PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

空翼(ソラ)を求めて

クウハとハンナさんの日常。

https://rev1.reversion.jp/interlude/detail/361?story=798
上記幕間から
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/21246
こちらのRPを経て恋人関係になりました。


関連キャラクター:クウハ

人の気も知らないで。

「私、本当に怒っているんですよ」

 人気のない高台に2人。そう話すハンナに、クウハはそっけなく「別に初めてでもねぇだろ。」と返すだけ。

(もう、人の気も知らないで……!)

(……私の、気持ち……?)

 と、心の中で小首をかしげるハンナであった。

 なぜハンナがクウハに対して怒っているのか。それは……


 コスメショップを後にした2人。
 互いに、何故相手が不機嫌なのかは分からない。待たせてしまったから? 一緒に商品を探さなかったから?
 お互いに思う所はあるものの、本当の理由は闇の中。

「とりあえず……飯、くわねェか?」

 気づけば陽も高く。
 フゥ、とハンナも息を吐く。

「そうですね。買い物は、急ぐものでもありませんから。」

「そんじゃ……こっちだな。」

 ”オトモダチ”にでも聞いたのか、ハンナの手を取り歩き出すクウハ。その歩幅はやや控えめに。雑踏では前に。
 しばらく行けば、出店のパンと肉の焼けるいい香りが鼻をつく。

「コレと……ハンナはどれにすんだ?」

「あ、私はこれで。」

「ン。じゃそれで。お代な。」

 言うが早いか。さっさと支払いを済ませてしまうクウハ。

「あ、自分の分くらいは……」

 奢ってもらうつもりなどなかったハンナが慌てて財布を出そうとするも、「ほれ。」とクウハから包みを放られて、「わっ!?」と慌てて両手で受け止める。

 その時だった。

「え!? ちょっと、クウハさ……!!?」

「舌噛むなよ?」

 両手が塞がった隙に、クウハはハンナを所為お姫様抱っこすると、空へと舞いあがった。
 なんで、こんな。

(人目のあるところで。もーう!!)

 ハンナの怒りの原因であった。


 プリプリしているハンナ。その足元。たなびくワンピースの裾を見ながらクウハは思う。

 人気の店? 俺といるからってコイツが安く見られんのはうぜェ。
 場末の居酒屋? よっぱらい連中にコイツを見せてやるかっつーの。

「聞いてますか! クウハさん!!」

 こちらの気もしらないで怒れるプリンセスは、ったく。

「聞こえてんよ。つーかよ、お前も、自分の恰好考えろよ。」

「え? ……あ、もしかして、クウハさん。」

 そういいながら、ハンナは何かを察したのか。珍しくフフッっと笑って見せた。

「あ゛? 」

「クウハさん、私が飛んだら、下から見えてしまうって思ったんですか?」

「……」

「そんな迂闊なわけないじゃないですか。ほら。」

 そういいながら。
 特に恥じらうでもなく、当然のように目の前でワンピースの裾をたくし上げて見せるハンナ。
 なるほどたしかに。そこにはショートパンツの姿が見えた。
 同時に。ハンナの白く艶やかな。普段小柄でどこか幼く見えるものの、男から見ればまごうことなく”女の肢体”が。

「……」

「え、ク、クウハ、さん……?」

 無言のまま。
 真顔のまま。

 ゆっくりと伸ばされる筋ばった手。
 人よりも冷たいソレが、普段人の触れることのない太腿へと、静かに、優しく添えられる。

「……っ。」

 思わず身を固くするハンナ。
 けれど。
 抗えない。
 抗わない。
 ……なぜ?
 自分でも分からない。
 周囲の音が聞こえない。
 このまま……

「ひゃっ!?」
 
 突然ぐにゅっ、っと、無遠慮に太腿をつままれ。
 現実へと引き戻される思考。

「たしかに、こんなに細っこい足じゃ男も見ねぇか。お前はもっと食えよ。ほら。」

 そう言って、手にしたパンを口に押し込まれたハンナに、そっぽを向いたクウハの表情を伺うことはできなかった。

(昼間っから盛ってんじゃねぇよ。バァカ。)

 あれ。ところで、これ、間接キ……
執筆:ユキ

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