PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

悪霊と死霊術師の丁度いい距離感について
 秋の夜は、一人黙って過ごすには長く暗く、寂しいものだ。だからこそ、ヒトもヒトならざる者も、こうして集い語らうのだろう。
しかし、『シャワーに行ってそろそろ寝るよ』『明日の予定があるから』『そろそろ仕事に行かなくちゃ』と、一人、また一人と談話スペースから去っていき、気づけばテーブルを囲うのは、クウハと赤羽のみとなっていた。

「というか、赤羽は死霊術師なんだよな。良いのかよ、俺と悠長に駄弁ってても?」
「俺だって付き合う相手は選ぶサ。というか霊ってだけで話も聞かずに初手塩撒かれたラ、お前どうするヨ」
「……目ン玉、ぶっ潰したくなる」
「だロ?」
「あァでも、逆に『お前のご想像通りの悪霊ですよ』、ってのを刻みつけてやっても面白いかもなァ。最近暴れたりてねぇのよ、俺」
「いいねェ! その時ゃ俺モ、たーっぷり『演出補助』をしてやろうかねェ」
「おう、その時は一つ、ド派手にやっていいからな」
「あァ、一生忘れられねぇようにしてやるサ」

二人してケケケだのイヒヒだの笑う姿を、人は『悪役』だと恐れるだろうか。慄くだろうか。

──ああそうだ、そう呼ぶがいい。正しく恐れて、離れて仰ぎ見るが良い。
万が一にも巻き込まれて、痛い目を見たくないのなら。

 それにしても、コイツは実に『食えない男だ』とクウハは思った。仮に食えても、果たして旨いものかどうか。
目の前の男の中に見える、今を生きようと燃え上がる魂と、ちろちろと過去の栄華を窺わせる灯火。

目の前の『彼』が、今どちらなのかと言えば──

「じゃ、今日はこの辺でお開きとしようや」
「ン、そうさナ。いい加減寝ないと身体に優しくねぇもんナ」

ああでも、こういうヤツ程、崩れた姿が面白いのだ。例えば、こんな簡単な言葉一つで。
さあさあ今こそ、一つ笑顔で、今宵の別れの挨拶を。

「……オヤスミ、『ネッチー』」
「……おいテメー何処でそれヲ!!?? あっまた大地の入れ知恵だなコンニャロー!!!!」

幽霊屋敷の夜は、こうして更けていく。

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