幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
空翼(ソラ)を求めて
空翼(ソラ)を求めて
クウハとハンナさんの日常。
https://rev1.reversion.jp/interlude/detail/361?story=798
上記幕間から
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/21246
こちらのRPを経て恋人関係になりました。
関連キャラクター:クウハ
- 膝上問答
- 「あぁ、クウハさん。今日は顔色が良さそうですね。昨日はよく眠れたんですか?」
「あ? あァ、そうだな。新しい枕があったのかもしれねェな。」
「それはよかったです。」
「誰かさんの膝ほどじゃねぇがなァ。」
「またお貸ししましょうか?」
「んにゃ。それよか、今日は俺の硬ェ膝を貸す番みてェだな。」
「? 私は別に眠れていますが?」
「んなひでぇ顔してか?」
「私が起床してから自分で鏡で確認していないとでも? 身だしなみは軍人の務めです。普段と変わりないでしょう。」
「昨日の依頼は、碌でもねェやつだったみてぇじゃねぇか。」
「……」
「天義やら鉄帝やら。女もガキも関係ねェ。嫌なご時世だこって。」
「それで、依頼で私が心的外傷を受けていると?」
「受けてねェってか?」
「馬鹿にしないでください。私は元々軍人です。」
「軍人様は依頼のためなら殺しもなんも気にしねェってか?」
「その通りです。」
「……ハァ。ったく、このばぁか。」
「……ちょ、何するんですか! 放してください……!」
「化粧なんざどこで覚えたんだ? けど、まだまだだァな。クマ、隠しきれてねェぞ。」
「……っ!」
「いんだよ。そういうのはな、俺みてェな根っこから黒い奴の仕事なんだよ。おセンチになったっていいじゃねェか。」
「……私は、そんな弱くはありません。」
「いんや。弱ェよ。」
「……私が女だからとでも?」
「わかってんじゃねェか。」
「……まさか貴方にそんな風に言われるだなんて……残念です。」
「弱ェところがあるくらいの方が、いい女だと俺ァ思うぜ。」
「……はい?」
「いいじゃねェか。俺みてぇに底の底まで真っ黒な奴にすりゃ、ちょっとばかし白すぎるくれェでもいいと思うぜ。その羽みてェによ。綺麗なもんじゃねェか。」
「き、綺麗だなんて、そんな……」
「お、ちったぁ顔色もよくなってきたんじゃねェか? ン?」
「か、揶揄わないでください! まったく、これだから……!」
「そうそう、ハンナはそうでなくちゃな。けど、ヨッっと。」
「キャッ!? ちょ!?」
「俺の膝を貸す番だ、っつったろ? おぅおぅ、見る見る顔色が良くなるなァ。クククッ」
「……もぅ! 貴方って人は!!」
「カハハ! ……ま、俺もひと眠りしてっからよ。今日の俺ァきっと爆睡しちまうんだろうなァ。そしたら何も聞こえやしねぇだろうなァ。」
「……ありがとうございます。……とでもいうと思いましたか?」
「ちょ、おまっ、くすぐんなっつーの! そこはシクシク膝を濡らすとこだろ!?」
「貴方が思う私は、そんなに弱い女ですか?」
「……ハッ! たしかに、ちげェな。」
「でしょう? ふふっ……」
――――でも。ありがとうございます。
人肌とは違う、彼独特の、少しひんやりとした温もりが、熱を持つ頬に、瞼に、心地良く。 - 執筆:ユキ