幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

黒と冬月の記憶

関連キャラクター：クロバ・フユツキ

強くなりたい。: ●
　どうすればもっと強くなれるのだろう。
　ホムンクルスのこの身体では限界があるのだろうか？
　異常と詰られればそれまでだし、怪物だと恐れられればそうだと認める他ない。
　苦しい程にまっすぐなのは、いつだって偏見と批判だけだから。
　そうでなければ涙なんて機能をつけた神様をぼこぼこにしてやりたくなる。
　神には祈らないけれど、存在くらいは信じてやる。
　雪雫と出会えたこの世界を嫌う気には、まだなれないから。

　駆け抜けるほどに、大切なものが増えていく。
　いつになったら終われるのだろうと考えながら、死神として死をもたらしてばかり。
　終わりを望めば望む程に、その気配は遠退いていく。

（……弱くなったよな、俺も）

　昔の俺に言ってやりたい。そのままでいろと。
　なんて、叶わない願いをまたひとつ考えてみたところでふと笑みがこぼれた。
　両手いっぱいでも足りないくらいの思い出と幸せ。まだ取りこぼすわけにはいかないから――せめてこの命が終わるまでは、剣を奮おう。; 執筆：染