PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

人外問答
「ヨゥ、色男。今日も一段と黄昏た顔がソソルな。」

「からかわないでくださいよ、クウハさん。」

「心配すんな、お前さんにはまったく食欲わかねェからよ。」

「僕もクウハさんを怖がらせるなんてできませんし、しようとも思いませんよ。……ハァ。」

「あんだよ。新婚夫婦がもう倦怠期か?」

「ば、馬鹿いわないでください! 僕と彼女はまだそういう仲じゃ……!」

「けどよ、渡したらしいじゃねぇか? ゆ・び・わ。」

「ど、どこで聞いたんですか!!?」

「ハッ! 人の口に戸は立てられネェよ。おまえさんなんざそういうのを散々鏡の中から見てきた口だろ? ア?」

「……わ、渡しましたけど。」

「受け取ってもらったんだろ?」

「……はい。」

「趣味じゃねぇとか、センスネェとか言われたか?」

「そ、そんなことは……」

「最近、身体も鍛えてるっつーじゃねェか。依頼もがんばる優等生君は、腕っぷしも俺なんざよりよっぽど上がってるんだろ?」

「……自分としては、そうなんですけど……」

「……しけてんなァ。ナァ、おまえさんヨォ。その彼女さんと、どうなりてぇんだ?」

「ぼ、僕は、彼女が幸せでいてくれたら……彼女を護れたら、それで。」

「10点だな。」

「えぇ!? 言わせといてなんですかソレは!」

「1億点中のな。」

「厳しすぎませんか!?」

「……っつー冗談は置いといてよ。お前さんその彼女さんがどうあったら幸せなんだ?」

「? それはもちろん、彼女が無事で、笑顔でいてくれたら……」

「テメェが彼女を笑顔にしてぇとか、俺が彼女の唯一なんだ! とか言い切る甲斐性がネェのは分かってるからそこはいいけどよ。」

「ゆ、指輪渡しましたよ!?」

「ハイハイ。んで、その笑ってる彼女サン、ウマそうか?」

「え?」

「ウ・マ・そ・う・か?」

「……何を言っているんですか?」

「想像してみろよ。彼女サンが叶わない強敵を前に絶望しているところを。護ってくれていたお前さんの姿が見えなくて恐怖しているところを。」

「……クウハさんでも、言っていいことと悪いことがありますよ?」

「そうだよなぁ。彼女サン、強ェんだよな。それなら、おまえがズタボロになって、ソレを見た優しい優しい彼女さんが嘆いてくれている所なんてどうだ?」

「いい加減に……!」

「喉が鳴らなかったか?」

「!!」

「……なんてな! 冗談さ。悪ィ悪ィ。詫びに一杯奢ってやるよ。水だけどな。」

(けどよ、水月。)

 俺たちが俺たちである以上。
 その”欲”と”渇き”は、お前サンを放しちゃくれねぇんじゃねェかな。
 それで、お前サンは本当に幸せなもんかね。我慢できるもんだろうかな。
 ただの人間様になれりゃ、それも変わるかもしれねぇが……果たして、それもまた幸せなもんなのかネ。
 難儀なもんだ。
執筆:ユキ

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