PandoraPartyProject

幕間

同一奇譚

関連キャラクター:ロジャーズ=L=ナイア

『クレープ』

「ねぇ」
「なあに?」
「今度のテスト明けにクレープ食べに行かない?」
「え、いいね! 行こう!」
 女子高生は甘いものと素敵なものと冒涜的ななにかで出来ている。
 だからそう、頭を使うテストのあとにはとびきりのご褒美が必要なのだ!
 やれ苺が良いだのバナナは外せないだの変わり種にしようだのきゃいきゃいはしゃぐその姿は、至って普通の女子高生のそれで。おかしいところもへこんだ頭も何一つなくって。
「こんなゆっくりした日がずっと続くと良いな」
「続くに決まってるでしょ!」
「たしかに、なんで心配しちゃったんだろ?」
「疲れてるんじゃない? やっぱクレープが足りてないよ!」
 これはゆいと萌黄が、まだ『普通』で『特別授業』に呼び出されることもなかった頃の、なんてことない1ページ、そのひとつ。
執筆:
糖分過多、劇薬の原典
 嗚呼、そうだろうとも。
 かの『原典』が喪われて久しいがアレを手にして正気でおれる人間などいないだろう。

 その本は。
 装丁は皮膚、頁は肉、綴られた文字は臓腑で綴られており、読むだけでなく視界に入れただけで精神に異常をきたす。
 どれだけ穏やかな老紳士もこの本を認識したが最期。
 奪われまいと杖を振りかざし暴れまわり、自身を心配する長年連れ添った妻ですら敵とみなし頭蓋を叩き割る程になる。

 ああ、全く悍ましく愚かで狂い果てた戯曲だとも。愛おしい位にな。
 何? そんな本ある訳ない?
 Nyahahahaha!!!
 嗚呼いっそ『作り噺』と笑い飛ばせたならこれほどの幸せなお茶会(ハッピーエンド)はあるまいよ!
 ほうら、砂糖とホイップクリームを紅茶にうんと流し込んで、垂れ流してぐるぐる銀のティースプーンでかき混ぜようじゃないか。
 どろり溶けて、融けて、解けてしまえ。
 飲み干した甘露は極上の味わいだ。かの蜂蜜酒にも引けを取らんな。

 しかし、はてさて。
 かの原典は何処へ消えたのか。
 どこぞの教団の狂った信者が盗み出したのか、はたまた正義感溢れる神にでも燃やし尽くされたか。
 若しくは。
 ――元居た世界に飽きてどこぞの世界でにも渡ってみたか。

 ……まぁ、真相は定かではないが、まぁ近寄らん方が身のためだ。
 まだ人間でありたいならな。
 尤も貴様の脳髄がぐちゃぐちゃに搔きまわされて、混ぜこぜになって永久に世界に別れを告げたいのならば止めはしないがな!!
 ――Nyahahahaha!!!
執筆:
『こんな本うちの店にあったかな――ふむ、あ、あ、あア亞aa』
 もつは美味しいおにくの食べ方を知りたくて本屋に行きます。
 角のそのまた角の突き当りの先、突き当りの先は突き当りの先です見えるでしょうほら。
『お料理』棚の一冊分の隙間の隣、官能的で冒涜的で心躍るレシピ本を手に取り――ところで店主が見当たりません。 
『チクタクマン』
 見ちゃった見ちゃったの■■がおかしくなったのはホ■■プクリームみたい■■■かくて目が■を■■――。

 成程――貴様。何故に美術室の前に『突っ立って』存在るのかと思えば『覗いた』のだな。特別授業も無しに興味本位で、否、友達とやらの為に眼球を転がしたのだな。真逆、始まる前に終わるとは私の想像を外れて異た。ならば僅か、少し、愉しい部分だけを残して『加工』すると詩よう。何、問題なく『粘土の扱い』に関しては■■よりも上手いのだ。素晴らしい。物語とは尽く『幾等でも改竄出来る』ものだ。特に幕間、虚う異う場ではな――さて。横たわると好い。お薬の時間だ。何、軽くふわふわする程度なのだよ。クリームは人の類に合わないと■■で理解している――。

 ――頭の中でジャムを作るような、そんなイメージが溢れていた。美味しそうなフルーツサンドを売ってる店を見つけたんだ、と、■■の声が聞こえる。違う。あの笑い声だ。笑い声は決してやまず、■■の蒼白い顔が浮かび上がって――身体を起こす。ひどい汗だ。
 風邪でも引いたのか、不意を打つかのように視界がブレた。何かしら、大切なものが抜け落ちた気がする。しかし――そんな事を考えている暇はない。早くゆいを元に戻さなきゃ。あの頃のゆいに。今日、私は、あの場所――。

 遠い遠い、狂いの生地、香りが漂う。ワンダーな気持ちで患い臥せた。
執筆:にゃあら

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