To ◆7

俺が辛い日は、きみに迷惑をかけるかもしれない。
だけどその分、俺もきみの助けになりたい。
何か困ったことがあれば、遠慮せず教えて。

でも、首の話も、俺達が『つがい』（夫婦……？）という話も、しばらくは、俺達だけの秘密にしておいて欲しい。
俺も誰にも言わない。

それにしても、きみは自分の年齢がわからない……と言う事は、きみは、自分の誕生日を思い出せない？
（因みに『大地』は、7月7日生まれ、一応、今は21歳……だったはず。
でも、見た目は18の頃から殆ど変わってない。
『赤羽』は年齢も誕生日も「長く生き過ぎて忘れた」らしい）

そういえば、ダイヤモンド・セブンというのは、トランプ兵としてのコードネームのようなものだ、と聞いた。
今はきみをダイヤと読んでいるけれど、きみは俺になんと呼んでほしい？

※本は俺がいない時でも、好きに読んで良い。
もし破損したり、ページが抜けているものがあれば、俺に教えて欲しい。

To ◆7

分かった。
これまで通り、きみの事はダイヤと呼ぼう。

改めて聞くと、本当に赤の女王は恐ろしい人物だったのかな。
また辛いことを思い出させてしまって、ごめん。

でも、それなら、俺ときみが初めて手紙を交わすようになった日を、きみの誕生日と言う事にしないか？
俺もきみもちゃんと生きて、今ここに居るんだから、ちゃんと祝いたい。

妻？子？俺にそういう人はいないよ。
確かに、ローレットの仕事で世界各国に行くけれど。

特に『大地』にハ、元の世界でもこっちでモ、これまで浮いた話なんて一個も無かったゾ。
ほラ、こいつってとてつもなく『本の虫』だろウ？
初めてお前に口付けられた時ニ、みっともなく狼狽えてるのを見ただロ？
そんなヤツに子ガ、まして『女』がいるもんかヨ。

……赤羽の失礼な言葉はともかく。
或いは、俺達に近しい誰かを、そう思っているのか？
ならば、きみの誤解を解くためにも、俺達と特に身近な人間を、軽く紹介しておく。

１、羽切　響（はきり　ひびき）。
俺が旅人だということは知っていたっけ。
彼女も、俺と同じ世界から来た人間だ。
『大地』の親友でもある。
長い黒髪で、セーラー服を着た、すごく元気のいいJK（若い女性のことと思ってくれれば良い）だから、一目見ればすぐわかる。
ひょっとしたら、きみともそりが合うかもしれない。
彼女は俺と違って、交友関係が広かったから。

２、青刃（あおば）
こちらは『赤羽』の弟。だけど、今は女性の身体だ。
こちらも長い黒髪の女性だけど、羽切とは明らかに雰囲気が違うと思う。
『アリス』と名乗っていることもある。
詳細は省くけど、『赤羽』が『大地』に入っているようなものだと思ってくれればいい。
『赤羽』の弟なだけあって、赤羽の事は『大地』は、彼にあまり良く思われていないらしい。

３、書籍卿
こちらは……俺達と親しいとは言えないけれど。
この図書館に、とてつもなく威圧感を放った老人が来たことがある。
白髪混じりのオールバック、如何にも魔術師らしいオーブを着込んだ男だ。
彼の名前は聞き出せなかった。というか、怖くて聞けなかった。
だけれど、本を大事そうに抱えていたから、勝手に俺達は『書籍卿』と呼んでいる。

理由は知らないけど、何故か『赤羽』を憎んでいるらしい。
それ以外は、何も分かっていない。
念の為に、きみにも警告しておく。

とりあえず、きみにも伝えた方がいいのは、この３人かな。

他に俺達の事で、聞いておきたいことはないか？
俺達の事で気がかりがあるのなら、少しでも晴らしておきたい。

ダイヤへ

今回の返事ハ、訳あって『赤羽』と『大地』、それぞれで分けて渡ス。

一応最後に名前は書いておくガ、筆跡デ、どっちがどっちかはなんとなく分かるだろウ？

お前は別ニ、返事は一枚にまとめてくれても良イ。
そうでなくても良イ。好きにしてくレ。

さテ、俺達はあくまでローレットの仕事であの女を討っタ、だからあの女の真意は知らン。
お前以外のトランプ兵なら知ってるのかも知れんガ、俺達はお前以外のトランプ兵とんと見た事が無イ。
女王に殉じて命をかなぐり捨てやがったカ、利口にも戦いのドサクサに紛れて逃げたカ。
そもそモ、あの日あの城に居なかった者も居るらしいしナ。

故ニ、あの女の真意は今や誰にも分かったもんじゃねェ……と言いたい所だガ、一応、手段はあるといえばあル。
死人に口なシ、とは言よくうガ、俺は死霊術師ダ。
幽霊の声を聞くくらいは簡単だゾ。

問題ハ、赤の女王殺しに関わった俺達なんかニ、あの女が素直に本心を喋ってくれるカ、という所だがナ。
お前がもし真意を知りたいというなラ、なんとかやってはみるけド。

ダイヤモンド・セブン。
お前は1月16日に生まれタ。

忘れないよウ、大地の脳味噌にでしっかり刻んでおくヨ。

俺の誕生日なんザ、それこそ気にしなくて良いゾ。
お前や大地は生まれてからずっとその身体一つで生きてきた筈だけド、俺の最初の体ハ、すっかり朽ちて骨すら残っちゃ居ないだろウ。
そして俺自身モ、はるか昔の記憶は曖昧ダ。
正確にハ、あのド底辺のスラムでの暮らしを思い出したくないだけかも知れなイ。
青刃なラ、もう少しそのあたりの記憶は明確かもしれないけド。

もし仮に俺の誕生日も祝いたいってんなラ、別に大地のと一纏めで良いゾ。
ちょうどこいつは7月7日生まれだかラ、普通に覚えやすいシ、お前が別々に覚える手間も省けるだロ？

さテ、ここからガ、今回手紙を分けた理由ダ。
今までの手紙ハ、俺も大地もほぼ意見は対立していなかったシ、書くのをほぼ大地に任せても問題はなかったけれド、ここから先ハ、俺と大地で意見の食い違いもあるからダ。

羽切響。青刃。クソジジイ。
そしてお前。
『赤羽』にとって誰が『本命』カ、明言しておク。

まず青刃とジジイ。
コイツ等に関してはマジでありえねェ。

この赤羽ハ、お前や大地の年齢を足して、その数倍したくらいの年月は生きちゃいるガ、俺にそもそも近親相姦の趣味はねぇシ、ましてこの『赤羽』を消す気満々のジジイに身体を許すなんザ、クソほど悍しイ。
いつか絶対尻尾掴んでやるからなあの狸。

そして青刃とそういうことをスる気は無いガ、それとは別ニ、あいつを止めなけれバ、とは思っていル。

あいつとは長らく会って居なかったガ、その間ニ、すっかりヤツは歪んじまっタ。
家族愛、兄弟愛は一種の美徳としては認めるガ、あれは狂気の域ダ。
あいつの毒を受け取ったラ、きっと俺達の命は無イ。
そんなものを飲み干す訳にはいかなイ。
まァ、あれでも俺の弟ダ。
止められるもんなラ、止めてはやりたいガ。

そして羽切響。
先の二人よりはずっとずっと人間はマシだガ、少なくとも『赤羽』ハ、あいつを恋愛対象としては見られなイ。
大地があいつを良いやつと評するのは認めよウ。
俺達より善良デ、愛されるべき人材である事は認めよウ。
だガ、俺から見たラ、何故だカ、『そういう』気が起きないんダ。
俺達の友ヤ、協力者としてなラ、充分に信用はできるけどナ。

だからダイヤ。
『赤羽』ハ、お前にこソ、この首を預ける価値があると認めていル。

大地はずうっとビビリ散らしてやがったガ、お前が初めて図書館に来たあの日、俺はずっと感心していたヨ。
赤の女王を殺した人間の元ニ、たった一人で乗り込んでくるんだからナ。
俺達が油断していたとはいエ、とんでもねぇタマだと思ったサ。

まア、それと同時にお前が俺達の喉笛をかっ裂く気じゃねぇかト、肝を冷やしたのは事実だガ。

それニ、大地と共ニ、これまでのお前の文を読んでいたガ。
文を重ねる度ニ、お前は最初思ったほどやべぇ奴じゃねぇのは分かったシ、それと同時ニ、お前を守りたイ、お前を側で見ていたイ、お前を余所にやりたくなイ。
そういう気持ちガ、少しずツ、湧いてきタ。

故ニ、お前の恋も狂気モ、全て受け止めると決めていル。

以上、これが『俺』の答えダ。

赤羽より

To ◆7

先に『赤羽』からの手紙は読んだだろうか？
もしまだなら、先にそちらに目を通してほしい。

本題に入る前に、一言お詫びしたい。

きみとの関係を『秘密にしてほしい』という言葉を選んでしまったのは、単にこういう密な関係になった人物が過去……赤羽に比べればたかだが20年そこらの人生だけれど、その中に居なかったし、これを相談できる相手も、赤羽以外に居なかったからだ。
俺自身の照れからであって、きみには何一つ咎は無い。
俺の不用意な言葉で、きみの疑念を掻き立ててしまったこと、重ねて謝罪したい。

本題に移ろう。

ダイヤ。
俺にとっては、きみが初めてこういう文を送りあった人だ。
最初は、きみという正体不明の人間の正体を、確かめたかったから。
その次は、きみの行動の真意を知りたかったから。
きみがどういう人か、もっと知りたくなったから。
きみが心配で、放っておきたくなかったから。
きみのために何ができるか、考えたくなったから。

……正直に言おう。
ダイヤ、俺は。
今更ながら、きみに恋をしているのかもしれない。

羽切。
繰り返すようだけど、彼女は俺の親友だ。
彼女と過ごしたのは、高校の3年間+混沌で再会してからのごく数回。
その間彼女と交際していた事実はないし、当時のクラスメイトから見ても、「大地と羽切は釣り合わない」と言われるのが関の山だろう。
俺もそう思う。
日陰者だった俺と、誰にでも分け隔てなく接して、男女問わず人気者だった、太陽のように明るい彼女が、釣り合う訳がない。
彼女は俺の良き友人だ。
今までも、そしてこれからも。

それと、あと一つだけ。
俺がどこかで悪く言われるのは、俺にも責があるのだから仕方ないけれど、彼女をセフレなんて言うのは止してくれ。
彼女の名誉に傷をつけたくない。

書籍卿。
赤羽は俺の前では彼を口汚く罵るが、俺は、彼が本当に悪意の人かは疑問を持っている。
彼が、魔術師として、俺よりずっと優秀な人物なのは、疑うべくもない。

我ながらぞっとする発想だけれど、『赤羽』を消す気なら、この『大地』ごと、殺してしまえば良い。
それだけの威圧感と実力は、充分に有している筈だ。
けれど、彼は、今日までそれを成していない。

そこには何か、理由があるはずだ。
でも、今の俺には皆目見当もつかない。
赤羽に相談しても、彼は早々にこの話を打ち切ってしまう。
だから、彼とはどう向き合うべきか、未だに結論が出ていない。
とにかく、結論としては、少なくとも彼は、俺のパトロン等ではない。
彼がどんな本を好むのかは、俺個人は興味はあるけれど。

青刃。
恥ずかしい話だが、俺は、赤羽に『弟』が居るとは、数ヶ月前まで知らなかった。
ともかく、赤羽の身内なら、俺もぞんざいに扱いたくは無い。
しかし、赤羽への崇拝だけならまだ良いけれど、彼の俺への態度は、どう見ても悪意が透けている。

積極的に争いたくなんか無いけれど、少なくとも、向こうに悪意があるうちは、こちらも構えを解くわけにはいかない。

ダイヤ。
きみを含めて、俺から皆への気持ちを、忌憚なく綴ったつもりだ。
これを見てどう思うかは、きみに判断を委ねる。

三船大地

To ◆7

俺達も話が長すぎた。ごめん。
どうも俺は熱くなると、必死に何かを伝えようとして、必要な言葉を並べたつもりが、却って冗長になるのが悪癖だ。
事実だけ分かってくれたなら、それで良い。
『秘密』にしようと言ったのも取り消す。
きみが俺のことを他の誰かに言ってもいいし、その方が、俺としても気が引き締まる。
俺ときみは、同居人であり、つがいであり、恋人。
そういう立場である事を、ここに認める。
きみを不当に貶めるやつは、許さない。

きみの誕生日は、1/16。
その日もきっと、一緒に祝おう。

女王の件は承知しタ。
そうだナ、仮に交霊が成功したとテ、死者は生前のショッキングな出来事に囚われテ、話にならない事も多々あル。
お前が望まないのニ、そんなリスクを取ることもなイ。
経験として語る分には良いガ、死んだやつにいつまでも縛られてちャ、にっちもさっちも行かなくなル。
お前がそう思うなラ、それで良いと思うゼ。

俺も、なんだかんだ、満たされている。
多分、色々書いてみたことで、俺自身の気持ちや考えを、ちゃんと可視化できたからだろう。
こちらこそ、いろんなことに気付けた。ありがとう。

PS:お前の質問についてだガ、『大地』のペンが止まってしまったのデ、『赤羽』が勝手に書いていル。
『赤羽』の気持ちだけで言うなラ、男役も女役も好みだシ、お前の良い方で付き合ウ……と言いたい所だガ。
何せ『大地』の身体はチェリーだしバージン。経験ゼロ。
『赤羽』が教えてやれバ、知識だけはくれてやれるガ。

どっちが良いかハ、ぶっちゃけ俺にも分からン。
その分、育てる楽しみはあるけどナ。

逆に聞くガ、お前は『どっち』が似合うと思ウ？

To ◆7

きみの言うことは正しい。
こういう事は曖昧にしておくと、却ってトラブルの元になるだろうから。
ちゃんと、俺の身分は、皆にも明確にしておくよ。

俺が……受け……ネコ……？え、マジで言ってる？
……わ、わかったよ……せいいっぱい……がんばる……。

ともかく、きみからの愛は、ちゃんとこの身一つで、受け止める。
だから、きみがこれまで見てきた世界を、俺の知らないことを教えてほしい。
俺もまた、きみのためにできる事なら、なんでもやりたい。

これからは、文だけでなく、直接会って、たくさん話もしよう。

せっかく、俺ときみは、同じ屋根の下に暮らすのだから。

改めて、これからよろしく、ダイヤ。

PS:ふうン、変なオッサンも居たモンだナ。
そういうのとはあんま関わんなヨ？
もしまたそいつがここに来たラ、絶対俺に言うんだゾ。

（……そう締めくくって、筆を置いた。
当面は、何か伝言か、特別なメッセージ……それこそお互いの誕生日などがない限り、こうして紙とインクを使うことは減るだろう。
それは別に良い。別にダイヤのために紙とインクは幾ら使っても惜しくはないのだが。それよりも。）

……ダイヤのやツ、気づくかネ。

（今日の『大地』は、酷く体調を崩している。
如何にも、大地の好む言葉遣いで。
彼の書くような文字で。
赤羽からの言葉が一つもなくては却って怪しいので、追伸だけは素の自分が書いて。
いつものサインで締めくくったが。

今回の文については、『大地』を真似て、『赤羽』が全て記した。
まあ、でも、大地もきっと同じ気持ちだし、同じことを言うだろう。）

……あのジジイ。

（忌々しげに吐き捨てて、『赤羽』は手紙をいつもの場所へと――）

（ダイヤの部屋。そのドアノブに紙袋が下がっている。
中には、ハードカバーの本。黒猫の栞。どこかのパティスリーで買ったとみえるチョコレートボックス。
そして、このようなメッセージカードだ）

To ◆7

ハッピーグラオ・クローネ。

俺ときみが会ってから、この日まであっという間だったと思う。
目まぐるしく日々は過ぎるけれど、今はきみが幸せであるなら、俺にとってはそれが一番嬉しい。

きっと俺は、これから、やるべき事が多くあるだろう。
どこまでも長く、答えの見えない探求になるかもしれない。
赤羽にも頼れない、俺自身が成さねばならない事だ。

だけど、俺はそれに負けたくない。折れたくない。倒れるわけには、いかない。
だから、ダイヤ。
これからも俺を、ずっと、側で見ていて欲しい。

いつも一緒にいてくれてありがとう。

愛を込めて。

From 大地

（ひと仕事終えて、我が家たる図書館に帰ってきた。机の上の紙袋と、手紙に気づく。……まずは、手紙から手をつけよう。まず全体を、ざっと流し見て）

……喜んでくれたみたいで良かった。

（ほっと安堵の息。改めて、最初から文面を追う）
いや……うん……そういうこと、言うよな、ダイヤは……知ってたけど……。

ああでもデート……そうだな。考えすぎても良くないか。どっか考えてみよ。ダイヤは幻想出身だよな。
って事は……他の国の事は詳しくない？折角ならダイヤの知らないとこがいいけど……でも俺も、海洋も深緑も傭兵も天義もあんま知らないし。
……ああ、遮那が確か、梅が見頃って言ってたな。豊穣で梅、見るのもいいかも。今度『紅蕾』まで連れて行こうかな……。

……（再び読み進めてから、紙袋の中をちら、と見て）
ああ、これ。ダイヤが貰ってきたやつなのか。確かに一人で食うのは大変だろうから……一緒に食うのは別に良いけど。
ダイヤ……俺より顔もいいし……動きもいいし……モテそうだし……そりゃあ、こんなに貰うのも当然……。
いや待て。『妻』て。えっ？まさか俺の事言ってる？ダイヤじゃなく？え？？？
（確かにダイヤはユニセックスな見た目だし。いつも『抱かれてる』のは俺の方だが。でも、えっ？？？）

……いやでも……確かにダイヤが男でも女でも好きって言ったのは俺だし……ダイヤも『オレは妻でも夫でも構わない』とは言ってたけど……（そう言い聞かせるも、なんかモヤモヤする）

……いや、待てよ。そういやダイヤ、そもそも問題、グラオ・クローネの風習を知らない……？
（女の子からチョコを貰った理由、いまいち分かってないっぽいし。……でも、俺だけと言ってくれたのだから。そこは、喜ぶべきか？）
……まあ、後で教えよう。うん。

……赤羽のことは、気付いてないっぽいな。……でも……俺がヤバい時とか……赤羽が出てる日も無くはないから……別に言わなくてもいいの……かなあ。
（首を傾げながらも、手紙を折り目正しく便箋にしまい込み、ジャケットのポケットに入れる。後で、自室の引き出しにでも保管しよう）

……さて。

（紙袋を手にして）

（ダイヤの部屋、その前に立つ。ダイヤはまだ起きているだろうか？だったら、一緒にチョコを食べよう。食べながら、互いの今日一日の出来事とかを、喋ったりしよう。デート、ダイヤがどんな所に行ってみたいか、それとなく聞き出したりも出来れば尚良いが。
……俺の方からダイヤの部屋に行くということは、むざむざ『めちゃくちゃにしてくれ』と言いに来たも当然と取られるかもしれないが。……そうなれば、それは、受け止めよう）

ダイヤ？居るかー……？

（コンコンコン。ドアをノックした……）

（ローレットの仕事で出ていたのだろう、今帰ってきたところだ。メッセージカードを読んで）

……ありがとうダイヤ。
……でも流石に今は就寝中？　だろうしなァ……。

（遅くなった詫びは後日いっぱいしよう。せめてカードを、大事にファイルに閉じた）