PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

やせいの リコリスが あらわれた!

関連キャラクター:リコリス・ウォルハント・ローア

遊びの終わり
 リコリス・ウォルハント・ローア。
 それはこの混沌で、最も完成されたイキモノ。
 主として高台に巣食うリコリスは、偶然通りがかるだけの獲物には目もくれず、ただ『目標』と定めた人物のみを狙うとされています。
 その集中力が、途切れることはありません(横から1カメ)。
 ただじっと、スコープ越しに通りを見下ろします(背後から2カメ)。
 しかしそれは単なる没入ではなく、全方向への警戒を怠ることはありません(ヒキの画で3カメ)。
 その証拠に……ほら。
 (スローモーションリプレイ)
 リコリスの周りを飛ぶ羽虫が、尻尾の一打ちで消えています。

「ええ、彼女は当然、私のことにも気づいていましたよ。
 何ブロックも先から、双眼鏡で見ているだけなのに」

 スコープを覗く目と、外界を眺める目。
 その両方がついに、同一の何かに焦点を合わせる時。
 ……息を呑む音でさえ、気取られるかのような緊張感が、周囲を包み込みます。
 …………キ、チッ。
 トリガーがしずかに引かれ、しかし、セカンドステージの始まりに至った正にその瞬間。
 リコリスは銃口を上げました。その表情は、どこか残念そうな笑顔のように見えます。
 一言二言、何かを呟いたようですが……そのままリコリスは、荷物をまとめてこの場を去りました。
 その後スタッフが調査に出向きましたが、足跡一つ、髪の毛一本、見つけることはできませんでした。

「ということで、リコリスの調査は全く進んでいません。
 あの時に、一体リコリスが何を――いえ、『誰を』狙っていたのか。
 それが分かれば、大きな進歩となることでしょう」(カメラ、窓の外の光景へパン)( ‘ᾥ’ )
執筆:君島世界

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