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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

よろずな美術館【エイプリルフール】

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

例えば貴方を引き止められていたなら
●とある貴族令嬢の例え話

 とある貴族令嬢はその身を堕とし、愛する彼を奪った憎き敵国であるはずの土地『鉄帝』でその身を滅ぼした。
 彼女の運命は全てが不運だったが、一つだけ選択の余地があった。

 ──もしも、彼を引き止める事が出来ていたならば。

 彼女はプライドが高く、婚約出来て嬉しいと思っていた彼に対してもただ冷たい態度を取り、彼の身分を考えて敵国へ送り出してしまった事から運命は狂ってしまった。
 しかしあの時、もしも彼女が素直に彼の身を案じ引き止める事が出来ていたならば彼は彼女と歩む道を選ぶ為に様々な事を考えていたかも知れない。
 貴族という立場は決して優雅な事だけではない。例えば自分より立場が上の、例えば派閥の代表からの辞令なら逆らう事は容易ではなかっただろう。それが今よりも昔で、所謂『前の世代』ならば色濃く出る事である。

 ならば彼の結論としては『駆け落ち』。
 それすらも成功する事が出来ていたならば彼と彼女には幸せなifもあったかもしれない。彼にはそれだけの彼女への深い愛があったのだ。
 貴族として生まれた二人にとってそれがどんなに過酷な道であろうとも、愛し合った二人の間に子供が生まれ、貴族事情に振り回されず、別れの剣(ヴェルグリーズ)を振るわずに済み平和に過ごせるだろう日常は

 ──圧倒的なハッピーエンドに違いないのだから。
執筆:月熾

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