幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
日々のかけら
日々のかけら
関連キャラクター:ニル
- 年末年始のおいしい
- ●
「雨泽様」
「あれ、ニル。依頼の帰り?」
「はい。雨泽様と練達でお会いするのはめずらしい、ですね」
「そうだね。僕は買い出しに来たんだ」
「買い出し、ですか?」
「うん。練達ってすごく便利だからね」
口元までマフラーで覆っていた雨泽が話しやすいように少し下げ、持っていた紙袋の中身を見せた。包装紙に包まれているため解らないが、「瓶詰めだよ」と教えてくれた。
「瓶……お菓子やジャムですか?」
「両方違うけど、甘いもの」
瓶の中身は、甘い栗と甘い豆。じっくりと煮含められた名店の味は年始の贅沢にぴったりなのだ。
「あ、そうだ。これあげるよ」
「え……雨泽様、良いのですか?」
「うん、アドベントカレンダー貰ったし」
注意されてから、ちゃんと最終日まで一個ずつ開けたよと報告もして。店は近いからもう一セット買ってくればいいだけだと、手にしていた紙袋をそのままニルへと差し出した。
「栗は甘露煮だよ。一緒に拾って食べた栗よりすごく大きいから吃驚しちゃうかも」
秋に食べたものとまた違う栗を食べて欲しいと笑まれれば、ニルもありがとうございますと受け取った。
「ニルの大切な人たちと食べて。それで新年に感想を聞かせてよ」
「はい、皆様といただきますね」
「それじゃあ、ニル。よいお年を」
「はい! 雨泽様もよいお年を」 - 執筆:壱花