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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

砂塵行路

関連キャラクター:ラダ・ジグリ

駱駝。或いは、創意工夫の砂漠の旅人…。
●奇妙な来訪者
 駱駝であった。
 ところはラサのとある都市。街の外の砂漠を一望できる小さな喫茶店。
 任務の帰りに顔を合わせて、何とはなしにチャイを飲みに来たラダ・ジグリとエルス・ティーネは、そこで奇妙なものを見た。
「あれは……何だ?」
 生姜の香りを楽しみながら、ラダは砂漠の果てを見る。
 一口、チャイを口に含んでエルスは目を丸くした。
「何って、駱駝だわ。コブは幾つあるかしら?」
「コブは2つあるな」
「では、フタコブ駱駝よ」
「……それはそうだが」
 駱駝であることに間違いは無い。ひと目見れば、その程度のことは分かる。
 問題は、件の駱駝の荷物……というか、装備であった。
「背負っているのは何に見える? 私の目には鉄板のような物を背負っているように見えているが?」
「そうね。鉄板、というか……ソーラーパネルという物ではないかしら? ほら、錬達の方で使われているっていう」
「あぁ、あれか。太陽光を動力に変えるとかいう」
 それを駱駝が背負っているのだ。
 元々、駱駝は力の強い生き物だ。足は遅いが体力がある。重たい荷物を背負って歩く、砂漠の旅の良き供である。
「胴にかけられているのは、もしかしてクーラーなのか?」
「ソーラーパネルで得たエネルギーで、飲み物を冷やしているのね」
 なんて。
 2人の静かなティータイムは、そんな風に過ぎていく。
執筆:病み月

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