PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

空翼(ソラ)を求めて

クウハとハンナさんの日常。

https://rev1.reversion.jp/interlude/detail/361?story=798
上記幕間から
https://rev1.reversion.jp/guild/1335/thread/21246
こちらのRPを経て恋人関係になりました。


関連キャラクター:クウハ

消えない傷をください。
「クウハさん?」

「……あん?」

 強い日差しが差す昼下がり。木の枝の上で優雅に人間観察という名の昼寝としゃれこんでいたクウハが目を開けると、そこにいたのは見知った顔だった。

「何をしてるんですか?」

「あー……俺にしかできない大切な仕事さ。」

 ハンナの質問に適当に返しながら、その姿を見る。身の丈程の白い双翼は今日もまた綺麗なもんで。本当に

(アァ……うまそうだ……)

 そんな内に潜む黒い欲望など微塵も出さず。

「……密偵ですか? 任務中に、すみませんでした。」

 慌てて同じ枝に身を隠し声を潜めるハンナ。その、変わらないクソ真面目な様子にクハッっと笑いが零れる。何を笑うのかと怪訝な表情を浮かべる彼女。

「何もしねェのをしてんのさ。」

 その言葉を聞けば、彼女の怪訝な表情は途端、不機嫌なソレとなり。
 アァ、イイ顔だ。たまらないナ。そんな気持ちが口元を緩ませる。

「”また”揶揄いましたね?」

「”また”だなんて心外だゼ? 俺様は”いつも”揶揄ってんのさ。」

 かわらぬ調子に「ハァ」とため息を零す彼女だが、それでも怒りはしない。どうせなら怒った顔も見たいもんだが。

「私はもう行きます。そうだ。お暇でしたら、ご一緒しませんか。」

 そういいながら当然のようにクウハの手を取るハンナ。ぼんやりと彼女を眺めていたクウハは、状況把握が一手遅れてしまった。

「あ? ちょ、まっ……!」

「え? ヒャッ!!?」

 なにを思ったか、クウハの手をとったまま飛び立とうとしたハンナだったが、バランスを崩して落下。咄嗟にクウハがハンナを自分の腕の中に入れ、背中から繁みにダイブする形となった。

「す、すみません……」

 困惑しながらも謝罪するハンナ。その驚き戸惑う表情は中々にソソるものでまんざらでもないのだが、それを表には出さないのがクウハである。

「いや、何がしたかったんだヨ。」

「いえ、霊なら飛べるのではないかと思って……」

 呆れた様子で問いかけてみれば返ってきたのはそんな返答で。

「なるほどな……んで? どうだい。俺の腕の中におさまった感想は。」

 からかい半分にそんな問いを投げかけてみれば。

「……ひんやりしていて、気持ちいいかもしれません。」

 まだ混乱しているのだろうか。他意はないだろうに、そんな言葉を返されれば、噴出さずにはいられなかった。

「笑っている場合ではありません。背中、怪我していませんか?」

 心配するその表情もまたイイもので。

「気にすんなよ。かすり傷だ。どうせなら消えねェくらいの傷をつけてくれたっていいんだゼ?」

「ふざけないでください。ほら。」

 改めて手を引かれ。その小さな手を。自分とは違う温かいソレを感じながら思う。

(冗談じゃねぇんだけどな。)
執筆:ユキ

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