幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
ポメ太郎と瑞さん
ポメ太郎と瑞さん
関連キャラクター:ベネディクト=レベンディス=マナガルム
- どんぐり
- ぽてぽてと歩くポメ太郎の前にころりと転がっていたのは小さなどんぐりであった。所々に落ちているそれは犬の視点から見ればそれなりの大きさだろう。
「瑞さんのお土産にしましょう!」
人間には『わんわん!』と鳴いてどんぐり見つけましたと言っている様に聞こえるだろう。だが、此処は賢犬ポメ太郎。きちんと友達の神様にお土産を用意するのである。
カムイグラの政を司る中枢部でありながら、神使を歓迎する姿勢を見せる御所にはポメ太郎の友人……いや、友『神』が居た。
「こんにちは。ポメ太郎さま」
「こんにちは、瑞さん! 今日はお土産です! どんぐりです!」
「わあ、沢山のどんぐりですね。飼い主さまにかごを用意して頂いたのですね。
……これだけ沢山ありますから、一度凍らせましょうか。後程、絵の具で飾り加工してみるのも良いでしょうから」
「凍らせるんですか?」
前足でどんぐりをてしてしとするポメ太郎に瑞神は頷いた。虫達には悪いがポメ太郎の土産だ。内部に巣喰った虫達が這い出てこぬように凍らせて対処をしようと瑞神は考えたのだろう。
「共に作業なさいますか? 飼い主さまにはわたしからお伝えします」
「はい!」
「なら、おやつを食べてから参りましょう」
その後、瑞神からどんぐりを使用して『なんらかの作業』をすると聞かされたベネディクトは微妙な笑顔を浮かべて了承するのだった。
……犬の世界もいろいろあるんだなあ、などと首を捻りながら。 - 執筆:夏あかね