PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

惚気と仕返し
 洋館に遊びに来ている人ならざる仲間、鏡禍。そんな彼がいつも持っているソレが今日はなぜだか目についた。部屋の明かりで輝いて見える銀色の縁取りのされた手鏡。女の子っぽくて可愛らしいと揶揄ってやったら『繋がってるので仕方がないでしょう!?』と面白い反応を示してくれた一品だ。

「今日はなんか手鏡綺麗じゃねェか?」
 ついと指をさして問いかけると、きょとんとした後に鏡禍はめちゃくちゃ嬉しそうな笑顔を見せた。なんか変なこと指摘したな? と自身の失敗に気づくももう遅い。
「あ、わかります? これちょうどここに来る前に手入れしてもらったんだんですよ。僕どうしても手鏡の手入れが下手で汚れが残るんですけど、見かねた彼女が時々手入れしてくれるようになって、これがまたすごく綺麗に磨いてくれるんですよ。繋がりがあるからか鏡も大切にされるとすごく嬉しくって……」
続けて何か言う前にこのマシンガントーク、それもわかりやすく幸せそうなオーラを放ってくれている。人間である彼女と順調に付き合っているようで結構なことではあるし幸せそうで良いことだと思うのだが、それはそれとしてこのまま惚気続けられるのも癪だ。しかし普通にストップをかけたところで止まりそうもなく、さてどうするか……あぁそうだ。

「お、ウワサの彼女サンのご登場だ」
 遮るようにわざと鏡禍の後ろを見て、手をあげながら誰かが来たような振る舞いをする。もちろん嘘だ。この部屋には自分と鏡禍の二人しかいない。
「えっ!?」
 視線を辿るようにバッと振り返った鏡禍はしかし、後ろに誰もいないことを確認して恨めしい目線をして顔を戻してくる。期待するほうが悪いのだ。それに本当に彼女が来ていたらどちらにしても語ったことを思い出して赤面するに決まっているのに。
「クウハさーん?」
「いやぁ、悪い悪い。ありゃ幽霊だったな」
 もちろんこれも嘘。赤毛の幽霊もいたかもしれないがこの部屋に幽霊は来ていないし、来ていたところで鏡禍が気づくし見えるのも知っている。妖怪なのだから当然だ。
 だから当然のように嘘だと鏡禍も気づくわけなので。
「クウハ!」
 へらへらと全く悪びれもしないで笑う姿に、鏡禍は思わずらしからぬ大声を出してしまう。
 彼にしてみれば言うにしてももうちょっとマシな嘘でもあろうもの、と思っているのだがクウハは鏡禍の様子を楽しんで(ついでに仕返しをして)いるのだからわかったところで変わるわけがない。
「騙されるほうが悪いのサ」
 してやったり。あーすっきりした。ぷんすこと怒っているように見える鏡禍は全然怖くない。
 その様子にもう一つ笑って、幽霊と妖怪の何気ない時間は過ぎていく。
執筆:心音マリ

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