PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Trick and tricks!

揶揄い好きな悪霊とイレギュラーズ達のお話。


関連キャラクター:クウハ

魔と霊。上と下。
 優雅な所作で紅茶を運びながら男は話始める。
「君のいた場所ではどうだったか知らないけど、俺のいた場所では霊と魔は天と地ほどの差があるのぉ♡
分かりやすくいえば、貴族と庶民くらいの差がねぇ?そんな中でも俺は所謂王族と言われる立場。そんな俺を君らと同等に語るだなんて、いい度胸をしているね、クウハ?」
 ズシリと空気が重くなる。目の前の男―クインはいつも通りの笑みを浮かべているのにまるで処刑台に立たされたような気分になる。
やってしまったとクウハは思った。いつもいつも会う度に弄られ揶揄われているのでちょっとした仕返しだったのだ。
『あんたって色欲の悪魔って言うけど結局は色情霊と大差ないんじゃねぇの』
 そう、ケラケラ笑って言ってやったのだ。だって目の前の悪魔はなんだかんだ揶揄ってばかりで悪魔らしいところだなんて一つも見せた事はないのだ。揶揄うために悪魔なのだと姿を見せたくらいで。だから、
(だから、これくらいの事なら笑って許してくれるかなって!ネタにできるかなってそう思っただけなのに……!)
「この世界での逢瀬で良かったね、クウハ。 俺の世界でお前が俺にそんな事を言いだそうものなら、俺のありとあらゆる権能を使ってお前を色欲の牢獄に閉じ込めているところだったよ」
 静かにけれども重い殺意が紡ぎ出された言葉に乗せられている。ゴクリ、とクウハの喉が鳴った時。
「なぁんてねぇ♡ クウハは俺のお気に入りだしそんな事するわけないじゃない?怖かったかなぁ?怖かったなら、もう二度と馬鹿なことは口にしないようにねぇ♡」
 いつもの笑み、それでも瞳は笑っておらずまるで捕食者のようにクウハを鋭く睨みつけていてクウハはこくこくと首を縦に振る事しかできなかった。
(あ、悪魔ってろくでもね~~)
 やっぱこういうのには関わらない方がいいと改めてクウハは思ったのだった。
けれどもその翌日、またクインに突撃される羽目になる事をクウハはまだ知らない。
執筆:紫獄

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