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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

よろずな美術館【エイプリルフール】

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

薄紅の呪い
 薄紅の花弁が儚く散る季節、突き抜ける様に蒼く、透き通った空。
 新緑芽吹き、動物たちもうららかに歌い踊る春がやってきた。
 人知れず咲く一本の桜。
 見つけてしまえば操り人形の糸を繰るように、引き寄せられて。来た道はいつの間にか閉ざされてアンナに貼れていた青空は真っ暗な闇へと姿を変えた。
「ああ、来てくれたんだね。待っていたよ――殿」
 若く美しい男の声が、優しく話しかけてくる。この声に着いて行ってはいけない、頭のどこかで判っているのに夢の中を漂っているかのように身体はいう事を聞かない。
 ああ、駄目。駄目なのに、どうしてこんなに満ち足りているの。
 まるで、輪廻が何度も巡って一周したように安堵と喚起の涙が溢れてくる。

「ああ、愛しい人此方へどうぞ。俺と一緒に眠ろう。未来永劫ずっと一緒に。もう片時も離れることが無いように」
 ――桜の下には死体が二つ。埋まっている。
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