PandoraPartyProject

幕間

よろずな美術館【シャイネンナハト】

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

存在意義
争いのない日。
奇跡の一日。

剣である貴方。
守るためと。
誰かを傷つけ。
誰かの血を啜り。
誰かの命を奪い。
そうやって振るわれてきた貴方。
今日この日。
その存在意義はどこに?

平和な街並み。
ふと立ち寄ったクリスマスマーケット。
キラキラと光るクリスタルの飾りの中には、ナイフを象ったものも。
魔除けの御守だというが。
眺めていると、服の裾を引かれ。
店の店主の子どもだろうか。不器用な、けれどがんばって堀った木彫りのナイフを貴方に差し出す。

元気出してよ、にーちゃん。俺の御守、あげるから。

あなたは鉄。
だからこの木彫りの子と共にはなれないけれど。
それでも、ありがとう。
君の笑顔を。
この平和な日々を守れるように。
俺はまだ、戦える。
執筆:ユキ
輝きの夜に
【クリスマスマーケット】
場所:どこかの国で行われるクリスマスマーケット
時間帯:夜
電飾は……練達等なら。電気のない国ならガス等やランタン等


冬のある日、数日に渡って開かれる、冬の市場。
シャイネンナハト前まではシャイネンナハトにちなんだグッズが目玉だろうか。
窓際に飾れそうな小さなもみの木を模した置物。
赤や緑の丸やクッキーの人形やラッパを手にした天使のオーナメント。
くるみ割り人形、角を生やした赤鼻の四足の動物、天使形のベル……
当日となれば人々のメインは飲食店に切り替わるだろうか。
身体を温かくするための、スパイス効かせたグリューワイン。
子どもたちは遠くから漂う甘い香りに誘われ、ホットチョコレートの屋台へと駆けていく。

キラキラ輝く灯りで、昼のように照らされて。
行き交う人々の表情はみな笑顔。
店々からの湯気と、そして人々からこぼれる白。
降り出した雪が灯りを反射して視界にちらつく。

ひとりでなら、暖かい飲み物を手に。
誰かとともに歩むのならば、互いに笑顔と白い吐息と会話を弾ませて。
灯りと笑顔を見て回る、幸せなひととき。



【スカイランタン】
場所:湖上、もしくは海上
時間帯:夜


中央の燃料に明かりを灯し、糸で繋いだ紙袋をふわりと被せれば、熱気球が浮力を持つ。
手から離れようとしているランタンの顔とも言える紙袋には、先程書いたばかりの願い事。
同じ願いを胸に、そっと手を離した。

たくさんの同じ明かりたちが、黒一色の夜空に放たれた。
目を離せばあっという間に己のスカイランタンを見失いそうで、瞬きもせずに見上げる。

願いは天へと昇っていく。
届くだろうか。
叶うだろうか。
叶えばいい。
そう、思う。

たくさんの願いが、空をあたたかに染める夜。



【キミがいない、キミだけがいない】
場所:自宅
ひとり、もしくはお子さんのような子と


クリスマスツリーのような野菜(ロマネスコ)を玉子とマヨネーズで和えて、赤と黄色のミニトマトを添えたサラダ。
さいの目切りにした玉ねぎとじゃが芋、赤と緑の野菜、厚切りのベーコンの具だくさんコンソメスープ。
照りが美味しそうな鳥肉が鎮座する大きなお皿には、カービングナイフとフォークを添えて。
この日のために早くから――ファントムナイトよりも前から予約した、キミが美味しいと言った店のホールケーキ。
よく磨いて用意したグラスには、しゅわしゅわと泡立つ黄金色のシャンパン。
キミのために用意したプレゼントは、ソファの上に。

キミと祝う。
今年もお疲れ様、と。
この輝かんばかりのこの夜に、と。
来年もよろしくね、と。
それが当たり前になっていた。
だから、多く用意しすぎてしまったんだ。

キミの席に、キミがいない。
すべてが完璧なのに、キミだけがいないんだ。

座る主の居ない、空いているひと席分。
その空間が妙に広く思えた。
執筆:壱花
バー『シャイネン・ナハト』


 あなたが佇むのは夜のバーカウンター。
 一人で来た貴方に、マスターは一杯カクテルをサービスする。
「……輝かんばかりのこの夜に。……シャイネン・ナハトのサービスでございます」
 マスターが差し出したのは以下

・ブランデーフリップ
 カクテル言葉『あなたを想う切なさ』

・プレリュードフィズ
 カクテル言葉『真意を知りたい』

・ホーセズネック
 カクテル言葉『運命』

・ブルドッグ
 カクテル言葉『あなたを守りたい』

 あなたは何を選び楽しまれるでしょうか?

※補足
場所:バーカウンター
時間帯:夜

 窓の外に降雪が見えていてもいいかもしれません。人物をメインにヴェルグリーズさんがカクテルを受け取っているイメージとなります。
 カクテルグラスに手を添えて、カクテルに幻視する誰かの事を考え少し憂いの表情が見えるかもしれません。
執筆:月熾
穢れなき歌声
 聖歌隊の子供達の讃美歌が教会内に響いている。
 ヴェルグリーズは瞼を閉じてそれを聞いていた。声変りをしていない柔らかく澄んだ声は成程『天使』と称されるに相応しい。
 パイプオルガンの荘厳な音色も、聖母を象ったステンドグラスも全てが神聖で清らかなこの夜の為だけに用意された様だ。
 あの天使たちはもう数年したら翼を広げ、空へ羽搏いていくのだろう。
 その満天の星空に見紛うばかりに輝いている瞳に沢山の夢と希望を乗せて。

 もし、自分が剣じゃなかったら。
 あの場所に立っていたかもしれない。
 在り得もしない想像に苦笑して、もう一度ヴェルグリーズは瞼を閉じた。

【補足】
・場所:教会
・時間帯:夜
・聖歌隊の子供たちの歌声を聞いているヴェルグリーズさん。手前に聖歌隊の子供、その奥に長椅子に腰かけているヴェルグリーズさんのイメージ。
執筆:

PAGETOPPAGEBOTTOM