PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

砂塵行路

関連キャラクター:ラダ・ジグリ

新しい可能性。或いは、砂漠の旅…。
●太陽の光
「解せぬ( ‘ᾥ’ )」
 熱い砂の上に伏し、リコリス・ウォルハント・ローアはそう呟いた。
 その背中には、1枚の大きなソーラーパネル。太陽の光をエネルギーに変えるという練達の発明品であり、つい先日、伝手を使ってラダが仕入れたものである。
 とはいえ、ラダが手に入れたソーラーパネルは型落ちの安物。相応に重たく、さっそく背負ってみようとしたリコリスは、支えきれずに地面に倒れ込んでいるのだ。
「リコリスには無理だろうな。私はソーラーパネルなら背負えたが、クーラーボックスまでセットとなると厳しいものがある」
 そう言ってラダも、背中に背負ったソーラーパネルを地面に降ろす。
 用意できたのは、ソーラーパネルが3枚と、ソーラーパネルで得た電力により稼働するベルト付きのクーラーボックスが2つ。ソーラーパネルとクーラーボックスを背負って砂漠を移動するのなら、いつでも冷えた飲料が飲めるし、新鮮な肉も運べるようになると踏んだが、そう上手くはいかないらしい。
「お肉も飲み物も無駄になっちゃうね。食べちゃおう?」
「まぁ、待て。まだ一縷の望みが残っている」
 と、そう言ってラダは視線を右へと向ける。
 そこにいたのは黒き四肢だ。太い四肢に、筋肉質な立派な体躯。ルナ・ファ・ディールはさも軽そうにソーラーパネルを獅子の下半身に背負い、それからクーラーボックスを人の上半身に担いだ。
「お、おぉ? 動いてる動いてる。背中が冷たくなってきた」
 何の負担も無いといった様子で、ルナはそのまま周囲をぐるりと歩いて回る。その間にもソーラーパネルは電力を作り、クーラーボックスの内部を冷やす。
「どうだ? 重たくは無いか? そのまま1日、砂漠を歩くことはできそうか?」
「あー、まぁ、重いっちゃ重いが歩けはするな。1日か2日ならどうとでもなるが……」
 と、そこでルナは首を傾げた。
「どこかに肉を運ぶなら、俺が走った方が速ぇな」
 ルナの言葉を聞いたラダは、がくりと肩を落とすのだった。
執筆:病み月

PAGETOPPAGEBOTTOM