PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

再現性アーカム

関連キャラクター:ロジャーズ=L=ナイア

美女と死臭
 ぶくぶくと嗤い始めた地面が、ぼこぼこと、逸脱したかの如くに腕を伸ばした。色欲の明るさに、薄っすらとしたピンクに惹かれたのか、異常なまでの量の『死』が腐れて異る。果たして、わたしはどうして、こんな場所にいるのかと、頭をぐるりと回したところで理解出来る筈もない。きっと、玉虫色な御伽噺に手を取られ、覚束ない袋小路にでも引き摺り込まれてしまったのだ。嘲るかのように陥没していた頭蓋がケタケタとヒトサマのフリをして逆撫でてくる。いや、こんなにも囲まれて掴まれて、弄ばれたら、遅延性の地獄も早期に起こるものだ。こっちにおいで、と、ゴルゴ―かモルモーかも解せない、真っ赤な足跡が見えて仕方がない――誰が駒鳥を殺したのかって? わたしよぉ、おなかがすいたもの。空腹を訴えているクセに胃酸が騒々しいのは何故だろうか。混沌め、嗚呼、混沌め。グツグツと煮え滾った棺の底へと翼を重ねて、暈ねて往く――アミュレットでも隠し持っていたのか、オマエ、塞がれた……。
 おや――貴殿でしたか。顔色が悪いようですね、まだ、オオコウモリの死骸にはなっていないようです。ヤケに重たい瞼を如何にか開けたところに『男』の貌。やわらぐ事の無い表情を視認し、オマエは『男』を『この街に関係している』ものだと直感で咀嚼した。残念ですが私と一緒に行くには早いようです。例のアイツが来る前に帰った方が良いですよ。伸びてきたのか、広がったのか、まったく解せない『腕』を支えにオマエは如何にか立位を保てた。出口まで私が案内しましょう。大丈夫です、アイツにはしっかりと地獄を見せておきますので――ピクニック気分で死臭を塗りたくられた。お名前は……。
 私はシャーラッシュ=ホーと申します。
 メリーノよぉ、メリーノ・アリテンシア……。
執筆:にゃあら

PAGETOPPAGEBOTTOM