PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

星空

関連キャラクター:ガイアドニス

ある花を救った日

「その花はね、売れなんだ」
 ガイアドニス(p3p010327)はふと目に入った花屋からそんな話が聞こえた。
「まぁ! それはどうして?」
「うお!? お嬢ちゃんいきなりだな!」
 ガイアドニスはその話が気になってついその花屋の話に混ざり込んでいった。
「あらごめんなさいつい! 気になるお話が聞こえたものだから」
 花は愛でられるべき存在だ。だから店主が花を愛するが故に売れないものなのかと彼女はロマンス的な話題を期待していたが、店主の顔色はそうは示していなかった。
「大した話ではないよ。この花は花言葉が良くなくてね」
「花言葉?」
 純種の知識か、旅人からの知識かは始まりは不明だが、この世の花には花言葉がつけられている。桜なら『精神美』『優美な女性』『純潔』、蒲公英なら『愛の神託』『神託』『真心の愛』、百合なら『純粋』『無垢』『威厳』と言う具合だ。
 そんな花言葉を参考に花を買う客は少なくはないという。
「ああ。これはキスツスって花なんだが……これがまたな」
「……どんな言葉が込められているのかしら?」
 そんなに言いづらいような言葉なのだろうかと店主の顔をまじまじと見るガイアドニスに「ああ、降参だ降参!」と店主はため息を付きながら。
「……はぁ、この花の花言葉はね……『私は明日死ぬだろう』って言葉だ」
「まぁ!」
 思っていたよりもずっとずっと暗い言葉でガイアドニスは驚いた。
「売れない理由がわかっただろう?」
「確かに……好まれにくい言葉かもしれないわね。でもどうしてそんな花言葉がついたのかしら?」
「なんでもキスツイってのは性質上一日しか咲く事が出来ない花でね。そこからって説が有名ってところだな」
「まぁ……」
 一日しか咲くことが出来ないだなんてきっと他にも探せばあるような気がするのに。それにこのお店の鉢植えで葉を伸ばすキスツスはその時を楽しめるようにか、まだ蕾すらもまだ見えない状態。ああ、開花したその様は儚くて美しいのだろうなと思う。
「ねぇ、どんな花を咲かせるのかしら?」
「うん? ああ……こいつは別名午時葵って呼ばれててね。その名の通り葵によく似た桃色の花が咲くよ」
「まぁ! 可愛らしくて素敵! とても素敵だわ!
 ねぇお店の方? 良ければこのキスツス、このおねーさんに買い取らせて頂けないかしら?」
「うん?! そりゃほんとかい??
 こんな話まで聞いて買おうって客はお嬢ちゃんが初めてだよ。本当にいいのかい??」
「ふふふ! おねーさんにだって二言はないのよ?」
 ガイアドニスは得意げな顔でウィンクを投げた。

 だってだって、嫌われものの花なんて悲しいわ。
 おねーさんだけでも。このおねーさんの大きな愛で愛してあげたいと思ったの。
執筆:月熾

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