幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
ご主人と猫
ご主人と猫
関連キャラクター:武器商人
- 春花、雪冬。
- 春が好きだ。冬の雪解けに舞い散る桜が好きだ。
まだ肌寒い季節が、暖かく日差しに溢れた時季に移り変わる刹那が好きだ。
冬には冬の良さが有り。春には春の好ましさも在る。
「こんな話を聞いた事はないかぃ?」
冬の雪解けと、春の桜散る季節が混じり合う場所が在る、と。
慈雨が語る話が、場所が、現象が、混沌に存在するならば……。
「行ってみたくなるじゃねぇかよ」と、思っちまった。
しかし、慈雨に聞いてみても「小生は、話を聞いただけだからねぇ、行き方までは判らないんだよ」
としか言わねぇ。どうやって行けばいいのか全くわからねぇ。桜……桜。
と、俺が悩んでいると慈雨が「ただ、桜が咲く場所となると、話は別だけどねぃ?」とヒントをくれた。
「そうか、豊穣か!」と思わず声に出しちまった。
豊穣に俺と慈雨の二人で向かう
辿り着いた先は雪が積もる豊穣の一地方。
通りすがった人に「桜の場所」を訪ねてみる。
あいにくと、この雪の中まだ桜は咲いてねぇみたいだった。
それだけじゃねぇ、この季節に雪が降るなんて珍しいとも言っていた。
だが、ここまで来たんだ。桜の樹の一つも見れずに帰るなんて選択肢はねぇ。
そう思って俺は桜の木の場所をその人に尋ねてみた。
「寒いねぇ、小生は寒さに弱いんだよねぇ」と慈雨がなんか言っている間に。
桜の樹の下に着いた。
樹には雪が積もり。
花が散る様だ。
- 執筆:アル†カナ