PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

日日是好日

女性が大好き夏子ちゃんと
夏子が大好きタイムちゃんの
愛とか恋とか捻くれ曲がっちゃって
されどソレなりにかけがえのない大切な日々の情景


関連キャラクター:タイム

リフレイン

 ああそうだ、夏子さんがこれ好きって言ってたんだっけ。
 なんてふとした拍子に夏子を思い出してしまうのは、きっと心の何処かで無意識に夏子を探しているから。
 一人暮らし、好きなもので満ちた部屋、なのに何故か、なにか欠けていると思ってしまうのは、きっと一等お気に入りで大好きなものが此処には存在していないから。
(……あーあ! どうしたって思い出しちゃうのかしら。意識してないのになぁ、うーん!)
 テーブルで頬杖をついて、頭に浮かぶ彼を少しずつ消していく。つもりだったのに。
「……ん?」
 アデプトフォンはそれを許さない。
 設定変更し忘れたままの初期の着信音が鳴り響く。この音可愛いとかなんとか言っていたような。ああ、まただ!
「はい、もしもしっ。タイムです!」
「あ、起きてた~? タイムちゃん、今どこ? 暇?」
「夏子さん? 今は家だけど……晩御飯作ってたの。暇じゃないかも」
「お、ラッキー。まぁじゃあ一旦暇だと仮定しまして。今外出れる?」
「も~! 出れるけど。どうして?」
「ふっふっふ。なんででしょう!」
 肩と耳でアデプトフォンを挟んだまま、サンダルに履き替えて外に出る。そこには。
「あ、タイムちゃん。やっほ~」
「ええ?! 夏子さん?!」
 目の前と電話越しから聞こえてくるご機嫌な声に思わず声をあげて。はっと口元を覆う頃には、ご近所迷惑なんて言葉が蘇ってきた頃だ。
「新しい靴の履き慣らしに歩いてたら迷子になっちゃったので、ついでに会いに来てみました。タイムちゃんには悪いんだけどご飯食べに行かない?」
「ちょっと、ついでとか言わないでよ~!! えぇ、じゃあ食べていく? せっかく作ってたしなぁ」
「今日のメニューを拝聴したいところ」
「パスタだけど。夏子さんの好きな」
「……ごちそうになっても?」
「ふふ、もっちろ~ん」
 会えるとは思っていなかった。願ってもないナイスタイミング。
 もしもし神様、もしかして彼のことばかり考えているとうっかり会いに来てくれる魔法なんかかけちゃったりしてくれたんでしょうか。
 だとしたら貴方は天才です、ありがとう!
「まだ作りかけだけど待てる?」
「むむっ じゃあ手伝っちゃいましょうかね 腕の見せ所ってやつよ」
「さっすが夏子さ~ん! じゃあこっちきて。パスタ茹でるのお願い!」
「あいよ~」
執筆:

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