ともまた異なる唐笠の雰囲気がどうにも気に食わないのだ。
 巫女姫と懇意であれば別段、なにか特別に物言いをするつもりはないが……
「お祭りは『神ヶ浜』で行うのよね。天香にとっても、思い出深い場所でしょう?
 ……なら、失敗したくはないわね。ねえ、そうでしょう。なら、準備をしなくては」
 くすくすと笑った巫女姫に天香は唐笠より視線を逸らして大きく頷いた。夏祭りは厄除けと鎮魂の為に神ヶ浜や京にも様々な祭具を配置し国を挙げて行うカムイグラの夏の風物詩だ。
 伝統を重んじる天香にとっても重要な行事の一つである。それに対して『準備』と言うのはどのようなものであるのか――
(巫女姫様と唐笠は何を考えておるのか――詮無き事、此度は巫女姫様に従うのみよ)
 天香は巫女姫にひれ伏しながら来たる『祭り』へと思いを馳せる。
 神ヶ浜――カムイグラでも有数の祭事の場――
 天香にとっても無関係でないかの地で、はたして何がある事か。
「ですなぁ、よくよく確たる準備をしなくては。
 勿論この唐笠、巫女姫殿の為なら身命を賭しましょうぞ――ンッふっふ」
 誰もが受かれるお祭り、それを目前にして。
 気持ちの悪い笑みが――宮中に響いていた。


 ※カムイグラ:新種族『ゼノポルタ』が追加されました!
 ※カムイグラ:期間限定クエスト『神威神楽・妖討滅』が開始されています! 7/15終了予定です!
 ※カムイグラ:カムイグラで夏祭りが行われるようです!

 ※妖精郷:ストーリー関連クエスト『迷宮踏破ヘイムダル・リオン』が開始されています!

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