幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
なんでもいいですよ
なんでもいいですよ
関連キャラクター:すずな
- 灯り揺れる
- 「ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!」
「今日も元気ですね」
暖簾を落とし、営業中の板を逆に向けて扉の施錠を行う。正純は厨房内を横目にレジカウンターを開いて売上を数え始める。
「全く、なにをやらかしたんです?」
「さぁ……つまみ食いがバレたとかじゃないんですか」
すずなの呆れ声にもう慣れたと言わんばかりに感情の無い声が返ってくるだろう。
「コルネリアさん、どうしていつもやられると分かってるのにつまみ食いするんだろう……」
奥から出てきたのは洗濯した割烹着の換えを入れた籠を抱えるタイム。純粋な疑問だからこそ鋭い刃となって対象を切り裂く。
「仕方ない、もうそろそろとらぁ君を止めてあげるとしようか」
流石のマリアも閉店一時間前からバスターを受けている彼女を憐れに思ったのか、席を立ち厨房に向かおうと。
「お待ちなさいマリア、コルネリアは私のボトルを勝手に開けて飲み干してしまった罰を受けているのです。罪を洗い流すまでもう少し待ちまし「わかったよヴァリューシャ♡」ょう」
慈悲は無かった。
そもそも客に出すものであってヴァレーリヤのボトルでは無いということは誰もツッコミはしない。
「こんななんて事ない一日が、ずっと続いていけば良いですね……」
目を細め己の指を見つめる。戦場に立ち敵と切り結ぶ、血塗られた手でも誰かを笑顔に出来る、好きな人達と楽しく働ける此処が好きだった。
「すずなさん……」
すずなの独白にしんみりとした空気の中、正純が声を「ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」うるさい。
正純が声を掛ける。己の心中が言葉として出ていた事に気づいたすずなは紅くなった頬を誤魔化すように笑みを浮かべ。
「さ、片付けも終わったし、正純さんがお金数え終わったら帰りましょう!」
パンっ!
柏手を打つと皆も微笑み頷く。
「お疲れ様! 明日も沢山頑張って沢山飲みましょう!」
「ヴァレーリヤさんはせめて納品来るまで飲まないでくださいね。お客様に出す分が無くなってしまうので」
「えっ」
「そもそも商品飲んじゃだめなんじゃないかな……」
「ヴァリューシャ……♡」
タイムの声を締めに、今日もマリ屋の一日は何事も無く終わりましたとさ。
ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙。
一人を除いて。 - 執筆:胡狼蛙