PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

空翼(ソラ)を求めて

クウハとハンナさんの日常。

https://rev1.reversion.jp/interlude/detail/361?story=798
上記幕間から
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/21246
こちらのRPを経て恋人関係になりました。


関連キャラクター:クウハ

このモヤモヤは。―買い物はまた後日―
 商店街、その中でもどちらかといえば女性向けの所謂ファッション街を行くは普段と変わらぬ猫耳パーカーのクウハと、今日は落ち着いたワンピース姿のハンナ。

「なァ~、ほんとに付き合わなきゃダメなのか?」

「貴方が言ったんじゃないですか。化粧がまだまだだと。あ、ここですねユリーカさんが教えてくれたお店は。」

 一軒の女性向けコスメショップのドアに手を伸ばせば、肩越しに感じる吐息。溜息交じりに、気だるげに、それでもレディーファストにとドアを開けるクウハが「どうぞ、マイレディ?」と揶揄うように笑う。

 いつもの彼。もはや照れるでもなく、けれど、どこか胸に温かいものを感じつつ「ありがとうございます。」と店内へ。


「きれいな白い羽に、お肌も白くて綺麗ですね!」

 ――その羽みてェによ。綺麗なもんじゃねェか。

 店員の営業トークに先日の言葉が想起させられて、知らず頬が熱くなる。きっと外に比べて店内が暖かいからだろう。

「……ところで、彼、素敵ですね。羨ましいです。」

「え?」

「お連れの方。彼氏さんですよね? 化粧品を一緒に買いに来るだなんて……」

「いえ、別に、そういうわけでは……」

「え? 違うんですか? ……じゃあじゃあ、紹介してもらえませんか?」

「はい?」

「私、ちょうど今フリーで。彼、ちょっと遊びなれてそうな感じがしてかっこいいから。」

「……」

「お店に入るときも、嫌そうなふりしてしっかりレディーファストしてるし、なんだかよくないです? ツンデレ、みたいな? 彼、なんて名前です?」

「失礼します。」

「え? あ、ちょっと……!」

 耳障りな声。何故だろう、何かモヤモヤする。店に入るまでの気分もすっかり台無し。とても買い物気分ではなくなってしまった。
 これはきっと、店員としての責務を果たそうとしないこの店員に失望したから。
 そう、それだけ。


「よう色男、昼間っから女連れかぃ?」

「あ゛ァ?」

「お、おいおい、そうツンケンすんなって。よくいるんだよ。彼女に引っ張られてきたはいいけど手持ちぶたさな彼氏ってよ。どうだぃ?彼女と上手くいってねぇなら、夜のアドバイスの1つでも。」

「昼間っから盛ってんじゃねェよ、ばぁーか。」

「……んだてめぇ。こっちが優しくしてりゃ。っけ、まぶい女が来やがったかと思ったら、てめぇみてぇなのと一緒ってこたぁ、こりゃとんだビッチか。お手付きなんざ、こっちから願い下げだっつー……」

 そこまで言って、男は突然その場に膝をつく。

「おぉい店員さん。このにーちゃん白目むいて漏らしてやんぞ。」
「え? ちょ!? きゃー! なにしてんのよ!」

 知りもしねぇでアイツのことを汚ェみたいにぬかすからムカついた。それだけだ。バァカ。
執筆:ユキ

PAGETOPPAGEBOTTOM