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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

砂塵行路

関連キャラクター:ラダ・ジグリ

敗戦の宴。或いは、砂漠の商人…。
●干々砂路
「よぉ、ラダ。酒がたんまり余ってただろ。あれ、全部出しちまおうよ」
 砂漠のどこか。
 古い遺跡の真ん中で、焚火を囲む女が3人。
 そのうち1人、鋭い目つきのカウガール風な女が告げた。
 名をアン・バゼット。元盗賊の商会員だ。
「余っているわけじゃない。あれは売り物だ。少しならともかく、全部を出せるはずがないだろ」
 薪を片手に、ラダ・ジグリは呆れたような溜め息を零す。
 冷淡な眼差しをアンへと向けるが、その表情は少々暗い。
 そんなラダの様子を見て、もう1人の女がくすくすと笑い声を零した。
「アレが売り物? 混ざり物だらけの安酒を誰が買うと?」
 そう言って彼女、メアリー・バゼットは口元を手で覆い隠した。
 若干、ムッとした顔をしながらラダは肩を竦めてみせる。アンとメアリーの言っている酒とは、つい数時間前にラダが仕入れたものである。
 もっとも、その品質は“劣悪”に過ぎた。
 混ざり物の多い安酒。
 味は悪く、酒精だけが馬鹿に高い。
「たしかにあれは売れないな……飲んでもいいが悪酔いするぞ」
 荷馬車の鍵を放り渡して、ラダはがくりと肩を落とした。
 安酒を買い付けたのはラダのミスだ。
「何言ってんだ。お前も一緒に飲むんだよ」
「敗戦の苦汁は酒で洗い流しましょう」
 なんて。
 嬉々として荷馬車へ走る盗賊姉妹の後ろ姿を、ラダは黙って見送った。
執筆:病み月

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