幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
ドラネコ保護委員会活動報告
ドラネコ保護委員会活動報告
関連キャラクター:風花 雪莉
- 夏に降る雪。或いは、ドラネコ納涼譚…。
- ●木洩れ日の道
うだるような暑さの中に、にゃぁ、と微かな猫の鳴き声。
とある小路、木洩れ日の下に1匹、2匹……都合5匹のドラネコが落ちていた。
「っ……!? あわ、あわわ!」
身体のサイズや気持ちよさげに微睡む顔つきはよく似ている。同じ親から生まれた兄弟猫なのだろう。
ドラネコ保護委員会の会合へ向かう道すがら、ショートカットをしようと風花 雪莉は小路へ足を踏み入れたのだ。
そして、彼女はそこでドラネコたちと出会った。
足を止め、声を押し殺し、しかし視線はドラネコたちから外すことが出来ないでいる。このまま足を進めれば、ドラネコたちの眠りを妨げてしまうからだ。かといって、引き返すという選択肢もない。ドラネコたちの愛らしさから、目を離せなくなっているからだ。
「あぁ……なんて愛らしいのでしょう」
知らず、雪莉はその場にしゃがんだ。
辺りにはらりと、ごく少量の雪が降る。雪莉のギフト“天花”によって降る雪は、まるで白い花弁のようだ。
周囲の気温が僅かに下がる。
夏の風が、雪で冷えた空気を運ぶ。
「んなぁ?」
涼しい風に気が付いたのか、ドラネコがふと顔をあげた。
それからドラネコたちは冷気の発生源……しゃがんだまま、じぃとしている風莉を見つけた。
「にゃぁ」
1匹、2匹……より涼しい場所を探して、ドラネコたちが風莉の足元へ集まって来る。
- 執筆:病み月