幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
空翼(ソラ)を求めて
空翼(ソラ)を求めて
クウハとハンナさんの日常。
https://rev1.reversion.jp/interlude/detail/361?story=798
上記幕間から
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/21246
こちらのRPを経て恋人関係になりました。
関連キャラクター:クウハ
- 贈り物は黒。
- 「よぅ、似合ってんじゃねぇか。ソソるゼ?」
そう話すクウハの視線の先、柔らかな真白の綿の上に横たわるのは、シーツに負けじと白い肌をうっすらと赤く上気させた恋人。
「……あ、あなたがどうしてもって言うから、着たんですから、ね……」
そう話す彼女の装いは、もはや「他者から肌を隠し自己を守る」服の体を成していない代物。その身の白とのコントラストを際立たせる黒のカップに隠される双丘は、小さいながらも女性を象徴し。そこから下へと肌を包み込む布地は、なんとも頼りなく透けて、薄暗い部屋の中にあっても華奢なボディーラインをあられもなく晒している。そのシースルーのドレス部分の奥、三角州を隠す布地もまた、平時彼女の着用しているものからすればとても小さく、ましてや前後を紐で支えるのみのソレは、ひどく落ち着かない。
彼女の名誉のために言えば、これは彼女が選んだものではない。恋人である彼(クウハ)が彼女(ハンナ)へとプレゼント(提案)したものである。だが。
「そうだな。愛する彼氏のお願いを聞いてくれるだなんて。ハンナは本当にいい女だナァ?」
そういいながら、その白い太腿をそっと指先で1本、2本となぞっていく。羞恥に、けれど目を閉じることなくにらみ返してくるのは、さすがというべきか。あぁ、なんて美味そうなことだろう。
「断るって選択肢だってあったんだゼ? オマエも、こうされるって分かって着たんだロ?」
触れる指先はいつしか掌へとかわり。その手は徐々に、撫で上げ、薄い布地の奥へと。我慢しているのだろう。時折漏れ出る。「んっ」「あっ」という吐息さえも甘美だ。露わになった彼女の首筋へと鼻先を近づける。わずかに香る汗の香りもまた、香しい。その首筋。彼女の色素の薄い肌に浮かびあがる血管が、今彼の中に蟠る欲情を掻き立てる。
(あぁ……こいつの血を飲みてぇ。)
目の前には、必死に快楽から逃げようとする彼女が差し出した白いうなじ。クウハはそこへ、その牙を……
…………
……
「……夢かよ。」
そう。夢である。
隣には、すやすやと寝息を立てるハンナの姿があるが、寝乱れた様子もなく、もちろんそのうなじに、けっしてつけてはいけない傷跡もない。内心息を吐くクウハが、人の気も知らずに気持ちよさそうに眠るハンナの前髪を払い、整った鼻をつまんでやる。
「……んんーー!? なにするんですかもう!」
不機嫌に手を払い起き上がるハンナ。その様子に、してやったりと口角をあげるクウハだったが、起き上がった彼女のその、毛布をはだけて露わになった寝着に、思わず目を見開いて固まる。だってそれは、夢の中で自分が彼女へと着せたソレだったから。いや、正確には……
「……たしかに、黒色もいいかもしれませんが。」
そう話す目の前の彼女の様相は、先ほどまでのいつもの彼女ではなく、まるで雌のソレで。
「こちらの方が、”貴方色”じゃないですか? ねぇ……」
纏う紫色のナイトドレスが、ひどく妖艶に迫ってくる。片方の肩紐をずらし、差し出される首筋。そして。
「どうぞ、私を飲み干して……?」
…………
……
森の中、1本の枯れかけた木の枝の上。頭を抱えて空を見上げる悪霊が1人。
「……どこまでが夢なんだヨ、おい」
はたして、それは自然発生した夢か。あるいは、誰かが見せた悪夢か。
ただひとつはっきりしているのは。自身を侵すこの喉の渇きは癒えていない。だから、大丈夫だ。大丈夫。 - 執筆:ユキ