PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

私の物語を繋ぐ物

関連キャラクター:イーリン・ジョーンズ

天才になれなかった女
 それは――単純に記してしまえば――ひとつの器で在った。
 時に名を変え、時に品を変え、ただ、只管に文字列と成って天国と地獄を謳歌していた。おそらくは中間地点など存在しなかったのだ。謳い、謳われ、何方かと謂えば後者たるべき、と、神に望まれたが最悪だったのだ。されども、悉くを理解したのか、欠片を咀嚼したのか、歩み続けた。戦場を相棒と共に、弟子と共に、魔導と共に、気が遠くなるほど、病的とすら想えるが儘に――オマエはイーリン・ジョーンズ、天才になれなかった女。
 当たり前ではないか。絶対的な話ではないか。そもそも天才とは人の枠に嵌った、そんな連中を示す言の葉なのだ。おぞましくも膨れ上がった、狂った、知っていた事に出来る脳髄など、まったくフワフワとした菓子類ではないか……。
 さあ、本を整理しよう。
 さあ、何者かとして生まれ、堕されよう。
 さあ、追憶を抱いてうたうと好い。
 さあ、文化祭の出し物を提案しようじゃないか。
 さあ、キャラクター設定に従って旗を振れ。
 さあ、生きる為に飲んでくれないか。
 薄暗い書庫で今日も、また、玉虫色に輝く球体めいて。
 赫々と――利き手は右。
執筆:にゃあら

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